GAMEPLAY |
キャンペーンは時代別に大きく分けて5つの区分に分かれており、マップ数は40個弱。プレイ時間はNormalならば10-12時間程度と思われる。ボス戦を含めて解法が分からないとクリア出来ない場面が結構在るので、その辺でどの程度悩むのかにもよるだろう。 それとこれは他の項で詳しく書くが、ゲームの難易度は高目である。全体的にではなく、繰り返しチャレンジしないとクリアが難しい箇所が幾つも存在している。プレイ中の難易度変更やBonus Codes(少なくともフリーのダメージ上昇は可能)という救済措置は用意されているが、FPS初心者向きのゲームでは無いという印象。FPSが得意ではないという人は最初からEasyでのプレイが無難だろう。 まず最初はホラー要素についてだが、制作側によればゲーム性としてはサバイバル・ホラー系では無く、ホラー要素を重視してはいるのだが、これまでとは異なったスタイルのホラーゲームとしてデザインされている。攻撃能力に劣る主人公が敵から逃げ回る事で怖さを表現するのではなく、アクション性は高いが同時に怖さも感じさせるというゲームを目指している(開発側は"Thriller Horror"と呼んでいる)。 プレイヤー側が強力な火器を持っている事からサバイバル・ホラーの様な恐怖感を出すのは難しく、その辺をどういう風にして来るのかを注目していたのだが、私の感想としてはホラー要素は薄いと言わざるを得ない。「敵の見た目のグロテスクな表現」、「気持ちの悪い敵がアップになる接近戦の多用」、「どこからともなく聞こえて来る唸り声等のサウンド」といった要素から恐怖感を引き出そうとしているように感じられたが、やはりそれだけでは弱い。また確かにグロテスクな敵も居るが、非常に気持ち悪いという程のレベルでも無かった。 暗い場所をライトだけでゆっくりと進まないとならない様なシーンが在る訳ではなく、プレイヤーにショックを与えようと意図されたスクリプトのシーンが多数用意されている訳でも無い。それが良いか悪いかはともかくとして、Doom 3の様に敵が突然出現してビックリさせるという要素も希薄。何よりもプレイヤー側が強い武器を持っている上に、探索もほとんどは仲間が一緒に居る状況なので、そうなると怖さは大きく減退してしまう。また死の扱いがそれ程深刻ではない(簡単に回復可能)というのも恐怖感を煽るには問題である。結果的にはアクション性とホラーの合体は失敗しているという感想。 このゲームの大きな特徴の一つは、全体を通じて主人公一人だけではなく部隊を率いて戦うという点になる。このシステムについてはデモでもネタバレしているし、これを書かないではレビューも難しいのでここで明かす事にする。序盤はプレイヤーはJericho部隊の隊長であるDevin Rossとなり、部隊に対しては二つのチームであるαとΩに簡単な指示を出したりする程度の関与しか出来ない。だがその後の或るイベントでRossは死んでしまうのだが、死亡したのは肉体のみで精神はそのまま生き続けるという状態になる。(この辺の原理は解説もされていない)。この時点から彼の魂は6人編成の部隊の隊員達の間を乗り移る事が可能になり、乗り移っている間はその隊員を操る事が出来るようになる。その隊員の構成は全体の6-7割は6人(7人)がフルの状態で、他にチームが分散するので人数が減ったりするパートや、個人行動だったりするシーンも含まれている。 ゲームのシステムとして見ると、6人の隊員の操作は任意切り替えが可能となり、その方法はActionキーを押し続けてαとΩの隊員の一覧から隊員名をクリックするか、直接画面上で目標の隊員を指してActionキーを押すかになる。または操作している隊員がダメージを受けて倒れてしまった時には、すぐに次の隊員をメニューから選択するか、そのまま自動的に次の隊員への乗り移りを待つかになる。乗り移った状態ではその隊員本来の能力の他に、元々Rossが持っていた治癒能力を使って倒れた仲間を復活させる事も継続して行える。 