<戦闘基礎>
このゲームは見た目もそうならば操作も典型的な3DFPSのそれであり、これだけを見ると3DFPSにRPGの要素を取り入れたゲームに見えるが、実際はその逆でRPGに3DFPSの要素を取り入れた物であるという方が正確である。このゲームにアクションFPSの要素を期待すると肩透かしをくうだろう。おそらくあなたが想像している以上に「直接戦闘」は出来ないし、戦闘スタイルは通常の3DFPSとは違う物である。まずはなぜ正面から敵と戦えないのかを解説していく事にしよう。
1.Medikitが少ない
このゲームでは体が6つのパーツに分かれており、それぞれに100の耐久力がある。つまり体全体では600HPという事になる。という事は単純に考えるとゲーム中に拾う事の出来るヘルスは通常のゲームの6倍ないと釣り合わない(通常は100だから)。ところがとてもではないがそんなにMedikitは手に入れる事が出来ない。1個当たりの回復力はSkillによるが、通常では大して回復は出来ないようになっている。
かといってダメージは受けにくいのかというと全然そんな事は無く、簡単に100、200のダメージは受けてしまう。
また通常のゲームと違いバランスを考えて置かれていないのも結構厄介である。モンスターの配置状況からバランスを考えて置かれているのが普通のゲームだが、このゲームではそうなっていない。更にプレイヤーによって通るルートが異なる事も多く、そのルートによってはさっぱり手に入らないという事も起こり得る。
2.攻撃を避けにくい
基本的に敵の武器は銃器なので弾道を見てかわすという事は出来ない。また移動速度もそれほど速くないので、ロケットのような弾道の見える物も避けにくくなっている。
3.Armorが無い
一応は有るのだが時間制限があって使い切りなので、ここぞという時にしか使えない。Augsで補う事は可能だが、かなりエネルギーを食うのでそうは使えないようになっている。
4.武器の照準
通常敵と正面から撃ち合う場合ピストルやショットガン、マシンガン等を使うわけだが、これらは最初驚くほど当たらない。このゲームでは照準が最初は大きく、合わせ続けると段々と小さくなって行きそれに伴い命中率が上がるというシステムなのだが、Skillが低いうちは収束までの時間が相当長く、その前の大きい状態で撃っても命中率が極端に下がってしまう。そして収束速度を上げる為の肝心のスキルはそう簡単には上げられないとなっている。
5.武器のMOD
武器には改造アイテムが存在し、これらを適用する事で性能を上げる事が可能になっている。Reload,Recoil(反動軽減)、Clip(弾装数増加),Range(射程距離),Accuracy(命中率)。またSilencerやレーザー照準といったものもある。これらを使って武器をレベルアップして行けるのだが、逆にいうとある程度改造しないと武器は使いものにならないという意味になる。Clipが少ないとすぐにReloadする事になり、そのReloadも未改造ならば相当長い時間が掛かる事になるので、その間敵に一方的に撃たれ続ける(もちろん敵にもリロードはあるが)。Recoil性能が悪いと撃つ度に銃身が跳ね上がってしまい非常に使いづらいし(特にスナイパー・ライフル)、Rangeが短いと遠方の敵に合わせた照準が震えてしまい狙う事が出来ない。しかも一度適用すれば済むという物は少なく、同じ武器に地道に同じModを適用して徐々に性能を上げて行くという感じになっている。
6.部位ダメージ
これが最大の厄介な点。これさえなければ上の条件があっても何とかなると思うのだが。耐久力は頭・胴体・両手・両足の6箇所に分かれており、これらにダメージを受けると身体能力が低下してしまうのである。具体的には頭と両手にダメージを受けると武器の命中率、胴体と両足だと移動スピードが低下してしまうという風になっている。通常の3DFPSの場合へルスが1であっても100の時と同様に行動する事が出来るが、このゲームではそれが出来ないのだ。つまり戦闘中にダメージを受ける度に段階的に自分の能力が落ちていってしまう。
