GAMEPLAY |
全10レベルで、Normalにて10時間程度掛かった。パッケージには15-20時間のゲームプレイを提供すると書いてあるが、個人差はあるにせよそこまで長いゲームとは思えない。 ジャンルとしては純粋なアクションFPSで、最後まで戦って敵を倒していく事で進められるスタイルになる。進路はほぼ一本道となり、進行の為のパズル要素も希薄。スイッチを入れて次のドアを開ける方式がほとんどで、進むルートを探させるようなタイプのゲームではない。バギーに乗って進めるアウトドアのマップにて、若干ルート探しの要素を含む程度。 ゲームの最大の特徴とも言えるのがその難易度の高さ。実際に高いと思うかは当然個人差がある訳だが、一般的なFPSにおける難易度Normalとの比較では明らかに高いと言える設定で、普通ならばこれはHardと呼ぶのが相応しいレベル。また設定をEasyにしても難しいらしく、その点には批判も起きている。公式掲示板でもそれについてのアンケートが行われており、「難し過ぎる」に2009/07現在で53%が投票している。53%というと少ないように感じられるかもしれないが、昔のGamespotでは見られたユーザーによる難易度投票でも、難しいと評判のゲームでやはり投票率は50%程度という結果が多かったので、「難しい」の意見が5割を超える物は相当難易度が高いと見て良いだろう。 この難易度設定の失敗については開発側も認めており、何故こういう風になったのかについて、「テスターの意見では難易度がHardでも易し過ぎるという意見が多かったのでこの位にした」とコメントしており、広範囲なユーザーへの対応見込みに誤りがあったと反省している。チェコの開発会社のゲームというと難易度が高いというイメージがあるのだが(Operation Flashpoint, Hidden & Dangerous, Mafia, Vietcong等)、おそらく国内ゲーマーの嗜好も並外れて難易度が高いゲームを求める傾向が強いと思われ、それが今回は悪い方に出てしまったという事だろう。大手代理店が付いて力を入れているタイトルならば、代理店側のテスターからのフィードバックにより「もっと易しくするように」と指導も入ったと思うのだが、マイナーなゲーム故に修正が効かなかった。 実は前作のShadeでもレビューで難し過ぎると叩かれていたのだが、後に難易度を下げるパッチを出して対応している。しかし今回はトップに書いたように「自分達はパッチを出したいが許可が出ない」という状態。掲示板で「クリア出来ないのでチートを使いたいが上手く行かない」といった質問に開発側が自ら答えたりと、パッチが出せない事を済まないとは考えていたようだったが、結局UK版については高い難易度のままで放置されてしまっている。 北米版については未プレイなので何とも言えないし、北米版に対する意見なども掲示板でほとんど見掛けないので、どの程度修正されているのか何とも言えない。ただし北米版のトレイラーを見ると被弾ダメージが大幅に減っている様には見える。Easyにしても難しいという点に批判が多かったので、Normalの方はそれ程いじらずにEasyを非常に簡単にしたという可能性もある。 ストーリーの焦点は裏切りと首謀者捜しにあり、一般的なFPSとはちょっと変わった構成になっている。内容的にはハバディウムに関連する機密情報、具体的にはある特殊なアイテムの争奪がテーマである。主人公のArnoldとコンタクトを取ってくるキャラクタは複数存在するが、お互いに「Xは嘘をついているので信用するな。自分を信じて協力して欲しい。」という主張を行い、誰がArmoldを騙そうとしているのかは終盤までハッキリしない。結末はある意味で意外性も持ってはいるが、その終わり方は良い出来とは感じられない。 ロケーションはレベルによって変化するという形式だが、やはりインドアが多くて似たような場所も目立つ。アウトドアを中心とするマップは一つだけで、他は一部の場所で外に出る形になるのみ。SSを見てDoom 3の火星基地を連想された方も多いと思うが、正にそんな感じでやや単調さは感じられる。ただしゲーム自体が短いので、幸か不幸か大きな問題にはなっていない。 問題なのはその明るさ(暗さ)。制作側の意図した明るさに調整する機能は無いのだが、ブルームの効果が眩しい位に極端であり、反射等のエフェクトも加わって画面下部のHUD表示が見えないまでになってしまう。そこで画面を暗くすると、今度は暗い場所で周囲が良く見えなくなる。暗い中をフラッシュライトで照らしながら進めるゲーム性だったらそれでも良いのだが、そうではなくてAIからだけ見えている暗い場所での戦いが増加するという状態になり、更に難易度を増す結果にしかならないとその調整が難しい。