<GRAPHICS>
これも発売前には大きく期待されていた部分だが、こちらは期待通りに相当なレベルとなっている。最新のテクノロジーを駆使している様なグラフィックスでは無いものの、相当なレベルのテクスチャやモデリングを使用しており非常に綺麗だ。現状発売されている3DFPSゲームの中ではトップと言っても良いのでは無いか。基本的に写実系のデザインで、”ゲーム的な画像として綺麗”という印象の強いUnreal系エンジンのゲームとは違った趣きの美しさである。
アウトドアの風景描写は特に城や市街のパートが綺麗に仕上がっており、森や施設等のパートはやや落ちる印象。インドアはアウトドアに比べると標準的ではあるが、それでもテクスチャは綺麗だし逆にライティングのアニメーションは非常に美しい。地下の暗い場所で壁面に炎の明かりが揺らめく所などは実に良く出来ている。
水面の表現は今一つだが反面炎の描画は素晴らしく、流石はKingpinの作成チームが手掛けているだけはあるといった感じだ。火炎放射器から放たれる炎の描画はこれまでに見られなかったようなリアルさを持っており特筆物。吹き上がる煙や爆発時の効果もかなりの水準で綺麗に仕上がっている。Fogについては種類が選べるのだが、どちらにしてもリアルな表現で非常に綺麗に描画される。弱点としては影は非常に単純な形でしか表現されず、この辺は最近のゲームとしては物足りない。
一般的な武器系の効果グラフィックスには特筆すべき所はなく普通の出来映え。薬莢のイジェクトや壁のDecalは調整可能だが、当然レベルを上げると重くなる。Blood系の描画は直前になって修整されたとの情報もあり(その手の裁判で現在闘争中なので)、壁面等に血は付くものの色が変な感じでリアルでは無い為それほど残酷な感じはしない。爆破時に体がバラバラになるGore表現は一応存在している。
キャラクタのモデリングはExtraレベルまで選択出来、これにすると顔付きまでかなり細かくなる。実際の所モデリングに関しては高いレベルだと思うのだが、動作アニメーションの細かさは現在の標準レベルといった所だろうか。モーションキャプチャーに関して言えば、高いレベルにあるゲームを見た後だと、人間の動作が硬くパターンも少ない感じがする。ムービーシーンではリップシンクもするがちゃんと動きが合ってない印象。
もう一つ特筆すべき点は軽い事。もちろん画質に比較してという意味だが、かなり重い物だと思っていただけにこの軽さには驚いた。Q3エンジンをベースにしている事からもっと重いと考えていたのだが、明らかに一般的なQ3エンジンのゲームよりは軽い。1024*768*32の設定でほぼ各オプションをMAXに上げても30fps以上を確保して動かす事が可能だった。多く画面上に敵が出現したり、広いアウトドア空間に出ても体感出来るほどにfpsが落ち込むことも無く快適に遊べる。私のマシンはPen3
600MHz, 256MB, GeforceDDR VRAM32MBという性能だが、それでここまで動かせるのならば優秀な部類だろう。おそらくはFSAAを掛ける事でより綺麗に見えるとは思うのだが、さすがにそこまでは私のマシンでは無理。グラフィックスとしては敵と背景の識別はし易い方なので、細かい解像度にこだわらずに解像度を落してFSAAという手もあるだろう。(追記)これには当時のNvidiaの最新のドライバによってOpenGL系の大幅なパフォーマンスのアップが図られていたからというのもあったようだ。
別撮りCGムービーはオープニングのみで、後はゲーム中と同等のグラフィックスでのシネマ形式の物。その他の特徴としては新型Radeonに対応したTruformをサポートしている点が挙げられる。
変わっている点はシングルとマルチのゲーム起動が別々な事で、グラフィックス設定も含めてそれぞれを独立して設定する様になっている。これは軽い設定にしたいマルチはシングルとは別に設定しておけるという点で便利ではあるが、反面ちょっと切り替え時に面倒。またSYSTEM関連の変更はQ3エンジンの伝統として一々システムを立ち上げ直すのでこれも面倒と言えば面倒。解像度変更とかは分かるがBrightnessの設定位は自動的に変更して欲しかった。
なお問題点としてはバージョンを上げるとFlamethrowerの炎が綺麗に描画されない(炎に四角い枠が付いてしまう)という点があって、これはその後のNvidiaの新しいカードとドライバの組み合わせでも発生した。同じ様な症状は多数報告されており、この場合マルチプレイの方では正常に描画されるようになっているのが特徴。これはシングルプレイとマルチプレイで描画の仕方(具体的には明るさ調整のやり方)が異なっているのが原因で、以下の様にすれば修正されるはず。ただしシングルプレイの方を途中で修正しているという事は、以下の設定にしてしまうと何処かでプレイに問題が発生する可能性はある(何か重要な物が画面上で見え難くなるとか)。
Mainフォルダの中のwolfconfig.cfgを開いてやると以下の2行の記述が有るはず。
seta r_overBrightBits "1"
seta r_ignorehwgamma "1"
この両者を0に書き換えて再起動すればこの描画の問題は治る。ただしこれを行った場合、デフォルトではSystemのVideo設定に存在するBrightness調整バーが消えて、OptionのView設定の中に新たに明るさ調整が現れるようになるのでそちらで明るさの調整は行う必要がある。
<SOUND>
近年のゲームとしては珍しいのだが、一切の3Dサウンドに対応していない。メニューに設定こそ無かったものの、ゲーム中は4SPでプレイしていたのでやや3Dっぽく聞こえる部分もあったのだが、メーカーサイドで使っていないと言っているのでそうなのだろう。
サウンドそのもののクオリティは22MHzまでしか選べないのだが、それでもかなりの高音質で基本的に不満は無い。足音の効果音等も細かく作られているし、環境音も含めて全体的に良い出来と言える。武器のサウンドはもうちょっとクリアな音質であった方が良いという気がするが、武器毎に明確に分けられているし合格点の範囲内。
BGMは戦闘時に勇ましい曲が流れたりと雰囲気を盛り上げるのに一役買っているが、バリエーションが少ないのが難点だ。
<英語>
ゲーム中の英語表示量は大してないので、ミッションの目的をBriefingで掴んでいれば問題無し。ストーリーも分かり易いし、ゲームをクリアするのに英語は特に必要としないゲームだ。ただしムービーシーンに字幕が出ないというのは問題有りか。ミッション毎に最初に有ったりとかそこそこ数は有るのだが、それほど長い訳ではないので字幕程度は付けて欲しかった所だ。ドイツ側のキャラが英語でしゃべるのはまあ良いとして、この辺はドイツ語で英語字幕の方が雰囲気は出るはずなのでそうして欲しかった所。
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