<GRAPHICS>
オリジナルの描画エンジンであるWestwood 3D Engineを使用しており、APIはDirect 3Dに対応。解像度は1600*1200*32まで対応という標準的な仕様。Advancedに当る細かな各種設定はゲームメニューからでは無く別のConfigより行う(余談だがここに関しては米版でもちゃんと日本語になる)。影を付けるかとかGeometric
Detailとか一般的な物が並んでいるが、Curved SurfaceだけはATIのTrueformに対応していないと選択出来ない。
グラフィックスの一番の特徴は広大な地形を描画出来る事で、リアル系のFPSではポピュラーな仕様であるが、アクション系のFPSではちょっと珍しい。実際にその広さはかなりのもので、直線では無いにしろマップによっては1Km以上の距離を移動させられる事になる。走っての移動速度が標準に比べて遅い事もあって、プレイ中に体感する際には本当に広いという印象がある。一般的なFPSのエンジンではマップは広くそして遠距離まで見渡せるようになるほど重くなるので、遠景に関しては一枚の画で済ませてしまう事が多いが、このゲームでは相当遠くまでちゃんと3Dで作成してあるので実際にその場にいるという雰囲気が非常に良く出ている。
この広大な地形を活かして戦車等の乗り物が多数移動していたりとか、敵味方のヘリや飛行機が空中を飛び回ったりとかで、それも臨場感を醸し出すのに大きな効果を上げている。人間に対して地形や建物のスケール感が大きいのも迫力があって良い感じだ。それとこのゲームでは最初にローディングした後はミッション中にローディングしないようになっており、建物類の内部/外部への移動でもシームレスなプレイが可能である。言うなれば実寸で建造物が出来ているので、それもまたリアルな感触を生んでいる一面になるだろう。
一方インドア系はそれに比べると平凡な出来で、特にテクスチャはMaxにしても質は高くない。根本的に様々なオブジェクトのモデリングが今一つという風で、それが一層悪いイメージになっている。あとそれほど内部に装飾品関連が無い事もあって単調なデザインが続くという印象もある。同じ種類の建造物だとマップが変っても内部構造はほとんど同じだし、総合的にアウトドアに比してかなり落ちると言わざるを得ない。
エフェクトに関して言えば、アウトドアでの戦車の砲弾やヘリの爆破とかは派手目で良く出来ている。激戦になると目の前が見えなくなる位の白煙に包まれたりするのも雰囲気作りにはプラス面と見て良いだろう。一方で武器系等は悪くは無いが、それほど特筆すべき点も無い。唯一Ion
Cannonの効果は派手で見物だが。火炎放射器&Tiberium系武器のエフェクトがちょっと地味で、この辺はもう少し力を入れてほしかった所。
影は選択すればキャラクタはもちろんの事、地形や建物にも出来るが、一様であまりクリアな描画ではなく現在のレベルとしては普通の出来か。ライティングはインドア中心になるがそれほど綺麗では無い。最後にBloodはESRB
RatingがTeenという事で全く出ないしGore表現も無い。単に死体は消えるだけである。
キャラクタモデルは割としっかり作ってあると思うのだが、一方でアニメーションパターンが単調であり凄いといった感触は無かった。兵器や建物はそれほど凝ったデザインではないし細かくも無いのだが、オリジナルのゲームのデザインをかなり忠実に使用しており、それからすると合格点を与えられる出来である。
ムービーはミッションの合間やゲーム中に含まれており、全体だと結構な長さになる。完全に別撮りのCGムービーなのだが、動きの描写は良いものの画像自体のクオリティはそれほど高くはない。
パフォーマンスに関してだが、評価基準としている1024*768で32bitカラー、オプション系は全てMaxという仕様でのプレイの感想。マシンはPentium
4 1.7GHz, GF3 Ti200, VRAM 64MB, Memory 512MBの構成。
基本的には問題ないのだが、所々でカクカクする現象が発生する。特に敵が多く出たからとか開けた場所に出たとかでも無い様だし、普通に移動している最中に突然発生したりする。fpsが特に落ち込む訳でも無いし、調べるとHDを読んでいるようだがスワップもしておらず、テクスチャ等のデータを読んでいると推測される。マップデータは確かに最初しか読まないのかもしれないが、オプションによってはテクスチャデータ等収めきれない物が発生して途中で読む処理が生じているらしい。少なくとも私の環境ではカラーを16bitに変更するとほとんど出なくなるので、同様の現象の出る方は試して見て欲しい(32bitとのクオリティの違いも感じられないので)。付記: FPSはF8を押してコンソールを出し、FPSと入力すれば右上に表示される。
