背景設定 |
※既にクリア済みの人を対象にしています。ネタバレ注意。 最初に基本的な舞台設定の整理から行いたいが、それに関して先に注意書きを少々。まずゲーム中に語られる全てのセリフや存在する状況証拠を徹底検証している訳ではないので、有力な判断材料を見落としている可能性はある(具体的な指摘があればお願いしたい)。 それと日本語設定でプレイしており、原本となる英語版では未プレイである。何故こんな事を書くのかというと、日本語訳の正確性がどの程度なのかが未検証だから。例えばCH12でDJを見付ける直前の機密情報にはDJの素性が記されているが、そこに「本人が死んだ今となっては...」という記述があり、プレイ時は「えっ、死んだってどういうこと?」となったのだが、その後すぐに生きている当人と遭遇。プレイ中は「DJが死んだ後でないとアクセス出来ない前提で書かれた物が、ミスでその前に入手可能になってしまったのか?」と考えていたのだが、クリア後に英語の方を見てみるとその様な事は書かれていない(誤訳)。続くCH13でのアダムスの機密情報も意味が通らず、これもオリジナルを見ると誤訳だと思われる。よってプレイ中に行われている会話等の訳文が、その意味合いをちゃんと正確に伝えているのかには疑問が残る。 第一にコンラッドの精神状態について。これまで英雄として崇められていたコンラッドは、アフガンでの失敗に続いてドバイでの救出作業も上手く行かなかった。そして機密情報にもあるように、そうなってしまった自分自身を守る為に極端な行動に出る恐れがあるとされている。それが閉じ込められた状況化での、自分が長となる形での市民の統治という形になっている訳だが、その行動の見方としては二つあると思う。 一つは母国へ帰った際に酷い評価を受けたくないという極度の防衛心が、ドバイ内部に閉じ籠もるという行動を採らせたという物で、こちらのケースではまだ正気を保っていると考えられる。もう一つは「自分は神である。何人たりとも私の栄光を批判する事など出来ない。」という一種の狂人的思考による支配。つまり外部から隔離されたこのドバイに、誰も自分を批判する事が出来ない王国を作ろうという狂的な発想からそうなったというケース。これは基になった闇の奥(地獄の黙示録)での設定からして、後者とみてほぼ間違いないと思える。もう一つそれを裏付ける物として、実は初期段階では単に原作の背景設定を真似るというだけで、モラルに関連する陰鬱なストーリーを作り出すという予定ではなかった。ドバイで自分が王となり市民を独裁支配する王国を作り上げた悪人コンラッドを暗殺する為に、ウォーカー率いる正義のデルタ部隊が送り込まれたという単純な設定で、その流れからしても後者の狂気説の方を挙げたい。 第二に第33大隊(コンラッド)による市民統治の手法はどんな風だったのか。なおこれはCIAがやって来てからの戦争状態になる前の話である。機密情報の中には「一部の市民が水等を求めて暴徒化したのを33大隊が射殺云々」といった物が見付かるが、時期的にCIAとの戦争になる前なのか後なのかがハッキリしない。ただしコンラッドの指示で射殺という情報もあるので、コンラッドがある程度前の時点で既に死んでいたとするなら、CIAの到着前(通信の受信前)から処刑行為は行われていた可能性が高いと言える。ポイントはこういった処刑が秩序を守る為には仕方のないものとして実行されていたのか、それとも独裁者コンラッドの指示による恐怖支配の為のものだったのか?である。 1.閉じ込められた状況化での市民の暴徒化を防ぐには、ある程度の強硬な締め付けがないとならないという立場からの処刑(やむおえず) 2.指示に逆らった奴は殺すという、自分達に大人しく従わせる為の見せしめ的な意味合いで、市民に対しては独裁的な支配を行っていた 私の見解としては2番ではないかと。機密情報の中には海外救助隊の人間を殺しているという記載や、コンラッドに逆らった33大隊のメンバーがまとまって処刑されたという情報もあり(おそらく例の死体のこと)、もはやそこまで行くと狂気と言わざるを得ないレベルである。CIA記載の33大隊による処刑行為の各種報告文書も、戦争が本格化する前に書かれている様に見える。よってやむおえずという範囲を明らかに逸脱しているという印象。 それともしコンラッドによる締め付けは最小限の範囲内で、市民達もその統治を歓迎していたとするなら、CIAも「この状況を世界に知られないようにする為に、33大隊を完全抹殺しないとならない」とは考えないと思うし、同じ意味合いからドバイの武装勢力を33大隊と戦争させる様に仕向けるのも困難ではないかと考える。