シ ス テ ム |
ゲームの”トップダウンに近い視点の三人称”というスタイルについてだが、これは昔よく有ったこのスタイルのゲームのファンであるというのがまずはあったそうだ。昔はハードの制約が多かったので、2D横スクロールや2Dトップダウン(完全に頭上から見下ろすような形)でスクロールするといった選択肢しか無かった。その後ハードの進化と共に3Dでの表現が可能になった為にこの手のゲームは消えていった訳だが、現在のテクノロジーを使用して新たに作り直せば面白い物が出来るのではないかという発想も含まれている。 まず重要な選択肢としてCamera Modeが存在しており、デフォルトのFix(固定)とFreeを選択可能である。Fixはマウスの動きによって背景の方が動くというモードで、常にプレイヤーの照準は中央を向いているというスタイル。普段FPSをプレイしているプレイヤーには感覚的にも分かり易いモードである。一方のFreeはマウスの動きでプレイヤーの向き(照準の位置)が動くというモードで、カメラキーを押した状態だと背景の方が動くという切り替え式の操作となる。コンソールのアクションゲームに向いた操作方式と言えるだろう。 Fixの場合には全方位からの攻撃に対して、照準を回転しながらそちらに向ける必用がある為にマウスの動きが忙しくなる(遅れる)という欠点があるが、Freeだとどの方向にでも素早く切り替えて撃てるのでその面では強い。ただし慣れないと狙いが定め難いという欠点がある。また画面上のプレイヤーの位置がセンターに自動固定されてしまうので前方の視界が短くなるという問題も持っている。 なおこのレビューはFixのカメラ視点でプレイしたものを基に行っている事をお断りしておく。 高低のカメラ位置(ズーム率)は自動調整という仕様で、屋内と屋外で切り替えが行われるのみ。遠くを見る為に引きのカメラ視点にしたりとかは出来ない。カメラの上下方向の動きも無いので遠くを観察したりも不可になっている。よって戦闘中に敵が画面外に出てしまうというケースもあるのだが、このゲームには見えない弾を撃ってくる物はいないので(弾は見て避けられるタイプ)、その点はそれ程問題にはならないと言える。 視界はトップダウンというシステムなので独特。本来であれば見えるはずの前方の視界が限定される代わりに、屋根の部分が透過している事がほとんどなので部屋の中を外から窺い知る事が出来るようになっている。 操作するキャラの他に登場する仲間も存在しているが、彼らにコマンドを与えて戦うということは出来ない。敵からのダメージで死んだりもないし、こちらの攻撃でダメージを受けたりもしないので、たまに移動の際に引っ掛かる程度でストレスにはならない存在である。 キャラクタの操作は単純で、歩く・走るの切り替えも無いし座るという操作も無し。スタミナといった概念もなく、体力はヘルスのみで防具は無し。ジャンプは無くスペースキーでローリング動作を行うが、これは通常移動よりも速いので戦闘時には多用する事になる。それとFixでは照準は方向を指示する為だけに表示されるので、敵に照準その物を合わせて攻撃するのではなくてその方向に敵がいれば当たるというようになっている。 |
GAMEPLAY |
全11ミッションでプレイ時間は10-15時間程度。難易度は3種類から選択可能。 タイプとしてはシンプルなアクション・ゲームであり、とにかく敵を倒して先に進んで行くというスタイル。事前の発表では意外性に富んだストーリーを用意・多彩なキャラクタの登場・カットシーンを多用してのストーリー解説、といった話だったが実際にはそういう物は大して含まれていないし、また敵が賢いのでTacticalな要素も強いとあったがそういう要素も無い。よってアクション要素のみというゲームが好きな人にはお勧め出来るが、そういうのが好みで無い人には全く向かないゲームである。なお暗いシーンが多くライトが必須な点からホラー要素を期待する人も多いと思うが、実際には屋根を透過して部屋の中が見えてしまったりするので恐怖感は薄い。 アクションゲームとしてのバランスについてだが、一つ目の特徴としては防御力重視の要素が含まれている。この手のゲームにおいては、大量の敵相手のシーンではHealthやArmorで頑強に装備し(+200等)、或いはシールドやダメージ増大等のパワーアップを使って戦ったりするのがパターンだが、SGでは防御はヘルスのみで最大値が100となりパワーアップの類も一切無いという風になっている。その為に「多少のダメージを受けても気にせずに敵に攻撃を当てる事に専念する」といった戦い方がやりにくい。勿論敵と自分との強さの相関関係にもよるが、多少戦闘を長引かせてもダメージを受けないようにするという戦い方、敵の攻撃を避けるテクニックが重要となっている。通常の移動速度よりも敵の動きや攻撃は速かったりするので、高速移動となるローリングを多用して敵の攻撃を上手く交わしてから距離を置いて戦ったり、壁や障害物を利用してのヒット&アウェイ攻撃でダメージを受けないようにするのが基本戦法となる。 