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問 題 点
 Survival Events(一般的にはQuick Time Eventsと呼ばれる)を重視しているのがゲームの一つの特徴である。QTEとはコンソールでは採用も多い物で、画面上に連続して表示されるボタンを時間内に的確に押せばイベントが成功するというミニゲームの事。特殊なアクションを行う場合や外部視点のカメラから見せた方が効果的というイベントシーンにおいて、単にそれをムービーで見せるのは味気無いという観点から、プレイヤーもそれにアクションゲームとして関与出来るようにする為に考え出された方式である。原理的に三人称視点のゲームで使われる方式なのでFPSでは見掛けない。
 CBJではスクリプトとして行われる物の他に、シチュエーションによって発生するタイプも数多く用意されている。例えば敵が接近するとその攻撃をかわす為のイベントとして発動する事が有り、失敗するとその場で倒れてしまうようになっている。積極的に組み込んだ理由としては、グロテスクな敵の姿を間近で見せるという恐怖感を演出するのに効果的であるという点を挙げている(戦闘シーンでは接近戦になってもゆっくりと見る余裕が無いし、またドアップの視点までは近付けない事が多い)。

 だが実際にプレイしてみた感想としては、敵のドアップという効果はやや感じられるもののゲームとして面白い要素だとは思えない。公式掲示板でも子供騙し的で盛り上げに役立っていないという声が大勢のようだ。システムとしても表示されるキーの位置に視点が集中してしまうので、肝心の敵の顔をアップでよく見せるという効果が薄くなってしまっていると失敗気味。押すべきキーの表示速度が速くて難しいバランスとなっているのにも不満の声が多い。


 公式掲示板でも相当批判が多いが、エンディングについては不満が残る。三部作の最初という事で謎のまま残したい部分も有ったとは思うのだが、ストーリー的によく分からない箇所も多い。いかにもな感じで冒頭から登場するArnold Leachは、結局後半部分ではほぼゲームに関与しないままで終わってしまう等、肩透かしを喰った気分である。最後のマップで隊員達に起きるイベントも評判は良くない。それにしても最後は呆気無いと言うか、尻切れトンボの様にモヤモヤした感じが残るままにクレジット画面になってしまってガッカリさせられた。


 コンソールがメインで製作されているのもあって、I/F系に問題が感じられる。

*マウス感度が単なる三段階切り替えで微調整が出来ない。スムージングも無し。
*Actionキーを「押し続ける」と「Tap(チョンと押す)」の2通りに使うのだが、判定がシビアでTapしたつもりが押したと判定されてしまう事が有る
*同様にリロードと武器のモード切替が一緒のボタンとなっており、これも誤動作するケースがある
*隊員の切り替えが素早く行えない。PCでは1-6キー等でのダイレクト選択をサポートしても良かったのでは。
*PrimaryとSecondaryのボタンが通常とは逆。(デフォルトではマウスの右ボタンがPrimary)。

 最後のマウスのボタンが左右逆なのは、Secondaryの武器を左手に持つ設定だからそれに合わせてのものだと思われる。


 他に操作性関連では、Jonesを使って敵に乗り移る際にActionの有効判定が相当微妙である。マウスを回転させてターゲットを探るのだが、照準の表示が無い上に相当正確に合わせないと「Actionキーを押せ」といった表示が出ない。よって正解であるターゲットに乗り移っても、Actionが可能となるオブジェクトに気が付かずに見逃してしまうという事もあった。それと一箇所早い操作を要求されるシーンも存在しており、そこも操作性が悪いのでフラストレーションが溜まった。


 ボス戦には特定の倒し方を使わないとならないケースが多いのだが、それが解らないと無駄弾を撃ち尽くしてしまう恐れがある。つまり戦いながらどうするのか試したりして考えていると、解答に気が付いた時には既に弾が無いので苦戦になるという事がある。Coleが弾を転送するので完全に無くなりはしないが、チェックポイントまで戻ってやり直す方が良いという状態になる可能性も出て来る。ボス戦では弾の回復率が早いとかにしても良かったのではないか。(弾が有るのか無いのかは、倒す方法にはあまり関係が無いので)。


 ゲーム性は明らかにCo-opに近いのに、マルチプレイが無いというのも痛い。対戦モードを入れるにしてもスローモーション等マルチプレイでは実現が難しい能力が多く含まれており、かと言ってそれを外すと普通のマルチプレイ対戦になってしまうので面白くならないという理由で廃止されたそうだが、Co-opについては実現してもらいたかった。ゲームの評価と売り上げにも大きなダメージを与えたような気がしてならない。



GRAPHICS
 独自製作のエンジンを使用している。売りにしている特徴としては”particle-based blood”と呼ばれる、血の飛び散り方を派手でリアリスティックにするという描画を採り入れている。

 ヌメヌメした気色の悪い粘液的な表現がまずは目に付く点。ライティングと影の描画もなかなか綺麗である。また敵の造形には力を入れたという話だが、そのクオリティは高いと思える。味方隊員の造形の細かさも良質。

 ゲーム性からすると残虐表現はやや物足りない出来で、敵の死亡時の出血及び首や四肢が飛んだりするGoreの発生も抑え目という印象である。

 ワイド対応で16:9と16:10をサポートしている。

SOUND
 バーカーの理論としてはホラーの50%はサウンド、25%がビジュアル、残り25%がシチュエーションだそうで、その意味でサウンドは非常に重要視されており力も入れている。BGM製作にはCris Velascoを採用しており(God of War I, IIで有名)2時間を越える曲が提供されている。

 しかし実際にはあまり効果的なサウンドの使われ方はされておらず、最後までプレイしても印象に残る部分は少なかった。全体的に環境音も含めた音数が少ない様に感じられる。BGMも宗教的なコーラスを採用した物が多く、不気味な雰囲気を醸し出すにはちょっと違うような気がする。

 銃器のサウンドも迫力が今一つ。もっと重量感を持たせて欲しかった。

 X-Fiを推奨しているがEAXには対応していない。効果的な3D再生等の特殊効果は恐怖感の演出には重要と思うのだが、何故か採用されていない為にサウンド面では弱さを感じさせる。独自エンジンなので導入が難しかったのだろうか。

 クオリティが高いと感じたのは、隊員の声優についてのみ。

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