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問 題 点
 その他の項で言及しなかった点についてまとめる。

 出来るだけ4Sを意識したプレイをしてもらえるようにするという観点から、味方が死んでも次のミッションでは普通に生き帰るし(怪我という設定らしいが、とてもそうは見えない)、救済措置を使えばチェックポイントにて幾らでも復活が可能である。この点についてはメインのゲーム性を最大限に活かすという意味で間違っていないと思う。しかしそれに加えてストーリー性を持ち込んでいる件については上手く行っていない

 人間ドラマやイベントを重視して盛り上げるのならば、CoDやMoHの様に部隊メンバーは無敵にするのが通例だが、BiAでは無敵にしてしまうとそのシステム上ゲームが成立しなくなる。だから何度でも復活するという設定にせざるを得ない。しかし制作側としてはどうしてもそこにストーリー性や登場人物達の魅力という物を同時に盛り込みたかったらしく、個々に声優を用意していろいろなセリフを喋らせ個性的にしようとしたり、劇的なイベントを用意したりといった努力は窺える。
 だが例えばメンバーの死のイベントが発生しても、既に何回も死んでは行き帰っている隊員ではインパクトが無いし、不自然さの方が目立ってしまい各隊員への感情移入もやり難い。結果的に数人が印象に残る程度で、各隊員を魅力的で生きているかのように描くという意図は達成されていない


 戦車が驚異的に強いという点は別項で書いたが、それ故に扱いが微妙であるという気がする。まず非常に強いという点から、こちらに戦車が在るミッションでは敵側も対抗策を持っているというのがほとんどであり、誤って戦車が壊されてしまうとその先が非常に難しくなるという危険性を持っている。場合によっては最初からやり直しというのを考えないとならない。また常にかどうかは判らないが、救済措置で復活する際に戦車は復活しないというケースも有った。

 敵側戦車の倒し方も問題である。倒し方は基本的には3通り。可能ならば自軍の戦車に対抗させるのが普通。次に近くに対戦車砲が用意されていて、それを使って倒すという定番パターン。最後が背後に回ってUseする事で、戦車によじ登って中にグレネードを投げ込むというやり方もある(これなら一発で倒せる)。問題はPanzerfaustを使って戦うシーンで、この武器は単発でしか使えない上に、前面に当てて倒すには相当な数を当てないとならない。戦車は背面や側面が弱点なのだが、戦車のマシンガン掃射を掻い潜って背面に回り込むのは難しいケースがほとんど。
 そこで一発撃つ毎にPanzerfaustを拾い直して撃ち続ける事になるのだが、この弾薬箱が戦車の照準範囲内の剥き出しの場所に在ったりして拾うのが大変だったりする。隠れていても障害物を通して砲弾の衝撃波でダメージを受けたりするので、既にHPが危ない場合には補給に行くのが危険である。隠れられる場所が在れば戦車は最後に見た位置に撃って来るので騙して補給も可能だが、それすら無理となるとどうにもならなくなる。


 上記のPanzerfaustの件は、グレネードの問題と密接に関連している。グレネードは0-3個程度と初期数が少なく、マップ上では一切拾えないので初期の物でやり繰りするしかないし、救済復活でも銃の弾薬とは異なり補給されない。しかしグレネードは戦闘上非常に重要な役割を果たす武器であり、「敵戦車を一発で倒せる」、「MG42の場所に投げて背後の兵士を倒せる」、「味方兵士がもう居ない際に、敵を一時的に制圧状態に持って行ける」という様に、非常に厳しい時にその打開策として用いる事が可能である。

 なので一般的な敵相手に使ってしまうと、肝心なケースで数が足りないという問題が生じてしまう。例えば敵戦車に相対した時点で既に所持数が無いとなると、自軍の戦車がまだ残っているなら良いのだが、対抗策がPanzerfaustしか無くて上記の様にそれではクリアが難しいという形に追い込まれると非常に厳しくなる。グレネードが無いと困るのは対戦車に限らず、最悪のケースではミッションの最初からやり直しになる可能性もある。よって実質的に何が起きるのかを知ったマップで、どこで使うのかを計算して使う武器という位置付けとなり、先が判らないマップでは通常状態では一切使わないのが無難。しかしそれだと実はX個は普通に使っても良かったという場合に、温存した結果として無駄な苦労をする事になってしまう。この辺のバランスはもっと上手いやり方が有ったのではないかと疑問である。