よってCIAがやって来る前の状況は、命の綱となる水の管理は自分達の支配下, 逆らう者は処刑も辞さずという強硬な姿勢の33大隊に対し、市民達の反発が強かったと想像する。 第三にCIAの役割。状況からしてCIAがやって来たのは信号受信の直後。ウォーカー達がやって来る二週間前頃だと推測される。潜入したCIAの部隊は、33大隊も市民もまだ生きている事。そして33大隊が市民を処刑したりという独裁的な統治を行っている事を知る。そこで優先的事項として浮かび上がるのは言うまでもなく、「この状況を世界に知らせてはならない」という点である。特殊な状況化とは言え、米軍が他国の一般市民を独裁統治し、独自の判断によって処刑も行っていたなどという件が世界に知れれば、米国は立場的にトンでもない事になってしまうのは確実。そして何時までも生存者が居る事を隠しきれるとも思えないし、国連査察軍などが入ってきてしまえばそれでお終いとなるのでノンビリもしていられない。 しかし33大隊とどうやって戦うのかとなると状況的に難しい。私は軍事関連に詳しくないが、全滅させる為に同程度(大隊とは300〜1200人程度)の兵士を召集して全面戦争を仕掛けた場合、ヘリ等の兵器が使われている戦争状況が世界にバレないものなのか(偵察衛星といった物が在る)。またこのケースでは米兵同士で殺し合いをさせる訳だから、兵士達への事情説明は不可欠ではないかと思われる。しかし対象が多人数であるほど、将来誰かの口から事の真相がバラされてしまう危険性が高くなる。よって口の堅いCIA直轄の特殊部隊(グレイフォックス)のみで処理する事になったと思われる(グールド, リグス, ダニエルズ等)。 だがそれでは絶対数が足りないので、機密文書にもある様に市民の中に存在していた地元の武装勢力を味方に付け、武器類を提供して戦いを挑む事にする。先にも書いたように33大隊によって圧政を敷かれ不満が溜まっていたのならば、それを打開する為の戦争を仕掛けようという提案は受け入れられ易かっただろう。なおマルチプレイに登場するコンラッドに反旗を翻した33大隊のメンバーで構成されている“The Exile”は、キャンペーン中には言及も無いようだし、Yagerのマルチプレイ全否定のコメントからするとシングルプレイの方には存在していないと考えている。 それと抹殺しないとならないのは市民も同様。市民の口から33大隊によって酷い仕打ちを受けていた事が漏れてしまっては意味が無いので、彼等も全員脱出はさせずに殺す必要がある。そこで全てを解決する策として計画されていたのが水源の破壊。水が無ければ生きてはいけない環境なので、貯蔵されている水を奪う事で33大隊、奪った水を捨ててしまう事でその他の一般市民を全滅させるという作戦である。後は放置しておけばいずれは死ぬしか無く、これなら生き残りを虱潰しに探す必要も無い。当然それを見越して33大隊はゲート(水源)を守っていたが、CIAに騙され利用されたウォーカー達の援護もあってそれは成功する事になる。 個人的に謎なのは「なぜウォーカー達が送り込まれたのか?」になる。先行して到着していたCIAが状況を把握している訳だから、それを知らない外部の増援が来てしまっては困るはず。実際にはそのウォーカー達の助けを借りて作戦は成功した事になるが、もし彼等が現地で起きている事態を知った後に引き返していたら、絶対的に秘密に留めておきたい事実を知った人間を外に出してしまう状況になる(勝手にその辺で喋る事はないにしろ)。 CIAの掴んだ現地の情報が組織のトップに渡った後、これだけの大問題ならば大統領を含めた最高機関へとどう対応するのかの判断が仰がれる事になるだろう。そうなったら秘密裏に進めるのが最重要事項になるので、ウォーカー達を改めて現地へと派遣する意味が解らない。ウォーカー達を派遣した米軍は現地の事態を全く知らされておらず、独自判断で調査部隊を送り込んだという話なのだろうか? 政府上層部が機密保持の理由から「その様な動きはしなくて良い」という指示を出しそうなものだと思うのだが。 |
内容考察 |
