KABUTO |
最後にプレイ可能になるのがタイトルにもなっている種族であるカブトのパートである。巨大生物であるカブトを操作する事から、操作性やゲーム性はかなり特殊な形態となっている。まずはその独特な操作性の紹介から。 *LMBで殴り攻撃 *RMBで敵を掴んで、LMBでそれを食べて体力を回復する。再度RMBならば照準に向けて投げつける。 *ダッシュランプが点灯している間は走れる *ジャンプ可能でかなり高い崖でも登れたりする *ダッシュ状態からLMBでターゲットをキック。RMBならばスライディングして掴む。 *捕まえた獲物を胸の角に指して持ち運べる *火口の岩を掴んで投げられる *マップによっては水晶の欠片を使い太陽の光を集めたレーザービーム攻撃を行える *深い水中に落ちるとダメージを受ける *HPの回復は敵を掴んで食べる方法のみ 特殊攻撃としてアドレナリンアタックを備えており、画面左下のゲージがそのエネルギー表示を示す。このゲージは何回でもリチャージされるが、その回復速度はHPが低いと遅くなる。アドレナリンキーを押した状態だと徐々にゲージが減ると共に色が変わり、その色によって4段階の攻撃が繰り出せる。当然ながら溜める時間が長いほど破壊力は大きく、フライングボディープレスや回転ヒップアタックの様な大技も持っている。マニュアルに詳しい説明は無いが、この時にLMBで腕による攻撃、RMBで脚を主体にした攻撃を発動するので、バリエーションは4*2=8種類である。(どちらかというと足技の方が強力という印象なので、右クリック攻撃に気が付かないと若干不利になる)。 ゲームの序盤はチュートリアルを兼ねた成長する為の課程となっており、成長インジケータが右下に表示されている。デビルスマーティーを食べる事で成長し、最終段階まで行くと上記のアドレナリンインジケータが出現する。その後は成長インジケータの所にはタマゴが表示されるようになって、更に食べる事でタマゴを生んでオフスプリング(子孫)を2匹まで引き連れて行動出来るようになる。オフスプリングも敵を食べる事である程度までは大きくする事が可能。ダメージを受けると死んでしまう恐れもあるが、その後はまたデビルスマーティーを食べて卵を産めば新たに誕生させられる。 このオフスプリングはゲームを攻略する上で重要な役割を果たすのだが、この活用方法と操作性が解り難かったというのが一つの問題となった。実際の所オフスプリングが上手く使えないと難易度が何倍にも上がってしまうというミッションもあるので、これは知っておく必要がある。マニュアルにもこういう事が出来るとは書いてあるのだが、具体的な操作が書いていないので知らずにプレイして詰まってしまうという人がいたようだ。 オフスプリングはメックにおけるバックアップとは異なり、放って置いては何もしてくれない。まず基本的な使い方としてメック同様にバックアップキーを押下するのだが、この時にバックアップへの指示とは異なり先に指令を出したい方のオフスプリングを指し示す必要がある。次にカーソルが変化したその状態からLMBをクリックすると捕食アイコンが出るので、LMBを押したままで今度はターゲットを指し示してから離すとそれを攻撃に向かうという仕組みである。この際にバラックの様な建物は指定出来ないが、ミサイルタレットの様な建造物は指定可能であり、一気にそれを壊すだけの破壊力を持っている。しかも移動時には障害物や水中を物ともせずに地中に潜って進むので、高台に有るタレット等でも問題無く破壊してくれるため非常に役に立つ。この様にオフスプリングを使う事で、自分は離れた安全な場所から敵陣の脅威を先に消せるという大きな利点がある。 もう一点見逃し易い操作として、このターゲット指定時にLMBではなくRMBを使う事でピックアップの命令を出す事も出来る。この指令で生物を指定してやると、口に咥えて自分の元まで持ってきて吐き出す。つまりHPが低いピンチ時に安全な場所に逃げてから、回復目的で生きたまま連れて来させて自分が食べてしまうという風に出来る。 いよいよここからは肝心のゲームプレイの評価に入るが、先に結論から書いておくと個人的にはこのカブトのパートは他の2つと比べて大きく落ちると言わざるを得ない。詰まらないとか酷いというレベルでは無いが、他の2パートとは大きな差がある。 まず第一にやってみてすぐに気付かされる根本的な問題として、体が大きいので前が見え難い。要は自分の足下や正面が見られないので操作がやり難い。一人称視点にしても、序盤以外の成長後はキバが表示される形式になるのでやり難いのは同じ。それと照準にしても正確に目標を捉える必要は無いのだが、ある意味曖昧でありどこまで離れていても有効なのかが把握し辛くなっている。 