<GAMEPLAY>

 武器やアイテムの選択I/Fは変化しており、Half-Life同様の6項目のグループ化が行われている。それぞれの種類別に分類されるのでまずはそのグループの数字を押して表示させ(Gadgetsなら6)、その中から該当の品を選択して装備するシステム。問題はHL同様に特定の武器のショートカット設定が出来ない事で、激しい戦闘中に望みの武器を選択するのに困るケースが何度か有った。特に種類の多いGrenade系の5番は選択がやりにくい。Last Usedキーは有るのだが、結構武器の切り替えが激しいのでやはり直接選ばないとならない事も多い。

 一方の基本移動に関しては今回改善されており、CrouchとRunはHold以外にToggleにもアサイン出来る方式になった。ステルスが重要なゲームなのに前作ではToggleでCrouchが出来ない点が面倒だったので、この変更は非常に有り難い。

 もう一つ前作からの大きな改善点としては、カーソルにてそのオブジェクトが操作可能なのかが表示されるようになった点が挙げられる。操作出来る物にカーソルを合わせると”Open”といった表示がちゃんと出るので、それが操作可能なのか不可なのかが分かり易い。Grayoutしていれば”今は”使えないという意味になる。またGadgetに関しては使える場所にて右クリック(Use)でHoldすると自動的に使える物を装備して操作を行い、終了後に自動的に元の武器に戻してくれるというようになった。

 Save/Loadはノーマルな方式だが、前作同様にスロットが制限されているのは難点(同エンジンでは最新のゲームにおいてもこの問題は解決されていない)。何か理由があるのか知らないが、これは空き容量さえあれば無制限にして欲しい所。速度はグラフィックスのレベルとPrecacheの設定によるが、新規にマップをLoadする場合は結構時間が掛かるようになっている。

 情報系のI/Fに関して。コンパスが表示されるので向いている方向やObjectiveの存在する方角は分かり易いが、地図が出る訳では無いので反って混乱する場合もある(直線的に行けるのかどうかは判断出来ない為)。状況表示の各種アイコンは細かくなっており、現在の状況やステータスを親切に教えてくれる。またステータス系表示はショートカットからでもメニューからでも可能だし、手に入れた文書や情報は全て後でここから見返す事が出来るので便利。HUDの表示方式も好みで変更可能である。

 以下はゲームの基本的な構造に付いて、前作との比較を行った物である。

NOLF 1 NOLF 2
長さ  15ミッション 約60レベル 30~40時間程度  15ミッション 約40レベル 20~30時間程度
ロケーション  ほぼミッションごとに場所は目まぐるしく変化し非常に多彩  舞台となるのは7箇所(+UNITY本部)で、同じロケーションにてミッションが続くケースが多い
リプレイ性  終ったミッションはすぐにリプレイ可能。リプレイ時に武器やGadgetを選択可能。また以前のミッションでも、現在アンロックした中からでも選んで使用出来るという方式を採用している。マップの構造もリプレイを考えた特殊な方式を導入している。  ゲームクリア後に選択可能になる方式。武器やGadgetの選択は出来ないし、マップの構造も変化しない。
武  器  多彩で13種類。弾薬タイプを変更出来る物も多い。  必要最小限という感じでやや少ない。弾薬を変更出来る物は同様に有るが、そのバリエーションは少なくなっている。
Gadgets  かなり多彩であり、風変わりな物も多い  若干数は減り実用的な物重視になっている
Movie  全体では非常に長く(1時間以上は有る)、ゲーム中での挿入も多い  大きく減っており、ミッション開始時に流れる以外はそれほど無い。一つ一つも短くなっている印象。

 まとめると今回の2はより普通のFPSに近いゲーム性になったという表現が適当だろう。それと全体的にアダルトな雰囲気になっており、相変わらずのユーモアは漂っているとは言え1よりはシリアスになっている。個人的にはこの2のバランスの方が好みであり、また通常のFPSファンにもこちらの方が受け入れ易いのではないだろうか。
 1はミッション毎のプレイのバラエティさを求める余りに変化が激し過ぎて、アイディアの豊富さはともかくバラバラの話を無理にくっ付けている印象もあった。今回はその点腰が座っている感じでストーリーの展開もじっくりと進み、落ち付いてそれを追って行ける構成となっている。今回も特殊な状況下でプレイヤーにクリアを迫るシチュエーションは存在しているが、前作に比べると大幅に減って普通のFPSという感覚が強まっている。

 ただしファンサイトにおいては1の方が良かったという声の方が相当多いようだ。確かに1の様なゲーム性を期待していた人には、2はちょっと違和感があるかもしれない。私も武器やGadgetの減少や選択が出来ない点はちょっと寂しい気もするのだが、その辺はゲームプレイ自体の充実で補っていると思う。


