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問  題  点
 ストーリーに関して少々変った問題を抱えている。単に「悪を倒せ」というだけの話で実質ストーリーが無いようなFPSとは異なり、このゲームではそれなりに考えられたストーリーは構築されている。しかし何故なのかは不明だが、背景に関する説明がほとんど行なわれていない。幾つかの謎がちゃんと解説されずに終わってしまうゲームは多いが、このゲームの様に前提となる世界設定の説明すら無いというゲームは珍しい。開始前にどういう世界設定なのかを解説するようなムービーは無いし、マニュアルの方にもそういった説明は無い。ストーリー上非常に重要と思われる点があっさりと片付けられていて、後になって「そういえばそのような話がムービーでちょっと出てたな」程度の事項が重要な意味を持っていたりする。
 そしてストーリーの片付け方も強引。実はラスト近くになってMasonに関するどんでん返し的な事実が明らかにされるのだが、その事に関する解説が唐突過ぎて違和感有り。話の筋自体は通っているのだが、「何の複線も張っていない状態でいきなりそんな事実を言われても.....」的な進行となっている。それを含めてラスト近くの突然のストーリーの変化には無理が有り過ぎ。ゲームのラストもあまりに内容が飛躍していて最初は意味が分からなかった。英語が理解出来ない人にとって、字幕の無いゲームでもムービーを見ていれば何となくストーリーの想像は付くという物も多いが、このゲームに関してはおそらくラスト近くは何が起きているのか意味不明になる可能性が高い。

 登場人物の設定も薄っぺらで上手く出来ていない。ヒロイン的な役割を想像していたKarinaは何を考えているのか良く分からない分裂症的な行動をする人物だし、Mason自身の行動や思考も共感出来るものではない。その他の重要人物となるStocktonも魅力的な人物とは言い難い。そしてNPCとのコンタクトを含めてストーリーを重視すると言っていた割には、それ以外に重要となるような人物は登場して来ないとなっている。
 ついでに事前にアナウンスされていたストーリーとは内容がかなり変更されており、その前の設定だと思い込んでいた自分の様な立場の人間だと混乱が生じる恐れも持っている。(ちなみにその以前のストーリーでは、Karinaの持つウイルスの拡散を恐れた政府が地球ごと大量の核爆弾の投下によって根絶やしにするという決定を下し、そのタイムリミットまでにMasonとKarinaが一緒に戦いながら脱出の道を探すという物だった)。


 個別の弾が一切落ちておらず、弾の補給は敵の武器からかAmmo Packを拾う事で行なう。しかしこのAmmo Packは足りない武器の弾を一定数分補給するという物なので、例えばそれがSniper Rifleの様な強力な武器であっても弾が容易に手に入ってしまうというおかしな事が起きてしまう。単体で弾を配置するゲームならば「Sniper Rifleは強力なのでそう簡単には弾が入手出来ないようにしよう」というようにバランスを取れるが、Ammo Packで一律に供給するとなると「使ってもまたAmmo Packを取れば補給出来る」となって使用に歯止めが掛からなくなる。そして実際にAmmo Pack自体は結構置かれているのでゲームのバランスを崩す要素となっている(自分で自主的に使用制限でもしないとならない)。この辺はもうちょっと上手いやり方が無かったのか疑問に感じる点である。

 拾う弾薬の扱いがリロードをしないと取れないという仕様にされている。例えばBulldogは現在のマガジン内に40発と、それ以外に160発の弾を所持可能である。もしここでマガジン内の弾を20発撃っていた場合、一度リロードして予備の弾を内部に装填して整理しない限りは追加の弾を拾う事が出来ない。つまり「最大で200発の弾を持てるのだから敵の落とした銃から20発を拾って残弾表示が180発になり、その後リロードすれば40と160発に整理される」のではなく、予備弾数が160である限りはそれ以上の弾を拾えないというシステム。その為に常に最大限の弾を回収して備えようと考える場合、武器を持ち替えてはリロードして整理してから拾わないとならなくなる。
 幸いな事にあまり残弾数を気にするようなゲームではないので面倒と思うならば逐一リロードをしなくても良いのだが、Healing Tool・Sniper Rifle・RLの弾のように携帯数が少ない物に関してはリロードしないとならない事も多い。Medikitは最大で8個まで携帯出来るが装填出来るのは4個までなので、仮に内部に1個残っていて予備に4個という状態だと合計では5個しか持っていない事になるが、この状態だと「既に持っている」という表示で追加分を拾えない。拾いたければHealing Toolに持ち替えてリロードしてやり、内部に4個と予備に1個の状態に整理してから行なわないとならないという事。またはAmmo Packを取る場合にも、うっかりリロードをし忘れて取ってしまうとその武器の弾は追加されないというケースも生じる。

