<DRIVING>

 Mafiaにおいて重要な役割を果たすのが車である。ゲームは舞台となるLost Heavenの街並データを一度に読み込むという方式になっており、基本的にローディング無しで全ての場所に行く事が出来る。厳密には街から離れた場所に郊外マップが別に有って、これはFree Rideにてアクセス出来る様になっておりシングルプレイでは使われない。町全体は当初想像していたほどの”巨大”といった広さでは無いが、それでも端から端まではある程度時間を掛けないと辿り付けないレベル。3つの島が接続された形式なので全体を自由に走って移動するという事が出来ず橋等を経由して行かないとならないし、信号や跳ね上げ橋等では停止が原則なので時間は思ったよりも掛かるようになっている。車の種類は60種類以上と非常に多いが、車自体をセッティングするといった要素は含まれていない。


☆管理
 シングルプレイでは進行に応じて新しい車をファミリーの整備員であるRalphが提供してくれるようになっており、この他にミッションの過程で手に入れた物がガレージに収容される。ただし提供車は後半は少なくなるし、より速い高性能の車を入手するにはサブ・ミッション(Lucas Bertoneから提供される)を成功させないとならない。ガレージに収容される車は「ミッション中に一度手に入った車で壊れなかった物」というルールで、例えば最初にRalphから新車を提供されてミッションをこなし、途中で手に入った別の車でガレージまで帰宅した場合、最初の車は途中で壊れていない限りは持ち帰らなくてもガレージに登録される。ガレージは最大で16台までの車を置く事が出来て、一杯になると自動的に破棄する車を聞いて来るシステム。ほとんどの場合車はミッション開始時にそれまでにガレージにコレクションした物から選択可能なので、一応は壊さずに集めておいた方が有利である。なお車の細かなデータはメニューからアクセスして参照可能となっている。

☆窃盗
 駐車してある車を盗む事及び、停車した車から運転者を引きずり出して車を奪う事は可能である。もちろん作業中に警察に見付かったら追われる身となるのは言うまでも無い。ただしGTA3とは大きく異なる点が存在しており、Mafiaでは自分がLockpickのやり方を知らない車や運転の仕方を知らない車は盗む事が出来ない。これらはゲームの進行に応じて習得して行くシステムとなっている。簡単に言えば「自分がそれまでに手に入れているランク以上の車は入手出来ない」という制限。自分の乗っている車が壊れたという時に、代用として最高でも同じランクの車を盗めるだけである。よってゲームの最初から高級車を盗むといった行為は出来ない。

 盗難に関連してMafiaにはちゃんとガソリンの量の概念が有り、ガス欠になれば車は動かなくなる。ミッション開始時点では満タンなので気にする必要は無いが、盗んだ車にはそれほど入っていないケースが多く、この場合はどこかスタンドに寄ってガソリンを入れてもらわないとならない(なお逃走時はガソリン補給は出来ない)。


☆PHYSICS(挙動)
 製作側は当時の車の挙動に関して出来るだけ詳しく調査し、ゲーム中でも出来るだけその物理特性の再現を図ったという話である。それがどこまで実現されているのか不明だが、確かにアーケード的な挙動では無いとは言える。まず目に付くのは車にパワーが無い事。特に序盤で手に入る多くの車は加速力が極度に乏しく、ある程度のスピードに達するまでは結構な時間が掛かる。どの位パワーが無いのかと言うと、坂を登るにはある程度勢いを付けないとならない物も有る位だ。スポーツタイプの車も後半では手に入るようになるが、それでも通常のアーケード系ゲームの普通能力車程度だろう。
 そして止まらないし曲がらない。100km程度出した状態だとフルブレーキでもある程度の制動距離がないと停止してくれないようになっており、アーケード系ゲームの魔法の様に効くブレーキは持っていない。カーブでもある程度スピードが乗るとハンドルを切っても綺麗に曲がってくれない仕様であり、直角の交差点を曲がる場合だと結構低速でも外に膨らんでしまう(極度のアンダーステア)。レースゲームの様に100kmを超える速度でのコーナリングというのは出来ないゲームである。確かにハンドブレーキで無理やり向きを変える事は出来るが、タイヤが踏ん張れずにそのまま大きく横滑りして外に流れて行って激突するのがオチとなる。当時の車はサスが原始的なのか重量バランスが悪いのかタイヤのグリップが全然無いという事なのか、乱暴な運転をすると車の暴れが激しい(車の種類にもよるが)。結構簡単にスピンやスリップ、そして横転までしてしまう。