正確にはどういうストーリー構成なのかを知りたいという要望が多かったからなのだろうが、発売後に何件かストーリー担当者に対してのインタビューが行われている。以下はその中の主な物。ここではその内容からストーリーの内容を分析してみる。 The Story Secrets of Spec Ops: The Line Dissecting the Horror: The Mysteries of Spec Ops The Line Don't be a hero - The full story behind Spec Ops: The Line ストーリー関連の担当者は3名。メインのシナリオライターがWalt Williamsで彼は2Kの人間。Richard PearseyはYager側のストーリー担当の協力者だが、完成前の時点で退社してしまっている。最後はYagerのリードデザイナーのCory Davis。 Williamsによるストーリーの構造解説は以下の様になる。プレイヤーに対する仕掛けのメイン、もしくはどんでん返しに当たる要素とは、新規ゲームをスタートさせた直後のヘリでの戦闘シーンは、終盤のある箇所を演出として冒頭に持って来たのでは無く、実は生きているウォーカーを操作してプレイするシーンはここだけで終わっている。 ウォーカー(及びその一行)は最後にヘリの墜落によって死亡。その後ウォーカーは真っ赤な砂塵が舞っているかの様な世界で目を覚ます。この世界はWilliamsによれば地獄でも煉獄でも良いが死後の世界で、ここでウォーカーは自らが犯した罪により、無限ループの状態でドバイに来てからの行動を幻覚として見ているというのが真相。 もっと詳しく説明すると、プレイヤーがこの赤い死後の世界(以降地獄とする)の存在を知るのはCH12ラストのヘリ戦終了後だが、冒頭のヘリ戦終了後にウォーカーは死亡してこの地獄に既に落ちている。この時点では彼は死んだ事を知覚しておらず、このドバイへとやって来た時点からの一連の出来事を幻覚の形で見ているという設定。つまり冒頭のヘリ戦の後にドバイへの到着シーンに移るのは、時系列が巻戻ったのでは無くて、そのままの時系列で進行しているだけである。 ドバイ到着シーンからゲームのラストに至るまでは全てが幻覚であり、生きているウォーカーが実際に行った事をなぞっている訳ではない。ある意味では回想とも言えるが、その他の「現在の時点からそれまでにしてきた事を遡って振り返る構成」のゲームとはちょっと異なる。そういったゲームでユーザーがプレイしている過去のチャプターは正確に過去に起きた出来事そのものの体験だが、このゲームではあくまでもウォーカーの精神内の回想に当たるので、見ている物や起きている事が生きている時にウォーカーが体験した実際の出来事と一致しているという保証は無い。例えばそのヘリでの戦闘シーンでは、CH12のラストの幻覚の方はミサイルが飛んで来る様になっており、この攻撃は実際に起きていた事では無いという話になる。 Williamsによれば、「気が付いた人はほとんど居なかった様だが」という前置きで、注意深い人ならばドバイ到着からCH12でのヘリ戦に至るまでの間に、これは(ゲーム内での)現実ではなく、ウォーカーの見ている幻覚であると気が付けるはずとしている。以下に明らかにされている実例を挙げていく。 CH01の初めの方で、トラックの車体にコンラッドが描かれている。これはおかしな話であり、ウォーカーの幻覚という解釈が正解。しかしこの時点ではプレイヤーはコンラッドの顔を知らないし、ここで気が付くのは無理だろう。余談だが冒頭のムービーでコンラッドの顔が映らないのを含めて、トレーラーでも顔が隠されているのはこの効果を考慮しての設定だと思われる。 CH05はデモにおいてもプレイ出来たチャプターだが、ここで高層ビルの一つに巨大な垂れ幕が掛かっており、その顔がコンラッドになっている。ウォーカーがコンラッドに監視されているのを意識している事からの幻覚だろう。ところがこの垂れ幕は進行中に元の顔へと戻ってしまう。あまりにも巨大で堂々と見せられているので、逆に気が付かないという心理を突いていると言えよう(このページ内に比較SS有り)。 CH08の冒頭。階段の場所に大きな木が茂っているが、通り過ぎて後ろを振り向くと木は枯れている(このページ内に比較SS有り)。少なくともここまでは例の白燐弾のシーンには至っていない、つまりウォーカーは正常な精神状態のはずなので幻覚を見るというのはおかしい。にも関わらず幻覚を見ており、それを見ても自身は何もコメントしないという点からも、これが現実の視点からの物では無いという判断が出来る。 CH11でヘビー兵との戦闘シーン。敵とマネキンが切り替わる幻覚の様なシーンが発生するが実際に幻覚の意味。 CH12のヘリのシーン。ここで最も明確にこれは幻覚であるという情報が提示される。「前にもこんな事があった様な気がする」というセリフがそれで、二回目は幻覚なのにここでウォーカー自身も気が付いたという意味。