<GAMEPLAY>
まずはゲームの特徴をプラス面から解説していこう。
1.マップが広い
かなり多くのマップが広大なエリアを持っており、その上インドア・アウトドアの切り替えも含めてゲーム中にマップのローディングは無いので、自分の足で広い空間を歩き回っているという感覚が味わえる。この開放感はなかなかのもの。基本的にプレイヤーの移動速度は遅い方だが、特に広いマップでは各種Vehicleが用意されているのでそれほどストレスは感じないだろう。
2.Vehicle
Vehicleに乗って行動する要素を大きくフィーチャーした3DFPSはあまり無いが(最近ではRed Factionとか)、このゲームではかなりその面に力を入れている。オリジナルC&Cに登場した兵器類に実際に乗り込んで移動や攻撃が出来るのはやはり面白い。機動性重視の物で敵陣を駆け抜ける事も出来るし、戦車で破壊しまくってもOK。Vehicleは敵の物を奪って使う事もあるし、複数台あるならば好みで選択も可能。
また敵もVehicleを多用してくるので、兵器vs兵器の戦闘はもちろんの事、敵の兵器との地に降り立っての戦闘も面白い点の一つだ。ロケットランチャーでマシンガン攻撃をしてくるアパッチと戦ったりとか、戦車相手に周囲を逃げ回ってのC4を仕掛けての爆破。敵の兵隊輸送機を撃ち落として援軍が降りる前に一網打尽にしたりとかも出来る。
このVehicleの利用によるゲームへの影響はかなり大きく、ゲームプレイにバラエティを与えている。Vehicleはその攻撃力や機動力で人間のプレイヤーでは決して実現出来ない事をやってのけられるので、これをどう使うかで相当な変化があるのだ。例えば手に入れたVehicleを早期に破壊されてしまい歩いて移動しないとならなくなった場合はその後が辛くなる可能性があるし、逆に敢えて手前で降りて地上で白兵戦で戦う事で兵器を温存し、その先での激戦を楽にするという作戦も行える。Vehicleが破壊されるまでは内部の人間は一切ダメージを受けないし、プレイヤーの使う武器よりも戦車の攻撃力は強いので、どれだけ大事に使うかは大きく戦況に影響する。
場合によっては他の種類のVehicleに乗り換えられるケースもあってどちらを選ぶかとか、また壊された場合には援軍が空輸で新たなVehicleを届けてくれる場合も有り(より都合の良い物の場合もあるので)、必ずしも大事に乗るのがプラスとなるとは限らないのも難しい(面白い)所だ。
3.自由度
ゲームのシナリオそのものには分岐は無いし、基本的には進行は一本道である。ただしミッションの多くは数々の2nd,3rd(Secret)ミッションが用意されており、とにかくいろいろな事を”必ずやらないとならない”という風にはなっていないし、サブのミッションをクリアする事で手に入るボーナスもあったりするので、プレイヤーによって辿る道には変化がある。それとRenegadeではほとんどの場合弾薬&武器は持ち越しのシステムになっているので、それまでの探索結果によって有利不利が生じるゲーム性にもなっている。脇道に弾薬系は多いし、ある種のマップでは特定の武器を前のマップで使用し過ぎているとスタートから辛い事になったりもする。
ゲームプレイに関しても半数ほどのミッションではステルス系とアクション系を選択可能だ。このゲームではステルス武器となる弾数無限のピストルを使用して音を立てずに歩いて移動する事で、なるべくコンタクトを避けて行動する事も出来る。道順もこの種のゲームでは用意されたルートは多い方と言えるだろう。或いは建物を破壊せよという指令が多いのだが、この場合もスタンダードに内部に侵入してMCUを破壊する以外に、外部から攻撃して破壊する事も可能だし(ただ大変だし出来ないケースもある)、Beaconがあれば外に置いてIon
Cannon一発で破壊も可能だ。
4.雰囲気
