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シ ス テ ム |
キャンペーン 難易度は無し。アイテム持ち越しの二周目やクリア後の別モードは備えていない。 セーブ&ロード オートセーブ。セーブスロットは一つだけ。 OBJECTIVES 現在の目標の参照機能は無い。方向ガイド機能に似た物は有り(後述)。ミニマップを含めてのマップ表示機能なども持っていない。 英語 2019/10のアップデートで遅ればせながら日本語に対応。字幕と文書の両方が日本語化されている。文書量自体は少な目なのだが、記述内容が重要なゲームだけに有り難い対応である。 また入手するメモや文書のテキストが、手描き, 文字が小さい, フォントが様々等で英語ネイティブの方々からも読み難いという問題が指摘されていたのだが、同じく最新アップデートにてプレーンテキストでの変換表示に対応したので格段に読み易くなっている。 その他 *キーアサイン不可×, マウス感度設定可○, マウス反転可○, 明るさ調整可○ *一人称視点固定, FOV調整機能有り(80〜100) *スプリント○, 屈み×, ジャンプ× *照準(カーソル)無し *Steam実績対応 キーボード設定を変更不可の上にキーボードレイアウト表も用意されていない。一度だけガイドが表示されるのみとなり、大して使用するキーはないとは言っても不親切。また表示はメインキーのみで代替使用のキーについては試さないと判らない。例えばWASDで移動だがカーソルキーも使える, RMBでシャウトするがQキーでも可能等。キャンセルはスペースバーが使える。なおこういった操作が可能と画面に表示されるまではその操作は出来ない仕様(スプリントはShiftキーを使うとガイドされるまではスプリント出来ない等)。 |
BASICS |
一人称視点で実際にマップ内を歩き回れるスタイルのホラーゲーム。敵から逃げ回ったりステルスで身を隠したりの逃走型ホラーでは無いし、戦闘やリソース管理の概念は無いのでサバイバルホラーでも無い。よってサイコロジカルホラーという事になるのだろうがこのゲームにはパズル要素も存在しておらず、単に探索を進めてイベント等に遭遇するだけとなりウオーキングシミュレーターに近いとも言える。 これを書いている現在Steamでのゲームの評価はまあまあという程度なのだが、この評価を下げている原因の幾つかは純粋なゲームプレイ以外の件に関連していたりするので、先にその辺を説明しておこう。 第一にゲームのターゲット層、もしくは扱っているテーマに付いて。スタート時に「ある種のユーザーの方には危険なのでプレイにはお気を付け下さい」的な定番の警告文が表示される。ホラーゲームを数多くこなしていると「ああ例のアレね、心臓の弱い方にはお勧めしませんとかの」という受け止め方になる訳だが、実はこのゲームはある特定の層を不安・不快にする恐れのあるコンテンツを扱っている。その層とは現在妊娠中や小さな子供を育てている母親である。これはユニークさという面からはプラスにも捉えられるのだが、ホラーゲームのターゲット層としてはニッチ過ぎるというのが問題。女性ゲーマーの割合がどれ位なのかはゲームの定義範囲をどこまでとするのかによって変わるが、ある程度以上のマシンパワーを要する3Dゲームをプレイしているゲーマーの中では割合は少ないとなるのは確かで、更にこの条件に合致するプレイヤーとなると相当少なくなる。そうなると実際のその立場にあるプレイヤーに絞って心理的な恐怖を与える様なストーリーを提供しても、全ユーザー層を考えると明らかに効果的では無いという結果に終わる。 プレイヤー数が少ない小さなインディーズ会社のゲームとしてなら有りと思うのだが、AAAタイトルでは無いにしろそれなりに宣伝していて売りたい作品としては大きなリスクとなる。個人的にはオリジナリティーという観点からこの点を批判するつもりは無いのだが、ではプレイしていて主人公のロレインの心理が実感出来るのかと言われると、正直なところ良く解らないと言わざるを得ない。 次に採用しているホラーのスタイル。一口にホラーと言ってもそこには、文字だけの小説, 音声だけの怪談(語り), 映像とサウンドを併せ持つ映画やゲーム等いろいろと存在している。ここで「映像とサウンドの両方を駆使出来る映画やゲームこそが最高の恐怖を生み出せるメディアである」となるのかと言えばそうでもない。ラブクラフトの小説が多大な影響を与えている様に、人間の持つ想像力に訴えるという手法はそれに劣ってはいない訳で、あくまでもそれぞれの作品のクオリティと各人の好みによって決まる。 だが3Dの一人称視点ホラーゲームをプレイする側からすれば、映像とサウンドの両面から恐怖感を演出するゲームであるはずという先入観はあって当然。しかしこのThe Parkではそのホラー要素の多くの部分をテキストによる説明に頼っている。つまりホラー小説的な怖がらせ方、あるいは非3Dのホラー物アドベンチャーゲームで良く見られる手法となる。