関連する難点として設定上カブトは超巨大な生物とされており、画面上ではその巨大さを表現しないとならない。しかし体自体を画面一杯に大きくしては前が見えなくなってしまうので、カブトの体はある程度に抑えて(上記の様にそれでも大きいが)、他の縮尺比率を変えるという風にしている。その結果他の生物が非常に小さくなっているので、視認し難いというのもあるし小さ過ぎて違和感が感じられる。つまりカブトが非常に大きいのではなくて、その他の生物が非常に小さな世界に居るような感覚であり、カブトの巨大さというのが上手く表現されていない。 次にイメージの大きなズレ。プレイ前にはカブトは豪快なプレイが可能な強い種族だと想像していたのだが、実際にはそれとはほど遠いゲームプレイを要求される。豪快に振る舞えるのは最初だけで、後は逃げたり隠れたり、或いは上記の様にオフスプリングに頼ったりというプレイがメインとなる。良く言えばここでも頭を使ったプレイに徹しないと難易度が上がってしまうゲーム性。悪く言えば体のサイズに合わないみみっちい逃げのプレイに終始するという感じである。よくよく考えてみるとダメージをものともしない怪物が暴れ回るのではバランスとしてゲームにならない訳で、ゲームとして成立させるには死の危険性を一定以上に高める必要があるのは仕方がない。 これは勝手なイメージの問題なので欠点と言えるかどうかは微妙だし、このレビューを書いているのは相当年月が経過した時点なのでその違和感も今では緩和されてはいるが、カブト編は豪放磊落なゲームプレイでは無いというのには失望を覚えさせられたのは確かだし、同じ様に感じる人も多いかも知れない。 カブトの戦闘についてもっと具体的に書いてみよう。カブトは高いHPを誇っており、そう簡単には死なないというのは事実である。問題の一つ目はゲームバランスを取る為にそのHPを持ってしても安心出来ないというレベルの敵やタレット等による猛攻撃が用意されているという点。しかもそのエリアにカブトがどんな状態で入ってくるのかまでは予測出来ない為に、HPが既に低い状態のカブトが敵の数が多くて攻撃力が高いエリアに遭遇してしまう事が結構発生して、そうなると攻撃がキツ過ぎて難易度が上昇してしまう。 二つ目の問題は一度そのHPが減ってしまうと再度最大値まで回復させるのが大変という点。HPが多い分フル回復には相当な数の敵を食べないとならない訳だが、その為に敵が密集しているエリアに突撃すると当然集中砲火を受けてしまう事になる。そもそも敵の多いエリアで捕まえては食べるのを繰り返しても、その間に攻撃を受けてしまうので差し引きではむしろHPが減ってしまう事も多い。食べる際には数秒止まらないとならない制限と、ランダムに空に放り投げて食べるという隙だらけのアニメーションを行ってしまうのも厄介な点。また捕らえにくいジェットパックで飛行する敵や、Raiks(魔術師)のスローやファイアウォールの魔法もカブトにとっては脅威となる。 頼りのアドレナリン攻撃は建物を破壊するのには有効だが、最大レベルでも敵に対してはそれ程大きな破壊力を持つ訳でもなく、また殺してしまうと食べて回復が出来なくなるというジレンマがあるので、肝心なHPが低いピンチの時ほど使いにくいという欠点を持つ。それと危なくなった状態から溜めのは時間が掛かるのでやり難いという面もあって、総じてこれもまた想像していたよりも豪快ではない能力である。遠距離攻撃としては掴んだ敵を投げつける事でその対象物にもダメージを与えられるが、これにはあまり破壊力はない。他には火口岩や水晶の攻撃は可能な場所が限定されている。 そこでどういう風にするのかと言うと、敵に尻尾を見せて逃げるという体にらしからぬ戦法が重要となる。危なくなったらまずは引いて、脇道があるのならばそこでスマーティーやヴィンプの群れを探してそれを食べて回復させる。それが無いのならば隠れたままで順繰りに探しにやってきた敵を一人ずつ狙い、それを喰らいながら徐々にHPの回復を待つというのが常套手段。オフスプリングが居るのならば、上記の解説の様に代わりにエリアを破壊させるか餌を取ってくる様に命じてやる。最後に敵が減ってきたら初めて突撃して残りを片付ける。その際にはバラックを一つだけ壊さずにおいて、次のエリアに進む前に無限に湧いてくる敵を食べながら回復を図るという作戦も有効である。 次に有効な作戦が逃走。ミッションの目的として指定されていない限りは、敵を全滅させる必要性は無い。そして敵の数が多いエリアに乗り込んで倒しても特に意味が無いし、むしろ食事による回復よりもダメージが勝って損をする事も多い。そこでダッシュとジャンプを使って脇目も振らずに通り過ぎてしまう。