<RPG SYSTEM>

 このゲームはRPGの様に経験値を採用して、ゲームを通じての成長というものを取り入れている。経験値は敵を倒すことのみによって得られ、目的の達成などは関係無い。


1.SKILL比較
 大刀では得た経験値が一定の値に達するとレベルが上がり、それを5つのパラメータのどれかに割り振ることが出来る。

*POWER: 攻撃力UP。弾のダメージが上がる。
*ATTACK: 攻撃スピードUP。連射速度やリロード時間が短縮される。
*SPEED: 移動スピードのUP
*ACRO: ジャンプ力のUP
*VITALITY: HIT POINTの最大値が上がる

 それぞれレベル5まであるが制限も有り、それぞれの時代で上げられる限度というのが設けられている。まず最初の京都では各レベル2までで、その後エピソードが進むごとに上限値が1上がる。よって最後の時代にならないと最大の5までは上げることは出来ない。

 ここが肝心な部分だが、この成長システムがゲームの中でうまく活かされているのかというと答えはNOだ。ほとんど意味無しという印象。何故かというとあまりにも能力による有利不利の差が大き過ぎるからだ。全体の有利度を10とした場合Vitalityが7点位と圧倒的に有利、後はAttackが2点でPowerが1点、残りは要らないといったところ。つまりこの様なシステムを導入するのであれば、成長のさせ方によってゲーム内で有利になったり不利になったりという要素を取り入れてやって変化を付けるべきなのだが、それが全く考えられていない印象なのだ。

 まずはとにかくHitPointが上がるということでVitalityが最重要。最初の100から350まで上げることが出来るのだが、これの効果が大き過ぎて誰が選ぼうがこれという感じになってしまっている。特に問題だと思われるのが最初の京都で、ここでは最初のレベルUP2回分をこれに振り分けないとキツイ。Normalでやる限りはそうすると有利というレベルではなくて、しないとダメというゲームバランス。残りは攻撃力を上げるPowerとAttackになるが、Powerでは1レベルにつき1ダメージしか上がらないのでマシンガンの様な弾丸数が多い物でないと効果が出にくい為、Attackの方がおそらく使える能力。Speedを手に入れるとジャンプアクションの時に有利だったりとか、Acroがないと届かないような場所にあるシークレットとかもあるのだが、それだけの為に取るにはそれが使える個所が少な過ぎる印象。マルチプレイで人間相手ならばこれらを伸ばすのは非常に有利だが、シングルプレイにおいては大して戦闘時には役に立たない。
 
 結論としてはせっかくのキャラクタ成長システムが全く活かされておらず、誰がやっても同じ様なキャラが出来るだけという感じである。成長のさせ方を間違えるとただ損をするだけという意味でもあり、自由度という面でも点数は低い。



2.HiroとSidekick

 進み方のスタンスとしては2つの方向性がある。一つはHiroだけで戦ってなるべく自分に経験値を入れるというやり方、もう一つは経験値を多少犠牲にする代りに仲間と一緒に戦う事で戦闘その物を楽にするというやり方である。
 この点についてもアンバランスな印象で、自分一人でいった方が有利になる度合いが高いというか、Sidekickと行くのはリスクが大き過ぎるという感じであるこれだとサイドキックを見切って自分で進んでしまう人ばかりになってしまうと思われる。もうちょっと彼らが使えるのであれば良いのだが、このAIレベルだと死んでゲームオーバーの可能性が高いので、彼らのヘルスに余裕がないと一緒には戦えない。この辺はRPG的な問題ではなくてサイドキックのシステムに問題がある。

3.Hiroと大刀

 このゲームでロメロが大きな特色として当初から宣伝していたのは、メインである武器の大刀自体が成長するということである。大刀自身にレベルが設定されており、レベルが低い内は当る確率も低いしダメージも与えられないのだが、レベルが上がるに連れて攻撃力と速度が増して行くようになっている。敵に止めを刺した武器によって経験値の入り方が変わり、大刀で倒せば大刀、その他の武器で倒した場合はHiro自身に経験値が入る。よってこれらの配分によって成長の仕方を変化させられる訳だ。大刀を多く使うようにするとレベルが上がるに連れて強力な武器として使用する事が可能になり、逆に大刀以外の武器で進めば自分自身の経験値が早く上がるので各SkillのレベルUPがより早くなる。

 この点に関しては他の要素とは違ってバランス的に良く出来ているのではないかと思われる。私自身は大刀を成長させる方向でプレイしたのだが、そうした場合としなかった場合との有利不利のバランスがうまく取れているのではないかと感じる作りだ。
 まず大刀を成長させた場合の利点というのは接近戦に強くなれるということで、このゲームではこれがかなり大きい。というのは出てくる武器24種類の内半分以上が近距離自爆系という極めて偏った編成の為に、接近して来る敵への攻撃が非常にやりにくいのだが、それが大刀の成長によって解消される。特に最後のエピソード辺りは十分に成長させておけば全く敵を脅威に感じない程度にまでなるので育てる価値はある。逆に欠点はレベルが低い内はかなり使い辛いので苦労する(遅くて当らない)という点と、接近するのである程度のダメージは常に受けてしまうということだ。
 これとは反対に自分自身の成長を考えた場合は、Skillの重要な3項目を全てMAXに持っていく程度までレベルUPが可能になる。またそのレベルが上がるまでの時間も早いので一般的な戦闘には有利だ。出来るだけ遠距離から倒すのであればこれでも問題は無い。大刀重視だと終盤楽になるのに対して、それほど終盤になっても楽にはならないが全般的には苦労せずに戦えるという配分。

 どちらにしても一長一短という事でうまくバランスが取れているということでこの項目は合格点。主役の大刀を育てる必要は必ずしも無い(はず)という点も自由度の高さという面からみて良いのでは無いだろうか。



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