隊員の切り替えが可能である上に、プレイヤーの操作する隊員は常に治癒能力を持つので、このゲームにおけるゲームオーバーとはその場の隊員全てが同時に倒れてしまった時になる。一人でも生き残ってさえいれば、そこから他の隊員を復活させて全員が揃った状態まで戻す事も可能である。 マップは文字通りの一本道で、アイテムや武器・弾薬を拾うという概念も無いので、ちょっとした脇道に逸れて探索する必要性も存在していない。だが隊員の切り替え要素があるので、リプレイ性の方はそれなりに高いとは言える。 物理エンジンとしてPhysXを採用しているが、影響を受けるオブジェクトも少なくあまり活かされてはいない。ラグドールは含まれているが、死体の消えるまでが早いので転がっているのを目にする事は少ない。 |
COMBAT |
*視点は一人称固定で切り替えは出来ない *Assisted Aim ON/OFF可能 *Run, Walk, Jumpといった操作は無し *移動速度はかなり早い。しかし後退や横移動は、(隊員によっても異なるが)前進速度に比べて大分遅くなる。 *CrouchのみでLeanやProneは無し *Melee Attackが可能 *ズーム機能は有るが、Iron Sightは持っていない *移動しながら撃っても、照準の変化や弾のブレは発生しない *銃弾によるFFは無しだが、グレネード系のダメージは味方にも加わる *ヘルスの扱いは自動回復制で、最大になると倒れて治療してもらうまで起き上がれなくなる なお隊員を倒れたままで放置しておいて先に進む事は出来ないが、チェックポイントに到達すれば全員が自動的に復活する。 戦闘は数多くの敵に大量の弾で立ち向かうというスタイルの、スピーディーで派手な戦闘をメインにしたアクションFPSである。部隊を率いるFPSとしてリアル系の特殊部隊物は多いが、このゲームのように激しいアクションを主体とした部隊物は珍しいと言えるだろう。弾薬の方もマップ切り替えやチェックポイントで完全補充されるので、あまり気にする必要無く撃ちまくれるというレベル。プレイ中に切れた場合には、一定の間隔を置いてColeが自動的に少量の弾を転送してくれるようになっている。 デモの時は簡単に感じたのだが(デモでは難易度の設定が存在しなかったが)、製品版ではそれとは異なり難易度が高いという印象。ただし簡単な所は簡単である。想像してもらえば判ると思うのだが、6人もの隊員が揃っていて自分以外の隊員は無制限に近寄って回復させられるのならば、ゲームオーバーとなる全滅はそうは起きない。そして実際に全滅するほどの危機感は感じられないシーンも多い。しかし終始その状態では緊張感も沸かずに面白くはならない。そこでこのゲームではその辺をバランス調整したりして、難易度を上げてゲームオーバーへの緊張感を出している。 1.同時に出現する敵の数はそれ程多くは無いのだが、次々にウェーブの様に出現して来るので全体としては数は多目。複数の方向から挟み撃ちにされるケースもある。それとNormal程度でも敵に堅い物が多く、最初から出て来る雑魚クラスでもヘッドショットを狙わないとそう簡単には死なない。よって個人レベルでは次々と敵を倒すというのは難しく、チームで対応しないとならなくなる。 2.ダメージを受けた際のエフェクトが強いので、敵の位置はともかくとして、味方の位置や倒れている状況が掴み難くなる。 3.敵が無限なのかが判り難い。一定数の敵のウェーブを倒し切ればクリアとなる箇所が標準だが、特定の行為をしないと無限に出て来るシーンも有れば、強行突破して先に進むと敵のリスポーンをそこで終わらせられるという場所も存在している。 4.無限に治療は行えるのだが、その相手が回復するまでは自身の操作が不可能になる。直接近寄って行うならば数秒程度で済むが、それでも敵が傍に居る場所で隊員を回復するのは危険が伴う事になる。 5.操作する隊員を切り替える際にはカメラが移動する視覚効果が加わり、瞬間的には切り替わらない。