BLUE SHIFT

                                08/06/10



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   製作・販売: Gearbox Software / Valve
   発売: 2001/06
   
日本代理店: サイバーフロント



概   要
 拡張パック第二弾。制作はOpposing Forceに引き続きGearboxが担当している。今回もまた本編と同時刻帯における別の主人公の視点からの物語という設定で、主役は警備員の一人となっている。

 元々はDreamcast版のHLへの追加コンテンツとして制作されていた物だったのだが、そのDC版は最後に来てキャンセルされてしまう。その後PC用に作り直されてリリースされたという経緯になる。

 タイトルの”Blue Shift”というのは青方偏移の意味。高速で近づいて来る光源からの光のスペクトルは青い方へとシフトするというドップラー効果に関連する用語。ゲーム内では警備のシフト表において、そのシフトを色分けしてグループ化するのが通例であり、その中のBlueのシフトに組み込まれていた警備員が主人公という意味に引っ掛けている。


 このBSは動作にHalf-Lifeの製品版を必要としない。単独で別のディレクトリにインストールされる形態となる。北米版及び日本代理店版は、前作のOpposing Forceを同梱している。Euro版にはOFのマルチプレイ用のコンテンツのみを収録。北米版では既にOFを持っているユーザーに対して、製品版のCDを申し込み用紙と一緒に送る事でSierra製品の$10の割引券が入手出来るようになっていた。

 グラフィックス機能を拡張する追加ソフトのHigh Defitnition Packが初めて収録された製品でもある。現在ではHDPはSteamを通して無料で配布されている。


 現在パッケージ版では単体売りはされていない。Steamなら$4.99で単体購入が可能。 パッケージ版としてはHalf-Life 1 Anthologyにて入手する事になるが、この場合にはSteamのアカウントが必須となる。旧パッケージならば単体でのインストールも可能。

 Steamのスタート時に発売されたHalf-Life 2 Silver & Gold packageHalf-Life Premier Packの購入者。またオリジナルのパッケージ版のHalf-LifeをSteamへと登録したユーザーには、Steam上でこのBSが無料配布されている。ただし何時からかは分からないが、現時点ではこのサービスは行われていない。

 日本代理店版はサイバーフロントで、日本語マニュアル付きの英語版がリリースされていた。以後は各種統合版に収録。

 Steam版ではメニュー等がオリジナル版とは異なり、Steamの標準形式での設定画面になっている。


 ゲーム中の主人公であるBarneyという名前だが、これは元々は警備員全てを指すあだ名"Barneys"として使われていた。その名称は1960年代のアメリカの人気TVコメディ”The Andy Griffith show”が由来だそうだ。Don Knottsが演じるBarney Fifeという保安官が、役に立たない間抜けなキャラクタであったという連想から来ている。

 冒頭の通勤シーンから見える警備員の一人がプレイしているゲームマシンの名前は”Prax Wars”となっているが、これはCEOのRandy Pitchfordが昔EAで開発に携わっていたゲームの名前。(未発売)。

STORY
 今回のゲームの主人公は警備員のBarney Calhoun。新たにBlack Mesa内での配置転換によりBlue Shiftと呼ばれる勤務シフトにてAnomalous Materials Laboratoriesでの勤務を命じられた人間である。アサインされた時間帯に出社したものの、いきなり朝からコンピューターのトラブルでセキュリティ等が壊れていてトラブルとなっている。そして彼が勤務の為に働き出してからほどなくして、例の実験失敗によって施設内はパニック状態に陥る。異世界からやって来たエイリアンや施設を封鎖する海兵隊に対抗しながら、Calhornは科学者達に協力してBlack Mesaの外部へと脱出する為の道を探す羽目になる。

 本編でのフリーマンの実験による事故でBlack Mesaに起こった惨事の後に、施設内のまた別の場所で起きていた脱出劇を、別の警備員の立場から描いたゲームになる。本編とは直接的な絡みは無いがクロスする部分は幾つかあり、例えば冒頭のシーンではCalhounはフリーマン同様に地下へと進む列車に乗って通勤するのだが、目的の場所に着いてもセキュリティの故障で中に入る事が出来ない。本編ではフリーマンが列車に乗って通勤する際に最初の方でドアを叩いている警備員が居るが、これがBSの主人公であるCalhounになる。逆にこのBSでは警備員の視点から通勤列車に乗るフリーマンを見る事が出来るといった具合。


 OFのストーリー解説の項でも書いたが、このBSもそのストーリーはGearboxのオリジナルとなっており、本編を制作したValveはその内容に深く関与はしていない。Barneyというのは警備員全ての総称であって、Barneyと呼ばれる警備員は引き続きHL2でも登場するが、あのBarneyがこのBSにおけるBarney Calhornとは限らないとValve側のストーリー担当のマーク・レイドロウは話している。


