<GAMEPLAY>
構造はミッション形式で全7個から成っている。それぞれが更に幾つかのマップから構成されており、その数は全部で25個程度。ロケーションも色々と変化に富んでおり、プレイ前はタイトルのWolfenstein城を中心にして話が進んで行くのだと思っていたのだが、ゲーム中にタイトルの城が出てくるのはホンの一部分だけである。ストーリー進行に伴ってミッション毎にドイツ軍の各種基地や研究施設へと潜入するという内容。アウトドアとインドアはほぼ均等というところか。
ゲーム全体のプレイ時間は15時間前後。シークレット等は無視、枝道も無視という突進型の人だと12時間程度という人も多い。確かにもうちょっと長くても良かったという感じはあり、プレイ時間に関してはやや不満が残った。なおこの短さについては当時あまりにもその件に関する不満が多いというのに対応して、id側からは「クリア時(セーブデータ)に表示されるプレイ時間はLoadのし直し等を含めていないので、実際のプレイ時間は表示よりも長い」という反論コメントが出ている。
一つ一つのマップはかなり広い物が多く、また来た道を元へ戻ったりという構造もよく見られる。その反面通ると後で扉が閉じて戻れ無くなるという場所も多くあって、アイテムやヘルスを敢えて取らずに回収の為に残しておくという作戦が使えなかったりもする。それほど奇抜な構造をしたマップは無くて、現実的な建物の構造をそのままデザインに取り入れているといった感じが強い。特徴としてはメイン以外の別ルートを設けているケースが多く、裏のルートを通る事で敵の背後に出たりとかが可能になっている。
マップのデザインに関してはリアル路線という事でそれほど変わった事をしていないので、残念ながらあまり面白いデザインという印象は無い。敵を倒しながら淡々と進んで行く感じで、この辺はもっと地下墓地のような現実離れした物を多く取り入れた方が良かったのではないか。ナチスの秘密研究というテーマなので、ホラー的な怪しげな要素をマップにより強調して使っても面白かったと思う。
武器やダメージのステータスはミッション単位での切り替えになっており、新しいミッションに入る場合は武器や弾数はその都度予め設定された値にリセットされる(最後の6,7は連続している)。よってあまりに弾を節約しても意味が無いというシステム。各マップの終了時には成績表が出て「ここを出ると終わり」という事を知らせてくれる設計で、取り残して置いたヘルスや弾薬を回収するならば戻る事も出来る。
なお昔ながらのシークレットとTreasure(お宝)も成績表に記載される。シークレットとはもちろん隠された場所の事で、貴重なアイテムや弾薬が有る場合もあるし宝が有る時もある。宝は金塊や装飾品等でゲームの進行そのものには何の関係も無い。これらの総数と現時点で幾つ見つけているかが表示されるので、もっと探索したければ戻って探すという事も可能。昔は一度クリア後に全シークレット制覇を目指してリプレイという遊び方もポピュラーだったが、今のゲーマーに受けるのかは少々疑問である。
操作性は一般的なFPSのスタイルだがLeanを取り入れており、壁から気付かれずに先を覗き見る事が可能。ただしこの状態では武器は撃てないようになっており、あくまでも戦略的に先を探ったりして優位に立つという位置付けとされている。他には扉を開けたりするのに懐かしいKickというオプションも用意されており、これを使うと素早く扉を開く事が出来る。ただし敵に音で気が付かれる可能性は高くなるデメリット有り。
また特徴的な動作としてマルチプレイでも導入されていたSprintが可能になっており、このキーを押しながらだと通常よりも駆け足で高速に移動する事が可能になる。マルチではすぐに尽きてしまうスタミナバーの持続時間がかなり長く設定されており、戦闘時はもちろんの事取り残した物を取りに戻るのに同じマップ内移動時にも非常に便利だ。戦闘時にもいろいろと工夫次第で自分を有利に導く事が出来るので、戦闘に幅を持たせる面白い機能となっている。
ゲームの基本スタイルは潜入によるステルス行動。Quake系のストレートなシューティングを想像していただけにこれはちょっと意外だった。この辺は戦闘の項で詳しく解説するが、「主人公が強いので正面から撃ち合っても大丈夫」というゲームバランスでは無い(Normalでは)。常に走って移動して、敵と遭遇したらとにかく戦闘して片付けて行くというプレイスタイルのゲームでは無いという事だ。
