<AI>

 このゲームで優れている点と言えば敵のAIになる。従来の多くのゲームで課題とされていた点が大幅に改善されている。もちろん不満な点もあるが総じて良い出来である。開発側ではVirtual HearingVision Algorithmsという点を大きな特徴として述べているが、これは言うなれば人間のプレイヤーと同じ様に見たり聞いたりする行為に数段階のレベルを設けて、「見えにくい」とか「聞きにくい」といった人間らしい反応を取れるという意味である。具体的に今までのゲームでの問題点と比較しながら見ていこう。


◎問題1:Prone(伏せる)と敵が自分を見失う
 これは互いに撃ち合ったりしている時に自分が地面に伏せると、敵が自分を見失ったりその攻撃が急に当らなくなったりするという問題である。おそらくは「伏せて移動すると見付かりにくい」というプログラムをそのまま何時でも適用してしまう為に、戦闘中でも伏せると急に当り難くなったり、一時自分の事を見失ったりすると思われる(こちらが高台等にいて本当に伏せると視界から見えなくなるならば当然そうなるが)。しかし人間同士で戦っている場合を考えると、お互いの居場所が見えている時にその場に伏せたら、単に動かない標的になってしまうので狙い撃ちされるだけのはずだ(もちろん当る面積は減るので、敵の武器が遠距離だと当りにくいとかが分かっていれば別)。

 COではこの辺がしっかりしていて、一度発見されたら伏せても無駄である。例えば普通に走って移動していて監視塔から狙撃された場合、その場に伏せて見えにくくしても(カモを着こんでも)相手には「そこに敵が居る」と分かっている訳で、そのまま撃たれる事になる。走って近くの草むらに逃げ込んでもその辺にいると考えて撃ち込んで来たりもする。

◎問題2:敵の認識能力
 これは1の問題と対になる物で、例えば1の問題をクリアしているゲームでも、逆に異様に敵の認識能力が高くて、こちらからは見えないような距離や場所でも先にこちらが見付かってしまうという件である。更に一度こちらが攻撃を仕掛けると、何故か一瞬でこちらの居場所がバレてしまって即座に反撃されるというのも同様の問題となる。

 COではこれについてもキチンとしたAIを使用している。例えば先の監視塔の例で言うと、立って走って移動するような事をすれば高所からはかなり敵の存在は分かり易い(自分で登って見ればよくわかる)。しかし這ってその圏内に入り込んで狙撃を仕掛けた場合、今度は敵からは自分の居場所が発見され無い。実際にこのゲームではTracer(銃弾の飛んで来る軌跡)が無い訳ではないが非常に見難いので、突然撃たれると何処から撃って来ているのか通常分からないのだが、その人間の自然な反応をそのまま再現している。つまりこのケースで言うと、最初から見付からない様にして攻撃を仕掛ければ敵はまずこちらを発見出来ないし、見付かった後に同じ様に伏せた場合は確実に見付かるという事である。同じ所に伏せて撃っていても、その前の状況で敵の認識状態がちゃんと変化するという意味。
 こちらからの攻撃を発見した場合でも、いきなりこちらの居場所を発見して即座に対応して来るようにはなっていない。こちらが分かり難い様な場所や姿勢から仕掛けたなら、リアルに何処だ?という感じで姿勢を低くして周囲を観察したりするような動作を行ってくる。

◎問題3:死体に気が付かない
 Rogue SpearH&D等でもお馴染み?のこの現象だが、要はパトロールしているルートに死体が有っても気が付かないという問題である。数人がある場所を巡回している時に一人を倒しても、他の敵がその死体の存在に気が付かない事がある(或いは全く気が付かない)のでリアリティに欠ける。これは音や視界でのみ敵がいるのかを判断する様になっているので、遠方から音が聞こえない様にして狙撃した場合は敵が攻撃をしていると判断出来ず、また仲間の死を認識するようなプログラムが組み込まれていないというのが原因。

 COでは巡回ルートの死体を殺してしまうと、ちゃんとそこを通った別の仲間に気が付かれて警戒態勢に入られてしまう。ただし気付く距離については人間らしく無い面もある(見通しの良い場所でも結構死体の近くまで来ないと気が付かない)。



