JEWEL OF THE NILE

                                    12/10/31

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 製作・販売: Croteam / Devolver Digital
 発売: 2012/10
 日本代理店: 未定



概   要
 第一弾となる有料の拡張パック(DLC)。発売時の価格は$9.99となっており、購入には本編を既に所持している事が必要となる。単体のリテール版として配布される予定があるのかは不明。

 PC, Xbox 360の他にMacでもリリースされている。これを書いている現在、このDLCの方はまだ日本語化されていない。


 ストーリー的には「本編では描かれていなかったが、実はこんな事が起きていた」という設定を用いている。本編のチャプター09[The Power of the Underworld]にて、サムはタイムロックをオンラインにする為の装置を2つ作動させ、その後ヘリに乗ってタイムロックへと向かう途中で墜落させられてしまうという流れだった。このJotNのストーリーとは、ヘリでの移動中にヘルファイアから連絡が入り、「オンラインになるはずのタイムロックが作動しない。どうやら安全装置が別の場所に存在するらしく、それを解除してやらないとならないようだ」となって、サムがその解除の為にフィラエへと向かうというもの。解除成功後に再びヘリに乗って、そこから本編のチャプター10へと繋がるという位置付けになる。



BASICS
 チャプターは全部で3個。スコア換算時に使用するクリア目標時間は各40〜45分となっているが、初回プレイにて行ける所には行ってみる姿勢でシークレットを探しながらだとNormalにて4時間程度掛かった。

 ロケーションは同じエジプトとなり、景観的にも目新しさは感じられない。新規のテクスチャーなどはほとんど使われていないようで、本編の素材を使い回している感が強い。よってその面での新鮮さは持たないので、ここはマイナス点となる。


 新規要素として宣伝で謳われている件を挙げると

・Aludran ReptiloidがSS3に新登場(緑の追尾弾を飛ばしてくる敵)
・巨大な新ボス
・新武器として斧を追加
・本編ではシークレット扱いで使えるケースが少なかったスナイパーライフルとレーザーガンが活躍
・ジェットパックが使える
・新しいSteam実績

 だが斧はハンマーと同じで新武器という程の物では無いし、実績もリストを見る限りではキャンペーンクリアの一つだけしか追加されていない。



 この拡張パックにおける最大の特徴とは弾薬が少ないという点になる。本編の方も過去作に比較すれば少な目という設定だったが、今回はそれ以下というレベルにされている。それと絡んで武器の方でもキャノン砲とミニガンがシークレット扱いとなり、見付けない限りは使う事が出来ない上に、見付けたとしても弾が非常に少ないという風にされている(本編におけるスナイパーライフル&レーザーガンと同様の扱い)。その辺りの概要は以下の通り(弾薬数はNormal以上の通常設定での物。それと全ての弾薬を発見している保証は無いことをお断りしておく)。

