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シ ス テ ム |
キャンペーン 難易度は無し。アイテム持ち越しの二周目やクリア後の別モードは無し。進行状況を保存するプロフィールは3スロット用意されている。 セーブ&ロード 途中で止める際にはその時点でセーブされる。ちょっと変わっているのはリスタート時は基本的に(現在のチャプターにおける)アトリエからのスタートとなり、アトリエのドアを開けて外に出るとセーブされた地点へと出て来るという形式。イベント等が連続して発生するので繋がっていると見なされる場所ではその先頭地点からのやり直しとなるが、ほとんどのケースではセーブを行ったその部屋へと戻る事が出来る。 滅多に無いがプレイ中に失敗等でゲームオーバー的な扱いとなる際には、直前のチェックポイントへと戻されて続行する事になっている。この場合も長時間の同じセクションのやり直しは発生しない。 OBJECTIVES 現在の目標の参照機能や矢印による方向ガイド機能は無し。ミニマップを含めてのマップ表示機能なども持っていない。 英語 日本語対応。字幕機能有り。ただし画面に表示される日本語字幕は文字が小さいという印象(1080Pにて)。新聞記事や文章類はスペースバーにて読み易い通常文にされた物が表示される。 その他 *キーアサイン可○, マウス感度設定可○, マウス反転可○, 明るさ調整可○ *一人称視点固定, FOV調整機能有り *スプリント○, 屈み×, ジャンプ× *照準(カーソル)はON/OFF可能 *Steam実績対応 ・インベントリー画面は無く、アイテムを持っている際には画面右下にアイコンが表示される ・操作設定画面に出るフラッシュライト(デフォルトFキー)はDLC用の物で本編ではフラッシュライトは登場しない(DLCをインストール済みのケースのみそうなる?)。 |
STORY |
開発チームにはホラーゲーム好きが多く、自分達でも作ってみたいという願望はずっと前からあったそうだ。影響を受けた作品の筆頭はやはりと言うかサイレント・ヒル(シリーズ)。他にはAmnesia: The Dark Descentなど。このゲームに関してはオスカー・ワイルドの著名な小説『ドリアン・グレイの肖像』に強くインスパイアされている。それと日本のホラー漫画家である伊藤潤二の影響も強いそうだ(地元ポーランドでは人気があるらしい)。 ホラーと言っても色々だが、彼等自身は自分達の作品を“Hidden Horror”という名称で呼んでいる。これは明確には理解&解説し辛いのだが大凡以下の様な特徴を持っている。 I *サイコロジカルホラーを拡張させた物 *哲学的あるいは社会学的なテーマを備えており、プレイヤーがそれに対して深い考察を行える様になっている *プレイヤーが現実世界に照らし合わせて考察出来る様な問題がゲーム内に用意されている *正誤の判定が出来ない様な題材(モラルジレンマ等)を持っており、それ等についてどちらが正しいのかといった議論がプレイ後に交わせる ストーリーの語り口はナラティブを採用しており、ストーリーを理解する為の情報集めは大半が能動的である。旧来のゲーム側からストーリーを語るという形式、「クリアに向かってゲームを進めていれば、強制的なイベントやカットシーンにより必須とされる情報はちゃんと全てプレイヤー伝えられる」という受動的なやり方では無く、プレイヤー側から能動的に情報を集めるようにしないと説明が成されないというスタイルになっている。よって自分から情報を集めようとしなければ、重要な基本事項ですら解らぬままにクリアまで到達してしまう事にもなりかねない。有名な作品で言えばGone Home風。ただしこちらは異世界系なので、ストーリー情報無しでイベントのみを体験してのプレイでも面白さは感じられるというのはある。 ストーリーの詳細な背景設定は明らかにされておらず、屋敷内の調度品などから1900年代初頭の話ではないかと推測されているが、より近代的と考えられるアイテムも存在しており議論されている状況。内容の方も同じく曖昧な部分が多く、非常に重要な事項に関してはゲーム内に用意されている全ての情報を集めても「実際には何が起きたのか?」はほとんど断定出来ずに終わる。これは意図的な物で、大半の事項の結末(実際にはどういう事が起きたのか)についてはオープンエンドにしておくという姿勢であり、どんな事が起こったのかは各プレイヤーの想像によって決定されれば良いとしている(それぞれのプレイヤーによってゲームの体験はユニークな物であって欲しいという理由から)。 いわゆるジャパニーズ・ホラーというスタイルで、21世紀に入ってから欧米でも(どちらかと言えばホラー映画の方が有名だが)ゲームにおいて流行しつつある。その特徴の一つが背景設定の曖昧さで、欧米では内容が超自然的とか非科学的であっても、「何故そういう風になったのか、どういう理由で起きたのか?」を全部(非科学的なりに)論理的に解説しようとする傾向が強い。対して日本のホラーでは重要な事項の正解をほとんど説明せずに終わる傾向を持つ。非科学的であれそれの理由や理屈が解説されてしまうと怖くなくなるという思考からであり、最後まで進めても「結局どういう理由や仕組みでそれ等が起きたのか理解出来ないまま」という状況で終わってこそ、そこに「訳が解らない」という理由から漠然とした怖さが生まれるという発想になる。 個人的にはこの発想は理解出来るのだが程度という物もあり、ちょっとボヤかし過ぎではないかという不満は感じられる。エンディングによって起きた事が異なるとかでも良いと思うので、実際に起きた事はもっと明確にして欲しかった。 |