まず敵と正面から撃ち合う場合、ダメージを受ける毎に命中率が落ちていくし移動速度が低下して避けられなくなる。よってある敵を倒したがダメージを負った場合、次に現れた敵との戦闘が非常に困難になる。通常は不味ければ逃げるという手があるが、移動速度が遅くなっているので逃げる事が出来ないというケースもある訳だ。そしてこの速度低下というのがかなり早く、半分程度まで落ちるとその後は戦闘が困難になるというレベルである。もちろん戦闘中でもHPを回復してやれば良いのだが、先に述べたようにその為のMedikitが全然足りない。ちゃんと戦おうと思ったら戦闘前には必ずHPを回復させてからという事になるが、戦闘の度にフル回復が可能な程Medikitが無いのである。
こういった観点からこのゲームでは、とにかくダメージを避ける為に敵の視界内に出ないようにして戦うというのが最重要事項である。もちろん毎回そうする必要はないが、敵を見たらすぐに飛び出して戦闘に持ち込むという姿勢ではMedikitが持たない、そしてゲームを先に進める事自体が出来なくなる可能性もある(戻ってやり直さないと)。Medikitに余裕があるならばその時だけ戦うという姿勢でないと難しいだろう。
それと戦闘の難易度バランスがちょっと独特であり、ゲームが進んでもそれほど敵が強くなる訳ではなく、逆に最初からある程度強いという感じになる。最初は簡単でドンドン難しく戦闘も激化していく3DFPSやRPGとはかなり違うイメージだ。仮に普通の3DFPSのバランスがゲーム開始時が10で最後の100まで段階的に上がって行くとするならば、このゲームは40から始まって70で終わりという感じになるだろうか。
なおずっと真正面から戦えないのかというとそんな事はなく、半分を過ぎた辺りからは育て方によってはある程度戦えるようになる。ただしそれは主に特殊能力の力を借りての話となり、通常のアクションFPSにおける戦闘とは異なった物となる。このゲームは素早く敵の弾を避けるとか、移動しながら照準を合わせ続けるという普通のFPSで必要とされるテクニックはそれほど重要ではなく、どの能力をどういったタイミングで使うかという方が大事であり、戦闘の感覚は独特となっている。
根本的にRPG寄りなので、強くなるには射撃の練習ではなくレベルを上げる事が重要である。つまりこのゲームではシューティングが上手い人よりもレベルを上げた射撃は下手な人の方が強い。そういった面でもシューティング要素はかなり薄いと言える。
<戦闘方法>
作者がThiefのコンセプトデザインに関わっている事からもわかるように、このゲームではステルスが非常に重要である。それと同時に如何にして自分の能力の無さをカバーするかというのが重要となる。
1.隠れる
敵に発見されない事が第一。その為には闇から闇へ、物陰から次の物陰へと移動する事が重要である。上手く敵の背後に行かれれば倒す事も出来るし、無理に倒さないでも通過してしまう事が可能だ。その為には敵の巡回パターンを読んで行動したり、自分で隠れる物を持って来たりという事も時には必要になる。
2.逃げる
敵に発見されたらとにかく逃げる。そして隠れて元の配置に戻るのを待つ。見付かったからといって戦うと、その敵は倒せても新たに仲間を呼び寄せてしまう可能性が高い。また役に立つ武器の一つにトランキライザーの矢があり、これを撃ち込んでから敵に薬が効いて倒れるまで逃げるという手も非常に有効である。
3.騙す
特に集団で敵がいる場合はブービートラップが有効である。壁にGas Grenadeを貼り付けてわざと敵を誘き出し、敵が通った時に作動させて全員戦闘不能にしてやるとか。また同じく敵を誘い出して曲がり角等に隠れておいて、突然攻撃してやるのもかなり役に立つ。
4.利用する
ゲーム中には火薬缶やガス缶等のアイテムがあるので、これらを上手く使って大量の敵を始末したり強い敵をも倒したりする事が出来る。もちろんその使い方は各人が工夫しないとならない。また様々なオブジェクトを利用して道を塞いでしまうというのもかなり有効である。敵を入ってこれなくしたり、逆に閉じ込めて効果的に攻撃してやったりとか。
5.狙撃する
遠方からライフルを使って攻撃する。ただしSkillを上げてModを適用してやらないと使い勝手は良くない。
このゲームでは多くの場合敵を戦わずに倒す手段が用意されており、戦闘能力を上げる必要は必ずしもない。Augsを使って倒す事も出来るし、ある種の特別なやり方で強い敵を倒したりも出来る。「結局の所ボスキャラを倒すには強くならないといけない」という概念が存在しないのである。戦闘能力を強化してクリアしようが全く戦闘能力を鍛えずにクリアしようがそれは個人の自由というシステムになっている。
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