ブルームは切って調整するのが無難かもしれない。 ReConの機能は重要という話だったのだが、実際にはアクセント程度にしか働いていない。難易度が高いだけにタレットや地雷を操作出来る場所は有り難いのだが、あまりそういう事が可能な場所は用意されていない。また問題点として戦闘が終わってからそういう物が用意されていたと気が付くケースもある。その理由の一つ目はハッキング可能な場所を教えるセンサーの表示が画面の隅なので、銃撃戦になってから光っても見過ごす事がある。次に先にカメラのような特に有用ではないデバイスを検知後、近くに有用なデバイスを新たに検知して光ってもそれが新規であるかの区別が付けられないので、またカメラを検知しているだけだと思い込んで使わずに済ませてしまったり等。デバイスの種類を先に画面中央に目立つように出すとかの工夫が欲しかった。 物理エンジンにはMeqon game physicsを採用。後にこの会社がAgeiaに買収されたのでPhysXを使っていると思われているがそうではなく、PhysXのドライバは必要としない。ゲーム内のオブジェクトには影響を受けて動く物も結構存在するし、掴んだ後にパワーを溜めて投げたりも可能だが、特に意味は持っておらず敵に当ててダメージを与える事も出来ない。 しかしこの物理エンジンの導入には問題が感じられて、特にゲーム性に影響がないのならばむしろ無い方が良かったと思える。アイテムを取るのは近付くと自動という方式でありそれは便利なのだが、照準を合わせてUSEでは取れないという仕様。その為に近付けない際には取り辛いという事になっている。例えば両開きのガラス戸を開いた場合、扉が揺れ動くので近付いてもそれにつかえてしまい、中の物を取るのに再度USEで扉を動かしたりしないとならない事がある。特にどれだけ早く取れるかが死活問題のシーンではイライラさせられる。或いは目の前の棚に乗っている箱の中のアイテムを近付いても取れない場合、箱を持って引っ繰り返したりしないとならないと面倒でしかない。またアイテムは中が見えない箱の中に入れられている事があるので、一々箱を持って投げ捨てたりして中を確認という方式自体がどうかと感じられる。物理エンジンの効果を見せびらかしたかったのだろうが、箱の数が多いと面倒な作業になる。 もう一つバギーを操作して進めるレベルが一つ在るのだが、その物理的な挙動が酷い出来でまともに運転が出来ない。反応が過敏過ぎて左右へフラフラと動き回り、風船の様に浮いた感じですぐに横転したりしてしまう。その上にマウスで周囲を観察する事が出来ない仕様が更に問題を増している。それで走るだけならまだしも、ロケットを避けたりしないとならないのでストレスが溜まる。 その他に気になった点としては、メニュー画面でESCを押すと終了してしまうので、戻る際にうっかり連続して押して終わらせてしまうケースがあった。 |
COMBAT |
*視点は一人称固定 *銃器は全て携帯可能 *左右へのリーンが可能でそのまま撃てる *右クリックでズーム視点となり、照準が絞られて正確性が増す *移動したり銃身を左右に振ると照準広がって命中精度が下がる *しゃがんでも照準は縮まらない *連射すると照準が開いて、更にリコイルで実際に武器が上へと跳ね上がって行く *ジャンプは重力の影響でフワリと高く浮いてゆっくり着地する *回復はメディキットと回復ターミナルで行う *アーマー類や、HPの値を一時的に100以上に上げるようなアイテムは存在しない 武器の種類は少なく、ピストル, ショットガン, アサルトライフル, スナイパーライフル, 火炎放射器, ロケットランチャーとスタンダードなラインアップ。他は打撃用のハンマーとグレネードのみ。世界設定はSFなのだがその系統の武器は存在せず、これは個人的にはマイナス要素。折角のSF世界なのだから、それを活かしてもらいたいと思えてしまう。近年では実銃やその系統の武器だけで構成された物を好み、レーザー, プラズマ, エナジー系の武器が出て来る物は嫌いという層が増えて来ているのは確かであり、開発者もそういう好みなのかその辺のユーザーへのアピールを考えたのかは不明だが、SF世界という感覚も損なわれるので少しは入れて欲しかった。 逆に敵の方にはSF要素が含まれており、SF系だが敵は人間だけという物とは異なっている。人間型で銃を持ったロボット兵士や、スパイダー型のロボットが敵として登場。特に後者は高速のマシンガンを持ち厄介な相手になっている。 難易度が高い原因としては、敵の反応速度が速い, 敵の攻撃の正確性が高い, 出現数が多い, 被弾ダメージが高い, 敵の耐久力が高い、といった感じで一般的な要素が全て揃っている。