<GAMEPLAY>

 ドレッドヘアの巨人主人公Bladeを操作して敵をなぎ倒していく、ミッションベースの3Dアクションゲームである。最初から最後まで一つながりの進行ではなく6つのエピソードをベースにした構造になっており、その都度武器や装備がリセットされるというスタイル。ゲームの設定では時は未来になっているが、敵ミュータント以外はそれほど未来的な設定等はなく、現代を舞台にしたハード・アクションといった感じだ。全体としてはかなり大きな規模の作りになっており、分岐や謎解きの解決時間にも寄るが少なくとも20時間は遊べるのではないかと思う。
 ゲームの目標はハッキリとリストで表示されるので分かり易い。ただしそれを達成するまでの過程は必ずしも分かり易いという訳では無かったりもする。謎解きの難易度・戦闘の難易度・MAPの長さ・ロケーション等々、場面によってそれぞれが非常にバラエティに富んでいて、飽きるという事がない。常に次には何が待っているのかという期待感がある。ただ人によってはあまりにも雑然とし過ぎていると感じるかも。またQuake2等のハブシステム同様、ミッション達成前にそのMAPを一度出てしまうという事もある。

 このゲームではインタラクティブ(相互作用。自分の行ったことが何らかの影響を与える)ということを重視して世界が構築されているため、基本的にゲーム内のオブジェクトを破壊したり動かしたり作動させたりできる。或いはフォークリフトに乗り込んで相手を轢き殺したり、バイクに乗って断崖をひとっ飛びするシーンがあったりもするし、コンピュータの端末にアクセスしてセキュリティを無効化したりパスワードを探したりということも行う。[この辺は当時としては珍しい]。



 またこのゲームはちよっと内容を聞くとシリアスなアクションという感じがするが、相当ユーモラスな一面も持っている。3DFPSのジャンルではQuakeを代表とするダークで殺伐としたイメージの物が多いのだが、それに対してこのSinはDuke Nukem 3Dの陽気で軽いノリを受け継いでおり、ゲーム中随所にユーモラスな面が見られる。ゲーム全体を通してもダークなイメージの感じられない、明るく荒削りで豪快な印象のゲームだ。
 ユーモアに関しては一つユニークで面白い点は、Hardcorpsの頭脳にしてBladeの強力な相棒である天才ハッカーJ.C.の存在である。通常の状態であればBaldeとJ.C.との間には通信リンクが確保されており、Bladeの付けたゴーグルを通してJ.C.は同時に今見ている風景を見ることが出来る。そこから現在の居場所についての情報や、ミッションについてのアドバイスを受けながら任務を遂行していけるようになっているのだ。またBladeが敵組織内部のコンピュータ端末を操作してゲートを開き、そこへJ.C.がハッキングして防御システムを破壊するといったコンビプレイも随所に登場する。
 中でもこの二人はゲーム中にいろいろとやり取りをするのだが、真面目な話だけでなく結構冗談を言いあったりしていて、それがこのゲームの魅力の一つにもなっている。とにかくこのJ.C.はひねくれ者というか皮肉屋というか、実に色々とBladeをからかってくるので面白い。海外ではこの面白さが非常に受けているようである。

 難易度に関してだがエピソードやMAPの難易度はバラバラであり、最後に行くほど難しくなるのかというとそうでもない。むしろ最後のエピソード6はすんなりと行ってしまうMAPが多いような感じである。”詰まる”という意味では逆にエピソード1が一番難しいと思われる。謎解きで詰まりそうな部分がいくつかあるからだ。戦闘ということではエピソード2が難しい。このエピソードでは基本的に隠密行動を取るのだが、そのために警報機を鳴らさせないように全力で警報器に走る事務員を倒さなければならないのがまず一つ。それと部屋に侵入すると撃ってくる自動小銃が多い点。これは破壊出来る物もあるのだが、いずれにしろかなりのダメージを受けながらの移動となるので。後は一番最後のMAPでは当然激しい戦闘があるのだが、これはかなり技術を要するので戦闘が苦手という人だとチートでも使わないとクリアできないかもしれない(武器があまりない上に、狭い場所を逃げ回りながら正確に命中させる必要があるため)。