 物理エンジンで破壊されたオブジェクトの破片に当って死んだり、降りられると考えて落ちたら死んだりと突然死が発生する。セーブが自由に出来ないだけにちょっと問題。

 バグとしてはドアを開閉する際に、反対側に敵のAIが居ると開かなくなる事がある。これは自分が他の場所に一度動いてから再度来てみるとか、隙間が有るならGLで狙って吹き飛ばせないかを試すしかない。



GRAPHICS
 Unreal Engine 2.0(UT2004)をベースにして改造を加えている。Bump(Normal) Mappingや各種Shaderを使用したエフェクト類の追加、それとパフォーマンス面でも大きな改善が図られているそうだ。実際に重さは感じさせないゲームだが、Xboxとの互換性を考慮したのかその分マップはあまり広くない物が多い。

 マップから受ける印象はUT2004のそれに近く、相当複雑な形状のオブジェクトが豊富に使われていたりとクオリティは高い。この辺は中堅所の会社の低予算FPSとは明らかな違いを感じさせるレベルに仕上がっている。マップのデザインはともかくとして雰囲気は上々である。

 特殊エフェクト系では爆発による大気の歪み、水面のエフェクト、画面全体に残像が生じたりボヤケる効果等、なかなか綺麗な物が多い。武器のエフェクトとしてはPlasma Gunの効果が目に付く。テクスチャはそれ程高画質では無いがPC版は専用の物を使用しており、また一部にNormal Mappingを使用しているのでそういった箇所は綺麗に映っている。

 キャラクタモデルの仕様はUT2004系統とは別物となっており、より柔軟なアニメーションに対応しているそうだが、それ程凄さを感じさせる物ではなかった。また人間だけでそのスキンにも種類が少ないのは難点。

 Bloodでは死体からの流血効果も含み、Gore系描画は無い。

 ワイド画面用の解像度も一部用意。オプション設定はそこそこいじれるようになっているがアンチエイリアスの設定は無し。

SOUND
 EAX Advanced HDに対応。単なる3Dサウンドの選択も可能。4SP構成において3Dサウンドの定位感は良好。

 サウンドは全般的に音質がクリアであり、武器のサウンドも良質。BGMはテクノ調を含めて結構用意されてはいるがあまり印象に残る様な物は無かった。

 ドライバはUnreal Engineという事で、Native OpenALの使用ドライバをSystemフォルダ内の物かWindowsが使用している物かを選択可能。音のバランスがおかしいとかなら切り替えてテストしてみる。

 字幕表示機能は無し。ストーリーを把握し難いだけにこれは問題有り。

MULTIPLAYER
 最大で32人までの参加が可能。ゲームのモードはDM, TDM, CTFという定番の他にFrontline Asssault, Siegeというモードが追加されている。FLAはコントロールポイントを確保しながら敵陣へと侵攻して行く物で、Siegeの方はルールがよく分からない(マルチプレイに関してマニュアルに何の説明も掲載されていない)。XboxではSplit Screenでの2人CoopをサポートしているがPCでは不可。

 クラス制を採用しており、所持可能な2つの武器によって幾つかに分けられている。WECによる武器の改造はマルチプレイでも採用されており、倒した敵から奪った物で武器のアップグレードが可能。最初に何個持った状態でスタートするかはサーバー設定。Vehicleもモードによっては導入されている。

 Practice Modeにより全てのゲームタイプでbotをサポートしているが、その出来については遊べるというレベルに到っていない。指示も与えられないのでマップを憶えるのに使える程度。

 現在(2007/08)ではもうプレイしている人はほとんどいないので、マルチプレイ目当てではこれから購入しても意味が無い。

 "M.A.P.(Make And Play) Editor"が収録されており、簡単な画面操作でマップを製作して配布する事が可能。

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