まず敵の耐久力についてはそのタイプによって異なり、普通の人間や軽い装甲の敵はすぐに倒せるが数が少なく、アーマーを着込んだ兵士等の出現数が多いタイプはなかなか倒せない。スナイパーライフルのヘッドショットでも3発程度が必要。ロケットランチャーや火炎放射器を持った重装備兵士などは更に堅くなる。 それと同時に武器の破壊力も弱めという印象で、ショットガンもヘッドショットを狙わないと至近距離でも一発では倒せなかったりするし、スナイパーライフルは上記の通りに一撃必殺の武器では無い。特に火炎放射器は敵に火を点けた状態にする事が出来ないので当て続けるしかなく、そうなると多数の敵に火を点けて短時間怯ませ、その間に攻撃という戦法が使えない。更に射程距離も非常に短い為に、どういう所で使ったら良いのか結局最後まで分からなかった。 中でも難題は敵の正確性と被弾ダメージの高さによりすぐ死んでしまう事で、敵の数が多い場合には更に厳しくなる。普通のFPSではそういう場合には障害物の陰からリーンしてダメージを軽減してやる訳だが、このゲームでは敵がなかなか死なないのもあって、リーンしながら戦っていても敵を倒し切る前にこちらの方が死んでしまうというパターンが多い。破壊力が高い方のショットガンも、敵の集弾の前に出て行ける様なバランスではないので使い所が難しい。敵のショットガンで50ダメージ位入ってしまうので、遠距離戦が一番の基本となっている。 銃の弾数も少な目の設定であり、特に中盤は結構シビア。ショットガンの弾は余る位に在るのだが、近距離戦が難しいので使える機会が少ない。メイン武器となるアサルトライフルの弾は死体の落とした銃からは10発程度しか補給出来ず、こればかり使っていると足りなくなる。弾が少なくなってきたらダメージは低いが正確性は高いピストルか、中距離ではショットガン攻撃に切り替えて時間は掛かってでも節約した方が良い。弾が無くなってその地点を突破出来なくなりデッドエンドに陥る可能性も持っており、常時スナイパーライフルの弾を3クリップ(15発)、ロケット弾を3,4発程度は保持して置いた方が無難である。なお弾薬は箱の中に入っている事もあるので、フタが付いて中が見えない箱は逐一中身を確認した方が良いという面倒さも加わっている。 アウトドアでは酸素補給が難物である。Doom 3と同様にマップ途中で外に出るシーンでは酸素ターミナルで定期的に補給を行わないとならず、これにより更に難易度が増している。遠距離から慎重に戦ってダメージを受けないようにしたいのに、そこに酸素が無くなったらアウトという時間制限が加わる為、ある程度は強行突破に切り替えて次のターミナルまで到達しないとならない。しかし走っても敵の攻撃が正確でダメージも高いので強行突破は難しく、酸素補給を要求されるエリアは難所というケースが多い。 回復のシステムについても難しさに関係している。回復方法は2通りだがヘルスターミナルを使う方が多く、+50のメディキットは少な目。ターミナルは+100以上の回復力を持っているが、ある程度は設置場所の間隔が空いている。よってHPが少なくなった場合、通過した場所のターミナルの回復量がまだ残っているのならば、一端そこまで引き返して回復してから先に進めるか?という選択を迫られる。次の補給箇所まで現在のHPで頑張るという方法が常道だが、敵からのダメージ量が多いこのゲームでは「頑張ったが駄目だったので仕方なく戻る」というケースも多くなると思われるので、+30程度を切ったらすぐに戻ってしまった方が結果的には早いという感が強い。しかし通常はそのままで進める人が多いだろうし、そうなるとギリギリのHPで必死になって何回も死にながら頑張るという状況が増えて、ゲームの難しさがより高く感じられるという結果になる。その意味でメディキットの方を多くしてやりもっと小まめに短い間隔でそれを置く方式か、携帯式のメディキットの方が進行のテンポも良くなったのではないかと思える。 同じく回復関連で、ターミナルが通過したドアの裏側面の横に付いていたりと見逃す可能性が有ったり、箱の中にメディキットが入れられていて開けて探さない限りは見付からないという場所も存在する。この難易度で貴重な回復薬を見逃しの可能性が有るというのはキツく、明らかに変だと感じたら戻って見落としがないか探した方が良いかもしれない。 Arnoldは敵の強さに対抗する手段としては定番の能力となる周囲の時間が時間がスローダウンしたように見えるパワーを持っているのだが、これもまたあまり役に立たないという設定なのが辛い。