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GAMEPLAY
 ゲーム全体のボリュームは、私が数えた限りではマップ数は67個。Mediumだとゆっくりと進んでも15時間は掛からないだろう。とにかく急いで先へという人ならば10時間を切るのも可能と思われる。その位ゲームは短い造りとなっており、これは無駄を省いていて濃いとも言えるが、リプレイ性は薄いのでマルチプレイをやらないと言う人には割高に感じられるかもしれない。


 このゲームはちょっと普通のFPSとは構造が異なっており、メディアではHalf-Lifeとの類似性に言及される事が多かった。大部分のFPSではチャプター(ミッション)という形式で全体を幾つかに明確に分割し、そのチャプター単位でガラリとロケーションや雰囲気を変える事でプレイヤーに飽きが来ないようにしている。

 しかしこういった手法を取っていないFPSも数少ないが存在しており、その中でも最も有名な物があの名作Half-Lifeである。やった方はお分かりの事と思うが、このHLでは各マップが連続しており以前のマップに戻れる個所が多い上に(また明確な場所でマップが切り替わらない)、それぞれにマップ名が付いていない。話の展開における章としての区切りは一応存在するのだが、むしろ連続性を重要視して章毎に違うグラフィックスや敵を用意するという意図はあまり見られない。アウトドアに出たりとかの変化はあるものの、グラフィックスやプレイ感覚全体の印象は始まってからほとんど変わらないのだ。
 つまりHLではプレイヤーは始まってからずっと長い間Black Mesaの敷地内を延々と探索し続ける構成で、ストーリーを区切るのではなくプレイ感覚の連続性を重視している。そしてこれが、プレイヤーに切れ目無く続く緊張感とサスペンスを提供している=面白いという結果につながっている。もちろんこのHLの様な連続性重視のマップ構成は、失敗すると最後まで緊張感も続かないしゲーム展開やグラフィックスが単調になってしまうという欠点が有り、そのリスクを恐れてあまり採用されていないというのが現状である。


 そして実はこのRed FactionもHLと同様に連続性重視の構成を採用しているゲームとなっている。マップは切れ目無く連続している部分が多い上に(前に戻れる事が多い)、章の名前はおろかマップ名すら一切無く、今自分がどの程度進んでいるのかさえ分からない。構造としては最初から最後まで火星での出来事というまとまりで連続しており、明確なロケーションや展開の変化という要素は意図的に排除されている印象である。それがノンストップの疾走感を演出しており、次はどうなるのかという興味で一度始めると途中で切って終わる事が出来ないという感覚を生んでいる。

 このゲームには複雑なストーリー展開といったものはほとんど無く、ほぼ予想通りという感じで進んで行くので意外性という要素は少ない。またゲーム内にはムービーの類は大して無くて、切れ目という部分が少ない。しかしそれだけにプレイ中の集中度は連続して高いレベルに維持されているという感じになる。チャプター式の欠点として、新たな展開を見せるとそこでゲームが小休止してしまい緊張が解けるというのがあるが、RFではこういった息継ぎの瞬間がほとんどなく、最後まで緊張感が切れる事無くプレイ出来るという点で優れていると言えよう。


 謎解き要素が含まれているがこれは簡単な部類Half-Lifeに似ているこのゲームだが、この部分だけはパズルが難解なHLとはまるで対極にあると言える。ついでに言うとHLでは頻繁に出てくるジャンプ系パズルも無い。進行ルートはほぼボタンを押すか障害物を壊すかで分かり易い作り。頭を悩ますような場所は数カ所程度しか無く、多くの人はノーヒントで最後まで行けると思う。ただ難しいというよりは気付きにくい個所が幾つかある(やや不親切に感じられる場所が有る)。

 ストーリーは事前の相当重きを置いていて複雑な物にするという情報とは異なり、大して複雑な物にはなっていない。それが悪いとは思わないが、ストーリーがそれ程面白い訳ではないというのも確かである。なおストーリーを説明する会話が勝手に進んでしまうので、たまたま離れていると聞き逃がす可能性があるのは気になった。


 ゲーム内ではステルスを要求される個所が2つある。片方は必須でそうしないと先に進めないが、もう片方はステルスで進まない方法を取ることも可能である。ステルスの箇所は普通の服に着替えて行動するので武器はサイレンサー付きピストル一丁のみというスタイル。その仕組みは一般人やガードに近付き過ぎない様にする事とカメラの有る位置に長く留まらない事で、かなり発見される率は高い設定となっている。もしも発見された場合には、上手くやれば殺した相手を担いで見えない場所へ持っていく事で誤魔化す事は可能である。

