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シ ス テ ム

キャンペーン
 難易度は無し。アイテム持ち越しの二周目やクリア後の別モードは無し。ただしフラッシュライトモード(向いている方向だけしか見えない)とランタンモード(自分の近い周囲しか見えない)という特殊な高難易度モードの選択は可能。


セーブ&ロード
 オートセーブ。セーブ時は画面下にアイコンが出る。注意として無料版ではデータとして物理的にHDD(SSD)には書き込まれないので一度終了させてしまうと最初からとなる。


OBJECTIVES
 現在の目標の参照機能や矢印による方向ガイド機能は無し。ミニマップを含めてのマップ表示機能なども持っていない。


英語
 字幕は一部有り。全部のセリフには付かない。ノートは結構多いがどれもそれ程の分量は持っていない。英語としても平易で難解さは少ない。


その他
 マウスでの操作には対応していない。KBかコントローラーで操作する。

*キーアサイン不可×, 明るさ調整不可×
*スプリント×, 屈み×, ジャンプ×
*照準(カーソル)無し

BASICS
 Pixelated, ローレゾといった名称で呼ばれるホラーゲームは結構多く、一つのジャンルを形成するまでに至っている。ただタイプとしては3D描画のFPS視点で、90年代に初めてゲーム機やPCに3Dアクセラレーションのビデオ機能が搭載された頃の低ポリゴンゲームの様な見た目の物が多い。一方で2D描画&ローレゾを採用している物もそこそこ有るのだが、精細では無いにしろドット絵とされるレベル止まりでピクセル化と呼べるほどに低解像度化されている物は少ない。例えばThe Last Doorの様な作品。これは極度に低解像度化するとホラーとして怖がらせるのが難しくなるという理由が大きい。3Dでのローポリ化なら現代視点で見た際の「むしろ精細ではない事に因る不気味さ」を演出する事は可能だが、2Dでのピクセル化だとあまりにも低品質となるのでそれも困難という話である。

 しかしこのFaithではその逆を突いて、コンピューターゲーム初期レベルの非常に低品質なグラフィックスを用いて皆が怖がる様なホラーゲームを作ろうという意図を持っている。描画品質は解像度が192*160でカラー数も16色程度と少ない。フレームレートも15fps。「こんな物で本当に怖くなるのか?」と疑問を持たれる方も多いと思われるが、そこにはロトスコープと呼ばれる物が使われている。これは実写動画として撮影した映像をべースにそれをトレースする様な形でアニメーションを制作するというやり方で、ずっと昔からあり採用しているアニメ作品も多い。Faithではこのアニメーション化を当時のグラフィックスレベルで行うという手法で新鮮さや怖さを生み出している。解り易く言うなら、現代のCPUのパワーを利用して40年前のゲーム機では困難であったレベルのアニメーションを実現する。だがそれに用いるグラフィックスは40年前のレベルのまま。結果的にそのアニメーションは珍しく斬新な映像となり、ユニークな体験として恐怖を生むという狙いである。


 メインテーマとしては1980年代のアメリカにおける悪魔的儀式虐待(Satanic Ritual Abuse)が背景にあり、これは悪魔崇拝の儀式によって子供達が虐待されているという告発や主張で、当時は実際に殺害されている子供が多数存在しているという考えを持った人が少なからず居た(実際にはそんな事は無かったとされる)。これは田舎の宗教に熱心な地域に特に多く見られ、このゲームではそういった郊外の地域での出来事を舞台としている。

 ストーリーの解説にカットシーンなどの使用は少なく、大半は見付かるノートを読んで理解する事になるのだが、その内容は不気味で恐怖感を生むのに貢献している。悪魔崇拝, オカルト的な事象, 登場人物達の奇妙なエピソードなど、通常ゲーム画面のグラフィックスは古くてホラー要素は薄い分、ノートの記述の方でホラー小説的な怖さを生み出そうとしており、そのクオリティも高くこの点でも評価出来る。ただしゲームの面白さを満喫するには出来るだけノート類を探し出し、またちゃんとそれを読んで進めるという風にしないとならないという話になるので、ノート類を読むのをすっ飛ばしてゲームプレイだけに集中したいという方には良くない点ともなっている。例えばイメージキャラにもなっている這いつくばって移動する男も、彼が何者なのかといった背景を知るにはノートを見付けて読まないとならない訳で、それ等を数多く無視していると何が起きているのかが理解出来ないといった状態になってしまう危険性が高い。

GAMEPLAY
 作者自身も書いている様に1〜2時間程度のボリュームで、その差はどれだけ途中で苦労する事になるかによる(後述)。無料版をプレイされる方は途中では終われないので、もし長引いても余裕の有る時にプレイする事をお勧めする。あるいは一度クリアしてきた部分は二回目以降は早く進められる為に、また最初からでもそれ程の苦労は無さそうとも言えるが。

 ホラーゲームとしては何しろグラフィックスがアレなので、通常の意味での恐怖演出に関しては明らかに現代の物と比較して不利。そこで上でも書いた様にロトスコープを用いたアニメーションによるイベントシーンの演出。それと回収されるノートから明らかにされていくストーリー設定の不気味さという面で恐怖感を生み出しており、確かにそのクオリティは高くて堂々とホラーゲームと名乗れるレベルに達しているという印象。一方でロトスコープによるイベントシーンを除けば、ピクセルホラー特有の「単純な描画だけにむしろ怖く見える」という点に関してはあまり効果を挙げられていないというのが感想で、通常のゲーム画面はあまりにも単純化され過ぎていて3Dのピクセル系ホラーとはまた別物といったところ。


 全体マップは特に広くはないのだが、序盤のアウトドアはループ構造になっているのと木々の生え方に特徴が無いので迷い易い。ずっと同じ方向に進んでいくと元の場所に戻って来てしまうので、迷ったら方向を変えて進んでみたりしないとならなくなる(特殊なオブジェクトの存在する画面の座標は同一である)。屋敷内に入ってからは順路に迷うといった事は無くなるはず。

 現在の目標を具体的に示す機能は持っていないが、大凡やるべき事は理解出来るので詰まるケースは少ないと考えられる。パズル的な要素もほぼ無し。何かを達成すると新しいルートが開けていたりもするので、解らなくなったら周辺を歩き回って変化が無いかを確かめてみるのが良いだろう。

 簡単なチュートリアルも用意されているが、そもそもプレイヤーには出来るアクションが少ないゲームで、WASDかコントローラーのスティックによる移動(8方向)と4方向に向けて十字架を構えるのみ。これが敵に対する攻撃となり、またオブジェクトに対する浄化的な効果をもたらす動作にもなっている。具体的にはこれを向けた際に黄色く点滅するオブジェクトに対しては、しばらく構え続けているとノートが出現する等の反応が現れる仕組み。


 エンディングは全5種類。途中経過は関係なく、ラスト近くのある場所からの行動によって決定される。何によって変わるのかというのは比較的解り易い設定で、全エンディングを目指すのは特別に難解ではないし時間的にも負荷は少ない。それぞれに面白さも持っているので、全部体験するのに時間を掛ける価値はあると言えよう。

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