シ ス テ ム |
キャンペーン 難易度はEasy, Normal, Difficult, Authenticの4種。最もリアルなAuthenticは途中のセーブが不可能&制圧アイコンの表示無しのモードで、Difficultをクリアしていないと選択出来ない。 難易度別のクリア状況はチャプター(章)単位で管理されており、アンロックしたチャプターは難易度を選んでリプレイが可能。ゲーム中の難易度変更は出来ないが、一旦メニューに戻ってチャプター選択からプレイし直せば難易度は変更出来る。 セーブ&ロード チェックポイントのみで、任意の箇所でのセーブは出来ない。またセーブ箇所は各プロファイルに付き一つだけなので、仮にチャプターの途中で別の物をリプレイした場合、そのセーブ箇所は上書きされてしまうので注意。 OBJECTIVES 目標地点はコンパスにより方向のみが表示される。回り道をしないとならないケースもあるので、ダイレクトにそちらに向かえば良いとは限らない。具体的な行動や達成の為のヒントについては、Situational Awareness View(地図表示モード)に切り替えた際に、目標地点を参照すると文章で解説が出る。 EXTRAS チャプターのクリア状況に応じて、制作資料等が閲覧出来るようにアンロックされて行く。 CHEATS 一度キャンペーンをクリアすると、その難易度に応じてチートコマンドがアンロックされる。EasyだとOld Movie Mode。NormalだとInfinite Ammo等。これはESCでメニューに戻れば選択が可能。チートを使った状態でクリアしてもExtrasやAuthenticのアンロックが有効になるのかは不明。 英語 字幕表示が可能。 |
部隊操作・制圧射撃 | |
ここではゲームの持つ独特なシステムについて解説する。 BiAの戦闘システムのベースとなっているのが、実際の戦場での作戦行動の基本ともなっている”Four Fs”と呼ばれる動きである。これは以下の様な4つの段階を踏んで敵を倒すという意味になる。 1.Find - 敵を発見する 2.Fix - 制圧射撃を加えて敵をその場に釘付けにする 3. Flank - その間に別の部隊が回り込んで側面から敵の虚を突く 4. Finish - 意表を突いた有利な状況から敵を倒す 実際の戦場においては、武器による攻撃がそう簡単に敵に命中する訳ではない。一般的なFPSにおけるような射撃精度は望むべくも無く、相当敵に接近しないと撃ってもなかなか命中しないというのが現実である。しかし単純に敵に近付いたのでは、こちらにも敵の攻撃が当たり易くなってしまう。そこで制圧射撃によって敵が隠れている障害物から頭を出せないように追い込み、その注意を一方向に引き付けてこちら側の他の部隊の動きを検知出来ないようにする。その状態から敵の側面や背面を別部隊が襲い、近距離からの先制攻撃で一気に倒すというのがFour Fsの概念である。 上記の様にFour Fsの動きを基本とする為に、BiAではプレイヤーが自分で部隊操作を行って戦うのが前提となっており、「プレイヤーが指示を出す事も可能だが、出さないのならば勝手にAIは行動する」というタイプのゲームとは異なる。ただしその指示系統は簡素化されており、操作方法を覚える事自体は特に難しくない。実際のゲームでも最初は指示する必要のある部隊が配下には付かず、進行に連れて徐々に複雑化するように配慮されている。 プレイヤーの配下に就く部隊は最大で2つ。それぞれがFire teamとAssault teamと呼ばれ、どちらも最大3人までで構成されている。FTの方はBARやM1 Garand等の武器を所持し、敵に制圧射撃を加えるのを得意としている。ATの方はM1A1 CarbineやThompson submachine gunを所持しており、直接的な攻撃の役割を果たす。ミッションによってはFTのチームが一台の戦車であるケースも有るが、操作や扱い的には部隊と変りは無い。 基本的な操作として、1と2のキーでFTとATのチーム選択を行い、3と4でそれぞれ現在選択しているチームの集合と解散を指示する。これは代わりにShiftキーでチームの切り替えと、押したままにして集合の指示を出したりも可能。 直接的な指令はコマンドキーを押した状態で行い、出せる命令は三種類。通常状態では画面上に青いコマンドリングが表示されるようになっており、これを移動させたい場所を指し示した後にコマンドキーを離せば、現在選択されているチームがその場所に移動する。次にコマンドキーを押した状態で敵を指すと赤い印が表示されて、その状態からコマンドキーを離せば相手に制圧射撃を加えるようになる。最後に敵を指し示した状態からコマンドキーを離さずに攻撃キーを押すと、直接そこに向かって敵を攻撃するというAssault modeに切り替わる。