 感想としてはそれほどステルスで行動するのが面白く作られているという印象は残念ながら無く、ちょっとした気分転換という程度か。そもそも”歩く”という操作が無いのでステルスという感じではない。ちょっと問題なのがステルスがバレて戦闘になった場合で、この時にピストル以外の武器を手にする事が出来ないという不自然な造りになっている。よって倒した相手の武器を拾えないのでピストルの弾が尽きるとどうにもならなくなるし(こうなるとどこかにある弾薬を探して拾うしかない)、そもそも戦い自体が厳しいとなっている。なので例えば2つ目の場所では強行突破した方が楽な感じがする。


 ゲームの一つの特色として様々な乗り物を操縦出来るという点がある。乗り物は全部で5種類。

*ATV: 2人で動かせるジープ。運転と荷台のマシンガン役に分かれて行動する。
*Driller: 削岩機。歯が破損せずに使える間の限られた回数だが岩盤をくり貫いて進む事が出来る
*Aesir Fighter: 自動追尾ミサイル装備の戦闘機
*Submarine: 機動性の高い潜水艦。追尾式の魚雷を撃てる。
*APC: 耐久力の高い装甲車


 それぞれが耐久力を持っており、破壊されると外に放り出されるか死ぬ事になる。操作はどれも単純であり、方向キーとJump&Crouchで動かす事が出来るので操作性に深みとかはあまりない。敵の追尾式ミサイルを避けるのに技術が要るくらいか。

 Mediumでやる分には兵器での戦闘はバランス的に簡単な感じなので、爽快感があってその操作は面白い。特に人間の敵相手には圧倒的に強いので轢き殺したりとかして一方的に倒す事が出来る。削岩機も他では見られない面白い乗り物となっている。ゲーム進行中所々で操作する事になるのだが、アクセントとして良い効果を上げていると思う。特にATVはNPCの運転する物で攻撃をしたりとか出来るのだが、このパートは非常に面白かった。


COMBAT
 操作系は概ね普通のFPSと一緒だが、一応最初のTrainingはやっておいた方が良いだろう。マニュアルでは書かれていない点について学ぶ事が出来るようになっている。

*照準の場所に必ず弾が飛ぶという設定では無くて、武器や発射モードにより弾の散らばりは異なっている
*移動しながら撃ったりしても正確性には変化無し。しゃがむとブレが減るという事もない。
*重量による移動速度の変化や持ち替え時のラグとかは無い
*RunのみでWalkは無い
*火星の重力の関係でジャンプは遠く高くへフワリという独特の感触で飛べる


 武器選択はカテゴリー式となり4つのセクションに分かれている。1〜4キーでカテゴリーを選択してホイール等で武器を選ぶと言う方式だが、それぞれの武器をショートカットで呼び出す事も出来るようになっている。

 回復はヘルスとアーマーの両者を拾って行うというスタンダードなタイプ。ただしアーマーはEnvironment Suitの耐久力を表しており、アウトドアにおいてはこれが無くなるとダメージを受けるようになる。

 USEキーを使う場所はちゃんと印が出るので分かり易い造り。なお箱は壊せてアイテムが入っている可能性もあり、同じくロッカーにはよく見ると開いている物があるので見逃さない様にしよう。ちょっと気になるのはアイテムへの反応が敏感過ぎて、今取りたく無いのに(ちょっと近寄っただけで)アーマーやヘルスパックを取ってしまう事がある。


 戦闘に関してはオーソドックスなスタイルとなっており、Mediumにおいては爽快感重視という印象で2/3位までは結構順調に倒しながら進む事が出来る。一番の要因はヘルスパックとアーマーが死んだ敵等から大量に手に入るので、ダメージを受けても回復が容易であるから。難易度によって変化するが、ダメージ自体もMediumならば結構撃たれても大丈夫である。2/3辺りまでで難しいのは数カ所程度と考えていいだろう。敵はほとんどが人間だが、中にはロボットやモンスター系の物も存在しているという構成。部位別ダメージを採用しており頭を狙うのが常に基本となる。

 ゲーム性が変化するのはUltorの軍隊Mercenariesが出てくる残り1/3の部分で、この部分は他のゲームと大きく異なる事がある。それはRail Driverという武器の存在だ。これはQuakeプレイヤーならば御馴染みのRailgunと似た武器なのだが、以下の様な特徴がある。

*ALTモードで壁等を透視して敵を熱探知出来るだけでなく、その状態で障害物を貫いて撃つ事が可能。しかも射程距離はかなり長い。
*発射時のラグが無い。ただし1発ずつしか撃てずにリロードは長い。また最大で10発しか持てない。
*フルアーマー&フルHPの状態でも一撃で倒せる破壊力
を持つ

