<GRAPHICS>
このゲームに採用されているのは開発元のMonolithの手によるLithtechエンジンの最新版2.0バージョンである。現在3DFPSの世界には二つの代表的なグラフィックスエンジンが存在し、一つはQuakeエンジン、もう一つはUnrealエンジンで、3Dシューティングの半数以上がこの双方で占められているのではないかという位に普及しているのは御存知の通りだ。そんな中このLithteckエンジンはDirect3Dに最適化という事もあって(Q系はOpenGLでU系はGlideベース)採用ゲーム自体はそこそこ多いのであるが、3DFPSの世界ではそれほど目立った存在ではない。これまでだとMonolith自身によるShogo,Blood2等が有名で、グラフィックス自体は綺麗という評価をもらってはいたもののそれほど特別に凄いというインパクトもなく、他の二つを差し置いて採用というメーカーはFPS界ではほとんど出て来なかった(この辺はこの二つのゲームのグラフィックス世界が独特だったという印象面もあるかもしれない)。
ではこの最新バージョンはどうなのか? 先に結論をいうとこれは結構クオリティが高い。他の二つのエンジンの間に割って入るだけの能力は十分に持っていると言えるだろう。正直言ってデモ(一番最初の)をやった限りではそれほど印象的ではなかったのだが、実際のゲームをやって見て考えを改めさせられた。
まずはかなり軽い。デモの時とは別物という感じで非常にスムースに動いてくれる。1024*768に32bitカラー使用、グラフィック設定を最高にしてもほとんどストレスを感じなかった。それと大きな利点というか優秀な点はアウトドアの綺麗さと軽さだ。例えばU系のエンジンの場合マップが広くなるほど重くなってしまうという欠点があるが、このエンジンは全くそういった重さが感じられない。実際にゲーム中には非常に広大なサイズのマップが時折出てくるのであるが、どれだけ遠くを見渡したりしても、或いはどれだけサイズが大きくても小さなマップの時と同様に軽いのである。しかもアウトドアに関しては、他の二つのエンジンよりも綺麗ではないかという印象の場面も結構有った。
それとキャラクタの動作に関しても細かく出来ており、ムービーシーンでの会話等ではちゃんとリップシンクで喋るしまばたきもするようになっている。戦闘時は撃たれた個所によって違ったリアクションを見せるし、そのアニメーションも優秀な部類。階段を転げ落ちたりとか、高い場所で撃たれれば欄干を越えて落ちたりとか物理モデルも相当リアルに出来ている。
もちろん全てが他の2つよりも優秀という訳ではなく、テクスチャに関しては軽さの代償なのか悪くは無いがそれほど綺麗でも無い。S3圧縮を使用しているという事なのだが、それほど効果的な面は見られなかった。それとこれはゲームの”色”に起因するのかも知れないが、全体的に明るくカラフルな分重厚さに欠ける感じがある。最後に3DFPSでは御馴染み?の残虐表現に関しては極めて控えめであり、流血はほとんど無いしGoreの表現も無い。ESRBのレーティングはTeenとなっている。
いずれにせよ製作メーカーに取っては新たな選択肢が出来た訳で、今後採用するメーカーも増えるのではないだろうか。久々の優秀な将来性のあるエンジンと言えるのではないかと思う。Hardware
T&Lにも対応するというV3.0が非常に楽しみな存在である。
追記:その後はAVP2, Global Operations, Kiss Psycho Circus, Die Hard: Nakatomi
Plaza, Legend of M&M, Purge等エンジン使用のゲームは増えた。ただビッグヒットとなるゲームが無く、思っていたほどは2大エンジンとの差は詰まらなかったと言える。
<SOUND>
ベースが60年代だけに当然BGMもその頃のイメージに合った物が採用されており、これはサントラ付きからも分かるように相当力が入っているようだ(ただし収録曲がゲーム中のBGMだけではないのは残念)。ゲーム中のBGM自体は10種類程度だと思うのだが、どれも雰囲気たっぷりで結構気に入ってしまった。私はBGM系は煩わしいので一度聞いたらボリュームを絞ってしまったりしてしまう事も有るのだが、このゲームでは最後まで普通の音量で楽しませてもらった。ただゲームのテイストにはピッタリ合っているのだが、内容的にはFPSとしてはかなり異質であり、明るいというか映画的というか他では聞けないようなタイプという印象。特に気に入ったジャズ調のBGMなどは他のゲームではまず使われない類の音楽だろう。
3Dサウンドについては一応対応はしているようなのだが、効果的ではなく効きが弱い感じである。またサウンド拡張のオプションも存在はするが、これもONでもそれ程効果的ではないような気がした。その代わりにDirect
Musicには対応しておりこちらは出来が良い。戦闘時には自動的にサウンドがアップテンポになり盛り上げてくれるようになっている。
<英語>
英語がどの程度出て来るかというのは人によっては気になる部分だと思うのだが、このゲームではムービーが全体で1時間以上有る事からも分かるように相当な量の英語が出て来る。ただし英語力に関してはそれほど必要としないレベルである。というのはそれを理解しないと進めないという個所は基本的に無いからだ。
まずストーリーの展開を説明する部分については画面を見ていれば凡その内容はわかる範囲だし、英語自体も平易でテキストの流れるスピードも遅い。もちろん理解した方が良いのは確かであるが、クリアする為に必要な情報についてはムービー終了後のミッション目的部分に表示されるので、そこさえ見ておけば進めるのに支障はない。またゲーム中のキャラや敵が話している内容はギャグ的な要素が強いので、ゲームのクリアには関係がないと考えて良いだろう。
一番問題となるのは英語での質疑応答の部分である。これについては尋問ミッションという物まであり、レベル全体を通して英語で質問しながら情報をどこまで引き出せるかというミッションになっている。ただこれについても失敗したからといって先に進めないという訳では無く、終了後のランキングにおいて点数が悪くなるだけである。ゲーム中に時々現れる英語の返答選択についても、正しく答えると有利な情報が手に入ったりとかはあるが、変に答えたからといってゲームオーバーという事は無いようである。
結論としてはミッション開始前の内容解説を読んで、ゲーム中に表示出来るミッション目的チェック画面を確認しさえすれば、ストーリー部分の英語を理解しなくてもゲーム自体を進めるのに問題は起きないと思う。ただ日本語版が存在しているので出来ればそちらの方をお勧めする。
<MULTIPLAY>
最大で16人までに対応。キャラクタのモデル数は相当多くなっている。デスマッチの他にUNITY vs HARMというチーム戦が用意されているが、ハッキリ言って平凡で大した事は無かった。悪くは無いと思うが特筆するような要素が無く、他のFPSゲームのマルチに比べて勝っているような点が見当たらないと言えよう。またパフォーマンス的にも良く無いというかラグが多くて快適に遊ぶ事が出来ないのが現状で、そもそもマルチに人気が無いようでサーバーの数も少ない。
その後ネットコードの改善を行ったパッチや数々の追加マップパックをリリース、マップ製作用のEditor等も出して盛り上げに努めたが、結果的には成功は収められなかった。
ただシングルプレイの方に非常に力を入れていたので、マルチプレイが充実していないという点についてはそれ程非難されるべき点ではないとは感じる。あくまでもシングルプレイがメインのゲームと捉えるべき。
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