GAMEPLAY |
ボリュームは初回で6時間程度。ただしこれはプレイスタイルによって大きく異なってくる(後述)。エンディングは全3種類のマルチエンディングを採用。 冒頭等の一部を除けばゲームは主人公の画家の精神世界(異世界)において展開される。異世界物の常として部屋同士の接続構造は論理的では無いし、発生する様々な事象・事態も理解不能とか超自然的だったりする。この異世界タイプには「更にそこでやるべき事, 世界設定, 異世界なりの原理等もまるで理解出来ない」という物と、やるべき事等は理解可能という物に分かれるがLoFは後者。異世界なのは自分(主人公)の精神状態が異常だからであり、目的は画の完成を目指す事とハッキリしており、その為には探索してアイテム集め等を行っていれば良いとも解っている。よって探索する世界の方は奇妙な印象で謎を感じさせたりもするが、プレイ中における「何をやっているのか、何をやれな良いのか、とにかく訳が解らない」といった謎感の方は希薄である。 自身のアトリエが拠点となり、ここに有るキャンバスに究極の大作を完成させるのが目的。各チャプターの始めはここからとなり、画の完成に必要なアイテム類を集めながら進める事で徐々に画が完成していく。マップ構造としては屋敷内の数十箇所のロケーションがバラバラに連結されて繋がっている様な形式で、同じエリアが何回か出て来たりもするがその度に内部が変化していたりと一様ではない。一方通行で元に戻ったりは出来ないというのも一つの特徴となっている。どこを通れば進めるのかを探すというのではなく、延々と続く一方通行の世界をイベントを体験しながら1時間位進めてアイテムを入手。アトリエに戻りまた次のアイテムを目指して別の一方通行の世界を進んで行くというスタイルになっている。なお失敗に当たる様な行為をしてしまうと直前のチェックポイントからやり直しといったケースも在るが少なく、ほとんどは何かが起きても(上手く行かなかったと感じられるケースでも)そのまま続行されてしまう。ゲームオーバーとなってメニュー画面に戻される事はおそらく無い。 マップやイベントの作り込みは見所の一つとも言え、プレイ前に想像していたよりも遥かに金と手間(人員)が掛かっているという感想で、インディーズ会社からの小品というクオリティではない。イベント類は豊富でバラエティにも富んでいるし、全体のボリュームは膨大とは言えないが十分に楽しめる量を備えている。 進行ルートはほぼ一本道でメインルートの分岐は無い様に思う。だが選択肢は結構多く用意されている。例えば開けられるドアが複数用意されており、片方は進行ルートで片方は閉じた部屋。しかし進行ルートの方を進んでしまうとすぐに背後でドアが閉まって戻れなくなるので、先に部屋の方を開けて入っていないとそちらには行かれないという状況は多々出て来る。あるいは出来る事が幾つかあって、その中のどれを行うかといった選択肢。解法が複数有る時にどれを用いて進めるかという選択もある。この辺りのどの部屋を探したかやどの手段を用いたのか等が、どのエンディングに到達するかに関係してくるというシステム。 謎解きやパズルは少な目であり、また難易度も低い。ほとんどが近くで必要なデータが見付かるという形式であり、長時間解らずに詰まる場所はほぼ無いというレベル。よって謎解き系が好きという方には物足りないだろう。アクションの成功を要求されるシーンも無いし、時間制限的な要素も無し。体験型のゲームでチャレンジ要素は持っていないというデザインにされている。暗さについては見え難いレベルで暗いという場所が少なく、そういう場所では壁の電源スイッチや燭台とかで補える事がほとんど(フラッシュライトは無い)。 ホラーゲームとして見た場合には雰囲気重視のホラー、もしくは歩き回る世界の異常性を重視した物という感が強い。精神的に異常を来している主人公の画家の頭の中の奇妙な精神世界を体験するといった風で、奇抜さや不気味さという要素の方を前面に押し出している。またはストーリーの方にかなり大きな比重を置いているとも言える。とにかくプレイヤーを怖がらせよう&怯えさせようという姿勢は見られず、ジャンプスケア要素は一応含まれてはいるが薄味である。