使い方はハバディウムを集めるとメーターが溜まって行くので、任意の際に発動キーを押してそのエネルギー分だけ使えるという方式。停止も自由に行える。これがF.E.A.R.の様に、敵に対して先制攻撃を掛けられて(敵のリアクションがそれ程早くなくて)、銃の連射速度はノーマルのままとかならば効果は高い。しかしこのゲームでは単にプレイヤー側の動きを含めた全ての時間が遅くなるだけで、照準を動かす速度がノーマルのままなだけ。よって敵を一気に倒せる訳ではなく、集団の中に突っ込めば撃たれて大きなダメージを受けてしまう点は通常状態と変わらず。敵のリアクション速度も変わらないので、やはり同じ様に撃たれてしまう。ヘッドショットはし易くなるので若干マシになるという程度の能力でしかない。 よって危機的な状況において生存確率をそこそこ高める時に使うという程度。或いは動き回る敵を仕留めたい時に使う。一番使いたい大量の敵相手には使い難く、少人数の敵相手の方が効果的だが、そもそもそういう時に使ってもメリットが少ないという事であり効果は薄い。到底必殺技と呼べるようなレベルではないのが実際である。それとエネルギー補給の為のハバディウム自体もそれ程量が無く、頻繁に使えるような能力でもないという設定。 敵のリアクションの早さへの対抗策としては、開発側は出来るだけWalkのモードにした方が攻撃前に気が付かれにくいと話しているが、それならそれをプレイヤーに分かるように説明するべきだと思うし、こういったタイプのゲームではデフォルトのRunで移動する人が大半だろう。また常に通用する方法でもなく、気が付かれる時はどうやっても駄目である。 その他の難易度を上げている要素を挙げると、ドアの横に十分なスペースが無い事が多くて、その横に完全に隠れた状態からリーンが出来ない。そしてもっと下がると今度は閉まったドアが開けられないというジレンマに陥る。 続いてグレネードを思った位置に投げ込むのが難しく、常にではないが敵は逃げる能力も持っている。最大の弱みは爆風範囲が狭い点で、相当ピンポイントで敵の近くに投げられないと効果が無い。しかしこれを使わないと困難な位に敵が多いという場面も出て来るので、クイックセーブしてから練習して精度を高めておくのが有効。そこそこ数は有るのでグレネードが上手く使えるようになると結構楽になる。 ストレスが溜まったのが階段で止まれない点。ある種のタイプの階段では停止する事が出来ず、そのままズルズルと滑り降りて行ってしまう。よって階段の途中がベストのポジションとなる場合には、動きながら攻撃しないとならず非常に厄介。 全体的には物凄く難しいという場所はほとんど無い。最大の難所は中盤の某NPCを部屋の中で守るシーンだろう。逆に易しい場所が序盤以外は少ないというバランスになっており、難しいエリアがずっと続いて行くという意味で難易度が高いゲームである。難易度に緩急があまり感じられないとも言える。繰り返しチャレンジすればクリアが出来ないような難易度ではないが、死んでやり直す箇所は多いという構成。 敵に攻撃が当たった際には血飛沫か火花のエフェクトが発生する。遠距離戦が多いので見え難いケースも出て来るが、通常は被弾によるノックバックのアニメーションも行われるので当たっているのかは判り易い。流血表現はあるがすぐに消えてしまう設定。予めマップ内に転がっている死体には損傷表現が有るが、銃撃戦ではゴアは発生しない。 AIの動きはPathEngineと呼ばれるミドルウェアをベースにプログラムされており、障害物が動いても新たに移動パスを見付けて動けるというのが特徴。動き自体はダイナミックで結構なエリアを動いたりも可能であり、止まっている事が少ないので狙い難い相手にもなっている。逃げる際には体を捻って乱射を行ったり、カバーから身を乗り出しての攻撃も行って来る。しかしその反面いろいろと問題も見受けられる。 *決まったルートを行ったり来たりするケースがあり、その間に止まる場所が皆同じ *戦闘エリア内で反応しないで突っ立ったままの者がいる。近くでの爆発にも気付かない。 *こちらを見付けた後に見失うと、すぐに元の状態に戻ってしまう者がいる *オブジェクトに引っ掛かって動けなくなる事がある *前の者が殺されても、同じパターンで次々とやって来る *オブジェクトの影に隠れている状態で、体が見えているのに気付かない。その際には撃たれても死ぬまで反応しない。 *ドアが開くと同時に撃って来たりと、リアクションが速過ぎるケースが見られる プラスとマイナスを合わせると標準レベルという印象。正確性については高過ぎるというよりも、ダメージの設定の方が高過ぎるという方が問題。後はAIにタイプ別の動きの変化が感じ取れればなお良かった。 |