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[PROS] ○ホラーゲームとしての切り口が新しい。リスクにチャレンジして成功している。 ○心理的に非常に怖い ○優れたストーリー ○モンスターとの遭遇が怖く作られている ○非常にユニークなパズルあり ○幾つかの実に悩ましいモラルチョイス ○没入感を保つ為の各種デザインが上手く機能している ○サウンド全般 [CONS] ×パズルの一部が雰囲気を壊す構成 ×単なる移動に費やされるルートが結構多い ×敵の誘導による恐怖感の減退 ×リトライ時のマップ変化要素はカットされてしまった模様 △内容を理解するのが重要なのにも関わらず、現時点では日本語に対応していない |
重要な点について先に列挙しておくと、まず全頁に渡ってネタバレに関しては出来るだけ避けたつもりである。それと付け加えるなら、私は嘘は書いていないつもりである。 *SOMAはホラーゲームであるが、一般的な意味で使われている“ホラー”とは異なる意味での怖さを扱っている。それはホラーというよりは、「ぞっとする」, 「落ち着かない」, 「不安感」といったワードの方が適切だろう。ぞわぞわする様な怖さと言っても良い。 *モンスターのうろつく施設内を生き延びるのがメインのホラーゲームでは無い。出現するモンスターに対峙する恐怖は副次的な扱いで、メインテーマにしているホラーの題材とは関係が無い。 *肝心のテーマが何なのかについては、開発側はプレイ前にネタバレしたくないという立場なので、このレビューでも触れていない *敵は全体を通しても少ししか出て来ない。あくまでも敵から逃げるという要素はサブ的な扱いである。前作Amnesia: TDDや、有名所ではAlien: Isolation, Outlastの様なタイプのゲームでは無い。 *ストーリーを理解する事が重要なゲームであり、その大半の内容がログの残らない会話を通して行われる。よって字幕を読み続けるのが面倒という方には向いていない。将来的な日本語対応に期待して保留して置いた方が良いだろう。 ストーリーに重点を置いたゲームであり、内容としては語りの部分が多く映画・小説的である。仮にゲームが大ヒットしたら映画化という流れも有り得そう。実際に扱っているテーマは既に小説や映画で扱っている作品も在る。ただ切り口が違っており、その題材をより深く精神的な恐怖として採り上げている。なおストーリー重視=スクリプトによる一本道、を連想される方も多いと思うがまるで逆で、プレイヤーに対しては親切に情報を与えず、全部自分で考えさせるというデザインを用いている。よって迷うシーンや何をすれば良いのか突き止めるまでに時間が掛かったりも良くあり、ゲーム中ひたすら考えさせられるという意味ではアドベンチャーゲームにも近い印象。従って常にガイド機能で目標とゴール地点が知らされるスタイルの進行を好む方には確実に向いていない。 ネタバレに関してはなかなかに微妙な要素も含んでいる。ミステリとかでも犯人やトリックをネタバレしてしまうのはエチケット違反という了解が存在するが、それ以外の要素をどこまでネタバレするのかは各人の判断に任される為、その認識の違いを巡って揉め事が起きたりもする。本文でも述べたがこのゲームの構成は、序盤から謎の提示があるのだがそれの解決は1/3程度進められた所で済んでしまい、それと同時にゲームが扱っているメインの題材も判明する。そしてそれ以降はその題材についてのホラーストーリーが開始されるのだが、この題材についてそれが何なのかをネタバレして良いと考えるかどうかは人によるだろう。 最後までそのテーマを謎にして引っ張る構成では無いし、テーマが解る事が以降の怖いストーリー内容のネタバレに直結している訳では無い。よってテーマをネタバレしても、それ以降の展開をネタバレしなければ良いのではと判断するかもしれない。それとハッキリ言って、テーマに触れずにゲーム内容を紹介するのはかなり難しい、と言うかもどかしい。だから感想を書くならそこに触れざるを得ないとする人もいると思う。私はテーマが何か知らない方が楽しめるだろうと判断したので隠したが、同じく何も知らない状態でプレイしたいと考える方は情報収集には気を付けた方が良い。もしプレイ前に単にテーマが何かを知っていた場合、序盤の謎に関しては推測が付いたりして面白味が損なわれる事になるが、後半についてはそれ以上は知らされていないならば楽しめるとは思う。 個人的にはストーリーが気に入ったので高評価。またモンスターに対峙する恐怖に関してはサブの要素と言う事なのだが、こちらも良く出来ており手抜きはされていない。ただし敵はあまり出て来ないし出現間隔も長い為、ストーリー無視で進めて敵との遭遇シーンだけで楽しむには厳しいとも言える。 |