<GAMEPLAY>
ゲーム全体は大きく9個の[Unit]に分割されており、それぞれのUnit中に3から7個程度のマップが含まれている。そしてUnit間の行き来は不可能だが、マップ間の移動は自由である(と言うかする必要がある)。Q1においては従来の自由にプレイするエピソードを選べるという方式が採られていたが、このゲームでは普通に最初からゲームが進行して行くという現在の一般的なスタイルの進行方法に変っている。全体としては40程度のマップから構成されているものの、それぞれ規模的にはそれ程大きくはない。グラフィックスはそれぞれのUnitのテーマ毎に構成されており(倉庫・牢屋・工場・宮殿・炭坑等)、区別はし易くなっている。なお特別な入り口を見付けないとアクセス出来ないシークレット・レベルは今回も健在。
マップ自体のデザインはシンプルであり、複雑で捻られた謎解きはほとんどない(煩雑なのは有るが)。常に次にするべき事については指令が与えられるので、取りあえず進んでいけば道は自然に開けるというパターンが多い。1に比べて広い物が増えているが、行動その物はリニアであって自由度はそれほど感じられない。単純に赤や青の鍵を集めて来るというパターンだったのが、もっと具体的なアイテムの回収やメカニズムのアンロックという行為に変っただけで「お使いタイプ」なのに変りは無く、その手順が複数のマップを行ったり来たりしないとならないという様に複雑化されているだけである。
基本的に謎解きの比重は低く戦闘重視の構成なので、あれこれ謎解きするのは面倒で単純に戦いたいという方には向いているゲームだ。とにかく行ける所、行けそうな所へは全て行って(やって)みるという姿勢で臨めば、それほどつっかえる所は無いはずである(その代わり移動距離はあっちへこっちへとかなりのものになるが)。ただし相当マップ間を複雑に移動したりする個所もあるので、ドアがロックされているとかで進めない所は必ず憶えておくようにしよう(新たに手に入ったアイテムや、ゲーム上のイベントが発生した際に、どこが通れる様になったのかを確認する時に役立つ)。シークレットの発見が非常に難しいのは1と変わっていない。
難易度について書かせてもらうと、段々と難しくなって行くという感じではなく、初めからそこそこ難しい代わりに難易度カーブは緩やかというゲームである。というのは進むにしたがってモンスターの強度を上回るような強力な武器が登場するため、結構ガンガンと敵を倒せるようになるからだ。特にMediumまでは弾薬と武器が豊富な為に相当撃ちまくれる。もちろん敵も同様の武器を所持しており、油断すると死に易いのも確かではあるのだが。
戦闘システムはシングルプレイを重視して設定されており、かなり初代とは感触が変化した。リアルさ重視という意味から作られたそのシステムでの主な変化は以下の通り。
1.武器により撃った後の反動が来て照準がずれたり、次弾を撃つまでに間が空く時間が長くなった
2.武器をチェンジする時にモーションが入るようになった(間が空くということ)
3.当り判定が厳しくなった
4.CROUCH(しゃがみ)動作を加え、これにより弾を避けられるようになった
今見ると別にこれは”リアル系”と呼ぶような大きな変化には見えないが、当時の感覚としてはアクション性を犠牲にしてリアルになったという受け止め方が主流だった。当時は速度が遅くなって移動感覚も重くなった印象で勝手が違ったが、今やる分には特に違和感は無いと思われる。武器系はマシンガンの連射時に上方への射撃のブレが激しくてちょっと慣れるまでは難しい。Mouselookによる高度差のある敵への攻撃の概念も本格的に採り入れられて、現在のFPSとほぼ同じ感覚となり操作に違和感は無いだろう。
HUDについては視界が広がったのは良いのだが、ややステータスが見にくい感じでこれはマイナス点か。 機能として現状のKill数やSecretの数等を随時見れる機能が付いたのは便利。一方武器については相変わらずデフォルトのキー配置しかメニューでは選べないので不便。同じく問題としてはアイテム系の選択が可能になったのだがその分のショートカットキーがメニューからは設定出来ないので、デフォルトの物を使うか、それが嫌ならばConfigを開いてマニュアルで編集してやらないとならない。
個人的には少なくともシングルプレイにおいてはプレイ感覚の変更は上手く行っていたと思う。世界観とはマッチしていたしそれほどのストレスも感じなかった。使用武器はデフォルトのBlasterから、Shotgun,
Super Shotgun, Machine Gun, Chain Gun,Grenade
Launcher,Rocket Launcher等1からの物も多くなっている。全体的に敵は1と比較してタフになっているが、その分武器には非常に強力な物が増えており、Chain GunやHyper Blaser、そして特にRail Gunが凄い。最強兵器としてBFGも用意されている。またMediumまでは弾薬が豊富な為にほとんど弾薬切れの心配をする必要が無く(1、2種類が切れても他ので十分過ぎるほど戦える)、よって派手に撃ちまくれるので爽快感は高い。最初の数Unitは武器が少ないので地味だが、全体の2/3は武器・弾薬共に豊富と考えておいて良いだろう。
