GAMEPLAY |
ボリュームは選択した難易度やプレイスタイルによって大きく異なると思われ、初回で12-20時間程度か。ミッション数は19。敵の登場パターンが変化したりする訳ではないので、リプレイ性があるかどうかは人によって見方が変るだろう。 難易度についても定義が難しい。異常だとまで言う人もいれば、簡単だと言う人もいる。ここまで大きく意見に差が出るのは、このゲームの難しさがFPSのシューティング能力ではなく、どういう風に部隊を動かすかという作戦面に掛かっているからだと見て取れる。つまり射撃の能力で強行突破しようとしてもクリアが極めて困難なゲーム性であり、ストラテジーゲームの様に部隊の動かし方を上手くやらないとならない。また部隊の動かし方を考えるにしても、不味い作戦しか思い付かずに必死になってその困難を乗り越えたならば難しいと感じるだろうし、上手い作戦で敵を排除出来たならば簡単だと感じるはずである。 個人的にはNormalでもミッションによっては相当難しいと感じた。全体的にも難しい部類のゲームだろう。全復活の救済措置を拒否してプレイするなら、最初からのやり直しも増えると思われ格段に難易度は増すはずである。 Gearboxではプレイテストの結果からプレイヤーを3通りのタイプに分類している。一つ目がSquad leaderで、SAによる戦場の分析を頻繁に行い、敵の排除に部隊を動かして行うのを好むというプレイヤー。自分自身での戦闘は最小限に抑え、ストラテジーゲームの様にしてゲームをプレイする。これが制作側の意図する最もスマートで理想的なプレイスタイルとなる。 次がsuppress-and-snipe player。ちゃんと部隊を使って敵を制圧はするが、あまり自分自身は敵には接近せず、時間が掛かっても遠距離攻撃で慎重に戦うスタイルを好むタイプ。命中率が悪いので、クリアまでの時間はかなり長い傾向にある。最後がRambo。一応部隊を使って制圧射撃を行ったりはするが、自分自身での攻撃を優先して急いでクリアしようと行動するタイプ。攻撃が成功するかどうかは運の要素が強く働き、このゲームにおいては好ましいタイプではない。 それ以外の部隊操作を無視してとにかく戦闘というスタイルに関しては、「序盤は仲間が少ないので或る程度プレイヤーが単独で行動するという面は持っている。しかし仲間が集まり始める中盤からは敵の数も増えてそれは困難になり、終盤には優れた武器を持った敵のエリート兵士が増えて来るので、強引な突破はまず不可能になってくるだろう。」としている。つまり部隊操作を無視しての戦闘については考慮されていない。 これについては同感で、中盤から後半に掛けては敵の同時出現数も増えるので、部隊に制圧させないと移動すら気軽に出来なくなる。指示を出さずに自分だけで動いたり、Followさせるだけで敵に突っ込んでのクリアは極めて困難と思われる。ミッションによっては徹底して当たるまで一人で遠距離から狙う方法で戦えるとは思うが、それだとそもそもこのゲームはプレイしていても面白くなさそうだ。 ミッションのクリアの為の理想的な作戦やルートが分かるかどうかが難易度に深く関係しており、一種のパズルの様な感覚が強く、開発側が想定している理想的な作戦を見抜けないと難しくなるという面は持っている。また敵の出現はスクリプトであり、トリガーによって突然出現する事が多い。場所によっては突然目の前に出て来たりもするので、それを予め知らないと難しいというケースもある。よって何回もやり直して憶えるタイプのゲームでもあり、最初からクリアを目指さずに適当に動いてみて、どんな感じのミッションなのかを確認してから作戦を練るというやり方も有効である。 それに関連してマップの構造も若干不自然であり、プレイヤーの行動ルートを限定する為に障害物で通れない場所が多い。マップ自体は結構広い物が多いのだが、回り込もうとしても垣根や障害物等でその為のルートが限られているし、中には透明な壁で先に進めないという箇所も在ったりする。