F.E.A.R.: EXTRACTION POINT

                                                    09/04/27


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 製作・販売: TimeGate Studios / Sierra Entertainment
 
発売: 2006/10
 
日本代理店: 無し




                    ※ (警告) 本編のネタバレを一部含みます ※


 

概  要  拡張パック第一弾。制作はMonolith Productionsではなく、TimeGate Studiosが担当している。発売はVivendi/Sierraというのは変わらず。既にオリジナルの発売前からMonolithは代理店を移籍しているので、拡張パックの制作を依頼する訳にも行かず新たな開発会社を見付けてきたのだと思われる。同社はFPS系での実績は無いが、RTSのKohanシリーズが有名。

 ゲームの略称は公式にはEPではなく“XP”。


 プレイするには本編がインストールされている事が必要。単体では動作しない。そして本編のバージョンがV1.07以上でないとならない。もしそれ以下だとインストールの前にパッチを適用に行くが、このゲームのパッチは国別に異なるので問題が発生する恐れがある。つまり本編の発売国(日本だと北米・英国・日本のどれかだと思うが)と、拡張パックの発売国が異なっていると、「このパッチはバージョンが異なる」としてエラーになってしまう。よってインストール前に本編の方を最新のV1.08にしておいてやれば、発売国が違っていてもエラーは起きない

 上記の様に日本語版の本編に英語の拡張パックを入れる事は可能。ただしこのXPは本編のフォルダ内に新規のデータのみをインストールして、共通のデータは本編の物をそのまま流用している。よって日本語と英語が混じる事もある。

 有志によるF.E.A.R.シリーズ 日本語化Modに対応。


 最初の単体パッケージの後に、やはり単体のベストセラーシリーズとして廉価版でリリース。そして現在では本編とのセットとしても発売されている。これは本編の概要の項を参照。

 シングルプレイ専用でマルチプレイの新しいコンテンツは収録されていない。しかし発売時の価格は$29.99と高目の設定。


 Xbox 360にはF.E.A.R. Filesが発売されており、この中に当作品は収録されている。

STORY  前作のラスト30秒後から始まる。結末の工場施設の大爆発によりAuburn地区一帯は大ダメージを受け、一時は脱出に成功した主人公達の乗ったヘリも再度墜落してしまう。主人公である“Point Man”と、他のF.E.A.R. のチームメンバーDouglas HolidayJin Sun-Kwonの3人は、新たなExtraction Point(脱出地点)に設定されたAuburn記念病院の屋上を目指して、再度敵兵達と戦って行く事になる。


 発売当時はMonolithが制作に協力しているかの様なクレジットが出ていたのだが、どうやらこれは技術的な面での物だったらしく、その後F.E.A.R. 2の制作に当たってこのストーリー面はMonolith側に断り無く独自に制作された物だと判明。結局このXPでの内容はIFの世界での話とされていて、F.E.A.R. 2或いは今後の続編との間で矛盾が生じた場合には、Monolith側の設定の方が正しいという事になる。

PATCH

DEMO
 XP用のパッチは出ていない。本編の物が適用される形になる。V1.07以上要。

 シングルプレイ用のデモ有り。これは単体で動作する。

動作環境

トラブル
 最低&推奨動作環境は本編と同一。ただし本編よりも重くなっている。元々本編も発売当時は相当重いゲームだったが、更に重くなった事でパフォーマンス面では不満が結構出ていた。特にメモリ使用量が増しており、設定を最大に上げるには2GB以上ないと辛いというレベル。ただしこれを書いている時点では発売から2年以上経過しているので、近年ゲーム用に組んだマシンならば特に問題は無いはずである。

 トラブル関連は本編と同じなのでそちらを参照。

 今回遭遇した問題としては、一度ゲームを終わらせてもLauncher.exeが終了せず、再度起動してもそれが残ったままだと反応しないという現象が何回も発生した。プロセスの一覧から終了させてやれば治る。

新 要 素
 この拡張パックで加わった新要素。まずは新武器が3種類加わっている。

*Laser Carbine
 赤いレーザーを照射してその部位から敵を切断も可能な武器。照射スピードが速いので短時間で大きなダメージを与えられるが、その分エネルギーの減りは早い。アーマーへの貫通力はアサルトライフルよりは上という程度でそれ程良くない部類。また全くリコイルが無いので狙い易い武器である反面、敵に当てても通常は被弾のリアクションをしないので、移動中の敵には正確にトラッキングしないとならないという弱点を持つ。同じく弱点として撃っている時は移動速度も大きく落ちる仕様。この武器を持っている敵はゲームを通して5人だけなのでかなりレアである。