PATCH&DEMO
 1.0.0.1パッチがリリースされている。これはユーザー制作のマップが正常に動作しないというHDPの問題点等を解消する物。

 現在Steamでも提供されているが、このSteam版には様々な問題点が報告されている。原因は現在のSteam版のHLで使用されているエンジンは当時の物とは若干内容的に異なっており、その違いがBSに収録されているマップにて動作異常を起こすからだそうだ。(BSのマップのフォーマットは、本編やOFと若干異なる)。またSteam版は上記の1.0.0.1修正パッチが適用されていない状態なので、パッチで修正されていた内容については未修正のままになっている。エレベーターにおけるバグが多数報告されている模様。或いはゲームのHUDの色についても、オリジナル版の青とは異なり、HLのデフォルトであるオレンジになっている。

 この件の修正についてはModとしてBlue Shift Unlockedと呼ばれる物がリリースされており、これは単体としてインストールされているSteamのBSのデータを、OFの様にしてHLのフォルダの中にMod形式でコピーしてしまう。その後Modとして起動する事で、エンジンのバージョン違いによる各種のトラブルが解消されるという話。私自身はSteam版を通してプレイしてもいないし、このModについても使った事が無いので、このModの信頼性については何とも言えない。


 デモは存在しない。


GAMEPLAY
 元々がDC版の追加コンテンツとして制作されていたのもあって、ゲーム全体のボリュームはそれ程無い。ゆっくりプレイしても5-6時間程度という声が多く、早い人だと3時間とかで終了してしまうそうだ。発売当時の価格が北米では$30だった事から、この短さについては当時は批判の声が多かった。

 基本的に本編と同じシステムだが、Opposing Forceと違いこのBSには新要素という物が含まれていない。新武器や新モンスターは追加されておらず本編と同じである。武器に関してはむしろ本編よりも少なくなっており、その為に新鮮味は感じられない。アーマーの扱いだけは少々異なっており、ヘルメットとアーマーを拾って補填する形式で壁掛けのチャージャーは今回は使用出来ない。


 ストーリー上で重要な役割を果たすのがローゼンバーグ博士で、話は大きく分けてローゼンバーグを見つけ出すまでと、彼の指示に従ってミッションをこなす後半に分けられている。全体的な印象は正統派と言うかHLそのものという雰囲気で、マップの構造、ドアを開けたり侵入ルートを探ったりする為の謎解き、ジャンピング・パズルによる進行等非常によく似ている。オリジナリティは薄いが内容自体はしっかりしているし、演出面でも面白いシーンは含まれており、単調で飽きるという事態にはなっていない。

 ローゼンバーグに会うまでの前半の半分は坦々としていて、基本的に進路を探しながら戦闘して進んでいくというスタイルで平坦な印象。敵の数はあまり多くない上に、攻撃もそれ程激しくない。しかし後半はXenへとテレポートしたりと変化も付いて盛り上がるという感じになっている。Xenの世界では相変わらずのジャンピング・パズルとか、迷路の様なトンネル内を彷徨ったりするが、本編ほどには複雑で難しくは無い。

 その他で本編と異なる印象を持つ要素としては、暗い場所が多くてかなりの頻度でフラッシュライトを使う事になる点。また仲間を引き連れての戦闘シーンは無くなっている。


 戦闘に関しては本編よりは簡単になっており、一般的なアクションFPSに近く難易度的にも普通というレベル。箱を壊す必要が有るとは言え、手に入るヘルスパックが本編と比較して多いという印象で、ダメージを負っても回復が楽になっている。弾薬の方も豊富である。数箇所難しくなるシーンも登場するが、非常にキツイと感じさせる程の部分は無い。それと今回は特別な方法で倒す必要があるボスキャラもいない。

 全体の割合として海兵隊との戦闘シーンが多くなっており、これはこのゲームを面白くしている点の一つ。エイリアンは海兵隊に比べると動きが読み易いので、本編からずっとプレイしている人だとあまり脅威を感じないだろう。なお角を曲がった瞬間等に突然(主にHeadcrabが)飛び掛って来るというパターンがかなり多くの場所で使われているが、これは鬱陶しいだけで成功しているとは思えない。


 マルチプレイについても新コンテンツは無い。OFを持っていなかった人は、OFのコンテンツにアクセス出来るようになる。

GRAPHICS&SOUND
 エンジンは本編とは変わり無しだが、今回は同梱されているHigh Definition Packを導入する事で、グラフィックスを大きくバージョンアップさせる事が出来る。武器や敵のモデリングはかなり向上しているが、テクスチャのレベル等はほぼ一緒なのでそれほど目立って凄くなったという印象は無い。それと新たな機能として鏡面効果が使えるようになっているのだが、ゲーム内では一部にしか使われていない。


 サウンドも特に変化無し。こちらもHDPにて一部の武器サウンドは変化する。

 今回も字幕は無しなのだが、ローゼンバーグがやたらと英語で状況説明とか主人公にやって欲しい事を喋りまくるようになっており、これが分からないと少々困った事になるかも知れない。指示通りにしないとゲームオーバーになるケースも存在している。一応は試行錯誤すればクリア出来なくなるほどの問題ではないが、不利にはなりそうである。

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