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問 題 点
 ゲーム全般についての問題点を以下に記す。


 AVP2では何人かの主要なキャラクタを登場させ、それを三種族の争いに絡ませたストーリーが面白い構成だったのだが、今回はシンプルなストーリー構成で特に面白味が感じられず、この点は大きな期待外れに終わった。

 それと関連してだが、ロケーションの使い回しが目立つ。ある種族で登場したマップ(場所)が他の種族のキャンペーンでも繰り返し登場するので、ゲーム全体で用意されているロケーションの数は少なく、バラエティさが足りないのは大きな不満である。他の種族の行動を別の種族側から見るというストーリーの構成上、同じ場所が出てくるのは確かに止むを得ない面もあるのだが、あまりにも種族独自のロケーション数が少な過ぎる。その点で前作の2はバランス良く出来ていた。むしろ今回は「同じ場所で行動する三種族のストーリーなので同じ場所が多くなった」というよりも、「マップを三種族分作り込むのが大変なので流用しよう」という発想が先なのではないかと疑ってしまう。


 全体の長さについてもやはり短いという感想。近年は全体で10時間程度のゲームが多いので、全部をまとめると短くはないのだが、全く異なる三種族に分割されているだけに個々のキャンペーンについては短く感じられる。ロケーションが重なっているだけに余計にもっと長く出来たのではないかと考えてしまう。せめて各6時間程度は欲しかった所。


 大きな問題と感じさせるのが操作の自動化で、ゲームから面白味を奪っている。これは特にプレデター編に顕著である。ブロック&殴るという動作が可能になると、逐一「今この動作を行える」というメッセージが出るというのもアレだし、相手の姿を正面に捉えていなくても、或いは結構離れた場所に居たとしてもメッセージさえ出れば実行可能というのも違和感あり。そしてボタンを押せばキャラクタが自動的にその動作を行ってしまう。トドメを刺すフィニッシングムーブも同じで、キー表示が出たら押すだけで後は行為が行われるのを待つだけとなる。よってやらされている感が強く、自分が直接敵を倒しているという感覚が希薄である

 こういう風にした理由というのは幾つか考えられ、一つ目は一人称視点での近距離打撃戦は間合いが掴み辛いという件で、これは他のゲームでもそうなので仕方がない。二つ目はコントローラーで操作するプレイヤーが全機種含めると多いので、それを考えると素早い移動やエイムの操作はやり難くなるから。例えば敵に視点を向けた状態で周囲を高速で走り回るとか、逆にそれに対抗して視点を追尾する。遠方からのロックオンしての飛び込み攻撃や、それに対するブロックも同様。よってメッセージが出る範囲内ならば、自動的に攻撃が当たったりブロック可能ににした方がプレイし易くなる。第三にシリーズで初めてコンソールに対応したので、コンソールを持っている「映画は好きだがアクションゲームには馴染みが無い」というファンを考慮すると、操作方法は簡単な方が理想である。

 この辺の理由はある程度理解出来るが、これほど極端にはしてもらいたくなかった。同じ近接打撃戦物としてCondemnedが在るが、こちらもフィニッシングムーブは複雑な体の動きを要求される為に、ボタン押し後に自動的にアニメーション処理される。しかしこちらではプレイヤーはそのトドメの刺し方を選択可能となっており、自分で動きを決められるのでやらされている感は減少している。対してこのAVPでは何種類か用意された中から勝手にランダムで選ばれてしまうので(残虐表現との絡みもあるのかもしれないが)、よりプレイヤー自身の操作との乖離間が強い。


 三種族共にマップ内に回収用のアイテムが置かれており、これは「全てを回収する」という実績にのみ関係していてゲームプレイには影響しない。その中で海兵隊編では回収アイテムがオーディオログとなり、見付けた物を再生して状況を把握する事が出来る。ところがこのログはゲームのプレイ中に同時に再生する事が出来ないという原始的な仕様で、再生するとポーズが掛かって専用の再生画面になってしまう。(例えばBioshockの様に再生しながらマップ内を移動出来ない)。また字幕も付かないし、喋っているキャラクタの画像も無い。なのでプレイを途中で切られるのが嫌という理由から、一切聴かないで進めるようになってしまった。特に技術的に難しいとも考えられないし、プレイ中に再生出来ないのは手抜きとしか思えない。


