DESTRUCTION |
ゲームの最大の特徴とも言えるのがオブジェクトの破壊要素。ベースにしている物理エンジンはHavokで、これに独自の要素を加えて自前のオブジェクト破壊エンジンとなる“Destruction
2.0”を作り上げている。なおこのエンジンの計算は全てCPUベースとなり、GPUにて多数のシェーダーユニットでの並行処理を活用するPhysXとは処理方法が異なる。よってBFBC2ではCPUのコア数が多いほど物理演算を含めた負荷に対して強く、クアッドコア以上が推奨されている。 壊れないと設定されている一部のオブジェクトを除いては派手に壊すことが可能であり、家等の建物は完全に崩壊するまで壊せる様になっている。シングルプレイでも破壊行為が容易に行える様にデザインされており、グレネードランチャーやロケットランチャーは弾薬ボックスが近くに在れば無限に繰り返し補給可能なので、近くに陣取って連発し破壊を楽しめる。同様にC4が置かれている場所も結構多い。戦車等の車両類にも無限に撃てる攻撃兵器が搭載されているので、これを使ってやはり派手な破壊を行える。 単にオブジェクトを壊せるだけではなく、その行為がゲームプレイにも結び付いており、戦闘時には破壊要素を頭に入れて立ち回らないとならない。基本的な所では木製のカバーはマシンガン類で破壊出来るし、コンクリートや砂嚢のカバーもグレネード類で吹き飛ばせる。敵はカバーに隠れたりするが、それをカバーもろとも吹っ飛ばして倒せるので爽快感が高い。或いは家の窓から撃ってくる敵に対して、壁ごと破壊したり家その物を崩したりというやり方もある。カバー類を通して撃ち抜けるゲームは他にもあるが、これだけ派手に破壊可能なゲームとなるとRed Factionシリーズとか数少ない。 反対にプレイヤーが隠れているカバーや家の壁が、敵のRPGや戦車の砲弾で壊されてしまうケースも発生する。ただし不意の即死を防ぐ為だと思われるが、どれだけ派手に壊れてもダメージは入るがそれですぐに死んでしまうという風にはなっていない模様。(壊された直後の赤ダメージ状態にて、普通に他の敵に撃たれて死ぬことはある)。 常に破壊を考えながら戦うという点で一般的なFPSとは戦闘感覚が異なっており、そこがこのゲームの特徴的で面白い所になっているのは間違いない。2個所持可能な武器の片方をロケットランチャーにしてプレイするというパートが多かった。 |
COMBAT |
一部を除いてはチームでの行動となり、一人で何かをやらされるというシーンはあまりない。味方は自由に動くので指示は出せないが、無敵の設定なので放っておいても特に問題は無い。FFも無しなので、対象物の近くに居ようが気にせず爆破する事が出来る。 味方部隊がどの地点に位置するのかはプレイヤーの到達位置によって変わり、プレイヤーの前方に出て戦ってくれるエリアは多いが、トリガーがもっと前に有る場合には一緒に付いて来て欲しくても到達までは一切動こうとはしない。なおプレイヤーの前に出るとは言っても彼等は無敵なので、一緒に「じゃあ自分も」と前に出てしまうと敵の集中砲火で死んでしまう事もあるので注意。また戦闘能力という点ではあまり敵を倒してはくれず、プレイヤーが主に行わないとならない設定。味方が派手に撃っている割には敵を倒せないのはリアリティに欠けるが、逆にあまりに倒してしまってもプレイヤーに不満足感が残るのでがここは好みか。個人的にはオブジェクト破壊の楽しみもあるのでこの設定で良いと考えている。 戦闘エリアが特に広い訳ではないのだが、周囲の大抵の建物に入る事が可能なので(木製のドア類は破壊出来る)、自分だけ2Fや屋上に登ってカバーの背後の敵を上方から狙ったり、側面に回り込んだり出来るシーンは割と出て来る。その意味で限定された狭い場所で戦うしかないという印象は無かった(マップ内の通常移動はリニアだが)。 一番の大きな特徴は上に書いたように破壊の要素で、通常ならばカバーの背後から敵が体を曝した所を待ち受けて攻撃する必要があるところを、直接そのカバーや家の壁等を破壊して背後の敵を倒してしまうという方法を採ることが出来る。或いは建物自体を土台から破壊してしまっても良い。例えば簡素な作りの監視塔にいるスナイパーを直接撃たずに、塔自体を攻撃して破壊するという事も可能。 アサルトライフルに装備のグレネードランチャーの弾は7発もあるし、ロケットランチャーを持っていればそれも8発撃つことが出来るので(逐次リロードは要)、破壊用の弾薬に困るというケースは少ない。ただしロケットもグレネードも重力の影響を受けるので、離れた目標に命中させるには慣れが要求される。逆に自分が隠れているカバーや壁が敵のRPG(結構居る), ヘリ, 戦車等で壊されてしまう危険があり、即座に反応して別の場所へと逃げないとならないという緊張感も生み出している。 この破壊要素が大変に面白いのは確かなのだが、その代償として欠点も持ち合わせている。プレイヤーが十分に破壊行為を楽しめるように弾薬ボックスやサプライコンテナにて無限にロケットやグレネードが補給可能になっているのだが、それを利用して幾らでも連発が出来るのであまりにもその攻撃が有効になり過ぎてしまう。安全な場所から次々に撃ち込んでオブジェクトを破壊出来てしまうという意味。この無限補給の問題は非常に強力なスナイパーライフルの弾なども同様である。 銃の種類はバリエーションを含めてかなり多く、サプライコンテナにて性能比較も行えるが、シングルプレイでは対戦マルチプレイの様に相手が人間ではないので、同カテゴリ内での武器選択はそれ程シビアに難易度には響いてこない。