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シ ス テ ム |
キャンペーン 難易度は無し。アイテム持ち越しの二周目やクリア後の別モードは持っていない。 セーブ&ロード オートセーブ(1箇所のみを上書き)。他にチャプター単位でのセーブ有り。セーブ時にそれを示すアイコンが出ないので何時セーブされたのかは解らないという仕様。異なるキャンペーンの進行を管理出来るセーブスロットは3個。 OBJECTIVES 現在の目標の参照機能, アイコン表示や矢印による進行方向ガイド機能は無し。ミニマップを含めてのマップ表示機能は無し。 言語 日本語対応。だがゲーム内には一切のテキストや会話が無い為に、日本語化されるのはメニュー画面とゲーム内のHUD表示のみ。 その他 *キーアサイン可○, マウス感度設定可○, マウス反転可○, 明るさ調整可○ *一人称視点固定, FOV調整可○ *スプリント○, 屈み×, ジャンプ× *照準(カーソル)無し *コントローラー対応○ *Steam実績対応 ・ゲーム画面内のHUDの表示は雰囲気重視を望む人の為にオフ設定にも出来る。 ・FOVはデフォルトでは最小値で、動かすとビジュアルに異常発生の恐れといった警告が出る ・どういう風に使うのか, 何が出来るのかといったガイドの類は無いので、一種のヒントとして操作キーの設定項目は確認しておく事(行える操作が解るから)。 |
BASICS |
ストアの解説文はある程度前に公開された物がそのまま修正されずに残されており、実際の内容とは異なる箇所が有るのでそれ等を先に示しておく。 ・オープンエンド× → 各ACT内はある程度自由に動けるが進行はリニア。異なるACT間を自由な順番で訪問・探索は不可。 ・スキルを手に入れ× → キャラクターの能力を変化させる様な一般的な意味でのスキルの選択取得要素は無い ・ムービーシーンは存在しません× → 別撮りのムービーは無いが、プレイヤーの操作を離れてイベント状態になる事はある ・「この不気味な旅では何かを見落としても救いはありません。すべてに理由と目的があり、あなたはそれを突き止めるだけでいいのです。」× → これは制作者がインタビュー等で繰り返し述べている主張と真逆である。詳しくは後述するが、何かを突き止めるのが目的のゲームでは無く、何も突き止める必要は無いというコンセプトのゲームである。 キャラクターや世界について何も説明されないままに探索を続ける一人称視点のアドベンチャーゲームとでも言えば良いのか、何とも内容の説明に困る作品である。主人公として操作するキャラクターは体型などは人間風ではあるが現世界の人間とは異なっている面もありヒューマノイドと称されている事が多い。人間に近い進化を遂げた宇宙のどこかの生命体なのか、あるいは人間が宇宙へと進出した先で異なる進化を遂げた末裔なのか。ロケーションや(地球の現在基準で)いつ頃の時代なのかについても説明は無い。 ビジュアル的にはH.R.ギーガーやズジスワフ・ベクシンスキーの影響を受けており、グロテスク, 性的イメージ, 終末感などが漂っているとは言えるが、ゲーム内世界の今の状況, 倫理観, システム等がどうなのかは謎。他にはハーラン・エリスン(SF作家)の影響も有る様に感じられた。 ストーリーに関して言えば何も説明はされないし、解らないままに終わる。ゲーム中にナレーションによる解説は無いし、主人公が喋ったりやNPCとの会話も無い。文書の類も出て来ない。メタ視点からプレイヤーに対して状況や内容が説明されるとかも起きない。では映像を見てさえいればストーリーは理解出来るのかとなると、理解出来ない様なイベントや内容が多くて何も解らない状態で最後まで到達してしまう。 特にラスト近くの進行はインパクト大。感動するとかではなく、「一体これは何が起きているんだ?」という驚きのままに終了する。別の言い方をすれば、ここまでプレイヤーの理解を無視して投げっ放しなのはある意味凄いという終わり方。