アサルトライフル  本編では弾薬は割と多かったが、それに比較すると“格段に”というレベルで弾薬は減少している。CH01には無しでCH02からの登場。しかし最大で500発所持のその500発位しか弾薬がない。CH03ではそれ以上になるが、それでも1000発は無いのではというレベル。本編では他の強力武器を節約する為にとりあえずこれを使うというシーンが多かった訳だが、今回は逆にアサルトライフルの弾を節約しないとならないゲームとなっている。そして節約しているうちに強い武器の弾が増えてくるので、結局使うケースが少ない。
ロケットランチャー  最大で50発装備だが、CH01と02を足しても50発程度しか出て来ない。無限補充ボックスは確認した限りではCH03で一箇所のみ。そこも大量に撃てる場所では無くて単なる補給用として置かれており、結果的にロケットを使うケースは限られている。
ミニガン  CH02と03の二箇所でシークレットとしてのみ入手可能。両方共にかなり解り易い場所なので見落としの可能性は低いが、入手したとしても弾薬がほとんどない。最大で500発持てるがゲーム全体でたったの300発しか見付けられなかった。よってあっという間に全弾撃ち尽くしてしまう事になる。
キャノン砲  CH02と03の二箇所でシークレットとしてのみ入手可能。こちらは両方共に難易度が高目。そして入手したとしても弾薬はゲーム全体で14発しか見付けられず。(武器の存在するシークレットに5発ずつと、他のシークレットに4発のみ)。
スナイパーライフル  今回のメイン武器はこれでCH01から登場する。弾薬数は多目で単発でのダメージ量はデバステーター以上であり、他の武器の弾薬が少ないだけに硬い敵相手にはこれを使うケースが多い。旧作に比較して最大所持数が20発と大幅に減らされているのが欠点で、あまり持てないので20発近く有るなら積極的に使っていくべき(ある程度進めればまた置いてあるので)。
レーザーガン  こちらはCH02からの登場。弾薬はCH02ではあまり出て来ないが、CH03では結構出て来る。しかし撃ちまくれるといった数では無く、ミニガンやアサルトライフルの代わりに多用する事は無理。
デバステーター  本編に比較すると少ないが、このゲームの強力武器の中では弾薬は多い部類。スナイパーライフルとこの武器を、残弾数を比べながら硬い敵相手に使い分けるという戦い方になる。

 このDLCに関するインタビュー記事などを見た事が無いのでどういった意図なのかは不明だが、撃ちまくりのFPSとして知られるこのSSにてこういった変化は大いに疑問。本編と似た様な展開を避けて変化を生み出したかったのかも知れないが、変化の方向が間違っているように思える。どの武器が好きなのかは人によるとは言え、キャノン砲とミニガンを限定的にしか(プレイヤーによっては全く)使えないようにしたのは爽快感を相当減退させている。そしてそれ以外の武器ならば大量に撃てるという設定でも無く、ある程度撃てる武器は数種類に限定されているという状態であり、SSらしさが感じられないゲームとなっている事は否めない。


GAMEPLAY
 チャプター毎の解説から。CH01はちょっと変則的であり、最初から最後までそこそこの広さとなる一つの島内でのみ行われる。形式はサムでは定番であるマップ内の4個のアイテムを集めて、それを別の場所に設置してゴールとなる扉を開くというスタイル。ただしアイテム集めは何所から始めても良いという方式では無く、一つずつ順番に集めていかないとならない。最初のアイテムを目的となる部屋に設置するとアイテム集めがスタート。島内に彫像が出現するのでこれを回収し、部屋まで持ち帰って台座に置く。すると次が出現するのでまた回収という作業を4回繰り返せばゴールが開く。

 問題は武器や弾薬が少ないという点。敵はそれ程多くないが、それ以上に弾薬が用意されていない。島の各所には武器や弾薬が置かれているのだが、最初から最後までそれだけでやり繰りしないとならない設定(シークレット弾薬は有り)。そして武器はロケットランチャー, スナイパーライフル, ショットガン2種, ピストル, 斧, ミューティレーターのみ。しかも赤メック, スクラップジャック, レプティロイドなどの硬い敵相手に使いたいロケットランチャーとスナイパーライフルの弾が限られている為に、牛や赤サソリなどに安易にそれ等を使ってしまうと後半が辛くなる。特に最後までこれだけの弾薬で戦わないとならない事を知らない初回プレイでは、場合によっては詰みに近くなり最初からやり直した方が早いという事態にも成りかねない位に強い武器の弾薬が無い。よってミューティレーターやショットガンで骨馬や牛辺りまでは捌いて、ロケットランチャーとスナイパーライフルは温存という戦い方を強いられる。結果的に敵の数の割には時間が掛かるマップである。

 新型のトラップとしては透明バリアが出現。これまでの扉が閉じてしまうタイプとの違いは、サムはこれを通れないが敵及びその攻撃はこれを透過出来るという点。例えば非常に狭い部屋の中に閉じ込められて、その中にカミカゼ, 骨馬, 牛等が外から突っ込んで来るといった鬼畜な攻撃方法が可能にされている。