同様に高い崖等をジャンプ連打でよじ登って(見た目的には不可能に見える場所でも登れたりする)、ルートをショートカットするという手段も利用する(それが開発側が想定しているルートなのかはともかく)。 この戦法に問題点が在るとすれば、ミッションによってはほとんど戦わずに敵の攻撃を無視して、走ってゴールを目指すだけでクリア出来てしまう物が幾つかある点。流石にこのクリア方法をテストプレイで見逃すとは考えられないので、想定はしているが仕方がないという話なのだろうが、わざわざ戦って死亡の危険性を高める意味が無いというのも確かであり、ここでもやはりセーブが出来ないという問題が悪影響を及ぼしている。セーブ出来るのならば戦ってのクリアも楽しめるのに、正攻法では時間の掛かるミッションで且つセーブが出来ないとなったら、1,2回失敗した時点で安全な逃走策に逃げるのもやむをえない選択と言える。 最後の欠点として他の種族に比較してプレイが単調である。ミッションの内容がずっと同じ様な構成だし、それもカブトの限定された能力を考えると仕方のないところか。基本的に敵を捕まえて食べる動作が大半を占めているので、変化が無く次第に単調になってくる。豪快なアドレナリンアタックも最初は楽しいが、すぐにそれにも飽きてしまう。何かカブトの形態変化といった形でのバリエーションが欲しかったと感じられる。 |
GRAPHICS |
自社製のAmmityville Engineを使用。90年台当時のゲームはインドアばかりで広大なアウトドアの描画を苦手としているエンジンが多く、広いエリアを見渡すと途端にフレームレートがガタ落ちしてしまうという物も多かった。そこで広大なアウトドア用のエンジンを自作する事にしたそうである。この頃はまだDelta Forceシリーズとか限定されたゲームでしか広大なアウトドア描画は実現されておらず(翌2001年からアウトドアに強いゲームが数多く発売されるようになった)、壮大に広がる美しい風景は大きなインパクトを持っていた。 リリース当時としては最新テクノロジーとなるHardware T&Lに対応し、DX8による新機能であるピクセルシェーディングも使われている。キャラクタを中心にしてバンプマッピングが幅広く使われているのも目に付く特徴で、岩肌の質感等はこの時代の物の中では群を抜いている。最先端技術を集めただけあってそのクオリティは2000年発売の物としては1,2を争うと言っても過言ではない。 流石に10年経過した今では粗も感じられるが、10年前のゲームとは思えないようなクオリティというのも確かである。現在でもあまり古臭さを感じずにプレイ可能なグラフィックスと言えるし、むしろPCの性能がアップして高解像度にフルオプション設定でのプレイが可能となった数年後頃からが、理想的なプレイ環境となったとも考えられるだろう。 ワイドスクリーンにはネイティブで対応。解像度はそのモニター(ビデオカード)がサポートしている限界まで選択が可能である。 |
SOUND |
EAX以外にはDirectSound 3Dにも対応。EAXでの3Dサウンドの定位感はかなり良好な部類である。 声優の台詞(英語)もイメージに合っており良い出来。BGMもゲームのイメージに合った物で印象に残る。 一方で銃声系は全般に迫力が無く、あまり良いとは思えなかった。 |
MULTIPLAYER |
マルチプレイには相当な力を入れたタイトルであり、発売の遅れとなる大きな要因にもなった。だがゲーム内ではサーバーブラウザをサポートしておらず、当時は流行していたMPlayerとかを使うか、IP直で接続したりという形式であった。現在でもGameSpy
Arcadeに対応しており、どの程度かは知らないがプレイヤーもまだ残ってはいるそうである。有志によるマルチプレイ用の非公式パッチの開発も続けられている。 個人的には未プレイなので概要だけを紹介。大きな特徴は3種族が入り乱れてのプレイが可能な点で、サーバー側の設定で特定の2種族同士の対戦の他に、三つ巴の対戦形式を選択する事も出来る。最大参加人数は10人。 デフォルトのリリースではDMとCapture the Smartieの2つのモードをサポート。後にパッチで種族別の対戦形式にMecc vs Kabuto と Reaper vs Kabutoが追加されている。 それぞれのマルチプレイでは独立した設定としてベースビルドのタイプを選べるようになっており、ノーマル(ベースビルドの概念が無い), ベースビルド(一から基地を建設発展させる), フルベース(最初から基地が完成した状態で始まる)の3つから選択。大抵は基地建設の速度を争う要素を追加したベースビルドが使われるようだ。 |