*Mini-gun
 FPSでは良く見かける武器ではあるが、このゲームでは900発までを一つのマガジンに収納するのでリロードが無い、最初のスピンドルの回転ラグが無い、連射しても銃身があまり暴れないという仕様で扱い易くなっている。しかし弾がブレるという点は変わらず、近距離でないと当てるのは難しい。近距離でさえあれば敵を弾の威力で引き裂いたりと凄まじい威力を発揮してくれる。最強クラスの武器と言えるが、これを持っている敵は全体でも6人と少なく、また終盤に集中している。

*Deployable Turret
 グレネードタイプの新武器。投げると壁や床に張り付いて、視界に入った敵を自動的に攻撃してくれる。壊されると終わりなので、敵を狙い易いがあまり近くでもない場所が有効。大量の敵が周囲から出て来るシーンではかなり役に立つアイテム。堅い敵の注意を引かせてその間に自分が攻撃するという方法も効果的である。数はFragやMineに比べると相当少ない。


 敵は上記の新武器を装備したReplica Heavy Minigun Soldier, Replica Laser Elite Soldierの他に、前作に登場したミサイルを撃つメックが更に大型になったR.E.V.8 Leviathan Mech Walker、精霊系ではShadow Creatureが新登場する。


 他とは違うデザインの箱が置かれるようになって、これを壊すと中から武器やアイテム類が出て来る。明確に分かるケースの方が多いが、他の一般的な箱類と色が似ているので、注意していないと見過ごす可能性も持っている。同じく赤い小さなメタルケースを開けると中にはグレネードが入っている。

 ドアをUseではなく打撃で瞬間的に開く事が可能になった。グレネードで爆破しても開けられる。


GAMEPLAY
 Intervalは6つで、それが更に分割されていてチャプター数は12。(本編はIntervalが11個)。発売当時最大の問題とされたのがその長さで、4時間程度でクリア出来てしまうという声が結構出ていた。それで価格$29.99は高過ぎるとしてゲームの評価に悪い影響を与えたというのは確かだろう。

 なのでプレイ前にはその辺を気にしてはいたのだが、実際には難易度Hardにて6時間位だった。ただし発見した脇道類は全て何かないかを確認し、障害物の陰等はブースターを見付ける為に出来るだけチェックして回るようにしてこの時間である。感想としてはボリュームそのものが足りないというよりも、難易度が高くないのでスイスイ先に進めてしまうから短くなるという方が適当だと思える。脇道探索してアイテム類やヘルス&Slow-moのアップグレードを探し回る必要性も、ゲームが難しくないから省略してもOKとなり、それがゴールに向かって一直線に向かうタイプのプレイヤーのクリア時間を短くしている。

 この難易度低下の原因に付いては、まず根本的に難しいというシーンが少ない。本編クリアを前提としている拡張パックでは、本編の場面別の難易度スケールが1〜10だとしたら、通常6から15〜20程度となるバランス設定が使われるが、このXPでは6〜12程度という印象で大して難しくなっていない。次に難易度を上げてプレイしても、Slow-Moの能力が強過ぎてそれ程難しさが上昇しない。被弾ダメージは確かに上がるがSlow-Moで先に攻撃して倒してしまえば関係なくなるので、倒すのに時間が掛かる様な相手以外では難易度を上げたという効果が現れにくい。やはりこの辺はSlow-Moの持続時間短縮や回復時間を長くしたりといった調整の方が適当だと感じる。

 メディキットやアーマーの数も多目であり、一時的に減っても敵が多い場所の後には補給用に置かれているので、メディキットが無くなるという危機的状況に遭遇するのは稀だろう。終盤がやや厳しくなる程度。やはり拡張パックとしては、全体的にもっと敵を強くしたりするバランスにするべきだったと思う。いずれにしろ本編をクリアした時に特に難しさを感じなかったのならば、それよりは難易度を上げてスタートする事をお勧めする(何時でも難易度は変えられる)。