 ゲームのスタイルはステルスとシューティングのミックス型となっており、今回はRPG風の成長要素も組み込まれている。進行は次々にObjectiveが与えられるのでそれをクリアして行く方式。Primaryは必ずクリアしないとならないが、Secondaryをクリアするかはプレイヤーの自由である(ただしその分経験値は入らない)。その他にもSpy manual等のアイテムを集める事で経験値がアップするようになっている。基本的に進行はリニアであり分岐等は少ない。ただしステルスか戦闘かのアプローチの仕方によってクリアへの道は変化する物が多いし、アイテムの配置はその都度変化する物が多く、或る程度のリプレイ性は持っている。
 ただし構造としてはステルスでも戦闘でもクリアが出来る自由度を持つといったゲーム性では無い。マップによっては両方のアプローチが取れる物も存在するが、戦闘寄りや戦闘オンリーのマップ、或いはステルス寄りやステルス必須のマップが存在している。

 元来経験値でキャラクタをカスタマイズ出来るという点の面白さは2点有って、一つは自分のキャラの能力が段々と上がって行く面白さ、もう一つはキャラクタの能力の違いによってゲームプレイ自体を変化させられるという点である。この内最初の方はこのゲームでも味わえるが、後者の方はさほど活かされていない印象である。作ったキャラクタの特性によって、全く違う観点からリプレイが楽しめるというデザインにはなっていないとも言える。理由は全てのマップが自分のSkillによってどうにでもプレイ出来るのではなく、能力に関わらずステルスか戦闘を強要させられるマップも存在しているからである。
 それ故ゲーム性としても、偏ったキャラクタよりは全般的に有用なキャラクタの方がゲーム全体を通せば無難に進められるという風になっている。どちらかのタイプに偏ったキャラ作成をしてしまうと、逆の能力を要求されるマップにて苦労をする羽目になるので、或る程度どちらかに寄せる程度にした方が良いという事である。その意味からRPG要素は変化を付けてゲームを面白くはしているが、想っていた程には能力を変化させる余地は無いという印象。

 前作の様に次に進むべきルート探しがパズルの様に存在しているというゲーム性ではなくなったが、今回はそれに替わって非常に探索を重要視しており、最初から最後まで必要なアイテム(書類等)を求めて、とにかくそこら中を探し回るといったマップも数多い。Secondaryは無視しても構わないのだが後々成長に響いてくるし、そもそもPrimaryを達成する為にかなり探し回らないとならないケースも多い。主人公Cateがスパイである以上潜入しての探索はゲーム性として当然ではあるのだが、ちょっとこれに関しては好みが分かれそうな気もする。好みと言えばステルス要素を重視したマップも比率的には多いので、単純なシューティングが好きという人には合わないかもしれない。上に書いたようにプレイヤーが臨めばステルスを無視して戦闘だけでも進めて行けるというゲーム性では無いので。


 システムとしては前作同様に難易度の変更がゲーム中に自由に行える仕様。これは単純な機能ではあるが非常に効果的である。キャラクタを順調に成長させながらゲームを進めて行くと後半に行くに従ってゲームが簡単になり過ぎるきらいがあるのだが、そういう風に感じたらマップの途中ででも難易度を上げてしまう事が可能である。上げる事で常に適度な緊張感を持ちながらプレイを続けられるし、上げた事で難しくなったと感じたらすぐにその場で戻す事も出来る。
 それと自分が苦手な方の能力を要求されるマップが難しいと感じたら、難易度をその部分だけ落としてやって楽にする事も出来る訳だ。キャラクタの自由な成長を認めているが一方でどちらかの能力を強要するマップが有るという点を補う為のシステムとも言え、ゲームを最後まで詰まらずに進めるのに効果が大きいと言えよう。
 またマップの切り替え地点では、その少し前から矢印にて「このまま進むと切り替わります」という案内が出るので、拾わずに置いた物があるならばそこで取りに帰る事も可能だし、マップ同士が相互に行き来可能な箇所ではちゃんとその旨の表示になるので、その場合はそのまま進んでも後で戻って来られるというのが判断出来るという親切な設計。

 個人的に今回の大きな変化としては、”NOLFとはこういうテイストのゲーム”といった準備が心の中で出来ていたのが大きい。元々ダーク&シリアスなFPSが好きな私としては、前作でのゲームプレイの面白さはともかくとして、その羽目の外し振りにはかなり違和感を感じたのは事実。しかし今回はそもそもそういうゲームであるという心構えで臨んだので、そのユーモアを非常に楽しむ事が出来た。
 実際の所このゲームのユーモアセンスは素晴らしい物があり、思わず吹き出してしまう個所も幾つか有った位。あまりにも強烈でこちらが引いてしまう様なハチャメチャギャグ連発でも無いし、軽いユーモアというには可笑し過ぎるレベル。センスが良いというか思わずニヤリとさせられる個所が多く、作者のユーモアセンスに脱帽という感じだ。ベースのゲーム部分は一応シリアスな調子なだけに、よりそのユーモアが引き立っているとも言える。基本的には敵の会話を盗み聞きしたり、マップ内に有る書類を読んだりすると出てくるのだが、今回は直接のゲーム部分にも強烈な物が出てくるのでお楽しみに。このユーモア部分は1よりも遥かに出来が良く10点満点を付けたい。



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