製作に当ってRTS作品の戦場の雰囲気を再現する事を第一に考えたと言うだけあって、アウトドアマップでプレイ中の戦場の雰囲気は相当なレベルである。グラフィックスやサウンドも高いレベルにあるし、今戦場に居るという雰囲気は存分に味わえる。次々とObjectiveが出されてプレイヤーを巻き込んでライブ感を出すという手法を取っているのだが、それほど時間的に強制されて行動させられる場面は無く、この辺の自由度とのバランスの取り方は上手い。
敵側の増援部隊が出てくる時も輸送車で駈け付けたりパラシュートで降りて来たりするので、そのVehicleを破壊すれば乗っている増援部隊にもダメージを与えられるとか、インドアの様に単純にSpawnしてゲーム内に出て来られるよりも雰囲気が出ている。同様に味方軍もオルカやホバークラフトといったオリジナル同様のVehicleに乗って到着する様になっている。またヘリパッドを破壊すると敵の増援が来れなくなったりとか、逆に或る地点を守る事で味方の軍が到着出来る様になったりとか、インタラクティブ性も結構あって流動的な進行の変化は良く出来ている。
<問題点>
このゲームは独自のエンジンにより製作されており、それに携わったのもWestwoodの人間である。よってオリジナルC&Cの雰囲気を3DFPS上に表現すると言う点では相当なレベルとなっており文句無く合格点。しかし一方で3DFPSに強い専門家(会社)に任せなかった事が災いしているのか、ゲーム性においては欠点も幾つか見受けられる。
1.AI
Renegadeの最大の欠点はAIである。これがせめて現在の基準で並のレベルであったならばこのゲームの評価は変ったと思うのだが、残念ながらそのレベルにすら達していない。既に出ているゲームのレビューを見る限り90点以上といった高評価を与えている所はほとんど無く、大抵が70〜80点といった評価になっているが、これも絶賛されているマルチプレイの面白さを加えての物であり、それを割り引いて見るとシングルプレイの評価は決して高くはない。そしてその最大の原因がAIなのは間違いない所だろう。
まずは敵のAIなのだが、これはかなり原始的なレベルであるのは確か。1998年にUnrealとHalf-LIfeがゲームのAIを大きく進化させたが、それ以前のゲームと変り映えしない。基本的にこちらを見付けたら攻撃してくるだけである。発売前のインタビューではグループ戦術を使ってくるとか、地形を利用して攻撃してくるとかコメントがされていたが、「どこが?」という感じだ。
多くの場合は同じ場所に突っ立っているか直線的に移動して攻撃してくるので狙い易いし、こちらが戦車等でも単純に突っ込んで来て簡単に轢き殺される。グループの場合も固まって移動するので攻撃し易いし、移動パターンがほとんど一緒なので扱い易い。一時的にこちらが隠れると見失ってそこで立ったままになったりとか、こちらがどんな武器を構えているのかの判断も全く出来ないようだ。音には反応してやって来たりもする反面、多くの部分を視覚に頼っているらしく、近くで戦闘が行われているのにちょっとした陰にいると無反応とか、或いは目の前で味方が狙撃されたのに気が付かないとかetc。
昔のゲームではAIが大した事が無いのは分かっていた訳で、それで戦闘自体に緊張感と面白さを保つにはどうしたのかと言うと、プレイヤーとは異なった様々な攻撃(移動)方法を持った”モンスター”を用意する事と敵を強くする事が主だった。しかし近年では敵のAIが重視されて、特別強くは無いが頭が良い”人間”の敵とのリアルな戦闘と言うのが流行になって来ている。そんな中このゲームでは一部を除いて敵は人間がほとんどなのだが、その頭がよろしくないので問題が起きているのである。
特に前半部分はAIがダメな上に敵自体が弱いと来ているので、戦闘自体は単純で面白さに欠ける。Normalだと大して危機感が無い状態で、ただ撃つだけという感覚が強い。M6のDeadly
