BOTTOMLINE |
[PROS] ◎主人公が2人いるので違った観点から2回楽しめる ◎(難易度選択が無くリプレイ要素も無い代わりに)ゲーム全体のボリュームは相当に長い ◎共同して解くパズルの演出は面白い ◎暗闇でのライティングの効果が秀逸で、恐怖感を巧みに演出している ◎背景のプリレンダーのグラフィックスの質は高い ◎不気味なBGM [CONS] ×操作性が非常に悪くストレスが溜まる。PCの特性であるマウス操作に中途半端にしか対応していない。 ×2人のキャラクターのプレイスタイルに大して差が無い ×戦闘が簡単な部類で恐怖感や緊張感に欠ける ×ストーリーが弱く、エンディングも不満足な印象 ×新しさを感じさせる面は持っておらずインパクト不足 ×解像度が選択出来ない ×セーブのシステムに問題あり このゲームの評価はオリジナルのシリーズをやっているかどうか、言い換えると「オリジナルの1の面白さを再び期待してプレイするのか?」で大きく変わってくると思う。言うまでもなく「人気シリーズの新作」としてゲームをリリースするのは一種の賭けである。もしゲームが面白ければ「さすがは人気シリーズ」という事で相乗効果により評判は上がるが、逆に詰まらないと「あの昔の傑作に比べて...」と余計にマイナスイメージを持って評価されてしまうからだ。ではこのAITDの新作におけるInfogramesの賭けはどうなったのかというと、完全に失敗であったというのが私の結論である。 このゲームにはオリジナル(AITD1)の持っていた革新性、当時としては最先端の高度なグラフィックス, 斬新なストーリーとゲームプレイといった要素はどこにも無い。だからこのゲームがまるでダメなのかというとそうでは無く、これは一つのゲームとしては悪くは無い。だがAITDの名前を大々的に冠して復活した以上はそれと比較されるというのは当然作成する側にも分かっていた筈であり、名声を利用してそれに及ばなかったならば「あの名作に比べて...」という批判は受けて然るべきである。元々第一作目が評価されたのはその斬新なアイディア部分であり、それを失った続く2, 3の評価が大きく失速した事は既に体験済みの筈。そういった観点からこの作品に新奇なアプローチが希薄な点は非常に残念である。 そうなるとそもそも何故これにAITDの名前を冠したのかの意味が不明瞭である。身も蓋も無い言い方をすれば“売る為に”なのだろうが、ホラー物の完全な新作として出した方が、純粋に一つのゲームとして評価してもらえたという意味で評価は高くなったであろう(売れないにしても)。メインのターゲットとしていたコンソール市場では過去のシリーズ作品を知る人は多くない訳だし、それならカーンビーを無理矢理持って来ないで新作としてデザインした方が良かった。ゲームは続編への予告編の様な形で終了して明らかに次がある事を匂わせるが、新作を作るのならば自分達の置かれた状況をもう一度再認識してもらいたいものだ。外部から優秀な人間を招き入れたりしない限り次は無い物と考えておくべきである(実際にこの2人のキャラクタを使った続編はキャンセルされている)。 闇を巧みに使った雰囲気作りや得体の知れない恐怖感の演出、無線機を使ったコンビでの謎解きや主人公を変えて二通り楽しめるゲームプレイ等、操作性の酷さを差し引いても楽しめる部分は多く、総合的には悪く無い出来であり、プレイして時間を損したとかいう印象は持っていない。サバイバルホラーのファンにならばお勧めは出来ると言えよう。初代をプレイ済みという人は当時の斬新性には期待せずに、全くの別物として遊ぶ事をお勧めする。 |