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難 易 度
 「プラットフォーマー = 難易度が高い」というイメージが在るのは確かだが、決して高難易度のゲームでは無い。だがプラットフォーマー全般の中においてどの程度の難易度なのかと聞かれると率直に言って私には判らない。FPSでプラットフォーマー的な要素が有る物はある程度やっているが、三人称や2Dでのプラットフォーマーというのを普段やらないから基準がハッキリしないのである。

 難易度を軽減させる救済措置に関しては充実している。まず死亡の扱いだが、通常時は落下死などでも即復活。ヘルスが表示される戦闘等のシーンにおいては制限無しに何回でもヘルスがフルの状態で復活可能。ボタン連打にて復活を早める事も出来る。ゲームオーバーとなるのは二人が同時に死亡した時のみ。よって相方が死亡したら無理をせずに防御に徹して復活を待つという姿勢で臨めばかなり粘れる。ボス戦ではその攻撃が凄く激しいというケースもあるのだが、この仕様なのでじっくりと攻めれば何とかなるという風になっており、ボス戦において何度も全滅してリトライさせられた箇所は無かった。

 セーブ地点はシーン単位で進行するのでやり直しとなっても大きく戻される様な事は無い。ボス戦等の段階的に長く続くシーンでは、その段階単位でセーブしてくれたりもする。ただし一度ゲームを終わらせて抜けた際には続行時に同じ場所に戻れるとは限らないのでそこは注意。ちょうど良い区切りで止めるようにしておくべき。

 リスポーン地点の移動はタイプによって異なる。2Dやトップダウン視点で何かに追い掛けられるといったシーンにおいては、死亡した場所を通り過ぎてしまう為にそこに復活という訳には行かず、生きて逃げている方と一緒の場所にリスポーン出来る。一方で各人が単独でワイヤーやプラットフォームアクションを成功させて進める箇所では、片方が成功してそのエリアにおけるゴール地点に到達しても相方の復活地点がそこに移動するケースは少なく、あくまでも各人がそれぞれ成功させないとならない。


 相方がこの手のゲームに慣れていないとかで、難易度が問題で詰まってしまい進めなくなったケースにおいてどう対応するのかとなると、両者が異なった役割を持たされているシーンにおいては役割を交換してみるという手がある。だがローカルであればコントローラーを交換するだけと簡単に試せるが、オンラインだと一度メニューに抜けてからキャラクター交代しないとならないので同一のセーブ地点に戻れるかという件はあり。

 一方プラットフォームジャンプやグラップリングフック等で両方が単独で同じ事を達成しないとならないケースでは、これもローカルならば出来る方がコントローラーを相手から受け取って達成してしまえば良いだけ。しかしオンラインだとキャラクターを入れ替えてもやる事は一緒なので、片方がどうしても出来なければ進めなくなる(一人で行うプラットフォームアクションでは相方を援護する方法が無い)。よって純粋な難易度としては2人で異なった役割を担当するシーンの方がずっと高いが、仮に詰まってしまった際に厄介なのは単独でのプラットフォームアクションのシーンの方という事になる。

ストーリー
 進行はリニアで選択肢などは無し。エンディングも一つだけである。ストーリーは駄目では無いが特に面白いという物では無いのも確か。だが弱点と言えるほどではなく、例えばFPS/TPSでもストーリーは実質無いに等しいがゲームとしては面白い物は沢山有るし、プレイ前にストーリーの面白さに過度な期待を持っていたプレイヤーでもなければ大きな問題とはならないだろう。個人的にはA Way Outみたいにストーリーも面白いのかなとちょっと期待していたのでやや失望感はあった。

 何が弱いのかと言えばストーリー展開が少ないという点。映画やドラマならば離婚を決意してから2人の間にどんな事が起きたのかを描いて行く事になる訳だが、IT2ではそういった展開は起きない。ストーリーに展開があるのは各チャプターの中での事で、ゲーム全体としては大きく事態が動くといった風にはならない。それと北米レーティングがTeenでジャンルはロマンティック・コメディと来れば、「結局二人は離婚する事になりました」といった結果にはならないのは最初から目に見えている訳で、展開に意外性が無いというのもあり。