ただそれでも“見物”と言ったら良いのか、これを体験する価値は大いにあると思う。 ストーリーが良く解らない作品では、制作サイドが「隅々まで探索して良く考えればストーリーや世界観が理解出来るはずです」という立場を採る物も有るがこの作品はそうではない。あるいはストーリーが理解出来なかったらクリア後に解説しているサイトを探して確認するというプレイヤーも居ると思うが、製作サイドではそういった行為は無意味だという立場でもある。 「全ての内容の理解は各プレイヤーに任されており、プレイヤーがこうなっていると考えた事がこの世界の全てである。ある絵画(抽象画?)を観てどの様に感じるのかは各人によって異なる様に、ゲーム世界の理解は全プレイヤー間で異なる物であって構わない。公式の世界設定ではどうなっているのかを聞かれる事が多いが、それを公開する事に意味があるとは考えていない。全てのプレイヤーの理解には正しいも誤りも無く、感じた事がそのプレイヤーにとっての正解である」 つまりプレイしてみて「こういう話なのではないか?」と感じたらそれを正解にして欲しい。それ以上他者の考察を探して理解しようなどとする必要は無いというスタンスである(自分の感覚を最優先するべき)。何一つとして理解出来なかったのならば、それはそれで理解出来なかった話という結論でOKという事。そもそも正解の(or誤った)考察はネット上を探しても存在しないのだから、ストーリーの正解を確認して納得することは出来ない。もちろん他者の考察を見てみる事が無意味という訳では無く、他者の考察が自分の考察とどう違うのかを比較する面白味などはあると言える。 しかしこれは単なる制作側の主張であって、何も説明されないから最初から最後まで一体自分(主人公)は何を目的として行動しているのかは解らないままに何時間もプレイする事になるが、そういう状況下でのプレイは耐えられないという方。もしくは終了してストーリーが理解出来なくても「その解らないままで良いです」というのには納得出来ないなど。そういった人は向かないゲームと言えるだろう。 |
GAMEPLAY |
クリアまでは8時間程度。この時間は、見落としが無い様に慎重に探索, スプリントはあまり多用せず, 実験的に繰り返しリトライ有り, 進行不能バグに気付かず時間浪費、といった面を含んでの物である。一般的には6時間程度でのクリアが平均の様だ。一番プレイ時間に影響するのはパズルでどれだけ詰まるかになるであろう。ちなみにこのゲームは内部でプレイ時間を計算しているが、この計算値がおかしいという声は複数見掛けた(実際よりも合計値が少ない)。 全体は各ACT(チャプター)を連続してクリアして行くリニアな構成で、分岐要素は序盤に一つだけ(どちらかしか選択出来ない)。一方で各ACT内はある程度自由に動き回れるオープンな構造になっている。結構広くはあるもののスプリントが無限に可能なので移動が物理的に大変というレベルではない。また迷うほど構造は複雑では無いが、全体構造をイメージするのは困難という位には入り組んでいるという印象である。ジャンプやVault(乗り越え)不可なので通れない箇所は多く、段差部分はやってみなければ通過可能かは判断出来ない。 景観は素晴らしくその中を歩き回っての探索は面白い。大幅にという程ではないがACT毎にデザインには個性があり、それぞれに異世界感を十分に味わえる。このゲームで最も優れている点と言われれば個人的には世界の風景や雰囲気になる。残念なのはボリューム不足感もある事でもっと長時間より多くのロケーションを回ってみたかった(最終的にはカットされたマップも幾つかあるそうだ)。 気になる方も居ると思うので各種の問題になりそうな表現関連について書いておくと、ギーガーの影響という件から性的な表現が連想されたりもするが、これは主に最後のACTにおいてある程度は出て来る。数少ないが(男性)性器が描画されるシーンも在り。流血, 怪我, 内蔵の露出や損傷表現は全体を通して結構有り。ただし凄くリアルな描画というレベルでは無い。