アサルトライフルなども選択は好みという感じだし、スコープ有りと無し, グレネードランチャーが装備されているかどうか辺りが影響する程度と言えそうだ。マルチプレイを充実させるには性能の異なる多彩な武器類が重要だが、シングルプレイではそれ程の種類は必要無いという点はこの種のゲームで共通している。特にこのゲームではどんな武器の弾薬でも無限に最大まで補給出来る場所が多いので余計にそう感じられる。 大きな違いが出るのは武器種自体が変わった時で、マシンガン系は連射が速くてそこそこ正確だが、その代わりにリロードが非常に長い。スナイパーライフルは貫通して複数の敵を倒せたりと強力だが、ボルトアクションなので連射が出来ないという欠点有りとこの辺は普通。対してショットガンはある程度離れていても当たるのと、Normalならばヘルスはそれなりにあるので、比較的これを使っての接近戦がやり易いゲームと言える。 武器の正確性と威力は高く、ヘッドショットではなくてもスピーディーに敵は倒せるというバランス設定。対してこちら側が耐えられるヘルスの量は自動回復方式のアクションゲームの中ではやや少な目。だが回復速度はそんなに遅くはないので、回復時に長い間が生じてしまうスローテンポのゲームにはなっていない。それと(通常弾では)被弾時の揺れが少ないので、撃たれながらも撃ち返せるため、ちょっとしかカバーから顔を出せないという設定でもない。 チェックポイントの間隔は長くはないが短くもなし。Modern Warfareシリーズほど死に易くはないが、チェックポイントの間隔はより長目という感じ。ヘリとの戦闘の様なボス戦にて、チェックポイントがその開始直前ではなくもっと前の段階まで戻されてしまうケースもある(ただしこの場合、チェックポイントはもっと前に戻されるが、ヘリへのダメージに前回分が累積されていて2回目以降はもっと楽に落とせる設定のように見受けられる)。それなりに死ぬので難易度はNormalでは適切だと考えられるが、MW(CoD)の様な難所が出て来ないのでそれよりは簡単である。破壊行為でいろいろと遊ぶ事を考えるとあまり死に易くても困るので、Normalではこの程度の難しさで良いのではないか。 銃は連射により揺れるエフェクトが生じ、サウンドも良いので撃っているという感覚は良く出ている。命中は血煙のエフェクトが発生するが、かなり濃い赤なので他のエフェクトと重なっても判り易い。被弾時の敵のリアクション動作も多彩である。ラグドールは派手では無いが自然。残念な点として生死を問わず流血のエフェクトはなく、ゴア表現もないので戦場の陰惨さといったシリアスな雰囲気は欠如している。 FOVは変更出来ないので酔うならどうしようもないが、純粋にゲームプレイの面から判断すると特に問題は無いという感想。例えばSerious Samの様に広範囲を視界内に入れておかないと戦い辛いゲームにおいて低FOV固定だと減点となるが、このBFBC2は広範囲の状況を一画面内に捉えていないと困るゲームではない。 いろいろなビークルに乗り込んで移動&戦闘をするシーンは多い。その際の自分の操縦時にはカメラ視点を三人称にも切り替えが可能。運転操作はやり易い方だと言える。これ等の乗り物は累積ダメージ方式で、ダメージが酷くなるとアラーム音を発する様になる。ただし詰みを回避する為に随時チェックポイントが設けられており、破壊されてチェックポイントからやり直しの際にはHPがフルまで回復する方式。 |
GRAPHICS |
自社製のFrostbite Engine 1.5を使用。DX9, 10, 11をサポートしている。DX11ではShader
Model 5を使ってのパフォーマンス改善とソフトシャドウフィルタリングの実現。DX10以上ではHBAO
(Horizon-based Ambient Occlusion)が実装されている。 Deferred shadingを使用しているのでアンチエイリアスはDX9では不可。このレビューでのSSはDX9での物である。 DX9における総合的なクオリティは高く、特に草木の茂っている表現が良いのと、吹雪や粉塵等のパーティクルエフェクトが綺麗である。キャラクターのアニメーションも滑らか。ただ影の描画がDX9ではシンプルになっており粗さも感じられる。DX11にしてHBAOを有効にするとかなり重くなるそうだが、DX9では設定を上げてもそれ程重くならずその点でも優秀だと言えよう。 設定はLowからHighへの三段階のプリセットの他にAdvancedが用意されており、ここでは項目別に設定を変更出来るようになる。 |
SOUND |
Dolby Digital対応。サラウンドに設定しなくても3Dサウンドにはなる。4SP環境にて音の移動感は高レベルで、自分の脇をかすめて飛んで行くRPGの音の移動などは臨場感がたっぷり。 サウンド設定はタイプ別に選べるという珍しい物でデフォルトではHi-Fi。他に大型SPによるフルダイナミックレンジでの再生に適したHome Cinema, 小さなスピーカー用のSmall Speakers等が用意されているが、私の選択したのはWar Tapes。これはそれぞれの音を大きく加工した感じの設定なのだが、まるで映画の中の様な素晴らしいサウンドを体験出来る。WWIIの様に辺り一帯に戦闘機が飛んでいたり対空砲の音が鳴り響いてたりといった大規模戦場は出て来ないが、小〜中規模戦闘でありながら音の迫力は凄い。 |