なお画面上はちゃんと各指示に応じてハンドシグナルもアニメーション表示される。 制圧射撃の概念をゲーム中に表現する為に、制圧アイコンという要素が導入されている。これはプレイヤーが発見した敵の頭上に表示される丸いアイコンで、初期状態では赤となりこれはプレイヤーに取って危険の赤を現わす。この状態ではその敵の前の空間に飛び出すのは危険だし、また側面に回り込んでも敵に検知されてしまう可能性が高い。そこで上記のコマンドを使って事前に敵を制圧する事が必要になる。 まずFTの方を理想的な場所まで移動をさせてから、狙った敵に制圧射撃の命令を出す。これが行われると段々と制圧アイコンが赤から黒へと変わって行き、赤が消えたら完全な制圧状態になる。この状態からATに移動命令を出して敵の側面に回り込ませてやり不意を突いて倒す。当然この役割はプレイヤー自身が行っても良い。 或いは敵が複数箇所に分散しているのならば、2つのチームに別々の敵グループに対して制圧命令を出し、その間に自分が敵の方へと側面から攻撃に向かう。こういった戦法がゲームの基本となっている。なおこの制圧アイコンは、制圧射撃が停止するか弱まれば徐々に赤色へと回復して行く。 単純に敵を指してAssault(直接攻撃)の命令を出しても、制圧されていない敵の前を突進しては近付く前に撃たれて殺される可能性が高い。移動しながらでも味方兵士は攻撃を自動的に行うが、「体を曝して走りながらの攻撃」対「障害物の陰からの静止状態の攻撃」では、圧倒的に後者の方が有利となるのは目に見えている。敵が一人にこちらは三人とか、相当有利な状況で無いとAssaultの命令は有効ではなく使用には危険を伴う。よって普段はチームを指示して敵を制圧してから移動&攻撃という基本を守らないと突破は厳しいというゲームである。 Situational Awareness Viewと呼ばれる機能を持っており、これは頭上からマップを見られる作戦マップの様な物。使用に制限は無く、使用中はゲームにポーズが掛かる。左右キーで移動させるとBaker, それぞれの味方ユニット、目標地点、各敵ユニット(発見済の物のみ)といったマップ上のユニットにカメラが切り替わる。各地点ではWSADキーでカメラの位置移動、またズームも可能になっている。 この視点によって周囲の状況や、障害物の陰の敵の数や位置を正確に捉えられるようになっており、今後どういうルートを通って攻めるのかや、制圧状態からどうやって回り込むのかといった作戦を練る事が可能である。FPSという観点から見るとチート的な能力に見えるかも知れないが、このゲームはストラテジーゲーム色が強いので、こういった上方からの作戦マップの機能が採り入れられている。ただし完全に自由にカメラを移動させられる訳では無いし、この画面上からでは指示は出せないという制限はある。 |
FOUR FS |
ゲーム開発においてよく言われるセオリーとして、「面白いと考える要素をあれもこれもと詰め込んでしまうと反って焦点が定まらないゲームとなってしまう。よって最もアピールしたい要素にのみ的を絞り、ゲーム全体のデザインをその点を引き立たせるようにする方が結果的には面白い物が出来る」というのがある。このBiAはそれを実践した典型的なゲームであり、全ての要素が制圧射撃による"Find, Fix, Flank, Finish"のFour Fsという部隊行動を活かす為に設定されている。そのデザインの為にユニークな特徴を幾つか含んでおり、以下ではそのユニークで新規なゲーム性について順に解説する。 第一の特徴として、武器の命中精度が非常に低い。このゲームは自由度を持ってはいるが、それは部隊をどういう風に動かすかという作戦面での自由度であり、部隊を使うか否かという点についての自由度については考えられていない。部隊を使いたくなければ使わなくても良いのではなく、メインの要素である4Sをプレイヤーに必ず使わせる事を念頭に置いている。 そうなると当然敵の強さに比較してプレイヤーの戦闘能力は落とさないとならない。スタート地点に部隊を待たせて一人だけで先に進んでしまったり、全員にFollowのコマンドだけを出して終始それで行動するというプレイスタイルを可能にしてしまっては、CoDやMoHと変らないゲーム性になってしまうからだ。 しかしプレイヤーのダメージへの耐久力を低くするとか敵の攻撃を強くするという方法だと、これは一般的なゲームにおけるHard, Very Hardといった難易度設定と同様になり、そういった難易度をクリア出来るだけの力を持ったプレイヤーには、やはり部隊操作無しでのクリアが可能になってしまう。そこでこのBiAでは、逆にプレイヤーの戦闘能力を下げるという調整を行っている。