あまりルートを自由にすると戦わずに強行突破が可能になったりもするというのが理由と思われ、ゲーム性を活かす為には仕方の無いデザインとも感じるが、もうちょっと自然な構造のマップに修正するのは可能だったと思われる。 このゲームでは徹底して「当時の状況をリアルに再現する」という点に力を注いでいる。ゲームでのミッションの内容は全て実際に起きた戦闘を基にして制作されている。その理由は「当時の史実を調べている内に、彼等(モデルとなった部隊)の遭遇した出来事は非常にゲームのミッションとしても魅力的な内容であり、想像でデザインした作り物の内容よりも遥かに面白いと感じたから」だそうで、自分達が作ったオリジナルのシナリオに沿ってプレイヤーを動かすという様にはなっていない。 次にゲームのマップは資料や航空写真から起こした当時の物を”そのまま”使っている。通常は参考となる資料から、地形や建物を配置し直したりしてレベル(マップ)を面白くなるようにデザインする訳だが、このゲームでは全てがそのままである。建物・石塀・木といったオブジェクトの位置に到るまでそっくり一致するように作成されており、「ゲームクリア後に現地を訪れれば、60年は経過しているがそのままの状態で残っているオブジェクトも多いので、地図無しでゲームのマップとなった箇所を歩き回る事が可能だ」とコメントしている。(ただしマップの形状は同じでも、その中を現実と同様に動けるようなルートが確保されている訳ではなく、ブロックされていて通れない箇所は多数設けられている)。 つまりBiAでは「プレイヤーが楽しめるようにマップを作り込む」という行為を放棄し、出来るだけ当時の状態をそのままに再現する事により、プレイヤー自身が実際にその場に存在しているかのようなリアリティを生み出すのを狙いとしている。インタビューではしきりに「我々の製作したのはゲームではなく、当時のBakerの部隊が遭遇した出来事をそのまま体験出来る一種のタイムマシンである」と述べている。 しかし”リアリティが高い”ほどゲームが面白くなる訳ではないのは御存知の通り。BiAは扱っているのがD-Dayの裏方的な役割の部隊の活動であり、雰囲気的にかなり地味である。のんびりとした風景の田舎で小規模な部隊同士が拠点を取ったり取られたりといった戦いを繰り広げるというのがミッションの大半となっており、WWIIという世界的な大戦争の一部であるという感は受けない。CoDやMoHの様にパート毎に世界の別の戦場に移動して戦うという事も無いし、大軍の兵士同士が周囲で戦闘を繰り広げる音が鳴り止まないといった一大戦闘とも無縁である。一般的なWWII物FPSの様な派手でゲーム的なマップは少ししか用意されておらず、後は「航空機の着陸を邪魔する為に敵が畑に立てた杭を除去しろ」とか、地道な活動が大半である。なので他のWWII物の様なドラマチックな演出や展開を期待する人にはアピール度が弱い。 ただしそんな中で各ミッションについては上手く変化が付けられているので、同じ様なシチュエーションばかりという状態にはなっていない。一箇所のロケーションという制限の中で頑張っていると感じられる。 |
COMBAT |
*武器は同時に2つまで携帯可能 *初期の所持武器は選べない *敵の武器は拾って使える。弾も拾える。 *グレネードは最大で5個まで。投げるのは専用のキーで行う。 *アイアンサイト可能。構えると移動速度は遅くなる。 *スプリントは不可 *しゃがみのみで伏せや左右へのリーン動作は無し HPは撃たれる度に黄色から赤へと段々色が変化する方式で、難易度によって被弾に耐えられる量は変わる。回復薬は一切無いので、どうしてもダメならば三連続死亡時の救済回復措置を選ぶしかない。Normalだと比較的被弾には耐えられるが、それは敵との距離を取ったりして慎重に行動している場合の話であり、強引に敵の隠れ場所に突っ込んで行って数人相手に撃ち合ったりするとすぐに死んでしまうバランス。先にも書いたように接近するほど敵側の命中率が顕著に上昇するので(ダメージも増加する様に感じられるが確証は無い)、離れていればそうは当たらなくなる為にそれ程簡単には死ななくなる。 