 ゲームプレイについては本編への批判に答える形で、幾つか変化が導入されている。ロケーションは教会・地下墓地・地下鉄・病院等、見た目の印象として本編と同じ様な場所は極力避けているのが見て取れ、これは確かに効果を挙げている。またアウトドアとは限らないが広い空間が多くなっており、特にその場に障害物が少ない遠距離戦が何カ所かで登場する。これはテンポを変えるアクセントという意味では効果的だが、AIの仕様からして遠距離での撃ち合いというのはゲーム性にマッチしていないという感も強い。こちらがスコープ付きのライフルを持ってしまうと他の一般的なFPSと同じ様になってしまうので、遠距離戦自体はゲームを面白くしているとは言い難い。

 同じく変化として、隊員と一緒に戦うというパートが幾つか含まれている。隊員は無敵扱いなので気に掛ける必要はなく、もし自分が危ないのならば任せてしまえる箇所も多い。ただしイベントのスクリプトのバグでゲームが進行しなくなる場所が一カ所在った。隊員が動かないし進める場所も無いのならば(仲間しか開けられないドアが有る)、最新のセーブからやり直して見た方が良いだろう。


 新武器は爽快感も高く良い出来だと感じる。ただしそれと引き替えに、その武器の強さが難易度の低下という観点からは悪影響を与えている感は否めない。難所まで温存しておけば相当難しさを減らせる位に強力に働いてしまう。なお武器スロットは変化無く3個までなので、新武器系を保持する場合にはよりその選択が難しくなっている。例えば重要だったショットガンも相対的にランクが下がっているとう印象で、特に無くても新武器等の強い物で代用が可能である。(アサルトライフル系、アーマー貫通系に加えて、大型武器か新武器を持つという風にして)。

 敵としてはMinigun Soldierが手強く、近距離で普通に戦っては即行でミニガン攻撃の餌食になる。Heavy Armor Soldier以上の耐久力を持ち、やはりアーマーが堅いので(盾を通してダメージは与えられる)、貫通力の低い武器ではSlow-Moの時間をフルに費やしても倒し切れない可能性が高い。R.E.V.8 Leviathanは本編のR.E.V.6 Power Armorの3倍を超える耐久力を持ち、ロケットだと45発当てないと倒せないという耐久力ならNo.1の敵となる。地雷やグレネードも利用してとにかくダメージを多く与える事に徹しないとならない。ただし攻撃はロケットを撃って来るだけなので、時間は掛かるがあまり怖さは感じない相手である。
 Shadow Creatureは精霊系の新しい敵で、流血が酷い場所に主に出没する。打撃攻撃のみでそのダメージも小さいのだが、アサシンの様に高速化や半透明化して奇襲して来る。撃たれると視線が飛ばされてしまう事があるのも厄介。その上に集団で囲むようにして襲って来るので、Slow-Moでの対処では時間が足りずに裁き切れない事も多い。よって彼等の出現場所はゲーム内の難所の一つになっている。

 一般的な兵士のAIには変化が感じられず、頭が良いので問題にはなっていないが、こちら側の慣れもあるので怖さが減退しているという印象。全体の難易度が抑え目なので余計にその傾向が強くなっている。また上にも書いたように遠距離戦でも同じ様な対応の動きなので、こういったシーンではAIをそれに合ったように変更して欲しかった。


 ホラーの演出は本編と似通っているが、その長さに比較すると演出のシーンは多目。怖さ自体は本編を怖いと感じなかった人には、やはりインパクトはあまり無いという結果に終わりそうだ。突然出て来てビックリさせるというパターンがメインで一番効果的なのは変わらず。異世界へと切り替わるパターンはもう使い古されていて驚きを感じられない。ラスト付近ではこれでもかという感じに恐怖演出が続いたりもするが、これも他のゲームで見たような物でインパクトとしては今一つである。改善点としては前作の精霊は全く怖さが無かったが、今回のShadow Creatureは何所から来るのか判らない分怖いという敵にはなっている。それと流血等の凄惨な現場が増えているので、グロさという点では増していると言えるだろう。

GRAPHICS・SOUND
 エンジンの機能自体を改善の為にいじっているという事は無い模様。ただし戦闘時に粉塵を上げたりするオブジェクトの数は多くなっており、画面上に見られるエフェクトは本編よりも過度に設定されているそうだ。テクスチャの使用量が多いのも本編よりも重いというのに繋がっていると思われる。

 サウンド系には特に変化無し。

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