例えば「こんな恐ろしい事が過去に起きていた」という内容が、自分視点からの3D世界で見られる訳でもCGムービーで再現されるのでもなく、入手した文書等によりテキストのみで語られるのが中心となっている。 この方法自体は間違っていないのだが、3Dでの実際の再現を想定していたプレイヤーにとっては期待外れ感は否めない。ホラー小説を購入して「挿絵も無ければ音も出ない」と文句を付けるのはお門違いだが、3Dのホラーゲームは3D描画&サウンドを駆使するのが当然というのは正論であり、この辺りはホラー小説系の演出がメインなのだという周知徹底がもっと行われていれば失望は軽減出来たであろう。 第三にThe Secret Worldとの絡み。トップで言及したようにThe Parkはその世界観の多くをTSWと共有しており、舞台となるアトランティック・アイランド・パークはTSWの世界に存在している施設だし、登場するキャラクター“Bogeyman”(商品頁のSSに有るシルクハットの悪魔風のキャラクター)はこの施設の支配者である。しかし「このゲームをプレイするのにTSWの知識は必要ない」とされている。もし事前にTSWのプレイが必須となると売り上げに大きな悪影響を与えるのは確実であり、これはシリーズタイトルのナンバリング物などでも定番の手法(過去のシリーズ作品はプレイしていなくても大丈夫ですという宣言)。 ではこういうケースではどうするのかと言えば、通常はプレイ前のムービー等で最低限の知識をプレイヤーに対して知らせるという事が行われる。The Parkでは冒頭にそういったムービーは無いものの、発見出来る幾つかの文書類にはテーマパークの歴史などの基礎知識情報は有り。だがそれだけで十分なのかとなると大いに疑問。文書にはメインルートから外れた場所にシークレット的に置かれている物も少数有る様なので全てを読んでいるという自信は無いが、少なくとも自分が見付けた物だけではTSWの世界観の説明は不十分である。クリア後にTSWのWiki等で基礎知識を参照してみたのだが、「これをプレイヤーに伝えないというのは無いんじゃないの?」という情報が幾つも有る。「Bogeymanとは何者なのか」, 「Bogeymanはこのパークで何をしているのか(目的)」等。 なおこの件はストーリー解釈の件とも絡んで更に話をややこしくしているのだがそれは後述。いずれにしろTSWとThe Parkで一致している世界観に関連する情報は何等かの形でプレイヤーに対して与えられるべきであって、その欠如は明らかなマイナス評価となる。 |
GAMEPLAY |
クリアまでは2時間半程度。文書類がちょっと読み辛い表示形式&ネイティブよりは読むのが遅いというのを加えてもこの程度。更に飛ばせる箇所もあるので英語圏の人だと1時間半〜2時間位という人が多い様である。なお日本語化されたのでスムースな進行になる事が予想され、日本人でも2時間以内という人が増えるだろう。ゲームの評価を下げている一番の要因はこの(定価の割には)短いという件だと考えられる。プレイ時間が短い原因をより詳しくみていくと、戦闘やパズル要素が無いので詰まる事はまず無く単に進んで行くだけという構成で、また移動ルートの脇道には何も無いので無視出来る(正確に言えば本当に一部だけシークレット的に文書や意味があるロケーションも存在はしている)。そして特にリプレイ性も無いとなっている。 とりあえず価格の件は置いておくとして、制作者側の主張としては根本的に低予算で短期間制作の作品なのでコンテンツを増やすのは難しい。それと長引かせる為に回収系アイテムを方々に配置しておくというデザインにも出来るが、ストーリーを重視したナラティブなゲームにおいては単に邪魔なだけなのでそういったボリュームの水増しは止めている。むしろどうせだったら意味の無い移動パートは早く済ませてしまえるように、歩きモードのみで進行させるといった時間稼ぎは採用せず、スタミナバー無しで幾らでもスプリント移動出来る様に設定したそうだ(切り替え式なのでずっとShiftキーを押し続ける必要も無い)。確かに私としても無駄に移動時間の引き延ばしで長くするよりはスプリント移動がずっと可能という設定(イベント等の特定シーンは除く)の方が良いと思う。 一方で問題に感じられる設定もあり。幾つかのホラーイベント、具体的には各種のアトラクションは体験せずにスキップしてしまう事が可能。一応それに誘導する様にはなっているのだが、クリアには必須では無い物が複数存在している。自由度という観点からは良いとも言えるが、これだけゲームが短いのであれば強制的に体験させるというデザインにするべき。 プレイヤーを詰まらせる意図は無い為に進行をガイドするシステムも用意されている。右クリックで近くに何かを行えるオブジェクトが有るならそちらに向けて空気を歪ませる波動の様なエフェクトが画面表示される(オフにも出来る)。なお通常の右クリックではロレインがカラムに向けて何かを叫んだりする様になっている。このパターンはかなり用意されており、現在のロレインの心理状況によっても再生ボイスの選択が変わるらしい。 