味方の武器は弾薬箱から補給可能だが、これが存在するミッションは滅多に無く、それ以外は味方の死体から回収するしかない。しかしこのゲームでは銃の命中率が低い関係上、弾薬の消費速度は早い。自分が制圧射撃を担当しても、隊員と違って弾数無限ではないので消費量は多くなる。よって敵の武器を拾って使うというケースが多くなる。またどうも敵軍の武器の方が若干命中率が高いという感もあって、特にK98はボルトアクションで連射性は低いが一撃必殺のダメージを持ち、数ある武器の中では最も当たり易いと思える。早期にこれを拾ってこれを使う方が良さそうで、弾薬補給も敵がよく持っているのでやり易い部類。なお救済回復措置を使えば弾薬は復活するので、これに頼るならば最初の連合軍武器でもOKである。 スナイパー・ライフルはゲーム中に登場する武器の中で唯一正確な武器であり、揺れも少なく照準さえ合っていればほとんどの場合命中する。ただし滅多に出て来ないようになっており、使えるミッションは数える程度。 Friendly FireはOFFになっている。味方の攻撃は自分に当たらないし、自分の銃口が味方に向いている時は撃てない。 直接戦闘の特徴としては、とにかく敵との間の距離が最も影響するという印象。接近さえすればアイアンサイトにせずに腰撃ちでも結構当たる。逆に離れるとアイアンサイトにしても命中率は大幅に下がる。しかし敵が制圧されていない状態では近付くと撃たれてしまうので、やはり部隊操作がメインのゲームというのは間違いない。敵の居場所が制圧アイコンで判ってしまうという点については、それでも難易度的には簡単になっていないし、嫌ならOFFにも出来るので問題はないだろう。 弾が当たり難いというのは敵側にも適用されるので、プレイヤー側の動き方も他のゲームとはやや異なる。離れた位置を移動するならば結構大胆に移動しても弾は当たり難い。また制圧アイコンの状態が黒いほど敵は撃って来なくなるので、移動前に攻撃して赤いアイコンを出来るだけ消してから移動を始め、移動中も敵方向に向かって絶えず撃ち続ける事で更に安全性を高める事が出来る。 チェックポイントの間隔は比較的長めで、次まで10分以上空くというケースも珍しくない。もう少し短い間隔で在った方が良いと感じる箇所も存在するが、救済復活が用意されている点を考えると妥当なバランスか。全体としては過度にストレスを感じる程では無い。 戦闘の流れとしては大体以下の様な感じになる。敵は同時に2グループ以上で出て来る事が多いので、味方のFTとATにそれぞれ制圧射撃をさせる。ここで回り込める別ルートが存在するのならば自分で動いても良いし、自分がどれかの敵グループに制圧射撃を行っている間にどちらかのチームを動かしても良い。もっと前のポジションに味方チームを動かしたいのならば、移動指令後に自分が制圧射撃を行って移動中の味方チームが出来るだけ攻撃を受けないように援護してやる。 3つ以上の敵グループが登場する場合には、一つずつ数を減らして行くのが基本戦法となる。だが味方チームに対して単純に直接攻撃のAssault命令を出すのは危険であり成功率が低い。敵が一人に減っていたり完全に制圧された状態以外は使えないと考えた方が良いだろう。3グループ以上の敵に対しては、どれか一つを攻撃可能な状態を作り出せないかをSAを利用したりして考えるのが基本となる。自分が回り込めそうなルートが在るなら、ターゲットとそこに近いグループの2つを制圧させてから行動してターゲットを潰す。ルートが無いのならば、味方チームを動かしたりして制圧射撃の場所や方向を変え、別の使えそうな裏取りのルートを編み出すといった具合。 敵に接近するほど味方が制圧するまでの時間は早く、また途切れ難くなるので、交互にカバーさせながら前にポジションを移してやり、敵に接近した状態から制圧射撃を指示するのも有効な手段。プレイヤーもより敵に近付けるようになるので、障害物の陰からのライフル射撃で敵を倒せる確率を上げる事が出来るようになる。 味方チームのコントロール及びAIについて。