☆運転
 他のレースゲームとの大きな違いは、ミッションの多くは一般車が走っている市街を使って行われるという点になる。レースゲームにも市街で対向車有りという物は有るが、このゲームのように交差点が多くてその交差する側にも沢山の車が走っているというゲームは少ない。Mafiaでは対向車を単にかわせば良いだけでは無く、交差点を上手く走り切らないとならないという難関があるのだ。交差点を通過する場合に自車線及び対抗車線の車が、曲がる為にいきなり自分の前に進路を変えて来る事が有るし、交差する道路側からも突然車が自分の前に入り込んで来る可能性も有る。見通しの悪い場所で外に膨れて曲がった途端に向うから来た車と衝突という危険性も有るし、前を逃げる車の暴走でそれを避けた車が自分の側に飛び出して来るといった事も起こる。しかもアーケード系レースゲームの車の様に咄嗟にこれらを廻り込むようにしてかわせるほどの性能は無く、ある程度スピードが出ていれば避けようとハンドルを切った途端にスリップしてしまう事がほとんど。
 そういった意味でかなりレースゲームをやっている人でも慣れるまでは難しいかも知れない。これだけ交通量が多い市街を疾走するゲームというのはあまり無いし、その上車の挙動も制御し難いからである。

 視点は数多いがドライバー視点は存在しない(出来る車も有るが)。基本的には後方の3種類から選択してプレイするのが一番良いだろう。ボンネット視点や前方視点が好みという人も多いと思うが、このゲームに限ってはあまり得策では無い気がする。如何に早く先の道路状況を知るかというのが大事なゲームなので、遠くや周囲が見渡せる後方視点の方が有利なのだ。つまりライバル車以外に車が無いゲームならボンネット視点でも良いのだが、車で一杯の市街を走るとなると視界が狭いのは大きな不利となる。後はこの視点だと車幅が掴みにくいので曲がる時にぶつかったりするという問題もある。バックの時は自動的にカメラが前方に切り替わってしまう方式であり、このケースでは切り替わらないボンネットの方が良いとも言えるのだが。

 運転はオートマとマニュアルが選択可能。ただしマニュアルにしても通常のレースゲームほどの変化は感じられない。車自体多くは3ギアの仕様であり(2ギアというのも有る)、その上根本的に加速性に乏しいのでギアを上手く使ってタイムを縮めるといった要素には乏しいという印象(坂を登る時にはマニュアルが役に立つ事も有るのだが)。それとクラッチまで有るのだがギアを変える時に切る必要が無いようで、スタート時に回転数を上げておく事にしか使えないようだ。

 運転時の地図表示については全体表示が出来ず(拡大縮小に未対応)、かなり離れた場所が目的地だとその方向しか矢印で表示されない。このゲームでは島が連結されている構造なので単純にそっちに向かえば良いという風にはなっておらず、地名を聞いただけでその場所を判断出来るようになるのと、島から島への渡れるルートを把握するまではちょっと苦労するかもしれない。それとマップが押している間しか表示が出来ないのは不便な気がした。切り替え式の方が半透明で画面は見えるので便利な事も有る為(理想を言えば透明度の調整をサポートしてもらいたい)。



☆DAMAGE
 衝突に関しては各オブジェクトには重量がちゃんと設定されており、軽い物ならともかく重い物に当るとダメージを受けるしスピードが落ちる。例えば車と正面衝突すればそこで止まってしまうし、ある程度の接触程度でも挙動は乱れる(Midtown Madnessの様に弾き飛ばしてというゲームでは無い)。タイヤはちゃんとパンクするようになっていてハンドリングに影響するし、ダメージでガス漏れを起こせば凄い勢いでガソリンが減っていく。通常はダメージを示すゲージは表示されないので詳しくは分からないが、スピードが出ていない時はぶつかってもほとんどダメージは無いのだが、スピードが上がった状態でぶつけると大きなダメージを受けるという設定のようだ(特に正面から行くと)。ダメージが大きくなると煙が出始めるので見た目でも分かるし、ある程度のダメージを車(ガソリンタンク)に受けると車は爆発する。爆発まで行かなくてもタイヤが取れてしまい走れ無くなるケースも有るし、横転したりハマッて動かせなくなる場合もある。

 重要なのはゲーム上でのダメージのバランスが非常に厳しい点。完全に破壊されるまではある程度の余裕はあるものの、車の性能低下はちょっとしたダメージでも起きる。元々車にパワーが無いこのゲームはそのちょっとした能力の低下でもミッション達成の為の致命傷となるケースが多く、ダメージに関する扱いはその意味では非常にシビアである。更に車が衝突した場合に中に乗っている人間もダメージを受ける。よってHPが一桁だと一度でも衝突したらそれで死んでゲームオーバーといった窮地に追い込まれるケースも。

☆戦闘
 車を使った戦闘について。まず車自体を使って敵を轢き殺すという事は可能である。もちろん相手は避けてくるので一撃で倒すにはある程度のスピードをつけておかないとならない。また車の中から銃を使って攻撃する事も出来る。これは走っている状態でも可能(難しいが)。ただし逆に車は完全な防御壁とはなってくれない。車に乗っている状態でも相手の銃の攻撃によってダメージを受けるし、最悪の場合車がダメージで爆破されると乗っている者は即死である。よって車に乗っての戦闘は相当な危険性と引き換えに行うものとなるのは憶えておこう。



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