私自身がプレイしている時は、実は現在は病院のベッドに寝ており、死の淵を彷徨っている状態でループする幻覚を見ているという意味なのか?と思っていた。 その他では絵画の目が黒くなっているシーンがあるが、これは目の前に見たくない様な物(死体)が存在する時に発生する幻覚で、それが無いシーンでは同種の絵画でも黒くならずに元のままだそうだ。 最後にシーンが終わってフェードアウトする事があるが、そのフェードアウトが黒ならば現実で白ならば幻覚という設定になっている(これは判らないだろう)。 続いてはレビューでも触れた「エンディングを含めたストーリーの意味が良く解らない」という問題点についての考察。まずはエンディングがどういう風にして決定されたのかだが、エンディングをどうするかについては何回も変更され、実際に完成間近の段階で退社したストーリー担当のPearseyにも、最終的にどういう風になるのかが分からなかったとある。 YagerのリードデザイナーのDavisによれば、こちら側が設定した最終的なエンディング案は2Kからダメ出しされ、エンディングの作り直しを命じられたそうである。その争点とは、「我々はウォーカーを殺したかった。ウォーカーが死ぬという所だけは譲れないとして交渉した」とあり、裏を返せば2Kからは「ウォーカーを殺すな」という命令を受けたという意味になる。それが意味するものは簡単で、要はもしこのゲームがヒットした場合、ウォーカーを主人公にした続編の制作には彼が生きていないとならないという話である。少なくとも彼が生きているエンディングが一つは含まれていなければならないというのが2Kの主張で、対してYagerは必ず死なないとならないという立場での論争となった。そして最終的にはYagerの主張が通ったとされている。 しかしプレイ済みの方にはお解りのように、実際のゲームではそうなっていない。どんなエンディングであってもウォーカーは死んだのだと明示する為には、例えば彼が命令に従って投降するエンディングにおいて、その後に例の真っ赤な地獄のシーンに切り替え、今まで見ていたのは幻覚でしたと提示するとかが必要になるだろう。だがこのエンディングは生き残ったのでグッドエンディングみたいな誤解を受けている様だし、その辺りの説明は非常に曖昧だと言わざるを得ない。 では何故この様な形になってしまったのかだが、私の意見としては「あえて曖昧な説明にしておく」という玉虫色の決着が最終的には採用されたと見ている。Davisの方はウォーカーはどのエンディングでも確実に死んでいるという主張だが、2KのWilliamsの方はちょっと言い回しが違っており、「ウォーカーは冒頭で死んでいるというのが自分が書いたストーリーだが、プレイヤーが別の受け取り方をしたのであればそれが結論であっても良いんじゃないか」的なニュアンスを仄めかしている。 つまり断定的な説明はせずにおいて、もし売れたら続編の為にウォーカーが生き残ったというエンディングが成立する余地をわずかながら残しておいたという事なのではないだろうか。後はちょっとメタな話になるが、実際にはゲームは売れなかったので、実はウォーカーは死亡しているという件をしばらくしてから明らかにする行為は注意されなかったが、仮に売れていたら2Kの上層部から「続編を作る可能性が出来たので、ウォーカーが確実に死亡しているという件は口外しないように」という規制が入っていたかも知れない。 結果的にはプレイヤーへの十分な説明がなされないという状態になってしまい、上記の作り手側からの解説記事を読んだ人でもない限りは、モヤモヤとした感じで終わってしまうので、やはりここが欠点とされるのは避けられないと思う。 |
終盤の展開 |
ここではCH13以降、即ちウォーカーの死亡以降の展開を考察してみる。先のライター達もこのパートの説明はほとんどしておらず、多くの部分を想像で補うしかない状況である。 まずウォーカーはコンラッドの状況をどこまで知っていたのか。CH12で死んでいる訳だから、ウォーカーにはコンラッドの現在の生死について知る方法が無い。だが私の見解では、CH14での迫撃砲のシーンから推測するに、ウォーカーは地獄においてコンラッドの死亡を知覚したと考えている。ここではまた赤い地獄のシーンになり、コンラッドからは「地獄へようこそ」の言葉が掛けられる。地獄がどういう所かなど誰にも分かるはずが無いので全ては想像になるが、コンラッドが既に地獄に落ちていたとして、同じく地獄に落ちたウォーカーには地獄に存在している者同士という状態から、その知覚が可能だったのではないかという見方をしたい。