 メニュー画面の階層が深くなっており、またゲーム画面に簡単に戻れないので操作が面倒。各種族別にキーの設定が異なり、また変わった操作性でもあるので、取りあえずプレイを始めてみてその後やりながらプレイし易いようにキー配置を変えていくという姿勢で臨んだのだが、キー設定を変えるのに深く階層を潜らねばならず、ゲームに戻るには再度ESCを同じ回数だけ押して戻らないとならない。コントローラー操作の場合はこれで良いのだろうが、PCのマウス操作を考えてメニューを独自に作り直して貰いたかった。

GRAPHICS
 自社制作のAsura engineを使用。DirectX 11に対応しているのが特徴で、環境さえあれば起動時にDX11とDX9モードを切り替えて使える。DX10の場合でもDX11モードの使用を推奨しているが、DX11特有の機能はオプションから選択は出来ない。なおゲームを持っていなくても、ベンチマーク用ソフト(DX11専用)のみをダウンロード可能である。

 私の環境ではDX11を使えないので、評価及びSSはDX9モードの物となる。DX11の効果やベンチマークについては、pcgameshardware, LegitReviews等に掲載されている。


 DX9モードでは特に綺麗というレベルでは無いが、設定を上げても重くはないので標準的な出来といったところ。良い点はパーティクル(粒子)系のエフェクトで、爆発や火花等の描画は綺麗。反対に生体細胞的な壁の部分や卵等にヌメヌメとした液体的な効果が見られなかったのは気になった。


 ワイドスクリーン対応。メニューからの設定可能項目はマルチプラットフォームのゲームとしてはまずまずの数だろう。



SOUND
 3Dサウンドに対応しているが、オプションに設定項目は無い。4SP環境だと定位感も良く、エイリアンの鳴き声で居る方向が感知出来たりもする。

 主なサウンド素材はオリジナルの映画から流用しているが、スマートガンの様に一部手直しして使用している物もある。

MULTIPLAYER
 マルチプレイには力を入れており、前作からはシステム等が大幅な変更になっている。モードにもよるが最大18人までが参加可能。用意されているモードは以下の通り。


*DEATH MATCH
 三種族が入り乱れてのデスマッチ

*SPECIES DEATH MATCH
 三種族対抗のチームデスマッチ

*MIXED SPECIES DEATH MATCH
 三種族が混合して編成された2チームでのチームデスマッチ

*INFESTATION
 一匹のエイリアンと他は全て海兵隊からスタートし、殺された海兵隊はエイリアンとしてリスポーンして残りの海兵隊を倒す

*PREDATOR HUNT
 一人のプレデターと他は全て海兵隊からスタート。プレデターを倒した者が新たなプレデターとなる。

*DOMINATION
 マップ内の複数のコントロールポイントを奪い合う

*SURVIVOR
 4人までが参加可能なCo-op。難易度が増していく各ウェーブを海兵隊として協力しながらクリアして進める。


 その他ランクマッチにより経験値を稼ぎ、プレイヤーのスキンをアンロック可能。経験値の付かない通常のモードはサーバーが別となる。Dedicated Serverは発売後にサポートされている。

 マルチプレイの方はやっていないので評価は控えるが、大きく成功したとは言えないようだ。Co-opについては閉じたマップ内で単純にエイリアンを倒し続けるだけとなり、ルールにも捻りがないので面白そうには見えない。またデフォルト状態ではマップが2つしか用意されていないのも問題であり、これでは飽きが来るのも早いだろう。キャンペーン風にマップ内を進める設定の方が良かった。


 発売から半年が経過した(2010/08)現在、海外のピーク時には100人を超えるプレイヤーが集まるようなので、まだマルチプレイに参加するのは十分に可能である。ただし人気のモードについては偏りが見られ、種族対抗のSDMとInfestationがほとんどを占めている。掲示板では種族間バランスの論議が活発だが、意見が様々なので実際のゲームバランスが良好なのかについては何とも言えない。



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