アイテムについて1からの一番の変更は、持ち歩く事が可能になった点である。前作では取ったらその時点から効果が発動するというシステムだったが、2では使いたい時に使えるようになった。したがって無敵アイテムやQuad Damage(武器の威力が4倍になる)の使い所を自分で選択出来る(基本的に同種を2個まで携帯可能)。これにより後半に向けて貯め込んでおくというのも可能になり、戦術的にも面白さが増したといえる。ただし有り難味があるのはHardレベルの場合で、それ以下の場合は余ってしまうようなバランスだ。特にQuad
Damageは結構手に入り易いのでガンガン使っても大丈夫である。
回復系アイテムについては種類が5種類あり、MAX(100)以上に一時的に上げてくれる物や、永久にMAX値を引き上げる特殊な物まで存在する。それとアクアラングや対毒液スーツは使う前にセーブをしておかないと問題あり。このゲームでは水中に潜る事で別の場所に出られたりする箇所が結構有るが、相当に入り組んでいる上に無駄足になる事も多いのでアイテムを無駄にしない為にはそれが必要になってくる。
モンスターのデザインは一新されて、動きも良くなったし造型もかなり進歩している。種類はそれほど無いが(バリエーションは多い)これについては合格点を与えられる。当然世界観からして機械系で重量感のある敵が多く、1での中世的な敵やゾンビ系がいなくなってしまったのは残念。モンスターのAIは普通というかありきたりというか、基本的に昔ながらの「敵」という感じである。ただ発売前に結構力を入れているという噂を聞いていたので、実際にやった時は落胆が大きく私の中では減点評価。
ここで武器とエイリアンと戦闘の絡みについてちょっと。まずしゃがみ動作が加わって弾をかわす事が出来るようになったが、エイリアンの中にはこのしゃがみ動作が認識出来ない奴がいるので、しゃがんでいる間はしばらく弾を当てられないで済む。逆に敵にもしゃがみ動作をしてくる奴がいるのだが、しゃがんだ状態から起き上がるまでに時間がかかる上に、しゃがんだ時は攻撃はしないしその場から動かないので、いったんしゃがんだら集中放火を浴びせるという作戦が取れる、と言った具合でかなり間抜けである。この辺は新機能の適用が上手く行っていないとは言える。
両方プレイされた方は分かると思うのだが、ゲーム全体の雰囲気は1とこのQ2では大きく異なっている。2では未来世界での異性人との戦争というSF的なバックグラウンドを持ち込んで全体のイメージ統一を図っており、それは統一感という面では上手く行っているのだが、1よりも優れているのかというとこれは別問題になる。私としてはこれはこれで一つのゲームとして良いのではないかと感じてはいたが、当時はこのSF的なイメージへの変更に対して否定的な意見も結構出ていた。確かに1の持っていた混沌としたダークな世界観から比べると、Q2の世界は無機質過ぎてインパクトが弱いという気は今でもする。
それとゲームの位置付けが1の頃とは大きく変化した点も重要だろう。このQ2は3DFPSのネットワークゲームにおけるキングの座を確保したのは確かだが、その分Q1の頃に比べるとシングルプレイの方の比重や注目度は大きく低下している。「Q2=ネットワークゲーム」という風になり、シングルプレイ面での評価というのはそれほど重要視されなくなってしまったのである(それは後にQ3が対戦専用にという仕様を生む事になるのだが)。
純粋にシングルの評価をしてみると可も無く不可も無くというレベルであり、マップの面白さで魅せるような秀逸な場面は大して存在しない。最大の欠点は全体的に変化に乏しい点である。Unit単位でデザインを変えてはいるが、やる事に大きな変化がなくて起伏が無い印象。普通に進んで行って出てくる敵を倒せばそのまま進めるといった感じで淡々としたゲーム性となる。マップ間を移動する事で広がりを持たせるという試みは、あまり成功していないと言っていいだろう。実際問題としてマップ間を移動出来ると言っても、今で言うならば本来一つの広いマップを区切っているという感もあって、むしろ移動が面倒といった印象すらある。ただこの辺はマップに広がりが出来て格段に面白くなったというレビューも多かったし、個人差は有ると思う。
実際の所、当時はとにかく「グラフィックスが凄い!」と言う点が一番のポイントであり、デザイン面はあまり記憶に残らなかったというのが正直な感想である。初回プレイ時は次々に凄いグラフィックスが示されるので先に進めたいという気持ちから来る面白味というのも存在していたが、時代と共にグラフィックスが色褪せて来るに連れてデザインの単調さが目立って来てしまったという感じである。昔のゲームではグラフィックスは古くなったが今やってもゲーム性だけでも面白いという物も有るが、このQ2はグラフィックスに掛かっていた比重が非常に大きかった分だけ、今見ると当時ゲーム性で楽しめた他の物に比べて魅力の落ち込み度合いが激しいという感は否めない。つまり評価点数が80点のゲームでその内の30点はグラフィックスの凄さによる物と、70点のゲームでその内の10点はグラフィックスという物だと、当時の評価では前者の方が上となるが、年月が経過してグラフィックスによるポイントが落ち込んでしまうと、その点数は50点対60点となりグラフィックスに頼っていた物ほど劣化が激しくなってしまう。
総合的には戦闘の爽快感や敵の種類については合格点だが、マップのデザイン系には問題有りという所か。当時としては抜群のグラフィックスでそれを補ってはいたが、今プレイするとグラフィックスが古い分逆に単調な進行にマイナスイメージが強い。個人的にはインパクトとしてはQ1には遠く及ばずといった感想。
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