 何と言ってもこのゲームの大きな特徴はAction-Based Outcomeというシステムを採用している点である。これはある個所で取った行動によってその後の展開が変わってくるという意味になる。通常のFPSゲームでは分岐する部分はメインのシナリオには影響を及ぼさないのが常識であるが、それを大胆に作り変えてしまっているのだ。

☆パターン1   MAP内部の変化
 これは特にSin固有のものではない。隠密行動が基本となるMAPで警報装置を鳴らされる前に警備員を倒すせるかどうかで敵の配置が変化したりとか、或いはCaution表示のバルブを捻って機械を爆破してその先々の敵を倒せてしまうとか。

☆パターン2   MAP内での進行の分岐
 ここからがSinの特徴的な所となる。MAP内部での進行ルートが完全に分断されるという事が起きるのだ。どういう意味かというと、通常のゲームにおいてはメインのルートに対して枝道という感じで別のルートが伸びる構成になっている。言い換えると、行こうと思えばそのMAP内の全ての場所に行くことが可能である(シークレットも含めて)。ところがSinではプレイヤーの取った行動によって行く事が出来なくなるルートが生じるのだ。つまり完全に2方向に進行が分岐してしまい、それは途中で交わる事が無いという意味である。だから1回のプレイでゲームの全てを遊ぶのは不可能という事にもなる。

☆パターン3   進むMAPの変化
 シークレットレベル(MAP)というと昔のFPSでは御馴染みだが、Sinのそれはちょっとイメージが異なる。前者では普通のシークレットの延長という感じが強いが、こちらはストーリー的に強制分岐させられるという感じになる。特にSinの場合失敗すると行かされるといった意味合いが強い。行ったことでおいしい思いが出来るというMAPはあまりなく、むしろ苦労をさせられるという感じが強い。或いは成功するとそのまま進むのだが、失敗すると前のMapに戻されてしまい(先に通過した時とは違う)ミッションが始まるという個所も存在する。まあこの辺は出来るだけ最短で終わらせるのを良しとするか、ゲームを買った以上は全ての面で遊びたいと思うかで捉え方は変わってくると思うが。
 それとちょっと別のパターンとしてMAPのスタートや終了地点が変わってしまうというのもある。例えばゲームの一番最初はヘリに乗ってゲリラとの対決になるが、ここでの結果によって次の面のスタート地点は異なってくるという風だ。この項詳しくはMAP解説の項を参照のこと。

☆パターン4   MAPを超えた変化
 最大の特徴はこれ。通常はMAPのデータというのは固定されていて、読み込み時には全く同じ物になるというのが常識である。ところがSinでは他のMAPで自分の取った行動によって先のMAPの内容が変わってしまうという事が起きるのだ(こういうのは5年経った今でも珍しいだろう)。簡単な例として

Abandaned Building(map)にてある事をすると、次のConstruction Zoneである別のルートが開ける。それをやっていないとこのルートを進むことは出来ない。
Sintek Chemical PT1にてある事をしておくと、次のPT2にてミッションが楽に出来るようになる(時間制限が無くなる)

 ちょっとネタバレになってしまうので詳しくはMAP解説の項で説明するが、これは攻略ということからすると非常にやっかいである。何故ならプレイしている時にどこが変化しているのかなど知りようがないからだ(怪しいと感じることはあるが)。これを知ろうと思ったら一度完全にクリアした後にチートを使ってデフォルトの状態でプレイして変化を比べて見るしかないが、変化を発見したとしてもそれはどこでどうするとそうなるのか?までは知りようがない。なお念のために言っておくと、ある事をしていなかったので先のMAPクリアが不可になるということはないので安心してプレイしてほしい。

☆パターン5   MISSION達成度による変化
 ゲームの進行は与えられるミッションに沿っていけば良いのだが、ミッションにはPrimaryとSecondaryがあってこの達成度により後に変化があるらしい.....というかこれは正直よく分からない(未確認)。MAPの終わりには”EXIT”のマークが表示されるのであるが、どのような達成度でもそこを抜ける事が出来るのかというのが不明だからだ。基本的にはPrimaryは達成していないと通れないはずなのだが、Secondaryならば達成していなくてもOKのようだ。


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