 CH02は市街部から広大な平野へと繋がるオーソドックスな形式。ここからハーピーの群れをスナイパーライフルで撃ち落とすというパターンが増え始める(弾薬はハーピーがスポーンする場所の近くに置いてあるので残りを気にせずに使える)。武器類もレーザーガンやデバステーターが使える様になり、本編の感覚に近くそれなりに撃てる状況となる。しかしアサルトライフルとロケットの弾はまだ限定されているので、やはり前半は斧やミューティレーターに頼って節約気味という点に変わりは無い。その分弾薬が比較的多目のスナイパーライフルが活躍するマップとなっている。

 そしてここでは神殿の中で4連の扉を開く為に4つのパズルを解かないとならない。パズル要素は本編でも賛否両論あったが、制作側がよっぽど好きなのか、本編よりも難易度が高い物も用意されている。それぞれ、解り難い場所に有るスイッチ(レバー)探し, 多数のスイッチで扉を動かしてルートを製作, 動くプラットフォームをジャンプして渡る, 動いている障害を避けながらタイミングを計って移動するという物。中ではプラットフォームのジャンプが、自分でスイッチを押して複数のプラットフォームを動かし、その上を渡れる様にシンクロさせないとならないので難しかった。


 CH03は本編ラストの様な峡谷が前半、後半は一本道を通って広大な広場に至るという構成。ラストではあるが特に長くも無いし、異常に敵が出てくる訳でもない。一部エリアではジェットパックを使って移動する事が可能になっている。ここでは弾薬も多目となり、キャノンとミニガンを除けば結構撃てるようになる。後半部分には最大の難所とも言える猛ラッシュのパートがあって、ここは逃げ場が狭いだけに強大な火力で押し返さないと潰されてしまう。なるべく温存しようという姿勢ではNormal程度でも厳しく、キャノン砲やミニガンを含めて全ての弾を使い尽くすつもりで攻撃しないと危うい。そして実際にはその姿勢で良く、そこから先はラストに至るまでそれ程難しくはない。

 ラスボスは完全に期待外れ。既存の敵モデルを改造して巨大化しただけで新鮮味が無く、非常に硬いが倒し方が解ってしまえば後はひたすら繰り返しの作業となる(通常攻撃でも一応ダメージは入るが、持っている全弾を撃ち込んでもおそらく倒せない)。同時登場の敵は少ないし無限沸きでも無いので、後は倒すまでにとても時間が掛かって面倒なだけ。



 本編との違いを幾つか挙げておくと、嫌な敵として挙げられていたクローンソルジャー, タココプター, ウイッチは、ユーザーのフィードバックを受けてなのか今作には登場しない。同じく暗闇+ケーブデーモンの組み合わせも一部のエリアのみで、また数が少なくなったので鬱陶しくはない。あとは値を最大で200まで上げるスーパーヘルスはほとんど出て来なくなった(多分シークレットのみ)。


 新敵のレプティロイドは以前よりも厄介な相手となっている。まず体が緑色では無くなったので、保護色の様になり何所から攻撃しているのか見付け難いケースが増えている。それと緑玉の速度が若干上がっている様な気もする。一番困るのは対抗する武器で、過去作ではミニガンやマシンガンで緑玉を撃ち落としつつ本体を攻撃すれば良いので怖い敵では無かった。ところが今回はミニガンの弾はほとんど無く、アサルトライフルもCH03になるまでは少ないという設定の為、CH02まではスナイパーライフルで倒すという形が多くなる。しかしスナイパーライフルでは飛んで来る緑玉が見え辛いので、ある程度当たってしまう危険が高くなるという状況。デバステーターでも良いが、これは赤メックやスクラップジャックに温存したいというのもあって、その辺の選択に悩まされる事になる。