Reunion辺りから徐々に難しくなってくる感じだ。後半戦は敵の武器が強くなったりとか動きが速い者や見えない者も出てくるので、AIが変化する訳ではないが緊張感は出てくるので普通レベルにはなるのだが。
味方AIについても同レベル。時々援軍に掛け付けてくれたりとかして一緒に戦ってくれるのだが、指示が出せないのはもちろんほとんど役に立たない。敵同様に正面から突っ込んで行って後は成り行き任せである。Dead-6のメンバーとの合同戦闘もあるのだが、ここでもWaypointを見失ったbotの様にグルグルと回っているだけとかでガッカリさせられた。いずれにしろ味方との合同戦闘という面白さは味わう事が出来ない。また救出ミッションでは死なさない様に護衛して移動する個所が幾つかあるのだが、この場合もある地点を過ぎると次まで勝手に移動してしまうので、場合によっては厄介な御荷物となる。
2.戦闘
どうも根本的に戦闘自体の面白さを追及しているゲームには見えないというか、ちょっと首を傾げてしまう部分が多い。まず武器には当てると敵が反応して(仰け反ったり苦しんだり)反撃出来なくなる物が多く存在しており(プレイヤーは出来る)、これによって先に攻撃を当てると簡単に勝ててしまうケースが目立つ。またAIでも述べた様にこちらの攻撃をサイドステップ等でかわしてくる敵がほとんどいないので単調になるのは否めない。
それとAIがダメなら数で勝負と言う事なのか相当な数の敵が出てくるのだが、前半は弱くて単調なので飽きてくるし、後半は後半で無限に湧いて出て来たりとかで少々鬱陶しい印象である。まだ後半の方が緊張感があって良いとは言えるが、それにしては多過ぎるという感もある。敵の動きがモンスターの様に多彩であればそれはそれで面白くなったりもするのだが、このゲームではその面では単純で変化に乏しいので面白味が薄い(ボスは数人いるのだがあまり強く無い)。
移動速度が遅い点にも不満が残る。チョコチョコと小走りで移動する感じで、マップの広さに比較すると遅いという点がより目立つ。また危なくなったらHealthの有った所まで戻るという手が有るのだが、移動速度が遅いので面倒な事が多かったりする。それとグラフィックス面の問題でもあるのだが、AIの問題を差し置いても戦闘に手応えが無い。具体的には敵のやられる時のモーションのパターンが少ないのと、武器が当っているという感覚があまり無い点。強力な武器が命中したら吹き飛んだりとか、もっと派手なグラフィックエフェクトが欲しかった所だ。
これらをある程度救っているのが兵器での戦闘で、戦車対戦車やヘリ対人間の地対空戦等、これらは随所に現れてなかなか面白いし当っているという感覚は地上戦よりもちゃんとしている。逆に完全なインドアミッションは相対的に魅力に欠けるとも言える。
3.憶えゲー的側面
完全な憶えゲーでは無いが、後半戦はかなりバランス的にキツくなるのと同時にパターンを憶えないと辛い個所が多くなる。第一に終盤は相当敵の攻撃が激しいので、ある程度は出現パターンを憶えないとキツイバランスである。第二にこのゲームではスナイパーがほとんどいない代りにロケット兵がキャンプをしている事が多い。スナイパーに比べると1発目をかわせば居場所がわかるので楽ではあるのだが、このゲームではロケットのスピードが相当速くて気が付いた時にはもう遅いというケースが多い。慎重に進んで行く事で危機を回避する事は或る程度可能ではあるが、マップが広いのでそう簡単には行かないし、プレイヤーの背後等の死角から攻撃をして来たりと嫌らしい配置も数多い。またBlack
Handと呼ばれる兵士は攻撃してくるまで透明なのでこれもまた厄介である。更に後半に数多く出てくる自動機関銃も小さくて結構見付け難い上に攻撃力が高く、場所を知らないと一気に体力を削られてしまう事になる。
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