文書類の干渉出来る対象オブジェクトが存在する場合、相当広い範囲で画面上に「ここにXXXが有る」といったガイドが表示される様になっており、左右をキョロキョロと見回して何かないかと探したりする必要はあまり無い。かつメインルートにほぼ全てが用意されているので見逃しの危険性も少ない。 ホラーゲームとしてはジャンプスケアは有り。ただし軽度で、敵に追われるとかは無いので突然&敵に捕まれてドアップ&大音響の類は無し。お化け屋敷のパートも有るのだが、主に子供向けの施設なので特に怖くは無い。精神状態が不安定になると視界歪みや色相変異、ノイズが生じたりと一般的に見られる様なエフェクトは発生するが頻度は少ない。先に書いた様にテキスト類を読ませてその内容で怖がらせるというのが主流となっている。私の評価としてはこちらのテキストによる怖さの演出の方が優れており、肝心のパーク内のアトラクション等による物は怖がらせるという意味では物足りなさが残った。 論議を呼ぶのは自身の住んでいるアパートのパートだろう。このパートは端的に言えばP.T.と同類の手法(同じ短い区画をループ移動させられて、徐々にその風景が変化して行く)を採用している。Slender: The Eight PagesやFive Nights at Freddy'sなど、著名なホラーゲームが生み出したシステムはその後多数の類似作を生み出しており、その意味ではP.T.の手法を真似するのが悪い訳で無い(パクリというレベルほど似ていないのならばだが)。しかし印象としてはあまり宜しくは無いというのも事実。理由としては発売時点ではまだオリジナルP.T.の印象が強い時期(翌年)だったので“真似”という印象がどうしても強くなってしまう点。また階段を降りてループするとかラジオが鳴り続けているとかの類似性があり、もうちょっと変化を付けた方が良かった様にも感じてしまう。だが根本的な問題となるのは本題のアミューズメントパークに関係が無いという所。そして皮肉な事にこのアパートのパートがホラーゲームとしては一番良く出来ている箇所になってしまっている。 ストーリーは最後までプレイしても明確には理解出来ない。様々な要素に関して説明されずに終わってしまう。カラムはどうなったのか?, ロレインとカラムの間に何が有ったのか?といった重要な事項に対して、誰にでもハッキリと理解出来る様なシンプルな答えが用意されている訳ではないし、また以下のどちらの設定なのかも明確にはされない。 A.ロレインの肉体は物理的に閉鎖中のアミューズメントパークに存在している。彼女はそこで現実世界では有り得ない体験をするが、それはこの世ならざる者であるパークの支配者Bogeymanの超常現象パワーに因るものである。 B.全ての出来事はロレインの精神世界内での物であり、彼女の肉体は実際には閉鎖されたアミューズメントパーク内に居る訳ではない いわゆるジャパニーズホラータイプで、「明確に全てを説明して理解されてしまったら怖くならない。だから敢えて説明はせずに理解出来ないままで終わる気持ち悪さと、ゲーム終了後もずっと後を引く怖さを演出する」というのを目的としているタイプ。よって特に意味不明感が強いエンディングを中心に相当な議論にもなっている Ending Discussion [Spoilers]。 その解らなさに輪を掛けるているのがThe Secret Worldとの関連性。TSWではこういう設定なのだからこのゲームにおいてもそれは全てそのまま同じであると解釈するべきである派 VS グラフィックスのデータを借りているだけで全ての設定がTSWと一致するとは限らない派との議論が加わっておりややこしくなっている。後者の言い分としては、TSWを未プレイの人でも問題無いという話なのだから、このゲーム中では情報として与えられない件をストーリー理解に必要とされるのはおかしい。現に開発者自身がコメントしながらプレイしている動画 Special DevStream - Let's Play "The Park!" が有るが、この中で語られている設定にはTSWでの物とは異なる点も含まれていると述べている。 あるいはThe Vanishing of Ethan Carterからの強い影響というのも語られているので、それと同じに「ストーリーをどう解釈するのかはユーザー任せ」という可能性も有り得る。開発側では一応のストーリー解釈を持ってはいるが、各プレイヤーがこういう話だったんだと考えたならそれを正解として構わない。それに対してこれが本当の正解だと訂正する様な真似はしない、ユーザーの数だけエンディングは存在していて構わないという立場の意味。 私としては別に内容が明確にされない話であっても構わないとは考えている。例えばデヴィッドリンチ作品等の観る前から訳が解らない事を予想しての作品なども、その不思議さを楽しむという形で楽しめたりするからである。しかし最終的にはちゃんと説明されるのであろうという予測の元にプレイしてみたら、何が起きたのかが正確には解らないで終わってしまったとなるとやはりモヤモヤ感は残ってしまうし、TSWとの関連性についてもより明確にして欲しかったとは感じる。 |