グラフィックスのバグとしては、時々クリッピングがおかしくなって壁を通して中や外部が見えてしまう事がある。それと火炎放射器系の武器だと、壁を通して武器のエフェクトが描画されてしまうという問題がある。
<SOUND>
3Dサウンドに対応しており、EAXはもちろんの事A3Dも選択出来る。このゲームは3Dサウンドの定位感が優秀で、EAX2で4SPを選択した時の効果は相当なものである。作り物っぽい音ではあるが自分の周囲で爆音が鳴り響いたりする迫力は高く評価したい。MoHAAなんかに比べるとサウンド自体の質は落ちるが、派手な分迫力では勝っていると言える。武器のサウンドも結構優秀でSF的だが音質は良い(マルチ専用武器も含んで)。
BGMはオリジナルシリーズの物を使ったりしており、全体的にロックやテクノ調のノリの良い物がほとんど。ゲーム自体が派手なアクション物なのでそれにマッチしていて良い出来だ。セリフ関連はキャラクタに合った声優が使用されており、この辺もキッチリ作られている。
問題点としてはまず足音が聞こえないので、突然後ろから攻撃されたりすることがある。それと敵側の警戒アナウンス等が流れている事があるのだが、これがかなり喧しい印象。
かなりの分量の英語版ムービーには一切字幕が付かない。ただし一応発音はクリアで聞き易いし、画面を見ていれば内容はわかるはずなのでそれほどの問題は無いだろう。ゲーム中については字幕が出る物もあれば出ない物もありその辺の判断基準は定かで無い。また後でこれらのログを参照する事も出来ない。こちらもミッション内容とかは参照出来るので、判らなくてもゲームを進めるのに問題は無いと思われる。ゲーム中に読まないとならないテキストの量は多くなく、英語への依存度(影響度)はそれほど無いゲームである。
<INTERVIEW>
ここでは発売前後に行われた各種インタビューからゲームに関連する物を抜き出して紹介しておこう。
Q: そもそもC&CをFPSにしようとするアイディアはどこから来たのか?
A:実は最初は3DFPSにするつもりはなく、単に明確な主人公を設定してのストーリーを重視したRTS風ゲームになるはずだった。しかし当時(1996年)これはシステム的にうまく行かずにお蔵入りとなった。その後のアイディアで視点をグラウンドレベルまで落としてQuakeの様なゲームにしてはという意見が出て結局この様な形になった。FPSにと言うこだわりはなく、三人称視点でも遊べるのはその為だ。むしろ主人公を表示するという意味では三人称の方が理想的であるのだが、操作性の関係でこういう切り替えシステムになった。
Q: 描画エンジンがオリジナルなのは何故?
A:当時はまだUnrealすら発売されておらず、到底自分達の望むクラスのグラフィックスを実現してくれる物がなかった。そこで自分達で製作しようという事になり少しづつ合間を見て作成したという事になる。現在はレベルが全体的に上がっているので、次回作があればその時は他社のエンジンを利用するかもしれない。
Q: エンジンの性能についてはどう自己評価しているか?
A:十分に満足している。確かに他の最新ゲームに比べると若干劣る部分があるかもしれないが、その分Renegadeではライブ性を重視する仕様になっているのでこれは仕方が無い。20台以上の乗り物を同時にマップ上に表示してそれぞれをリアルタイムで独自のAIで動かす事を実現するのには、グラフィックスのDetailは多少犠牲にせざるを得ない。MoHAAの様にグラフィックス重視で同時に登場するオブジェクト数を押さえて、AIはプレイヤーの行動によって初めて反応するというスタイルのゲームとは根本的に考え方が違う。
Q: マルチプレイモードがC&Cモード一つになったのは何故?
A:当初は普通の3DFPSに存在するような物も含めて8種類を予定していたのだが、より独自性を打ち出す為にC&C
Modeと言うオリジナルのゲームに集中してバランス調整等していく事となった。C&Cでは定番のCoopモードの要望も非常に多かったのだが、3DFPSファンへのアピールを考えた場合にはC&C
Modeの方が面白いと受け止めてもらえるはずという事から決定した。
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