BOTTOMLINE

[PROS]

◎Veilという別世界のアイディアは秀逸
◎Veil Powerの各能力は強大で爽快感が高い
◎武器改造はその性能を大きく変化させるので面白い要素
◎Black Sunのエネルギーを利用した武器の出来が良い
◎リプレイ性が高い
◎大量のアイテム探しの要素を持つので収集系が好きな人には楽しめる



[CONS]

×ミッションの順番が自由なのでストーリーの流れが失われている
×ミッションが終わる度に街という日常に戻される為に、緊張感がそこで一旦切られてしまって持続しない
×拠点となる街の中での探索には特に面白味が無く、敵がランダムに沸くのでむしろ面倒
×Veilのモードにしておく方が有用なので、プレイ中の大半は緑色の画面になり見た目がマイナスの印象を与える
×Gold探しの重要度が高過ぎて、探さない人は改造の楽しみが損なわれる上に、変化が少なくなるのでプレイ感も単調となる
×難易度Normalでは敵に手応えが感じられない
×Veil Powerの威力が高過ぎてバランスを崩している
×ストーリーは盛り上がりが無く凡庸




 一つの街を拠点にして活動し、ミッションのプレイ順の自由を盛り込んだりとユニークな構造を持ち込んだゲームだが、残念ながらそれらはアイディア倒れに終わっており、ゲームへのマイナス面の影響の方が強く出てしまっている。一風変わったスタイルでのプレイは新鮮ではあるが、ストーリーに流れが感じられなかったり、集中度が街に帰る度に下がってしまう欠点はあまりにも大きい。街内部の探索の方もアイテム探し以外は特に意味が無いという点でも、初期のアイディアを煮詰めての工夫が足りないという気がする。

 武器の改造による変化は楽しいのだが、それには大量のGoldを探さないとならないという条件が付く。普通のFPSの様に全速力で進めて短時間でクリアしても面白さには大きな変化が無いというケースなら良いのだが、このゲームではGold回収をサボると改造が進まない為に武器の使用感の変化が少ないし、比較的威力の低い段階の武器での戦闘に終始するという結果にもなってしまう。これはアクションFPSとしては非常に痛い設定であり、本文でも書いたようにGoldの配分がアンバランスだと言えると思う。

 全体的な印象としてかなりカジュアル路線になったという感が強く、敵の強さを初めとして難易度は控え目である。前作における怪しげでシリアスな雰囲気の方も大分後退しており、難易度の低下がそれに輪を掛けている。難易度が低いサバイバルホラーが成立し難いように、全世界の危機といった深刻さを漂わせるにはそれなりに難易度が高い事が重要だと思うのだが、そこに手応えがないのでナチスのオカルト組織との一大決戦という盛り上がりも発生し辛い。更にゲーム全体を覆うトーンも明るくて軽い色合いが濃くなっているので、その点でもプレイ中の緊張感が殺がれる感じがしている。タイトルの方も単に「Wolfenstein」とするよりは「Wolfenstein Light」とでもした方が適当だろう。


 基礎的な部分はしっかりしてはいるので悪いゲームではないが、かなりの問題点を感じさせるのも確かである。「やって損は無いと思うが、別にやらなくてもいいゲーム」とでも言うのか、例えば70点程度の評価のゲームでも、試す価値ありという独特の要素や個性を持っている物も在れば、標準的に合格点というレベルなので特に進んでプレイする程では無いという物も在るが、このゲームは後者に近い。

 タイプとしてはやはりGold等を集めて改造を進めないと面白くならないので、マップ内でのアイテム収集を好んで行うという人向けと言える。とにかく先へと急ぐ人にはお勧めし難い。また同じゲームをリプレイするという人にはより楽しめるデザインになっている。後はFPSの初心者で、モンスター系の敵が出現する物やナチスの秘密研究というテーマに惹かれる人には、適度な難易度の良いゲームと言えるかも知れない。


 ※マルチプレイの方に期待されていた方も多いと思うのだが、少なくとも発売時点では内容やI/F面の完成度が低いという評判である。個人的にはサーバーブラウザを試した程度だが、確かにコンソールぽくてフィルター機能等も簡素という印象。評価は実際にプレイしてからになるので、現時点ではシングルプレイのみの評価とさせてもらう。

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