実際にはバランス的に正面切って戦える場面の方が割合的には多いのだが、SGではセーブが出来ないというシステムなので死によるダメージが非常に高く、その意味でも高確率で「普通に戦ってもそれ程ダメージを受けずに勝てる」という見込みが無いと強気では行き難く、守備力の重要性が高くなっている。 第二に光と闇について。ライト無しでは歩けない位に暗い場所はあまり無いが、同様にライトが必要無いほど明るい場所もあまりない。よってゲーム中の大半はライトを点けた状態でプレイすることになるが、このライトは充電式で切れたら一時的に使えなくなるという仕様。ライトを切った暗い状態だと敵の動きが見え難くなり相当不利になってしまう上に、敵によってはライトで照らさないと姿が見えない物とか、ライトの光で逃げて行く物もいるのでその存在は非常に重要。よってライトを切らさないようにする為に一時逃げる(切れそうになったら隠れてフル充電されるまで待つ)といった戦法も必要となるゲームである。 次に視界について。固定カメラの場合にはキャラクタは画面の手前の方に位置して前方が確認し易くなっているのだが、その分後方が見えなくなっている。よって後方からの攻撃に弱い。モーション・センサーは有るとは言っても、常にそこに視点をやっている訳にも行かないので不意を突かれたりもする。クリアして来た道に敵がSpawnするというパターンはあまりないのだが、広いアウトドアなんかだと後ろから回り込まれる場合もある。 |
戦 闘 |
ゲームの大きな売りでもある要素がカスタマイズ可能な武器。武器は全部で10種類用意されており、それぞれに3タイプのアップグレードが可能になっている。命中率増加・クリップ数増加・弾のダメージ倍増といったものの他に、Secondary
Fireで異なった攻撃を可能にするという改造も用意されている。改造には敵の死体が残すUpgrade
partsが必用で、武器改造画面から目的の改造に必要な数を消費して行う仕組み。 例えばLaser Rifleを改造して細い収束されたレーザー兵器に変えたり、Railgunを改造して壁で反射するようにも出来たりする。Flamethrowerでは液体燃料を撒いておいてそれに着火するという機能、Grenade Launcherでは毒ガス弾、Minigunでは設置型のSentryGunとして使えたり等その改造種類は非常に多彩である。 このゲームの一番の魅力はその爽快感にあり、それには武器の破壊力が一役買っている。これはグラフィックとの兼ね合いもあるのだが、武器の攻撃エフェクトが良く出来ており使っていて気持ちが良い。Grenade Launcherの派手な爆発力の演出、Laser Rifleのカッターの様に敵を切り刻む光線、Flamethrowerの高温で燃え上がる青い炎、Shotgun連射の破壊力等々、派手な戦闘シーンが大きな魅力となっている。 武器の種類や機能も多彩で上手くデザインされており、どのような場面に何を使うかという切り替えを考えるのも面白い。重量級の武器は持つとローリングが出来ないというデメリットが生じるし、敵によっては効かない武器・背後から撃つと効果が増加する武器もあるのでその辺の見極めも必要となってくる。基本的には爽快感重視のデザインであり、火炎での自己ダメージは無しだしRocketやGrenadeの自爆ダメージもかなり近距離で無いと受けないからそれ程気にせず撃つ事が出来る。後は箱等のオブジェクトが破壊可能というのもあるのか爆破系の武器の弾が多くなっており、Rocket LauncherやGrenad Launcherでドカンドカンと派手な爆破を行える。 戦闘の難易度は普通のレベル(Normal)。前半は武器の数が少ないので少々弾薬が少ないと感じる場所も有るが、中盤以降は威力の有る使える武器が多くなり、また改造も進むのでかなり強さが増してくる。若干こちら側が強くなり過ぎるかという感もあるが、爽快感は増すのでデザイン上のバランスとしては難しい所だろう。終盤は弾薬も豊富に手に入るようになってより攻撃力は増すが、敵の攻撃も強さを増すので再び難易度は上昇する。 武器の改造パーツは全ての武器をMaxに持って行くほどは手に入らないが、8割程度は改造可能な程度には入手出来る筈。プレイスタイルにもよると思うが、効果的な物とそれ程でもない物が有るので、その選択は結構難易度への影響度が大きいと思われる。 マップによって難易度が上がって行くという感覚はあまり無く、敵が大量に発生する難易度の高いポイントが点在しているという構成。多くのマップの最後にはボス戦か、強い敵が多く出て来るというデザインになっている。全体的に簡単過ぎる事もないし難し過ぎる訳でもないという感じで、難易度バランスについては上手く調整されている。 