<COMBAT>
戦闘に関しては幾つかの例外を除いてやや簡単な部類で、相手が基本的に人間だけなのでこの手のジャンルに慣れている人ならば苦労する事はそれほど無いはずだ(Normalで評価)。確かにストレートなアクション物に比較すると制限は存在しており、激しくステップしながら撃つと照準の広がりが大きいので当らなくなる、弾薬が切れるのが早いのでリロードが頻繁に生じる為一時隠れる場所を確保するようにしないと危ない、敵は銃器系が大半なので目で見て避けられる訳ではなく常に或る程度は削られてしまう、HPの方は回復させる手段が無い等々。
しかしNormalだとスムーズに進める様に配慮したらしく、Armorはそれなりに配置されているし、敵の攻撃の命中精度もそれ程高くない。またFPSとしては珍しく手榴弾がほとんど出て来ないので(似たようなアイテムは有るが)、物陰に隠れて一息つくという事が可能なのも楽に感じられる点。
敵は99%普通の人間となり、また知能レベルに差が付けられている様にも見えないので、敵の強さというのは「持っている武器」と「同時に戦う人数」で決まると言っても良いだろう。一番の問題なのは当然スナイパーであり、これらは先に見付けて倒さないと辛い。一般の敵ではM79 Grenade Launcherを持った敵が難物で、この弾は高速で避けようがない為に一撃で即死ということも珍しくない。これもまた先に発見される前に倒さないとならないタイプとなる。通常の敵ではAK47 Assault Rifleを持った敵にFMJ弾を使う者が多く、これはArmorを通してHPを減らすので集団で来られるとかなりの脅威となる。ただゲーム全体を通しては怖い敵の割合は少ない。
このゲームで最も評価の高い項目といえばAIという声が多いのだが、確かにシングルプレイではあのHalf-Life以来の出来と言っても差し支えないと言える。通常のゲームで見られる欠点、こちらに物凄く遠方から気付いたり、死体が転がっているのに反応しなかったり、一度攻撃されているのにしばらく待つと何事も無かったかのように巡回を始めたり、リアクションが異様に速いとか、障害物に引っ掛かるとか、そういったよく見られるような問題事項が修正されている。
また基本的な能力として、障害物を利用して体を覗かせては撃って引っ込んだり、頭だけ出して撃っては屈んだり、リロードの為に一度引いたり、倒せないとなると別の隠れられる場所へ走ってそこからあらためて攻撃を仕掛けて来たりする。戦わずに仲間を呼びに行く事もあるし、グループとして攻めて来たりという事も可能。目の前の壁が撃ち抜けるかどうかも判別出来る様だし、こちらが物陰に隠れてもそこに居るというのは認識する様だ。戦闘になれば左右に細かくステップしてこちらの照準を外したりとか、転がって体勢を低くして攻撃して来たりという事もしてくる。敵の種類が少ない割には最後まで戦闘に飽きが来ないのは、この辺のAIの動きがリアルで優秀ということが最大の要因と言うのは確かである。
ただし上でも書いたようにそれほど強くはない。普通のゲームのAIでは「頭が悪くて単純で弱い」か「不自然に強いか」で、いずれにしろコンピュターの操作っぽい物が多いのだが、その点このゲームはかなり自然で人間らしさを感じさせるようにはなっているのであるが、(戦術に関しては)頭はそれほどよろしくない。この辺強くて戦い甲斐があるが、不自然でコンピューター的というのとどちらが良いのかちょっと微妙な所ではある。
例えばよく他のゲームで見られる点に決して持ち場から動かずに延々攻撃を続けて来るタイプの敵がいるが、このゲームの敵はこちらの居場所を認識出来る為に、しばらく撃ち合って埒が開かないとなるとちゃんとこちらに攻撃に来るという特徴が有り、これを利用して待ち伏せという戦術が取れるので楽になるケースが多い。またこれは人間らしさを追求した結果なのだと思うが、いきなりこちらが飛び出した場合は反応が遅れる傾向にある。つまり一度発見されている状態で身を隠した場所から顔を出したりするとすぐに撃って来るが、その前の未発見の段階で廊下の角から飛び出したりした場合は敵が構えるまでにこちらが先に撃てるので少人数であれば簡単に倒せるとなっている。
その他動作上の問題点としてはまず高さの概念が厄介。このゲームでは信じられないような低さの場所から落ちても(飛び降りても)死んでしまう事が多い。ダメージを受けるだけならばまだしも、現実に落ちたとしても足を挫く程度の場所から飛び降りて死んでしまうのは困る。また跳び上がる方に関しても「乗れるように設定してある場所には乗れる」という風になっており、純粋な高さによる判断が不可能。そして乗れる場所ならば飛び降りても死なないという感じで慣れるまで相当に分かり難い。
それと映画的な演出としてバイクやスノーモービルに乗れるのだが、この操作性が非常に悪い。乗ってしまうと武器は使用不可の為に体当たりで倒せという事なのだが、とてもそんな事が出来るようなレベルでは無いのだ。乗っている時の操作キーの感度は調整可能ではあるのだが、それでも敵に狙いを定めてぶつかるなど不可能で、そんな事をしている内に撃たれて死んでしまうのがオチである。よって手前で降りて戦った後に又戻って乗るという感じで進まなければならず、設定を生かしきれていない。
ミッション別では戦闘重視よりもステルス重視の物の方が難しく、苦労する場所は概ねステルス系のミッションになるだろう。よって最後に行く程難しくなるという感じは全く無く、難易度はミッション(レベル)により完全にバラバラという構成である。