 全体は大きく2つに分けられ、前半3チャプターはどうやったら元の体に戻れるのかといった構成となり、少々の展開はあるが特に面白味は無し。対して後半の4チャプターは並列的な内容が4つという構成になっており、この並びで4つが進行する事にあまり意味は感じられず(少しだけいじって順番を入れ替えても一緒)、結果的にストーリー展開が薄いという印象に陥っている。

 後はゲームプレイがあまりにもバラエティに富んでいる点が、進行が順不同でバラバラといった強い印象を与えており、その代償としてストーリー面でも繋がりが感じられないという影響が出てしまっている。


 最後にチャプター3において象のぬいぐるみと対峙するシーンには結構批判が出ている(やる事が酷いという意味で)。確かにここは人によってはキツい内容と受け取られる恐れあり。

GRAPHICS&SOUND
 Unreal Engine 4 を使用。個別の設定項目は多数。設定は最大限に上げてプレイしたが、特にfpsの落ち込みも感じられないし動作も安定しているという印象。大半がファンタジー系の世界設定だがそれに合ったカラフルな色使いが目立ちクオリティの方も高い。


 ボリューム調整可○, 3Dサウンド対応。主要キャラクター2人のボイスには特に問題も無いし、Dr.ハキムのウザさも上手く出せていると感じる。プラットフォームアクションなので操作の方に集中している時は台詞を理解したり字幕を読んでいる暇が無いが、台詞が多いのはカットシーンのみでプレイ中は簡単な発言しかしないので理解はし易い。BGMの方も同じ理由でゲームに集中している為にあまり記憶に残っていないというのが正直なところ(別に悪かったという印象は無し)。エフェクト系のサウンドの質は高い。

BOTTOMLINE

[PROS]

○バラエティさの極みという位に多彩なゲームプレイを楽しめる
○2人プレイ専用という点を活かして、ソロ向け(AIとのペア)では出来ない複雑なゲーム性を生み出している
○2人が別々の役割をタイミングを合わせてこなさないとならない為に協力感が強く得られる
○ボリュームが豊富でワールドも多彩
○製品版は一つだけでOK(フレンドパスを使えば片方のプレイヤーは無料でプレイ可能)
○失敗時のやり直しについては親切設計
○グラフィックスもファンタジー系の雰囲気に合っており美麗



[CONS]

×ストーリーは展開も少なく平凡
△あまりにも目まぐるしく変化があり過ぎて統一感には欠ける
△デザインとしては万人向けのゲームだが、それならば難易度設定が欲しい


 プラットフォームアクションが主体だがシーンによって視点, 画面構成, ゲームスタイルが多彩に変化するデザインであり、一体何本分のゲーム要素が詰め込まれているのか?と思うくらいバラエティに富んでいる。パズル要素は薄めでほぼアクションゲームとなり、ゆっくりと相談しながらパズルを解いて進めるタイプのCo-op作品では無い。

 2人に与えられた役割が完全に別々である事が多く、更にその役割がシーンによって次々と変化して行く設定でもある。よって様々なタイプの協力アクションを楽しめる。またリアルタイムでタイミングを合わせ協力して操作しないと達成出来ないシーンも数多く、コンビネーションが非常に重要となり高度な連携が要求される分だけ達成感も大きい。

 総じてCo-opのファンには是非ともプレイしてもらいたい作品であり強くお勧め。Co-opゲームの歴史に残る作品となるであろう傑作と言える。購入者は一人だけでもOKという点もポイントが高い。ただし本文でも触れたが、この手のゲームに慣れていない人を誘ってやってみるのは難易度設定が無いだけに問題となる恐れはあり。

 ストーリーに関しては、アクションゲームとして面白ければストーリーなど大して意味はないというケースも多いし、プレイ前から過度に期待していなければ大きな欠点とは感じられないだろう(逆に言えばストーリーの面白さに期待する人には問題があるとも言えるのだが)。統一感の無さはバラエティさの裏返しなので欠点というよりは代償と見る方が適切。

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