 付け加えると、決して無駄には出来ない位貴重なのに、思った所に投げ込むのは結構難しい。どうにもならないMG42相手に一個しかないグレネードを投げて倒すしかないというケースになって、それで失敗するとロードしてやり直しという感じで厳し過ぎるとも言える。


 敵のMortar(迫撃砲)による攻撃が何箇所か有るのだが、何所に飛んで来るのかが正確には判別出来ない。当たってしまうと(多分常に)即死である。最初に落ちた地点の周囲に何発か連続して落ち、その後角度調整の間を置いて別の場所にそれが移るという形なので、慣れて来ると高い確率で避けられるようにはなるが絶対ではない。特に味方の隊員がこれに当たって死んでしまうケースが有り、折角生かすように注意していてもそこで予測の出来ない攻撃によって台無しにされてしまう。


 ミッションの難易度にはバラつきが見られるが、幾つかのミッションは突出して難しくなっている感じで、特にラストとその他では”Push into Carentan”,” Dead Man's Corner”, ”The Fall of St. Come”辺りは厳しいパートが含まれている。



GRAPHICS
 Unreal Engine 2.0を使用。グラフィックス系はPixel Shaderへの対応を強めており、かなり大幅な改造が成されている。

 発売当時の新世代のテクノロジーとしてはHDR(high-dynamic range) RenderingとSoft Shadowingを導入している。水面の表現も自然で綺麗。またキャラクターにリアリティを持たせる為にFacial Expressionには力を入れており、感情に応じての複雑な変化や動きを追って黒目が動くレベルまで作り込まれている。動作のアニメーションも細かい。キャラクタだけではなく戦車についても徹底してリアルにモデリングしてあるそうで、他社の様な単に箱型の形状のポリゴンにテクスチャを貼っただけの代物ではないと断言している。装備している武器も史実にも忠実だし、アニメーションも実際の戦車の動きを忠実に再現しているそうだ。

 目に付く問題点としては、テクスチャの質があまり高くない。それとHUDのアイコン類が(意図的なのか?)ボケて表示される。またアンチエイリアスには対応していない。

 Goreレベルに関しては結構高く、爆発によって手足は吹き飛ぶし銃撃で血も飛び散る。内臓が見えたりとかなりグロい死体も転がっていたりする。MoHやCoDと異なりESRBのレーティングはMatureである。

 負荷としてはそれ程重くは無く、美しさとのバランスとしては良く出来ている。

 解像度はワイド対応。選択可能な画像系のオプションはあまり多くない。


SOUND
 銃声の質はかなり良い。乾いた感じのシャープな音で、広い空間に響くという感じである。実際に銃声を録音して使ったりとリアリティにはこだわっているそうだが、ただ同じ様に銃声のリアルさを謳う他のゲームとは異なる印象を持つ武器も有って、どちらが正確なのかというのは定かではない。

 3Dサウンドの定位感は良好。BGMはオーケストラを使用した荘厳なタイプで、特定のシーンでのみ流れる。

 キャラクターのボイスは力を入れているだけあって良い出来である。


MULTIPLAYER
 Ubi.comを使う形式で、アカウントを持っていないとプレイは出来ない。LANはその限りではない。

 内容はObjective形式の対戦モードが一種類のみ。米軍対ドイツ軍のチーム戦になる。最大参加人数は4人までで、各人がシングルプレイと同じ様にAIの部隊を指揮して戦うというのが最大の特徴。内部に存在する兵士の数は最大で16人という事になっており、その内4人が実際の人間という形式である。

 4人が2vs2に分かれて、それぞれのチームにおいて部隊を連携させながら戦うというデザインになっており、もしも3人になった場合には1人の方が部隊を2つ操作する事になる。死亡した場合には生きている部隊のメンバーに操作が切り替わり、全員死んだ場合には設定地点に復活する事になる。

 この仕様はテストの結果だそうで、人数が増やせないといったテクニカルな面での制限ではないとの事。人数を多くしてAIの分を人間が担当するという方式も考えられるが、それだと普通のFPSのチーム戦と変わらない事になってしまうので、敢えてユニークな方式を採用しているそうだ。


 これを書いている時点(2008/06)では、どの程度人口が存在するのかは不明。形式上Dedicated Serverは無いと思うので、誰かがサーバーを建てて待っている時にそれを見付けるか、仲間で相談し合ってプレイしないとならないと思われる。

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