 という具合にゲーム性を一変させてしまう程の凄まじい威力の究極兵器である。例えばあるエリアに入った時に幾つか部屋が有ったとしよう。この場合に部屋に入らずに壁を通して中にいる敵の数を探り、敵から一切の攻撃を受ける事無く一方的に倒す事も可能となる。イメージ的にはスナイパーライフルで遠くの敵を一方的に狩っているのに近いが、こちらの方が壁を通して撃てるので敵の前に姿を一切曝す事が無い分より強力と言える。弱点としては連続して撃てない事と敵味方の区別がつけられない点だが、シングルプレイではそれほどは問題にならない。
 ゲーム上での唯一の難点と言えば、敵もこれを持っている事である。よって一発でも撃たれたら確実にそれで死ぬのでゲームオーバーになる(その為この部分はクイックセーブが欠かせなくなる)。ただし倒してRDの弾薬を補給出来るので、そういう意味ではそこそこ居た方が良いのだが。

 このRDが出現する辺りから難易度がかなり厳しくなり、正面から戦ったのでは到底勝てないようなバランスの場所が出てくる。つまりRDで先にある程度倒さないと駄目という意図で調整されている箇所が増えて来るという意味。また敵にRDを持った奴がいるならば、敵の前に出て正面からの戦闘は避けるべきという事にもなっている(ただし敵は意図的に壁を通しては撃って来ない)。こちらもRDでまずはそいつから倒さないとならないといった展開になる。
 何人いようがRDの弾さえ豊富に確保出来る当てがあるなら(取っていない弾があるとか)次々に壁を通してノーダメージで倒せるので簡単になるし、逆に使い過ぎると後々非常に困った事態になるといった面もある。この様に後半1/3はRDをどういったシチュエーションでどの程度使用していくかで難易度が大きく変わるという構成であり、非常に独特なプレイ感覚となっている。RDをどの程度使うかはプレイヤー任せなので自由度は高い。

 ラスト付近は通常戦闘でもさすがに難しくなるが、最後のボスキャラはちょっと弱過ぎるという印象。またラストのイベントはもう少し工夫して欲しかった。あれだけ長い事プレイして来て最後があんな形では拍子抜け


 発売前からAIに関しては自信有りという話だったのだが、これについては確かになかなかの出来である。まず目立つのは人間のプレイヤー並に、プレイヤー側に照準を絞らせ無い様に不規則に動くという点。一定の場所に止まって死ぬまで撃って来るというスタイルでは無く、頻繁に動いてこちらの狙いを絞らせないような行動を取ってくるケースが多い。またロケットのような弾道の見える武器だとほとんど避けられてしまうので効果が薄い。壁のような場所があれば隠れたり出たりして攻撃してくるし、障害物も盾として利用する事が出来る。しばらくは弱いのでそれほど問題無いのだが、敵が強くなるに連れてこの動き回るというのは厄介な要素となり、射撃に正確性が無いと戦闘が厳しくなるのは間違いない。

 ある程度のダメージを受けると一度逃げたりし、仲間を見付けるとまたやって来たりするのも良く出来ている。ただ「許してくれ」とか叫びながら逃げるかと思いきや、突然普通に戻って攻撃してくる事が多くこれは不自然な印象。それと不自然といえばFPSに付き物の問題はこのゲームでも解決されておらず、隣にいる仲間が倒れても反応が無いというケースが見られる。また音に反応して部屋から飛び出して来たりとかもするのだが、逆にGeo-Modで穴を空けて背後に出ても気が付かない時も見られた。

 HLの海兵隊と比べてみた場合、海兵隊が積極的にこちらへ出てくるのに対してRFの敵は大抵こちらを追っては来ない。よって上手く引き寄せて待ち伏せして倒すと言う手法は使いにくい。特に部屋のドアを越えて追って来たりがほとんど無いので、一息つける代りに攻撃が難しかったりする。それと海兵隊に比べて手榴弾系の爆発物に対する反応が非常に早く、投げ込んでも逃げてしまうのでほとんど効果が見られないのはよく出来ている。ただし体を一部見せた状態では反応が無いのは問題あり。その状態で先制攻撃を仕掛ける事が出来てしまう。

 味方のAIはUSEで話しかけてもHLの様には一緒に戦ってくれないのが残念。ただし生き残った場合に自動的に着いて来て戦ってくれるというシーンは存在する。NPCは「助けてくれ」とか「そっちの味方だ」とか叫んで騒がしいのが特徴。その上殺さずにおくと逃げ出してガードを大声で呼ぶし、通りたい所にしゃがんで動かなくなったりするのでつい殺してしまう。一応このゲームでは敵のNPCを殺してもペナルティは無い。

 最後にAIはGeo-Modによる変形にもちゃんと対応しており、穴の空いた部分を通して見る事も出来るし攻撃もしてくる。床に穴が開けられていてもそれを認識せずに落ちてしまうとかも無いし、この辺はしっかりしていると言える。

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