具体的には武器の命中精度を極端に落としており、FPSにおいてどれだけの戦闘能力を持っていても、撃った弾が当たらなければもはや戦う事自体が出来ないという狙いである。 リアル系と称される主に特殊部隊物では、やはり命中精度は落とされている。しかしこういったゲームでは走りながら撃ったりしてもダメという設定であり、静止して屈むか伏せて安定させ、セミオートでしっかり狙いさえすれば当たるというようになっている。使用武器も現代の精度が高い銃で且つ入念に整備されている物が使われる。しかしBiAはWWIIの時代であり、武器の性能は現代よりも落ちるし整備もそれ程ちゃんとは成されていない。実際に当時の感覚ではかなりの距離まで近付かないと銃を撃ってもなかなか当たらないそうで、その状態でのリアルさが再現されているゲームとなっている。 Randy Pitchfordの言葉によれば、「通常のFPSにおいてプレイヤーに要求される能力とは、如何に敵のキャラクタに素早く照準を合わせられるかという点である。しかしBiAではその能力はあまり重要ではない。肝心なのは部隊指揮の能力である」。ではその銃撃戦はどういう設定になっているのだろうか。 まず照準はデフォルトでOFF。これは「照準の場所には弾は飛ばない」という理由から。意味的には「照準に意味が無いほどに弾は正確に飛ばない」と受け取れる。アイアンサイトにする事で命中精度は上がるが、構えても揺れる上に撃つと少し跳ね上がって元の位置には戻らない(武器によって程度は異なる)。座れば揺れは安定するが、それでも完全には解消出来ない。またプレイヤーの戦闘能力を下げる為に、障害物に隠れての左右へのリーン動作もカットされている。回復系ではヘルスパックは無しとなり、どれだけ被弾に耐えられるかは難易度による。 敵の攻撃が即着弾する銃器系を使ったFPSにてプレイヤーの耐久力が低い場合、敵から距離を取って障害物に隠れながら、ライフル系の武器で戦ういう方法が一般的である。しかしこのゲームでは武器の命中率が低く、それは相手との距離によって顕著に変化する。或る程度目標と離れてしまうと、もう撃てども撃てども弾は当たらない。なおこれは敵の側も同じ事で、距離さえ保てば敵の攻撃は非常に当たり難くなる。言い換えると、「敵の弾はまず当たらないが、自分の側からはライフルでそれなりに当てられる」という距離が存在しない。安全な距離を取ると自分も当てられないという意味である。 だから敵に近付くしかないが、近付いたら当然こちらにも弾は当たり易くなる。障害物に隠れて撃ち合う事は可能だが、ここでも障害物に接近して背後に隠れている敵の頭だけが出ている状態を狙って撃っても滅多に当たらないという設定になっている。(その代わりに自分にも当たり難い)。よって敵が立って撃ってくる瞬間を狙うという事になるが、自分だけがちゃんと隠れた状態で敵を狙える上に、命中精度を上げられる近距離の隠れ場所を確保しないとならず、都合良く何時でもそういうポジションが見付かる訳ではない。仮に在ったとしても、そこに移動するまでに撃たれないようにするには、結局部隊操作による制圧射撃の援護が必須になってくる。 座ると前が見えない障害物の陰から立って撃っては隠れるだと、照準が揺れるので当て難くなる。では座った状態で狙う為に目の前の障害物から下がって離れると、今度は立って撃ってくる敵の弾が自分に当たる確率が増す。それが一対一ならまだしも、3人5人という数だとどうにも対抗出来ないという状況にもなりがちである。 照準が揺れるので当て難いという際に、その揺れる照準が敵に重なった時に撃てば当たるというのであればこれはプレイヤーの技術の問題になる。しかしこのゲームの銃の当たらなさ加減はそういうレベルではない。またその銃がどれだけ当たり難いのかが把握出来るのならまだマシなのだが、実際問題としてどういう基準で当たるのかさえ判断出来ない。 このライフルで敵に照準が合った状態で撃てば3発に1発は当たるとかなら使い勝手が把握出来る。しかしこのゲームでは同じ銃を同じ様な距離から撃っても、数発で倒せる事もあれば、10発以上撃っても一向に当たらなかったりもすると命中率が把握出来ない。或いは5M程度の近距離から腰撃ちでトンプソンを連射しても全く敵に当たらない事もある。「ここまで撃った弾が当たらないのならば、もはやこれはシューティングではない」という声も出ていたが、確かにそう感じる人がいても不思議ではないレベルである。その感覚を例えるならば、当たり判定については以下の様な印象になる。 敵に正確に照準が合っているのかはあまり関係が無く、敵のヒットボックス(当たり判定が発生する範囲)は相当大雑把な大きさ。その範囲内で敵を撃つと、距離やプレイヤーの構え等の各種要素によって、命中したかどうかは確率的に計算される。