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問 題 点
 それが最終的な目標だから盛り上がりを期待と言うのもあるのだが、集めた10枚の写真を並べ替える所には不満が残った。模擬テストと最初の患者#251に関しては必要となる5枚の選択と並び替えはスンナリと済んだのだが、他の三人の患者についてはスッキリとしない解決に終わっている。こういったパズルでは、正解を推理 → これで当たっているだろうという手応え → その通りに正解して満足、という流れで解く側に満足感が得られるという図式になるのが理想。しかしここでは、何通りににも解釈が可能だしハッキリした手掛かりも無い為に推理が困難 → とりあえず勘も含めてトライするが不正解 → それが連続 → その内に正解する → なんでそれが正解なの? といった感じで、単なる試行錯誤で終わらせても満足感が得られない。

 正解を提示されても、「それならこの写真とこれは順番が入れ替わっても同意なのでは? 何故その順番でないとならないのか」とか「これが含まれるよりもこちらなのでは」といった感じで疑問が残されてしっくり来る解決にはならない。トラウマを解説するというのは厄介な仕事というのは理解出来るし、人間の精神はその様に曖昧な物だと言われるとそれまでだが、最後まで良く解らないままに終わってしまうので不完全燃焼感が残るのは否めない

 また正解が判明しても各患者のトラウマ分析が明確に完了する訳では無く、#418と#909については結局どういう事だったのかが私には明確に解らなかった。想像でこういう意味だったのか?と自己補完して終了である。以下の高度ニューロマッピングが参考にはなるが完全では無い。


 インターフェースにも問題があって、貼った写真は再度手に持ってアップで参照する事が出来ない。下段の物は並べ替えモードを外れて直接見るという事が可能だが、上段の物はそれが出来ない。よってより詳しく画がどうなっているのかを再確認したいという時に不便。それと日本語化されている点はありがたいのだが、写真に書かれている原文を見たいとなっても同じく出来ない(原文の書き方等が並べ替えの参考になるのではないかという際に)。

 なお理解出来ないというのは並べ替えの正解に辿り着くのが難解という意味にもなるが、そちらはアシスト機能が用意されているので大きな問題にはなっていない。並べ替えを5回失敗する度に不必要な写真が1枚消えるヒント機能が付いているため、もし25回失敗すれば必要な5枚だけが残る計算。残り5枚を並べる組み合わせは120通りあるが、そこまで行けばさすがにある程度は並びを限定出来るだろうから詰むという恐れは無くされている。

高度ニューロマッピング
 クリア後には二周目モードとして高度ニューロマッピングが用意されている。これは同じ患者を同じ様に治療していくのだが、今度は自室の患者選択の初期メニューにより詳細にトラウマを分析する為の追加調査項目が加わる(10〜14項目)。それぞれに患者自身からのコメントが付けられており、これをヒントにしてそれに該当する物を探したりするモードとなる。具体的には精神世界内でそのアイテムにアクセス(拾い上げる)したり、特定の場所に行ったり(そちらを向いたり)で達成される。達成の進行状況は自室のパネル上で参照出来て、そのアンロックされた項目に関しての患者のコメントが見られる様になるので、より深い理解が可能になるという設定である。

 しかしインターフェースとしては不親切で、ヒントとなる自室のパネルから見られるコメントはプレイ中にはアクセス出来ないし、達成状況も知る事が出来ない。各項目の達成時に画面下に表示されるアイコンを見逃さない様にするしかない。


 全てを達成するとした場合の難易度は相当に高い。理由は以下の様になっているから。

・カーソルが変化しない対象アイテムが有る
・持ってから回転させて目的の場所を見ないと達成されないアイテムが有る
・同一エリア内でもシーンが変化する前、あるいは変化した後にのみ限定でアクセス可能な物が有る

 その上にマップ進行は初回の通りで後戻りは出来ない一方通行。もし取得に失敗して通り過ぎてしまった場合、自室の画面から再開を選択してマップ内状況をリセットしまた最初からやり直すしかない仕様である(取得済みの項目はリセットされない)。

 患者の精神状態をより深く理解することが出来るという設定は、このモードをプレイさせる為のモチベーションとして上手いアイディアとは思うのだが、もうちょっと移動や進行に自由度を設けて欲しかったところ(マップ内の任意のセーブポイントに戻れる等)。

GRAPHICS & SOUND
 Unity 5を使用。グラフィックス設定のプリセット3種。個別の設定項目は無し。

 患者追加のアップデート時に既存患者のマップの方もグラフィックス面でアップデートさせたそうなのだが、それでも設定項目の少なさからも想像が付く通りにあまりグラフィックスは優れているとは言えない。悪いというレベルでは無いが、テクスチャーの質とか各種エフェクト系などは平凡なクオリティに留まっている。たまに出て来るアニメーションなども粗い出来映え。ただし奇妙な世界観のエリアにおいては、リアルなシーンでは無いだけそれが目立たないので助かっているというのはある。


 ボリューム調整可○。3Dサウンド非対応。ボイス有り。毎度のことだがホラー系で3Dサウンドに対応していないのは痛い。サウンド自体には力を入れているらしく、BGMもエフェクト音も種類が豊富である。

BOTTOMLINE

[PROS]

○非常にユニークなプレイ感覚を持っている
○独特で効果的なホラーシーンを幾つか備えている
○奇抜な精神世界を含む
○高度ニューロマッピングはリプレイ性を高める意味で良いアイディア
○カーソルの変化やサウンド補助機能は親切
○細かい部分まで日本語化されておりその質も高い
△バイオフィードバック機能に対応しており持っていればそれを楽しめる稀なゲーム


[CONS]

×患者数が少ない
×そのトラウマがプレイヤーに理解出来ない類の物だと効果が薄れる
×記憶の写真の並べ替えが曖昧で謎解きとしての達成感が得られない
×トラウマの内容が完全には理解出来ないままで終わる患者が居る
×タイミングを要するアクションシーンは必要無い
×下方への視点移動範囲に制限があって操作がやり辛い
△高度ニューロマッピングのクリアはリセットが絡むので面倒(もっと親切な仕様だと良かった)


 対象の精神世界内に入り込むという設定のゲームは他にも存在しているが、プレイ感覚としては独自の要素を備えている。そんなユニークなゲーム性に満足はしているしプレイして良かったとも思うのだが、凄く面白かったのか?となるとそうでも無いという不思議な感覚を覚えたゲームである。不満な点も幾つか有ったが、総合的にはプラス面の方が大きかったので楽しめたとは言える。それとバイオフィードバック有りだとどこまで変わるのか判らないが、将来的に機会があれば試してみたいとは考えている。

 一般的な意味でのホラーシーンはそれほど多くは無く、とにかくプレイヤーを怖がらせようとするホラー推しのゲームでは無い。また奇抜な精神世界を連続して提示してくるといったデザインでは無く、外観は普通に見えるシーンも結構多く含まれているのでとびきり変わった印象を受けるという物でも無い。どうにも掴み所がないと言うのか、勧めたいとは思うがどういう風に推したら良いのか悩まされる作品となっている。ただ「とにかく怖いゲーム」, 「とにかく奇天烈で変わったゲーム」という方には向かないと思う。


 患者数の少なさはやはり不満が残るがアップデート後は一応ボリュームもアップしているし、二周目モードも入れればプレイ時間はそれなりに長いので対価格比としても改善はされている。大幅なセールも既に行われており、そのセール時に買えばボリューム面での不満も軽減されるので興味を持ったならその時を狙っても良いだろう。すぐに買ってやった方が良いというほどのお勧め品では無く、粋な小品といった感じの作品である。

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