 ハーピーはスナイパーライフルの弾薬増加に伴ってかなり数が増えたが、オブジェクトや空中の透明な壁に引っ掛かるケースが結構あった。時には当たり判定が無くなってしまう(照準の色が変化しない)事態にも数回遭遇した。


 敵は全体的にやや少な目(400〜500体程度)という印象だが、先に書いたようにそれ以上に弾が無いというバランス設定。必然的に節約を強いられる為に、骨馬や牛等の中堅格の敵を強力な兵器で早期に片付けるのが難しい。その間は逃げ回らないとならないので、その意味では難易度は高目となっている。しかし逆に敵のラッシュが発生する地点は少なくされており、そこは本編よりも簡単となっていて全体的なゲームバランスとしてはまとも。

 ダメなのはシリアスサムらしさが失われている所で、硬い敵を倒すのに遠くからスナイパーライフルばかりでは面白くならない。キャノン砲やミニガンの弾が大量に有る場所で、大量の敵を迎え撃つというシーンが登場しないと盛り上がらないと言えよう。

CO−OP
 全編Co-opに対応。実際にプレイしてみた感想として、第一にCH03を除くと移動の自由度が高いのでプレイヤーがバラけ易い。皆でまとまって進んで行くシーンが少ないという意味で、これはCo-opとしてはやや問題か。第二に高速クリアが可能なセクションが多い。離れた所に有るキーを取って来るというパターンが多いのだが、誰かが取ったらすぐにそれを使う場所に居る別のプレイヤーが使えるので、意図的にそれを行うとあっという間にクリアされてしまったりする。例えばCH01では彫像を置く部屋付近に誰かが待機しており、他の場所で誰かが取ったらすぐに設置を繰り返せば時間が大幅に短縮される。

 次にパズルのパートは複数人だとタイミングを合わせる必要が無くなるので簡単になる。それとヒントになるムービーはホスト以外見られないので、初見プレイでCo-opに参加すると何をすれば良いのか判り難い。


 デフォルトの[Respawn in Place]の設定はオフにした方が良いかも知れない。リスポーン地点に復活する方式だと最低限の武器と弾薬は常に手に入るので、弾薬数が少ないという点を補完出来る(ただし貯めていた弾薬が消えてしまうというデメリットは当然ある)。後はプレイヤーがバラけ易いという点から、復活時の無敵時間をデフォルトの1秒から延ばした方が良さそう。皆から離れた閉じた場所で骨馬や牛に蹂躙されてしまうと、復活してもすぐに殺されてしまう状況に陥ってしまう。

 弾薬数が少ないだけに弾数無限の設定もアリだが、やはりこれは大雑把になって異常に早く進んで行ってしまう点に問題あり。敵の硬さを増すとかで補わないとならないだろう。


 本編でもそうなのだが、こちら更に大人数には向いていない。弾薬数は確かに少ないが人数分だけそれは倍加されて行くので、敵の数が少なめという設定のこのゲームだと簡単になってしまうからだ。難易度シリアス+マルチプレイ用の敵出現でも4人も居ればアンバランスという感じになるので、設定で更に敵を硬くしないと短時間で終わってしまう。


 発売されて間も無いし、現在はサーバーや人数はそれなりに見付けられる状況。

BOTTOMLINE

[PROS]

◎スナイパーライフルとミニガンを使える
◎ゲームバランスはちゃんとしている
◎嫌なタイプの敵が居なくなった


[CONS]

×弾薬数が少なく撃ちまくれるシーンが大幅に減っている(同時に敵のラッシュも少ない)
×キャノン砲とミニガンがシークレット扱いでほとんど使えない
×同じエジプトとは言え、景観的な変化に乏しい
×新タイプの敵が少ない
×ラスボス
×Co-opでは離れ離れになり易い構造



 本編からの変化は感じられるが、その方向性には同意出来ない。新規要素も少な目であり、凡庸な出来栄えというほかないだろう。Co-opをやりたいのならば人が居る今の内が良いとは思うが、将来的にセールになった際には人が増えるのでその時でも良いと思う。

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