つまり命中確率が落ちる遠方から極めて正確に敵の位置に照準を合わせて撃っている状態よりも、近距離から適当に照準を合わせて撃っている方が遥かに当たる確率が高まるというシステム。そして銃自体の精度に加えて、距離による命中確率の変化と、更にランダムな当たり確率が組み合わされているので、同じ武器でも当たる時と当たらない時の変化が激しい。そんな印象である。 実際にはどんな計算をしているのかはもちろん分からないが、敵を照準で正確に捉えて撃つ能力に応じて弾が当たっているという感覚が希薄だというのは確かだ。その意味で動く敵に正確に狙って当てる点をFPS面白さとして重視するプレイヤーだと、あまりの当たらなさにイライラするだけでこのゲームは受けないと思われる。 結論として、近くに寄らないと当たらないが単独で敵に接近するのは困難→制圧射撃を命令して敵の攻撃を一時的に止める→その間に敵の側面を狙って回り込む→注意が制圧射撃の方向に向いている敵を近距離から先制攻撃で倒す、という4Sの流れを狙うのがやはり基本となる。そしてそれが制作側の意図にもなっているという事になる。 第二に静的な世界であるという点。具体的にはまず障害物に隠れた状態での敵と味方同士の撃ち合いは決着が付かない(弾が当たらない)という仕様になっている。(100%そうなのかは確信が持てないが)。その理由は明白で、制圧射撃状態で敵が倒せてしまっては、プレイヤーがその後敵を倒す楽しみが奪われてしまう。また逆に隠れている味方が敵の攻撃で倒されてしまう可能性が在っては、その後の部隊への指示が出来なくなる(制圧射撃が行えなくなる)。これはリアリティを損ねる事になるが、狙いとするゲーム性を活かす為にはマイナスにしかならないのでそういう風に設定されている。 それと敵は最初に所定のポジションに動いた後は、(そこに突っ込んで行って攻撃しない限りは)その場所を動かない。こちらに向かって動いて来て攻撃はしないという意味である。実は元々のデザインでは、敵側もプレイヤーと同じ制圧射撃でこちらを動けないようにしてから、別ルートを回って攻撃して来る能力を持つという設定だった。しかしテストの結果、そうしてしまうと問題が発生する事が判った。 SA等を使って作戦を考えていざ実行しようとした瞬間に敵側が先に動いたら、またそれを変更しないとならなくなる。そういうゲーム性になると作戦よりも先制行動を急がないとならなくなり、結果的に作戦を軽視して直感的に行動を急ぐプレイヤーが増えて、ゲームが意図している4S行動が上手く機能しなくなる。同時にこれはゲームの難易度を上げるというのにも繋がる。そこで敵側のAIがダイナミックに動いて来るという要素は、当時同時開発を行っていた次回作のEarned In Bloodに導入を譲り、このBiAではターンベースのストラテジーの様に部隊操作をじっくりと考えられるというゲーム性に修正したそうだ。 第三にセーブの問題について。このゲームでは部隊操作による4Sを重視しているというのを再三述べているが、そうなると一つ困った問題が発生する。それはプレイヤーがオートセーブされる地点に辿り着いた際に、既に味方の部隊が壊滅状態だった時にどうするかという件である。ゲームの各所における戦闘のシチュエーションは部隊が存在している事を前提としているので、その部隊がほとんど(or全員)いなくなっていては、そこから難し過ぎて進めなくなる可能性が大となる。そうなると折角到達したセーブ地点から何回繰り返しても進めないので、部隊が完全な状態のミッションの最初からやり直すしかないという話にもなってしまう。 かと言って部隊を無敵にするのは論外だし、非常に死に難くしてもバランスが崩れてしまうのは変らない。(味方部隊をAssault命令で次々に突っ込ませるのが可能になるから)。そこでどういう風に調整しているのかと言うと、同じチェックポイントから三回連続して死んだ場合、その次のロードの時にプレイヤーの体力と弾薬を全回復させて、且つ全ての隊員を復活させた状態で再開するというオプションを選べるようになる(Heal then Reload)。途中セーブの無い難易度Authenticでは関係ない。 かなり大胆な設定であり、このルールによって次のセーブポイントまで達すれば初期状態にまで戻せる保険が手に入るので、それ程隊員の死を気にしないでもプレイが可能になる。また死んだ隊員が幾らでも復活して来るというのを不自然に感じる人もいるだろう。しかしこのルールによって狙いとする部隊操作でクリアという要素は最大限に可能にされているし、難易度的もバランスはちゃんと調整されており簡単にはなっていない。どんな事が起きても部隊操作をプレイヤーが継続して行えるようにしたいが、一人でも隊員を殺さないようにしないとならないプレッシャーを掛けるような設定も好ましくない。この問題を解決する為のアイディアとしては悪くないと思う。 |