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GAMEPLAY(続)
 主人公の特殊能力はトレーラーなどで見た方も多いと思うが、サイコメトリーとか残留思念や霊視といった呼ばれ方をされる能力で、残されているオブジェクト類から以前にそこで行われた犯罪(的)なシーンをビジュアルに再生する事が出来るという物がメインになる。この部分は一種の謎解きになっているのだが、どういう風にやるのかについては詳しく書かないでおく。この能力を使っての謎解きは難易度は低目だが新鮮さは感じられて面白い。

 それの前段階の様な形でオブジェクト類からテキストが湧き出る様にしてヒントが得られるという能力もあり。アイテムの意味する情報や、それに対するプロスペローの推察などがテキストとして表示される。こちらは近付くと対象オブジェクトは画面上に大きく名前が表示されるので見落とす可能性はほぼ無い。ただ湧き出る文字の表示は一度だけとなり、再度表示させられないというのは不親切。

 上記の特殊能力の活用については特別に難しい所は無い。しかしちょっとした問題もあってそれはネタバレ無しには説明し辛いので曖昧な書き方になるが、能力発動後の謎解きでは無くて、能力自体の使い方に関して解らないで詰まるというプレイヤーが多くは無いが一定数は居るという件。特にUE3版ではセーブ機能が不完全な為に、このやり方が解らずクリア出来ずに放置したエリアが元に戻ってしまうという欠点が絡んでより大きな問題となった。実は私自身も最初の有名な貨車エリアにて使い方が解らず、そのままにして散策していた次のエリアで「ああ、こうやって使うのか」と理解したという経緯がある。すぐに理解出来るかどうかは運も絡み、理解出来ていなくても操作している内に偶然発動させられるというパターンもあり。各種操作の簡単なチュートリアルは画面上に表示されるので、反って「表示されないのだからここではそれ以上の事は出来ない」と思い込んでしまうというのも影響していると思われる。しかし多数の人間が困っているというレベルでは無い為、不親切で駄目な点とまでは言えないだろう。


 パズル的な謎解きも一部有り。どちらかと言えば特殊能力を用いた謎解きよりもこちらの方が詰まる可能性が高そう。とは言っても謎解きをメインにしたアドベンチャーゲームに比べれば難解と呼べる様な物は存在していない。ただし幾つか引っ掛け的な意地悪な設定のパズルも含まれている。いずれにせよ頭を長時間悩ませる様なパズルを解きたいという方向けの難易度設定では無い。


 エリア別の評価としては、謎解きとして面白い所、ストーリー的に面白い所と様々で、中には凡庸な所も有るが全体としてのクオリティは高いと評価出来る。欠点としては多くの人が挙げているように炭鉱エリアはもっと良く出来たと思える。この件については時間の無さを原因として挙げており、インディーズでしかも十分な資金が無い状態での開発だったので、AAAタイトルの様に延期という選択肢が無かった。本来ならば発売時のバージョンがベータ版相当で、それでプレイテストを行って修正を実施するという形にするべきなのだがそんな余裕は無し。次作ではそこはもっと上手くやるとコメントしている(今作が売れたので資金は増えたはずだし大丈夫だろう)。


GRAPHICS & SOUND
 Unreal Engine 4を使用(Redux版)。グラフィックス設定のプリセット4種。個別の設定項目は多数用意されている。

 グラフィックスは非常に綺麗。エフェクト面で綺麗というのではなくて、写実的でリアリティが高いという意味での綺麗さ。実際に存在するロケーションをそっくりそのまま3D化したかの様な印象さえ受ける。その美しさの実現にはPhotogrammetryという技術が使われている。これはオブジェクトの周囲で多数の写真を撮影して、それを特殊なアプリケーションによって3Dモデル化するという物である。検索すれば実演画像とか詳しい解説も見付かる。公式ブログでの解説。モデルとなったロケーションは地元のポーランドで、こちらに現地訪問してのモデルエリア探索動画なども有り(字幕付き)。ただしマップ内の全てに使われている訳では無く、従来の手法で制作されている箇所も有る。

 スケーリングは200%にまで対応。FPSは30/60/無制限を切り替え出来る。UE3版でも十分に綺麗だが、Redux版ならばより美しくなっている。


 ボリューム調整可○, 3Dサウンド対応, ボイス有り。主人公のボイスはハードボイルドの私立探偵っぽくて雰囲気は良いのだが、非常に低くて小さ目の音量なのでBGMが重なったりすると消され気味になってしまう。この辺はボリューム調整でバランスを取らないとならない。他のキャラクター達のボイスも良い出来だという感想。


BOTTOMLINE

[PROS]

○様々な要素をミックスさせているユニークなゲームプレイ感覚
○?マークが多数浮かぶ様な意外な展開が結構ある
○エンディングは非常に味わい深い
○グラフィックスは写実的で綺麗
○特殊能力を使ったパズルは新鮮味がある
○雰囲気も良く没入感が高い
○Redux版が無料で添付される



[CONS]

×炭鉱エリアは洗練されていない(改善の余地が大いにあり)
×長時間の移動を要するが、自動移動やスプリントのトグル機能が無い
×最終地点にかなり早期の段階でも来られてしまうが、ストーリーを味わうには好ましい設定とは思えない




 ネタバレ無しにどういったプレイ感覚なのかを詳しく語るのは難しいというゲーム。探偵が主人公だが頭を悩ませる様な複雑な推理アドベンチャーゲームでは無くて、主に謎解きをしながら進める形式だが難易度自体は低めであり、歯応えのある謎解きを楽しむというゲームでは無い。ではゲーム性が希薄で探索を重視したウォーキングシミュレーターに分類されるのかとなると、移動は確かに多いが探索がほとんどといった設定でも無い。ただマップ内の景観は実に綺麗なので単に探索で歩き回っているだけでも楽しめるという面も持っている。

 ストーリー面に関しても事前に明かせるような内容がほとんどなく、ほとんど知らずにプレイを始めてこそ最大限に楽しめるといったタイプの作品になっている。ストーリーを深く味わう為に長大な文章が用意されている訳では無く、むしろテキストの量は少な目なので長文読解が苦手という方でも問題無し。

 「XXXが面白かったのならこれもお勧め」といった感じの推薦は良く見られるが、そういった類型作品を思い付きにくいゲームと言える。レビューを読んで特に抵抗感を感じる要素が含まれないのならば、特に面白そうには感じなくてもプレイしてみることをお勧めしたい。

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