特に死んだ時の自動切換えの際に、操作が移った隊員の周囲の状況が掴めずに、対応前に敵の攻撃で死んでしまったりもある。 6.チェックポイントでのセーブ間隔の設定が変。必要が無いと思われる程度の箇所でセーブが行われたりする反面、難所の直前では行われずに結構前に戻って何度もやり直さないとならない箇所が存在している。 そしてAIという大きな問題が出て来る。まず6人が同時に倒れるのを避けるには、当然2つの部隊を分散して配置するのが有効な場面が多い。実際問題として、隊員が自動的に広がって位置する広いエリアでの戦闘の方が一般的に楽である。ところが戦闘エリア自体にそれ程広い物が無く、隊員は近場に集中してしまう傾向にある。そこで部隊に命令して配置を分けたいのだが、部隊のマークが出る場所にしか移動命令は出せないし、出しても戦闘になるとそれを無視して集まって来てしまうケースも多々有る。後方に待機させておいても、戦闘シーンになるとそのエリアが閉じてしまう箇所も多く、その場合には自動的にやって来てしまう。敵がロケット弾等の攻撃をしてくるなら分散するべきなのだが、近くに何人も固まって一気に倒されてしまったりする。 次に戦闘能力。隊員のAIは決して悪い訳ではなく、攻撃力はそれなりに高いし、全てではないが各々の特殊能力を自発的に使うだけの力も持っている。このゲームのAIよりも馬鹿な味方を持つゲームも多数存在しているが、問題はその能力がこのゲームの戦闘において要求されるレベルには達していないという点で、結果としてプレイヤーに負荷も掛かるしフラストレーションも溜まるようになる。つまり馬鹿な味方であっても、ゲームバランスとしてそれがプレイヤーにフラストレーションを感じさせないようになっているのならば少なくとも問題にはならないのだが、このCBJではそうなっていない。 簡単に言えば防御に関しては無頓着であり、基本的に敵からの攻撃を避けようとしない。自動回復なので連続して受けなければ問題は無いが、敵が多数出て来るとたちまち危険な状態になる。自分のヘルスが危うくなっても、一旦下がって回復を待つという概念が無いようだ。カバーがある場所ではそれを使って出たり入ったりもするのでまだ安心して見ていられるが、オープンスペースでの戦闘は実に危なっかしい。 特にそれが顕著なのがゲームを通じて頻繁に出て来る死亡後に爆発する敵で、AIはこの爆発の危険性を全く理解出来ていない。自分の近くに来ても平気で撃ち続けて自分も吹き飛ぶし、他の隊員の近くに居てもそれを攻撃してしまう。倒した後にそっちに進んで爆発に巻き込まれるというケースもある。 プレイヤー以外に唯一治療を行えるRawkingsは、基本的に倒れた仲間がいてGhost Healが可能ならばそれを優先させてくれるが、この能力は飛ばした先の隊員に届いて回復が完了するまでの間彼が無防備になってしまうので、その彼自身が倒れてしまうケースが結構多く、あまり頼りにする事は出来ない。 以上の様な点からAIはプレイヤーによる“御守り”が必要なレベルに留まっており、それが戦闘の難易度を増している。特に人数が減るとそれだけ全滅し易くなるので、例えばデモで使われている隊員が3人で長い時間進めないとならない十字軍の章は難所が多くなっている。しかしあまりにも隊員が優秀で全滅の危機が感じられないのも問題であり、理想的には隊員がもっと利口であるが、敵の数ももっと多いというのが望ましいと言える。次回作が有るのならば一番に期待する点はそれだろう。 敵の種類は時代毎に固定の敵と、全体を通じて出現する物の2種類。種類は少なくは無いが、もうちょっとバリエーションが豊富でも良かったように感じる。その代わりにその場所にしか出て来ないボスタイプの敵の種類は相当多く、ここは評価出来る。AIは悪くは無いが単純に突っ込んで来るタイプが大半であり、特別に優れているという訳でもない平均的なレベル。ただしアクション性が高いのでその点はあまり気にならなかった。 |