敵の武器はほとんどの場合は銃なので弾道を見てかわせるという類では無いし、対応が遅れると一回の戦闘でも相応のダメージを受けるバランス設定である。その割にはそれほどはヘルスは無いし、特にArmor系はかなり希少。敵が弱い一般兵士で数が少なければ良いのだが、結構集団で出て来たりとかまた強い敵も多いので、ただ単純に撃ち合っても辛いというバランスに設定されている。またこちらからは分かり難い場所に潜んで侵入者を狙っていたりもするので、迂闊に走って移動したりすると不意打ちを食らって、反撃する前に多くのダメージを受ける事にもなりかねない。
いずれにしろHPがギリギリになってしまうと次の回復場所までそれで持たせるというのが困難という個所も数多く(純粋なアクション物の様にHP一桁で敵の弾を見て全てかわしながら乗り切るという訳には行かないので)、またFPSでマップが切り替わった後にお約束として置かれている事の多いヘルスやアーマーは無い場合も多いので、面倒でも取り残しが有ったならマップ切り替え前に取りに戻るべき程度のシビアさ。
よって通常は未知の広いエリアに侵入する場合はまず双眼鏡やライフルで安全確認。曲がり角を曲がる場合は手前で速度を落して音を立てずに近付きLeanで先の様子を探ってから曲がる、と言った感じのプレイになる。こういうのが面倒という人はセーブしてから突っ込んで、撃たれて死にながら敵の場所を覚えてロードしてやり直すというスタイルでも良いだろう。
パズルについてはほぼ存在しないという感じで、ルートも含めて先に進むのには詰まる部分は無さそう。シークレットは難しい物も多いが、後は普通に行かれる場所に進んでやれば解決出来るというものがほとんどだ。ボス系敵キャラについても何かをしないとダメージを与えられないとかのパズル性は無く、ラスボスを含めて純粋にダメージを与えれば倒せるというストレートさになっている(ただし作戦面で頭を使うというのはあるが)。
その代わりに数個所ある時間制限のある部分は比較的難しい。クリアしさえすればOKという設定では無くて、自分のHPの減りも最小限にしないとならないからだ。クリアしてもHPが大きく減ってしまっていると、その先が突破不可能となって結局は戻ってやり直しとなる可能性が有る。よっていきなり初回で綺麗にクリアというのは相当難しいかも。具体的に数字が出たりする訳ではないのでどこからカウントがスタートするのかを見極めた後、ある程度計画性を持って臨まないとならないだろう。
ステルス面に付いて言えば、ゲーム中は敵に気付かれないようにして移動するのが基本なのでステルス性はそれなりに高い。ドアは通常のUSEによるOpenの他にWalkキーを押しながらゆっくり静かに開けるという方法も用意されており、敵が背を向けている時には先制攻撃の可能性が出て来る。距離を保った状態で敵がまだこちらに気が付いていない場合にも、姿勢を低くして静かに近付く事で攻撃の当たる確率を高められるのでステルスは有効である。
ただし純粋なステルスを要求されるマップは全体で2つしか無く、その内一つはそれほど厳しくない。ただしもう一つはちょっと問題と言うか、あまり出来が良くない様な気がした。ステルスマップの条件は各所にあるアラームを鳴らされてしまうとENDという物で、気が付かれても鳴らされる前に倒せばOK(アラームその物を壊すという手もある)。問題のマップでは高所にある見張り塔にアラームが設置されているのでステルスが要求されるのだが、この時の敵の索敵範囲や音声の届く範囲がわかりにくく、何回も失敗しながら進まないとならない様になってしまっている(なおこれが一番ファンサイト等での質問が多いマップになっている)。どうもAIとの絡みからも、あまりこのゲームに純粋なステルスミッションは合わない様だ。連続したアクションの合間のアクセントとして入れるという考え方は間違っていないのだが、もう少し出来には気を使って欲しかった。
結論として私個人としてはやや考えていたようなプレイスタイルでは無かったとは言え、臨場感のある潜入スタイルのゲームプレイは大変面白く感じた。割とストレートに行くとキツいゲームバランスという点から、逆に戦略を張り巡らせて大量の敵を撃ち倒すという作戦的な面白さがあり、この辺の純粋なシューティングと戦略の融合性が高いレベルで実現している。プレイ中は非常に楽しめたゲームであるのは間違い無い。
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