<ADDON>

 ここではQuakeの追加シナリオ集等について簡単に解説する。無料のユーザー製作レベルも相当多く、解説関連はQuake Map HotelTeam Shamblerが充実している。


◎SCOURGE OF ARMAGON   公式サイト

 公式ミッションパックVol.1。製作はSiN、Heavy Metal F.A.K.K.2Ritual Entertainment。ストーリーはオリジナル終了後の続編であり、特に深い設定は無い。全体的は出来は非常に良く評価も高かった作品である。Ritualの名前を有名にして、その後のSiNへの期待を高めた物と言えるだろう。

 マップ数としては3エピソードで全16個。ただしエピソードは連続しており開始をどこからにするかは選ぶ事が出来ない形式。Quakeに比べると暗さは減少して、特に最初の基地のエピソードはかなりオリジナルマップとは異なったイメージで新鮮だった。基本的な部分に変化は無いものの、ミッションパックオリジナルのグラフィックス要素も結構採り入れられている。それとレベルのデザインは面白い物が多く、大半のユーザーレベルの物とは一線を画している感があり、パズル性も高めてあって出来は優秀である。あとマルチプレイ専用に収録された宇宙空間でのマップ(HIPDM1: Edge of Oblivion)は非常に有名な物で評価も高い。現在入手困難ではあるが探す価値はある逸品である。

 新武器はProximity Mine Launcher(張り付くGrenade弾), Laser Cannon,Mjolinor(地面を叩いて衝撃波を発する)の3つ。Proximityは非常に使い方が面白い武器。Laserは強力過ぎてバランス的にはちょっとアレな印象である。アイテムではHorn of Conjuningがユニーク。これはランダムなモンスターを召還して味方に付ける事が出来る物。

 新モンスターはサソリ状の生物でNailを放ってくるCentroidと、群れで攻撃して来てこちらの武器を盗んでしまうGremlinsの2種類。数は少ないが両方ともよく出来ている。




◎DISSOLUTION OF ETERNITY

 公式ミッションパックVol.2。製作はRogue EntertainmentAlice製作)。ストーリーは上のArmagon終了後の続編。一番有名なのはラスボスがドラゴンという点だろう(パッケージもそう)。Vol.1ほどでは無いが出来は悪くない。この頃はまだマルチプレイがゲーム界全体的には浸透していなかったので、シングルプレイへの比重も大きく造りにもかなり力が入っていたという印象である。Q2の頃にはマルチプレイの比重が大きくなっており、ミッションパックもマルチ用の新マップや新要素の方が重要視されるという様になってしまっていた感がある。

 エピソードは2つでマップ数は16個。1とは異なり開始時にエピソードは選択が可能である。片方はエジプトを舞台にしたエピソードではあるものの、全体の雰囲気はオリジナルに近い。レベルのデザインに関しては意識的にオリジナルとは違った物をという意図が感じられ、ユニークなデザインや仕掛けも多くなっている。それが上手く行っているマップもあれば空回りしているマップもあり、ちょっと出来にはバラ付きが感じられるのは残念な所。続きのミッションパックという事で当然難易度は上がっているのだが、それにしてもバランス的に難し過ぎると感じた記憶がある。マルチプレイに関してはCTF関連のゲームモードを数種類新たに組み込んだりしている。

 新武器は複数の弾が飛ばせるマルチRocket&Grenade、それとLavaの弾を撃ち出すNailgun、弾が球状になったPlasma Gun。オリジナリティには欠ける感があり、またグラフィックス的にもオリジナル武器の色違いというデザインで寂しい感じ。ここはこの作品の弱い所になる。アイテムにはAnti Grav BeltとPower Shieldが追加されている。

 新モンスターは8種類いるが完全にオリジナルなのは半分で残りはマイナーチェンジされた物。刀だけが動く透明の敵はユニークだが、その他はそれほどの目新しさが感じられないのは残念。




◎SHRAK

 最初に出たTotal Conversionで製作はQuantum Access。SF調のストーリーを採用しており、全体的な雰囲気も大きく変化している。全体で12マップと長さ的にはちょっと短め。その分マルチプレイ関連はそこそこ専用のマップやモードが用意されている。グラフィックス関連ではテクスチャ等はほとんどが差し替えられており、そのクオリティは高い方である。サウンドもほとんどオリジナルの物を使っている。

 当然武器は入れ替えられており新武器は全9種類。ベースはSFでQuakeとは大きく異なっているが、それほどインパクトのある物が無いのは弱い所。9種のモンスターも個人的にはあまり気に入った物が無く、この部分で評価が落ちる感じとなってしまう。

 OpenGLで動かすにはV2.0以上が必要。公式サイトではこのコンバージョンで動く追加レベルのDownloadも可能となっている。




◎MALICE

 Shrakと同じくQuantum AccessからのTotal Conversion。Quakeのシングルプレイ用TCの最高傑作とされているゲームである。ShrakはまだQuakeというゲームの形を残していたが、このMaliceはほとんど別物であり、Quakeエンジンで作成した別のゲームと言った方が適当だろう。設定は23世紀の未来で主人公は金で動く仕事屋であり、ストーリーもしっかりした物が用意されている。グラフィックスのクオリティも非常に高く、ほぼ全面的にテクスチャ系が入れ替えられている。ムービーシーンまで採り入れられておりオリジナリティの面でも相当なレベル。ゲーム全体から受けるイメージとしてはSiNに近い物がある。
 ゲームは全体的に撃ちまくりといった感じの味付けで、また移動速度が非常に速くてスピーディーな展開のゲームである。それと一人称視点だけでなく4段階に視点を切り替える事が可能。ただし後方視点は戦闘時には不向き(移動速度が速過ぎて)。

 武器は全部入れ替えられているが爽快感の高い物が多く、このTCのハイライトの一つと言える。UziやMinigunは連射力も高く使っていて気持ちが良いし、Shotgunのデザインも秀逸。その代わりにReloadキーが用意されており、これを使わないとQuakeと違って弾切れを起こす。アイテムではToyzと呼ばれる特殊ツールが5種類用意されていて、小型潜水艦やHoverboard、パラシュートに監視用の小型カメラ等が存在している。こういったアイテムを使う事により通常ではアクセス出来ない所へ行く事が出来るので、その分マップのルート探しはパズル性が高く難しくなっている。

 モンスターも13種ほど存在するがデザインは良い物が多く、この面でもクオリティはトップクラスである。AIについては特に変化は無い。

 GLにも対応しているのだが、使用する時はid1フォルダに存在するオリジナルのglquakeフォルダを移動しておかないと、グラフィックス系のデータが新しい物に入れ替わらずに変な表示になってしまうので注意。それと或るマップでパラシュートが無くてクリアが出来なくなるというバグが存在しており、それには入れ替え用のマップが出ている。 公式サイト

 その他の市販されたTCとしては X-Men: The Ravages of Apocalypse(現在無料配布)が有名で、これは評価も高いが未プレイ。



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