3.STORY

 このゲームの表面的なストーリーは、正義の味方として悪を倒すという風な典型的な物となっているが、実は全然そういった話では無い。デモでプレイする事の出来る序盤を見る限りはそういう話に見えるのだが、この後からゲームのストーリーは意外な方向へと転がっていき、まるで違った話になっていく。実際の所何がこのゲームで面白いのかと言ったら、そのグイグイ引き込まれるストーリー展開だろう。面白くてやめられなくなる事間違い無しである。
 ただしどういう風になるのかはネタバレになってしまい、これからプレイする人の楽しみを奪ってしまう事になるので書けない。最後まで謎が謎を呼び、展開が読めないストーリー展開こそがこのゲームの肝となっている。なおゲームの宣伝文句として使われている「世界の運命はあなたの双肩にかかっている」という文句の真の意味はエンディングに明らかにされる事になる。

 このゲームにはストーリー分岐というものは大して無いのだが、その代わりにキャラクターとの相互作用は結構豊富である。ある場所でNPCに対 してプレイヤーが取った行動が、その直後のみならずかなり先の方になってから影響を与えたりする事があるのだ。ゲーム性だけでも一度終わらせたら何回もリプレイしたくなる事間違い無しのゲームだが、その際にはその辺もよく観察すると更に楽しめるはずだ。

 ゲームのラストはいわゆるマルチ・エンディングになっている。他のゲームだとそこまでにプレイヤーが取ってきた行動により自動的に決定され、ベスト・エンディングを出す為にリプレイしたりというケースがほとんどだと思うが、DXにおいては構造がそれらとは根本的に異なっている。このゲームでは終わる前に、どのようなエンディングが有るのかが事前にプレイヤーに知らされるようになっている。つまりプレイヤーは全ての選択肢を予め与えられて、その上で自分自身でエンディングを選ぶ事になるのである。そしてどのようなエンディングを選択するのかは、プレイヤーが社会・人間をどのように考えているのか、言葉を替えていうならその人の人生観で決まると言ってもいいだろう。正解は存在しない。
 選択したエンディングそれぞれのムービーが終了した後に引用される著名人の文句が、何とも言えぬ余韻を残す終わり方が体験出来る。これだけ印象的なエンディングはそう有るものではない。ゲーム史に残る見事な物と言って良いのではないだろうか。


4.難易度

 ゲームでは4段階の難易度が選べるようになっているが、これは戦闘の難易度のみに関係しており他のゲームに関する部分はどのレベルも同じである。まず謎解きは簡単な部類と言えるだろう。何故ならどのようにでも問題をクリアはして行けるからである。戦闘についてNormalでは普通という感じで、序盤は難易度が高い部類に属するが、戦闘のSkillや武器がUpgradeされてくる後半は簡単になって来るという感じ。特に初回はゲームシステムに慣れるまでは序盤はちょっと難しいかも。一度クリア後なら感じも掴めるので難易度を上げても問題無いと思う。或いは非戦闘型で行く人ならEasyにしても、それほどゲームそのものの面白さが損なわれるとは思えないのでそれも良いだろう。

 いずれにしろこのゲームではキャラをそれほど必死に育てる必要はないので、多くのRPGのように最後の決戦までには最低何レベルまでは上げておかないとならない為時間が掛かる、といった事はない。海外のForum等には難しいという声もあるのだが、それは主に以下のような理由によると思われる。

1.戦闘が難しい・すぐ死ぬ
 これはゲームシステムを勘違いして正面から戦っているとか、無謀な事をしているかであろう。ある程度はStealthを重要視しているゲームで、それを無視しても難しくなるだけである。特に序盤はかなりの慎重さが要求されるゲーム性となっている。詳しくは戦闘の解説を参照してもらいたいが、武器の威力は弱いし使い勝手は悪いしで、一般的なアクションFPSのバランスを期待すると外れる。能力が上がる後半は戦えるようになるとは言え、ちょっと通常の3DFPSの戦いとは感覚が違う。

2.自由に行動出来ない
 勘違いしてもらわないで欲しいのだが、「どのようにでもプレイヤーの思うとおりに行動して進んでいく事が出来る」というのと「どんな行動を取ろうが先へは進める」というのは違う。敵がいる所に無策で突っ込んだり横切ろうとすれば見付かるのは当たり前だし、後先考えずにアイテムを消費してしまい、通過する方法は分かっているのだがその為のアイテムが無いので詰まったなどというのは自業自得である。あくまでも自由に行動出来るというのは、計画性と知性に裏打ちされた行動を伴ってのことであるのを忘れない様に。

3.何だか難しい
 基本的な知識が欠けている為に自分からゲームを難しくしているというケースが多々Forumでは見受けられる。つまりあるアイテムを使えば切り抜けられる所でそれを持っているのに使い方が分からずに使っていないとか、Augsの特殊能力を取得していながらそれをよく理解していないとか。戦闘でいえばその武器システムを理解していないとかである。マニュアルを読まずにとにかくプレイして憶えるというスタイルの人も居る訳だが、このDXに関してはTutorialをプレイしたりマニュアルを読んで事前に予備知識を備えてからプレイすべきである。


5.AI

 このゲームの場合隠密行動が主役の為、「敵がどの程度で自分に気が付くのか?」が重要な要素となってくる。これは慣れないとちょっと分かりにくいとはいえ、まあよく出来ている方と言えるレベル。こちらが姿を見せた時にそれに気付く動作とかも結構リアルだし、背後から走って接近した時も人間らしく振り返るのに間が入るようになっている。闇の中にいれば相当近づかれても気が付かれないというのも、ゲームバランス的には良いと思われる。戦闘中に理不尽な能力を発揮しているようには見えないし、不利になるとちゃんと走って逃げる。こちらを見つけた場合にアラームがあればまずそれを押して仲間を呼ぶというのも理に適っている。

 ただし変な所も見受けられる。一度発見されるか或は戦闘になった後に身を隠した場合、しばらくすると敵は以前の場所に戻って前のように巡回を始めるし、逃げ惑う一般のキャラについても何事もなかったかのように元の場所に戻ってくる。よって危なくなったら一度身を引くことで、危機は回避することが可能である。一度攻撃を仕掛けたらその後は常に臨戦体制というのではゲームが非常に難しくなるのは確かなので、これはある意味で仕方が無いと言えばそうなのだが。
 それに関連して味方の死体が転がっているのにまるで無視したりとか、一般人のキャラも気に留めなかったり(一部ちゃんと反応する事はあった)するのも不自然な所だ。不自然と言えば隠れて移動している時は非常にこちらの立てる音に敏感なのに、誘き出そうとして銃を発射してもまるで反応しなかったりとか。また探している時に敵はいろいろと喋ってくれるのだが、「どこかにいるはずだ」、「油断するな」とかは問題ないとして、数発撃たれているのに「気のせいかな」とか喋ったりする場面もある(多分セリフをランダムで出しているから)。

 戦闘中の動作に関してだと、ライフルで狙撃した時に一瞬でこちらの居場所を察知して反撃してくるのには参った。この暗闇や距離で分かる訳がないのにという感じはする。後はロケット系の攻撃がかなり正確でちょっと不自然な印象も。


6.欠点

 個別の項目で幾つか言及しているので、ここではそれ以外の点について

*お金
 システムとしてうまく機能していない感じである。お金を使える場所は少なく、基本的に人と取引する時にのみ使う。大抵は武器やアイテム関連を買う事が出来るのだが法外に高価である。かといってそれ以外お金を使える所がない。特に終盤は金は手に入るようになるが使う所が無いという事になり、システム的に活かされていないという部分である。



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