ここではこのゲームにおけるステルスの扱いについて説明しよう。まず完全なステルスを要求されるミッション(レベル)というのはほとんど無い。”完全な”と言うのは見付かった時点でゲームオーバーになるようなタイプの物である。残りは或る程度プレイヤーの自由に任されている。”ある程度”というのは段階的に次の様なミッションが存在するからだ。
A.完全なステルスで見付かれば終わり
B.ステルスではあるがAほどは厳しく無く、発見されても通報(警報ベル等)される前に倒せばOK
C.どちらでも良いが出来るだけステルスを維持しないとキツいレベル
ただしCについては開始前にはどちら寄りなのか分からない為にその点では難しい。
さてその肝心のステルスの仕組みであるが、これは厳しい設定になっており相当難易度が高い。ステルスを維持するというのは警報機を鳴らさないという事なのだが、このゲームでは以下のようなシステムになっているからだ。
*監視カメラを破壊出来ない
破壊するとそれが監視センターに伝わってしまい警報が鳴ってしまう(何者かが壊したということで)。
*一度警報を鳴らすと解除不可
一度でも鳴らせば待ってもその状態は回復しない。敵兵士は警戒体制を解かない。ただし例外はある(警報機を止められる場合もある)。
*敵のAIが優秀
死体があればちゃんと発見するので厄介。自分の視界にいる仲間が撃たれれば、仮に遠方から音を立てずに撃った場合でも大抵気が付く。
*警報ベル
気付いてこちらを攻撃するのならまだ良いのだが、一目散に警報ベル目掛けて走る場合も多く、この場合は止めるのが難しい。慌てて派手に撃つと音に気付いた他の警備員がやって来てしまうので。
*音に敏感
仮にあなたが見えていなくても、銃声を聞いた場合にすぐに自分のいる部屋のベルを押される場合がある。つまりある部屋の前で撃った場合に、その中に警備員がいればあなたを見ていなくてもベルを鳴らされる可能性があるという事。
*カメラが死体に気が付く
監視カメラはあなただけで無く死体をも発見する能力を持っている。よって監視カメラの届く範囲内で敵を倒してしまうと、それはカメラに発見されてベルが鳴ってしまう。
兵士達の反応もかなり敏感で、殺す時に声を立てられると近くの兵士が寄って来たりしてしまう。巡回ルートに死体が有ればちゃんと見付けるし、味方の銃声に対しても反応してすぐに駆け付けて来る。更には雪の上に残したこちらの足跡すら発見する能力を持っており非常に厄介な存在。
という感じで警報ベルを鳴らさない様にするのは結構難しい。特に死体を発見するというのは厄介で、誰かの巡回ルートに死体を残してしまうとそれが見付かってしまうのだ(まあ本来はそれが当り前なのだが)。よってステルスを維持したい場合はカメラや他の人間の目に触れない場所を選んで、つまり殺す(倒す)場所まで考えておかないとならないのである。ただしそれを回避する為のアイテムは存在する。
それとこのゲーム独自のシステムが慣れるまでに苦労させられる。それは見付かる場合と大丈夫な場合の境界線である。実はステルスゲームでありながらこのゲームには覗き動作(Lean)が無く、陰からその先を見るには体を出すしか手がない。その為に独特なシステムが採られており、それは敵との距離と体を出した時間によって発見されたかどうかが判別されるというものである。つまりサッと体を出してすぐに戻れば発見される確率は低くなり、それは敵との距離が空くほど長くても大丈夫という設定である。この辺の感覚が実際の人間を相手にした現実の場合とは異なっており、出来るだけ早い内にSAVEして繰り返す等の実験で感覚を掴んでおく必要がある。なお後のインタビューにて、「ステルスの維持が厳し過ぎる」、「一度解けてしまうと元のステルス状態に戻らない」点は反省点と述べている。
このゲームのステルスでは憶えるべき要素が多く、何回も試行錯誤して要点を体得しないとならない。まずは敵の気付く原理というのは視界よりも音が重要なので、音を消す事を第一に考えるべき。例えば向こうを向いている敵を倒す場合、近くによって確実に倒すのではなく、出来るだけ離れて撃つ様にする(当たる範囲で)。何故なら離れる程銃声がその先の敵に届きにくいからである。また通過した部分についてはドアは閉めていくのが望ましい。それだけ音が届き難くなるので、通過した場所の敵を呼んでしまう事もなくなる。
ある地点に行くと敵が会話している事が多いが、この場合は内容を聞くかどうかに関らず終るまで待つ事。会話の後に巡回ルートを警備に入るので、それ以降でないと動くのは難しい。カメラが複数設置してある所は移動が難しいが、この場合は射程距離を考えて上手く移動する必要がある。ステルス時は音を立てないように歩いたりしゃがんだりというのが基本だが、むしろ走った方が切り抜けるには有利。黄色の警戒信号の状態では見付かっていないので、そこまでは大丈夫という感覚でカメラの下の死角から次へと移動しよう。
音を立てずに敵を倒す場合は空手チョップが有効。ただし背後から一撃で仕留めないとならない。これに関しては「間合い」が画面上の感覚とちょっと違う所があり慣れないと分かり難い。実は素手のみで戦う場面があるのだが、ここでも間合いが分かっていないと勝つのは難しい。具体的にはかなり遠くから当てる事が可能(逆に当てられる)。
ゲーム中の開かないドアの中には、単にダミーとして置かれている物と中に警備員が待機している物が在り、後者の場合は警報とともに飛び出して来るので注意。もしもクリアして来たはずの背後から攻撃されたら、それはどこかの部屋に居たという可能性がある。
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