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[PROS] ◎物理エンジンによる操作系パズルは新鮮 ◎一人称視点+マウスと連動したオブジェクトの操作感により、その場を実際に探索しているかのような臨場感を持つ ◎サバイバルホラーの環境下で行うアドベンチャーゲームという感じのユニークなデザイン ◎謎解きの難易度バランスが絶妙 ◎論理的なパズルがほとんどで謎解きがフェアである ◎恐怖感を生むアクションシーン ◎Redのキャラクター [CONS] ×戦闘が出来ない様にするデザインなのだが、実際には敵を簡単に倒せてしまうので恐怖感が大きく減退 ×ほぼ炭鉱エリアなので景観は単調 ×物理エンジンによる操作が上手く行かないケースがある ×敵の種類が少なく、犬と蜘蛛がほとんどなので怖さも足りない ×ストーリーはほとんど進まない 物理エンジンを大幅に導入し、オブジェクト類を掴んで操作するという点を重視したユニークな作品。FPSの世界では既に物理エンジンの導入は当たり前だが、ここまで深くゲームプレイにそれが関わっている作品はほぼ無いのではないか。Half-Life 2を連想したが、あれよりももっとオブジェクト類への干渉や操作は重要視されている。 一般的なイメージのサバイバルホラーではなく、ほぼアドベンチャーゲームと言った方が適切という印象。私はADVが好きなので面白いと思ったが、戦闘やアクション要素を重視する方には楽しめないかも知れない。また一連のアクションを成功させる必要があるシーンが数カ所出てくるので、純粋なアクション要素の無いADVが好きな方にも問題となる可能性は持っている。ただこの辺は欠点では無く、ユニークなデザイン故の代償と受け止めるべきだろう。 戦闘かステルスかを選択出来るゲームでは無く、ステルスでの進行をほぼ必須とするデザインのゲームなのだが、実際には敵のAI等の問題により、極めて困難なはずの敵との戦闘が簡単に行えてしまえたりとその狙いは達成されていない。ただしプレイヤー側が意図的に戦闘を避けてプレイする事で、制作側の狙いに沿ったプレイを楽しむ事は可能である。 一人称視点で3D空間を実際に歩き回っているので、臨場感としての怖い雰囲気というのは感じ取れる。しかしそれはせいぜい途中位までで、慣れとゲームのシステムを理解してしまうと怖さは減退して行く。それと「強い敵に襲われるので怖い」という狙いが、敵のAIの問題(特に犬の方)を突いて倒せてしまう事から、それによるホラーの演出が失敗している。それ以外では突発的に発生するイベントが怖い程度か。 そしてこのゲームは大半が謎解きで構成されており、そういった謎解きを設定している部屋等では基本的にモンスターに襲われないという設定になっている。何時襲って来るのか判らない状況では謎解きに集中出来ない為に、謎解き重視エリアは敵から隔離されているという意味である。よってその事実にプレイヤーが気が付いてからは、敵に襲われる可能性のあるエリアをほぼ判別出来る様になるので、襲われる怖さはどうしても低下してしまう。 その他では襲い掛かってくるモンスターが見た目に怖くないのと、異様な能力や出現方法を持った敵もいない。同様にグロ系の視覚的な怖さというのも存在しない。或いはショッキングなサウンドによる演出も特に無いし、先が見えない暗闇での探索という要素もあまり持っていない。結論として総合的にはそれ程怖いというゲームでは無い。まあここは謎解きを重視するという観点からは仕方の無い所と言えるが、ホラー演出を行う方のエリアではもっと怖く出来たはずというのも確かだ。 とにかくこれは謎解きが好きな人に第一にお勧め。上に書いたように敵に襲われる心配なく謎解きに集中出来る様なデザインだし、敵と対決もしくはステルスで逃げないとならないシーンはそう多くないので、ほぼADVゲームとして楽しめると思う。なお購入時は続編のBlack Plagueとセットで購入する事をお勧めする。 |