指示体系は簡素で分かり易く、それでいて効果的に指示が出せるという点で洗練されていると思う。慣れて来て即座に連続して出せるようになるとより面白くなる。指示は敵を直接見ていなくても、障害物越しを透過して出せるのは便利。 不満や問題としては、第一に狭い場所でのカバーを指示した場合、そこにチーム全員がちゃんと移動するとは限らないという点。一部の隊員だけがそこに位置して残りは別の場所で止まってしまい、制圧射撃を命令しても「敵が見えません」という返答が返って来るだけで動かない状態になってしまうケースがある。同様の問題として、カバーの背後を指示しているのに、そこから一部の隊員が体を出した状態になってしまう事が有る。それ程頻繁には起きないし、またGRAWの様にあまり自由にカバー位置を判断するAIでも困ってしまうので、一応この件は許容範囲とは思える。 次に移動指示を出した際に、思いも寄らないルートを通る時がある。「何もそこを通らなくても」という様な敵の目の前を横切ったり、或る意味バカ正直に指示に従ってしまう面を持つ。これはあまり一気に長距離は移動させないという対策以外は無い。 そして命令アイコンの位置指定が、離れたり複雑な地形だとやり難くなるというのも問題。例えば遠方の敵を指し示す際に、敵とは離れた位置に動かさないとアイコンが制圧射撃に変らなかったりする事がある。 AIは”Situational AI”と名付けられており、敵味方共に状況判断を行って利口に立ち回ってくるはずだったのだが、Four Fsの項で述べたようにゲームのデザインが変更された為、多くの機能の実装は続編のEiBの方に回されている。その為に目立って目に映る点は少ない。 しかし今作でも基本的な能力はちゃんとしており、移動中には出来るだけカバーとなる障害物を伝って移動し、安全性を高める為に移動しながらの制圧射撃も行える。リロード時にはちゃんと体を隠すようになっているし、部隊内では間が空かないように順番に行うようになっている。グレネードを自発的に投げての攻撃も行う。戦車も攻撃方向に対して装甲が最も厚い前面を向けるようになっているし、人を轢いたりといった妙なミスも無い。総合的には、特別賢くは無いがゲーム性に合わせて上手く調整されているとは言えると思う。 戦闘において強い影響力を持つ物が二つ存在している。一つ目は戦車で、味方のチームの一つとして指示が可能なミッションも有るし、敵側に登場する事もある。この戦車というのが途轍もなく強く、実際の戦場でもそうらしいが到底普通の歩兵では歯が立たない。障害物の陰に隠れていても、砲弾を直撃させてその衝撃波で敵を倒してしまう。敵の銃撃ではダメージを受けないので、味方として指示出来るケースでは相当頼りになる存在となり、Assault命令で次々に敵を蹴散らして行ける。或いは自分で戦車の上に乗ってマシンガンを使ったりも可能だし、動くカバーとしても利用が可能である。 ただし対戦車砲には弱いので、いきなり先陣を切らせて全ての敵を戦車に任せるという真似は出来ない。Panzerfaustを持った敵が大抵は居るので、先にそれを排除してからでないと進めるのは危険である。一旦排除さえすれば他の歩兵相手には無敵状態になり、怖いのは敵戦車のみとなる。 もう一つはMG42。据付のマシンガンである。WWII物では敵側のMG42の攻撃が脅威というのは定番だが、このゲームでは特にそれが顕著である。操作兵士のカバーの状態は頭が出ている物からほぼ完全に敵が見えないというタイプまで様々だが、いずれにしろこのゲームの武器の命中精度では厄介な相手になる。決して当たらないという事は無いらしいが、MG42の射程範囲外から操作している兵士を倒すのは至難の技である。制圧射撃が効かないというのも困った点で、射程範囲内を動く事すら厳しくなる。 物理エンジンを導入しており、死体にはラグドール処理が適用される。ただ敵の飛び方は不自然さを感じる面もあり、パターン的にも同じ様に倒れるケースが多いようにも感じられる。アイテム系にも適用はされるようだが影響を受けるオブジェクトが少ないので、ゲームプレイにはほとんど影響は与えていない。 |