ユニークなゲーム性 | ||||||||||||||
平均的な評価は決して高くないのだが、一方で掲示板を見ると非常に高評価をする人も多いというゲームとなっている。確かにプレイしてみた感想として、一般的なFPSとは異なったユニークなゲーム感を持っており、その点で人を選びそうなゲームという印象である。次にその独特なゲーム性について解説してみよう。 6人のメンバーで倒れた仲間を復活させながら進めるという点で、このゲームのプレイ感はアクション重視のCo-opに近い物を持っているので、Co-opが好きな人には楽しめる可能性が高いと思う。或いはプレイヤーは隊員の回復を受け持つので、マルチプレイにてメディックのクラスを取るのが好きという人にも向いている様な気がする。 その反面、他の隊員の回復が非常に重要な要素に成り過ぎているというのも感じる。このゲームは休む間もなく忙しいという戦闘も多いのだが、その結構な部分が仲間の回復に費やされるというバランスになっているのである。プレイヤー一人の戦闘能力が特に高い訳ではないので、とにかく生き残っている隊員が多いほど攻撃力が高まるし、何よりゲームオーバーを防ぐには行動可能な残りの隊員の数は重要となる。(Rawlingsも回復を行ってくれるが、彼自身が倒れてしまうと一気に不味い状況に陥る)。その為にプレイ中に常に周囲の隊員の状況を気に掛けていないとならず、倒れたらそこまで走って行ってActionキーで復活させるという回復行為に忙しくなり、戦闘に集中出来ないという面は持っている。特に敵の攻撃が激しい箇所だと、文字通りメディックの様に戦闘はそっちのけで仲間の回復最優先で戦場を走り回らないとならないケースも。よって激しい戦闘その物を楽しみたいという人で、仲間の回復など面倒と考える人には向かないだろう。 次に例えば戦争がテーマのFPSにて、主人公が他の兵士に比較して強過ぎてリアリティに欠けるという不満は良く聞く。しかし本当に他のAI兵士の戦闘能力を上げてしまうと、今度はAIが多くの敵を倒してしまってプレイヤーが活躍出来る余地が少なくなる。そして一般的には自分が活躍出来ないと面白くないというプレイヤーが多いので、プレイヤーが活躍出来て強いという感触は残しつつ、周囲の味方も飾りではないという風に見せるバランスを考えて制作されたりする事になる。 その点でこのCBJは、戦闘の成否においてAIに依存する割合が高いゲームと言える。どの隊員を選択してどの様に攻撃するのかという作戦は結果に大きく影響してくるし、プレイヤーの戦闘能力も当然重要である。しかし他の隊員がどういった動きや特殊能力を使って来るのかも影響力が強く、プレイヤーは最高の活躍をしたのに全滅するとか、逆にプレイヤーは不味かったのに隊員の活躍で簡単になったりが起こり得るようになっている。これを「いかにもチームとして戦っている感が出ていて良い」と取れる人には面白いゲームとなるだろう。 しかし周囲の味方の出来に関係なく、プレイヤー自身のパフォーマンスに応じてクリアの成否が決まるべきだと考える人には、「自分がこれだけ上手くやったのにAIの馬鹿さでクリア出来なかった」となったりして、面白くないかも知れない。このAIのランダムな出来如何によって簡単にも難しくもなったりするという点は、このゲームのユニークな点の一つである。 |
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隊員別戦闘能力 | ||||||||||||||
どのメンバーを選択して、またそれでどういう風に戦うのかによって、プレイ感や戦闘の結果に大きな変化が生じるようになっているのは、このゲームにおいて最も魅力的な点と思える。またそれぞれの隊員に長所と短所が存在しており、極端に差が無いのも良く出来ている。 以下は各隊員を選択した際の利点と欠点の簡単なまとめ。
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