あとは個人によって基準は異なるがグロテスクと感じられるシーンは何箇所か出て来る(ネタバレにもなるので具体的な記載は省く)。表現を規制する様な設定オプションは無い。 ここからはゲームプレイ面でのメインコンテンツとなっているパズルに関して記載する。各ACTでの目的は出口から次のACTへと向かう事だが、それには単に探索するだけではなく出口までのルートを確保しなければならず、それにはパズルを解く必要があるという風になっている。それぞれのACTにはマップ全体を使った大掛かりなメカニズム(装置)が用意されており、マクロ視点では各パートがどういった形で連動して動くのかを理解しなければならない。一方ミクロ視点ではマップ内の各所にて(そこだけで解決可能な)パズルを解いたりミニゲームをクリアしたりが要求される。つまり順次マップ内に散らばっている仕掛けをクリアしながら段階的に装置類を稼働させていき、最終的には出口を開く場所まで到達するという流れになる。 オブジェクト類の操作方法などのヒントは無いし、異世界 or 異文化という設定から直感的には操作方法等が解り辛い箇所も多い。一方でインタラクト可能なオブジェクト類はやや離れた場所からでも白ハイライトで示されたり、それが現時点で使えるのかどうかも表示してくれたりと親切な面も有り。 感想としては全体メカニズムは順次出来る箇所から解決していけば段階的に進んで行くので特に難しくは無い。対して各所での“そこだけで完結する単体パズル”の中には難易度が高い物も有り。特にACT3の「ランプ点灯パズル」は実績の達成率から高難易度を主張している方がいたが確かにそうなっている(実績のほとんどはストーリーを進めていけば解除されるタイプだが、このパズルの突破後の達成率が大幅に落ちている)。難易度が高い原因の一つとして、今の時代は解らなければ攻略動画やサイトに頼れば何とかなってしまうという面があるが、このゲームのパズルにはリセットして最初の状態に戻せないタイプの物が存在している(スライディングパズル等)。よって最初の状態から解く方法を教えているガイドを見ても参考になるとは限らない(どうしてもと言うならチャプターの最初まで戻ってやり直すとかしかない)。 評価の方は大掛かりなメカニズムを作動させていく過程にはある程度の面白さは見られるが、一番の欠陥と思えるのは局所的な各パズルに普通な物が多い所。意味不明なパズルは(アドベンチャーゲームのコミュニティでは)嫌われる傾向にあるが、Scornは全くの異世界なので意味が解らない方がむしろしっくり来て、現実世界に存在しているポピュラーなスタイルの物には違和感を憶える。これだけ異世界感を醸し出しておきながら、出て来るパズルは普通に我々の居る世界(ゲーム内)で見られるスライディングパズル(タイルを滑らせる15パズル系)や連動するライトの同時点灯パズル等が多いというのはそれを損なっているという意味である。訳の解らないパズル路線で押すべきではなかったかと感じられてしまう。 ※なお発売当時大きな欠点として評価を下げる要因となったセーブポイントの問題については、発売2週間後(2022年10月28日)にリリースされたUpdate 1.1.8.0にて改善されているので、この日付前のレビューでセーブに関して批判している件は無視して構わない。 具体的には、死亡時しかチェックポイントからのリスタートが出来ず、普通にゲームを終わらせると遥か前からやり直す羽目になっていたのを普通にチェックポイントからやり直せる様に変更。チェックポイントの数が少ない上にその場所も変という問題を、数を増やすと共に適切な場所にCPを設置することで解決。上記パズル等についてもパズル開始直前にCPを設けて解らなくなったらリセット可能な物も有ったりと親切に変更。破損しているセーブデータの検証機能を追加等。 私も実験したりしてみたが、死亡後に「チェックポイントから再開」と「メニューに一度戻ってから再開」だと開始地点が異なるケースが有り、もしかするとこれは現チェックポイントにてヘルスや弾薬が少ない状態でどうにもならない時の対策(詰み回避)なのかもしれない。 |