◎問題4:目の前で味方が撃たれた時の反応
 これは上と同じで、プログラム的に敵から攻撃されていると判断する基準が単純なので、遠くから音も無く攻撃されると自分の視界内で倒れた味方に気が付かないという事が起きる。こうなると目の前の仲間が撃たれて倒れたのに平然とそのまま見張りを続けていて、そのまま連続して簡単に倒されるという事が起きてしまう。

 COでは目の前に限らずある程度の距離にいる仲間が撃たれると、その断末魔や倒れる音でちゃんと反応する。しかもある程度離れていれば”ちゃんと”認識しないようになっている。しかも驚く事に、例えば二人が距離を置いてパトローしている場合、前の人間を撃つと見付かるが(後の人間の視界内だから)後の人間を撃つと気付かれない(前の人間からは見えないから)。

◎問題5:状況認識がリセットされてしまう問題
 敵に攻撃を仕掛けてから一時撤退した場合、時間が経つと敵の状況認識がリセットされてしまい元に戻ってしまうという不自然さの事。一度攻撃をして来ているから敵の存在は分かっているはずなのに、ある程度の時間が経過すると何事も無かったかのように同じ場所をパトロールを始めてしまい、他の敵は元の場所へと帰って行く。現実であればパトロールを増強したりとか警戒を解かないはずなのだが。

 COでは一度敵を攻撃したら、その場所においては敵は警戒を解かない。やって来た仲間全員でそこら中を動き回ったりしてこちらを見つけようとして来て、同じ巡回ルートには戻らないようになっている。

◎問題6:仲間への連絡
 敵に攻撃を掛けた場合に、何故か周辺の敵全員に自分の攻撃が知れ渡ってしまうという件。別に音を派手に立てていなくても、どうやって知ったのかわらわらと敵がやって来る。言わば敵が仲間への攻撃を認識出来ないのと逆のケースで、やたらと敵の反応が鋭いというので不自然な場合だ。

 COでは音を立てて気が付かれなければ、たとえ見える範囲に敵の仲間がいても気が付かれるとは限らない。これは距離や視界によって決定されるようにちゃんとなっているようだ。例えばある敵が撃たれて仲間を呼びに行った場合、その仲間が背を向けていたとしたら、その場所まで行って初めてその仲間も警戒態勢に入る。或いはこちらを探している場合は「いたぞ!」という声を出されると近くにいる仲間が寄って来るとかになっている。

◎問題7:暗闇の視界
 多くのゲームでは「見えにくい」という概念が存在せず、見えるか見えないかの両極端の思考しかAIに無かったりする。なので一度見付かったら同じ暗い場所でも、自分は見にくいのに敵には完全に自分が見えているという事が起きてしまう。

 COでは自分のいる場所の明るさと言うのを計算して見え易さ(見付かり易さ)をちゃんと計算している。よって突然暗がりに隠れたりとかで敵に一瞬自分を見失わせる事も可能だ。或いは電灯等を破壊して暗闇を自分から作り隠れる事も出来る。ただこれについてはやや大袈裟な感もあり、画面から見える以上に効果的であることが多い。これは見付かるか?という様な時でも、敵は見逃す事が多くなっている。


<ENEMY>

 人間の敵は基本的には4種類しかいない(服装は変わってはいるものの)。Autogunを使うSoldierとArmorを着込んでいてややタフなのがSAS、後はSniperと拳銃しか持たないOfficer(Policeman)である。全員それほどタフでは無いが、集団で来られると結構大変である。彼らの行動形態は通常はグループとして巡回警備をしており、攻撃を受けるとやはり集団で攻めて来たりする。
 集団行動をどの程度利用して来るのかわからないが一応固まって移動するようだし、行動もパターン化されていないので同じデータをLoadしてやり直してもその行動ルート等は必ずしも同じにはならない為、こちらも臨機応変に対応する必要があるので面白い。例えば隣にいた仲間が狙撃された場合に、辺りを見回してそのまま反撃態勢に入るケースもあるし、近くの隠れられる場所に逃げ込む事もある。或いは建物内に逃げ込んで仲間に知らせに行くとか。