つまりCH15での時間経過した自殺死体の出現は、ウォーカーにはコンラッドが結構前に自殺して地獄に落ちていたという事が分かっていたので、それが幻覚内に出現したと見ている。 この見方の理由としては、CH13以降の不自然さというのが挙げられる。第一に罪の意識による無限ループに陥っているとしても、それは死ぬ前の行動部分だけになるのが普通ではないか。その後のやってもいない行動が幻覚に現れるのに違和感を感じる。次にウォーカーは死亡しているのだから、実際にはCH13以降のロケーションは一切知らない訳である。だがそれにしては風景や建物の造形があまりに具体的過ぎるのがどうにも妙である。そこから導き出される仮説として、地獄においてウォーカーとコンラッドの意識はリンクしており、CH13以降はコンラッドが自分の住んでいる塔に至るまでの風景(隊員達の防御態勢を含めて)を情報としてウォーカーに渡し(共有状態)、それを受け取ったウォーカーが幻覚としてそれを構成しているのでは?という意見を提示しておく。 ついでに書くと、実は作動していなかった無線機の件だが、あの部分が全て幻覚であるという前提に立つと、コンラッドとの通信は本物だったという解釈も可能である。地獄において二人の精神がリンクしているのならば、幻覚の中のシーンでの無線通信において、実際に会話が出来るという風にも捉えられるからだ。 CH13の解釈はシンプルで、これはルーゴの死に対するウォーカーの責任逃れである。実際にはウォーカーが引き返さずに進んだ事から、ヘリが墜落して全員が死亡となった訳だが、そのルーゴの死から目を逸らす為にリンチに遭って殺されたという形で市民達に罪をなすり付けた。このチャプターでの戦闘シーンを幻覚として構成するに当たっては、はぐれてしまったルーゴを必死に助けようとしたのに間に合わなかったという、自分が善人的な形で処理したという話。しかしウォーカーはその責任逃れに対して罪の意識を持っていたので、次のCH14にて「悪いのはお前だ!」というルーゴの亡霊に襲われる事になる。 CH14のアダムスも同様。彼は投降せずに戦って死亡という英雄的な扱いを受けているが、いずれにしろウォーカーは幻覚の中でアダムスが死んだのは自分のせいではないとして処理している。 しかしCH15において選択を迫られる事になる。最後の選択における自殺エンド(何もしないも同じ)は言うなれば自分の責任を認めたというエンディング。これまで自分が引き返さなかったのは悪い事ではない, 自分の選択は仕方がなかったという主張を取りやめ、部隊やドバイがこんな状況(多数の死者)になってしまったのは自分が引き返さなかったという判断ミスに責任があると認めた形になる。そして自殺によってその罪を裁いた。個人的にはこれが一番マシなのではないかと考えている。もしこの反省によって地獄での無限ループから脱出出来たのなら尚更だ。 もう一つは自分の行動は正しかったのだとあくまでも主張するエンディングである(コンラッドを撃つ)。私としてはこれを同一化エンドと呼びたい。同一化とはコンラッドと同一化したという意味で、ウォーカーは自分自身が「自分の採った行動は間違っていないと信じ込んだコンラッド」と同類の人間だと認めたというエンディングになる。同一化と見る理由は、エピローグでコンラッドの服を着ているという他にコンラッドの死体の件がある。(幻覚の産物であるにせよ)拳銃自殺したコンラッドの死体が存在しているが、この死体は自殺エンドではそのまま残っているのに対して、コンラッドを撃った場合には消えてしまう。撃ったのは幻覚の中のコンラッドなのだから、実体としての死体の方は残っているはずなのにそれが無い。それが意味する所とは、自殺エンドはコンラッドとの決別を示すので彼の死体は残っているが、同一化では自分とコンラッドが一体化したという意味なので死体は消えて無くなるということ。それとエピローグの殺害エンドでは、無線機に対する応えがコンラッドと同じセリフになっている。 エピローグでの選択肢。投降エンドは仕方なく裁きを受ける事を了承するというエンディング。米軍全体相手にここで意地を張って戦闘しても勝てないという分析による投降とも言える。深く反省して(既に死んでいるが)コンラッド同様に本国での裁きを受け入れるという意味合いも考えたが、投降前の異常な反応からそれはなさそうだと判断。 米軍殺害は神エンドとでも言うのか、自分(コンラッド)は神であり採った行動は間違っていない。そしてお前達如きがその件で自分を裁く事など出来ないとするエンディング。罪の意識が無いという事でもあり、その後増援の軍に殺された時点でまた無限ループ行きは確実だろう。 |