ジャンプスケアの三要素と言えば“突然・ドアップ・大音量”となるが、LoFでは突然発生する驚かせ系のイベントはドギツイ物(例: 突然モンスターに襲われる等)では無いし、何かに襲われる“ドアップで眼前に出現”といったタイプのイベントはあまり怖くないように出来ている。理由はネタバレも含まれるので詳しくは説明出来ないが、プレイヤー側にこれから何かが起きるというのが事前に予測出来るケースが多いので特別にショッキングなイベントにはなっていないの意味。故に「ホラーは好きだがジャンプスケアは苦手」という方でも問題は無いと思う。個人的には直接的なホラーには頼らないという姿勢は支持したいが、もうちょっとストレートな恐怖感の方も加えた方が良かった様に思える。 一番怖いと感じたのは主人公の画家の狂いっ振りで、気味が悪いと言うのか猟奇的と言うのか、彼の求める至高の大作を完成させる為の手順というのが普通ではない。完全に言動が狂っているならまだしも、その他の思考や行動は正常なのだが特定の部分だけがおかしいという事でより狂気が感じられる。 なおこのゲームはP.T.には似ていない。P.T.に影響を受けたゲームという情報が散見されるが、確かにそうなのだがちょっと意味合いが異なる。自分達がゲームショーに出展する事が多いBloober Teamでは、ホラー好きが多い為に同じく出展している他社のブースのホラー物を見て回ったりするのだが、3DタイプのFPS/TPS形式のホラーゲームは全て判で押したように“サバイバルホラー”であり、これ以外のタイプでは市場に通用しないのかとガッカリする事が多かったそうだ。ところがP.T.が世に出て絶賛された事により、「サバイバルホラーでは無い純粋なホラーでもクオリティさえ高ければ成功する」, 「ユーザーのリアクションからしても売れる為の市場は十分に在る」となって、このゲームを作ろうと会社が決断するキッカケとなった作品という意味での「影響を受けている」になる。 内容的には「単なるコピー品には見られない事を意識してP.T.とは似ない様に制作した」と述べており、ゲーム性の方は少しだけしか似ていない。ゲーム性で最も影響を受けているのは先に書いたようにサイレントヒルシリーズとなる。(私自身はP.T.のプレイ動画を半分位視たことがある程度だが)両者の違いを挙げていくと、P.T.は狭い廊下が延々とループする設定で閉塞感が強いが、LoFは単に次々に変化して行く構造の中をずっと進んで行くという方式で閉塞感や閉じ込められている感は無し。ループという意味でも同じ部屋や似た様な廊下が度々出て来る事はあるが、30分, 1時間とかかなりの間を置いての出現になるのでループしているという感じは受けない。P.T.の様にドアを開ける度に同じ場所が繰り返し出て来るという形式のエリアは一つだけだったように記憶している。他には微妙に変化する箇所を見付けるという進め方でも無いし、難解な謎解きが用意されている訳でも無いし、どういった世界観なのか理屈や設定が意味不明という世界でも無い(世界観や目的は明確)。 マップ内には様々なアイテムや文章類が存在しており、こういった物を見付けてストーリーを補完していくというのが基本。それ等は引き出しや戸棚等の開けないと見付けられない場所に多く存在しているし、注意深く探さないと判らない床や壁等に隠された様に置かれているケースもあり。そこでプレイを通して探す事になるのだが、新しい部屋や廊下に遭遇する度に「どこか開けられる場所はないか?」, 「反応のある箇所はないか?」となる上に、実際にアイテムが存在している確率の割にはインタラクト可能な引き出し類は多く、プレイ時間は6時間と書いたが少なくともその半分はこういったアイテム探しに費やされたはず。よってアイテム探しを無視するならば2,3時間でクリアは可能である。別エンディングを目指してのリプレイ時等ならば早くクリア可能という意味でもある。 それと関連して問題が感じられたのは照準(カーソル)。こういったゲームでは没入感を重視する為にHUDレスの仕様が多く、それと合わせて照準もゲームをプレイしている事を意識させるので消すという方が多数派。LoFではデフォルトではオフだがオンにも出来るという仕様なのだが、この照準が非常に小さなドット表示なのでとても見え難い。ところがアイテム探しの為に反応のある場所を探す為には照準はハッキリと見えていた方が便利であり、その意味で照準の見辛さにはストレスを感じる事が多かった。そもそもインタラクト可能な場所に合うと大きなアイコンが表示される仕様なので、それはOKならば照準も大きくて目立った物で構わないだろうと考えてしまう。 そして複数段の引き出しの様にインタラクト可能な場所が狭い範囲に集中している際に目的の物に合わせるのに失敗するという問題もあり。それとマウスでドアノブ等のオブジェクトを掴んでから実際に動かしたい方向へとマウスを動かしてやるという操作方式なのだが、これが上手く行かずにやり直したりさせられるケースも結構あった。反応が過敏で強く動き過ぎて戻って来てしまったりや、マウスをグルグルと円を描いて回す回転操作が上手く行かなかったり等。 |