 AIとしての振る舞いは自然な感じで、こちらが遠距離から狙撃すると「相手はどこから撃って来ている?」、「誰も見えないぞ」などと叫びながら辺りを警備し出す。その際にはそれほど長時間は一つの場所に留まらずに、動き回りながら時々足を止めて辺りを見回してはまた移動という感じで、狙撃されている以上は不利になる様な伏せの姿勢を取ることは稀である。逆に自分が相手に対して高い所にいる場合は効果的な伏せの姿勢を取って来る事が多くなり、この辺はうまく出来ているという印象。
 直接戦闘に関してはこちらに向かいながら撃って来ることもあるし、安定性を保つ為に止まってはニーダウンしてから攻撃というのも使ってくる。普段の戦闘では伏せてくる様な事は当然しないが、辺りに草が多ければ伏せて身を隠すという戦法をちゃんと使ってくるのには感心する。感心といえばハシゴや箱の昇り降りも出来るので、別の階に移動したりとか箱の上に乗ってダクトの中を通って追って来たりもするにも驚かされる。一番良く使うのは走って来て目の前を通り過ぎたりする行動で、ちょっと意図的にハッキリしないのだが、後を取ろうという事なのか狙いを付けづらくするつもりなのか、こちらへ向かってきてそのまま前を通り過ぎてから止まって構えて撃って来て、しばらく撃ち合うと再び横切って走り再び止まって振り向いて攻撃というパターン。確かに走っている相手に銃の照準を動かしながら狙うというのは近距離とはいえ難しくそれなりに効果があるのだが、それが狙いでそういう動きをするのか不明。立ち止まったままで撃って来るよりはマシだが、やや変な印象を受ける動作でもある。

 変と言う訳では無いがこのゲームでは音声に対する反応は鋭く無いようで、自分に取っては大きな音に聞こえるマシンガン系の音でも、或る程度遠くの敵には気が付かれない。ただし聞こえる範囲内と設定されている圏内での反応は早いという印象。

 武器はグレネードやロケット、レーザーを使ってくる訳では無いので一人一人ならばそれほど破壊力は無いのだが、他に特別な敵としてInfantrymanという存在がおり、彼らは移動をせずにロケット砲を構えて侵入者を狙っている。砲台は通常分かりにくい場所に隠れて設置されている為に見逃すと直撃されて即死とかになりかねない。またトーチカの中から狙って来たりもするので、これもまた厄介なケースとなる。ただし耐久力は非常に低いので一発で倒せる。


 ゲーム中一番の強敵はやはり戦車であり、この砲弾はほぼ瞬間的に着弾するので前に出て戦うというのは実質不可能。とにかく当らない様に願いながら逃げて、視界から消える場所に逃げ込むしか無い。なおNormalだと一発で即死する。後は戦わずに逃げるか、砲身が回る時間を利用して前に出てうまく攻撃するかになる。他には監視用のロボットがいるがこれはM8にしか出て来ないようだ。戦車ほどタフで無いものの、固定式マシンガンの速射を食らうと反撃出来ずに死亡の可能性が高い。

 エイリアンは小型の物と大型の物がおり、小型の物は近付くと卵から孵るのでその前に卵を破壊すれば問題は無い。ただ問題点の項でも書いたが、現状は全ての卵が孵る前に破壊するというのは不可能に近い為に或る程度は相手にしないとならないのだが、こいつは小さい上に跳ねて近付いてくるので相当倒しにくい。基本的にはAIに任せるか無視出来るならば無視してしまった方が良い。後は自分の真下まで来させた所で撃つか(当然危険を伴う)、箱の上に乗って狙うか、火薬缶を利用して同時に吹き飛ばすかになる。またこれを倒す為に弾丸を撃ちまくると周囲の敵にも気が付かれてしまうという問題もある。
 大型の方は近付かなければやり過ごす事も出来るが、ダメなケースならば出来るだけ遠方から一気に倒す必要がある。遠距離からでもスピードのある毒液を吐いて来るので、これに当ってしまうと大きなダメージを受けるからだ。解毒剤があれば回復は可能なのだが、無い場合やArmorがBarrierだと相当なダメージになるので気を付けたい。ただし大型の物でもヒットポイントは低いので倒すのは容易である。



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