SGでは部屋は上から中が見えるので敵の位置が先に分かった状態から仕掛けられるし、突然背後から敵がSpawnして出て来るというケースも少ないので、武器が強くなると肉弾戦を挑んで来る敵への対処は容易くなる(勿論狭い場所で大量に出て来られると難しくなるのは確かだが)。一方で遠距離から弾を放ってくる上に耐久力の有る敵への対処は難しい。障害物や壁を上手く使って敵の攻撃を防ぐのが重要となる。 特筆しておく点としてはGrenade Launcherの使い方が非常に重要なゲームというのを強く感じた。敵に体を見せずに放り込めるタイプの武器が他に無いので耐久力のある敵相手やヘルスが危うい時に上手く使うというのが重要になるし、2ndの毒ガス弾も強い威力を持っている。 敵のAIは非常に原始的であり、こちらに気が付くと後は突進して来るタイプが中心。逃げたりせずに死ぬまで攻撃を仕掛けて来るが、時々こちらが認識出来なくなるのか?止まってしまうと事があるという問題を抱えている。他にはこちらを見失うと再び元の順回路に戻ってしまう事が多いロボット・タイプの物が存在している。こちらのタイプは上手く隠れながら間を置いて背を見せた所を攻撃すれば効果的という事になってしまうが、ずっと追い掛けて来るようにすると難易度が上がってしまうので仕方の無いところだろう。 後は敵の種類がそれ程無いというのは残念な点。ボスを除けば全体を通して10種類もいない。AIが単純ならばバリエーションで補うべきであり、もう数種類でも増やしてもらえれば更に良くなったと思うのだが。 |
問 題 点 |
ゲームにおける最大の問題点は途中でセーブが出来ないという点になる。プレイヤーが任意に行うは勿論の事、チェックポイントでの自動セーブも無い。ミッションクリアした時に次のマップの最初でセーブが行われるのみとなる。セーブが出来ないというゲームは特殊部隊物では珍しくないが、大抵は10-20分程度のミッションでの話である。しかしSGではクリアまでに60-90分程度掛かるというミッションが多く、その間セーブを行う事が出来ないという事になっている。 そこでどういう風にしているのかと言うと、スタート時に予備のLifeを5個所持させておいて、死亡した場合には最も近いRespawn箇所に復活させるというようになっている。この時持っている武器や弾約数は死ぬ直前の状態となり、敵の数もそのままとなる。既に殺した数の分はそのまま出て来ないし、ボス戦であれば既に与えていたダメージの状態はそのまま残っているという意味。ただしLifeを全部使い果たしたらミッションを最初からやり直しになる。 「大多数のプレイヤーにとっては、難易度バランス的にLifeを使い尽くすほど難しくは無いはず」とコメントされてはいるし、実際に難易度としてはラストのマップを除けばLifeの数は十分とは思う。しかしこの方式だと途中でゲームを止める事が出来ないし、またトラブルで落ちてしまったら最初からやり直しになってしまうという問題の解決になっていない。 何でこんな事になってしまったのかと言うと、当初はセーブの必要が無い程度の短いマップを考えていたのだが、それが作っている内にどんどん肥大していって巨大なマップになってしまった。この時点でセーブ出来るようにしようと考えたのだが、エンジンの構造からそれは無理となったので(セーブ可能にするにはほぼ最初から全部エンジンを作り直さないとならない事が分かったので)、Respawnを可能にするという方式で切り抜ける事にしたという話になる。初めて作ったゲームなので経験不足から来る自分達の失敗と非を認めており、次回からはこういう事がないようなエンジンを作りたいとしている。 一時はRespawnを可能にする事でこの件については決着を付けたような形になっていたのだが、やはりトラブルでゲームが落ちた際に最初からやり直さないとならないという点についての反発は大きく、その事の重大さにまた考え直したようで「途中でAutosaveが可能になるようなパッチを作れるかどうか検討している」という風にコメントが変っている。ただ実際にその様な物が出来るのかは何とも言えない。 こういったゲームではボス戦が重要なのだが、残念ながらSGではボス戦の出来が良くない。一言で言えば簡単なのである。ラスボス戦もどうやって倒すのかに気が付けば簡単な部類に入るだろう。 最後のマップの出来もいただけない。ラストは延々と旧来のタイミング・アクション、ダメージを受けるビームをタイミングを見計らって交わしながら進んで行くというスタイルになってしまう。セーブ可能であればストレスも無いが、ここをとにかく慎重に進んでRespawn回数を消費せずにボス戦という流れになるので非常に慎重にならざるを得ない。敵が強くてやり直しならまだ納得出来るのだが、最後に変化を付けようと余計な気を回して失敗している。 マップの切り替えが勝手に行われてしまう箇所が幾つか有って、後で拾おうと思っていたアイテムが取れないままで先に行ってしまったりという事が起きるのも欠点の一つ。 |