問 題 点 |
他では指摘していない点を幾つか記載。 制圧射撃に使われるWWII物ではお馴染みのドイツ軍の機関銃MG42だが、HHではベイカーがこれを武器として携帯可能にされている。一般的な用途としてはバイポット(脚)をカバーの上に立てて攻撃するのだが、そのまま腰撃ちも出来るという設定。アクション物FPSだとその様にして持って撃てるというゲームも存在するが、ネット上を調べると「不可能ではないが引っくり返る位の反動が来るし、撃てたとしても狙いを定めるのは困難」だそうだ。その意味で不自然さが感じられる設定となっている。 それもこの武器に威力が無ければ気にならなかったと思うのだが、実際にはゲーム中で非常に強力な武器として存在しており、それが理由でリアルな設定を強調したこのゲームにおいて異物感を醸し出している。確かに弾は激しくブレるのだが、単発のダメージが特に高いという設定なのか、取りあえず一発でも当たってしまえば敵を倒せるという威力に見える。よって目標に対してある程度撃てばどれかが当たって倒せるという感じで、その破壊力は非常に高くてバランス的に浮いている。連射速度が速い上に弾薬をあまり持てないという弱点は設定されているが、これは弾薬バッグで補充が可能なのであまり大きな欠点にはなっていない。制圧用の武器としては有効だが、滅多に敵には当たらないというバランスにするべきではなかったかと感じる。 三つの部隊を指揮可能と宣伝されていたが、実際にはそれが可能になるのは最後の方だけと限定的。特にずっと三部隊を操作する最後のミッションが面白いだけに、三部隊同時操作が限定的なのは残念である。広いマップでないと実現し難いというのは分かるが、それならもっと広い物を数多く用意して欲しかった。 終わり方が呆気無い感じで拍子抜け。如何にもラストという感じの激戦である“Hell's Highway”が終わった後でも、「あれ、まだ続くのか」という感じでミッションは用意されているのだが、それが終わった後はカットシーンのみで終了。このラストのミッション自体は面白いのだが、それまでとは違って劇的なイベントシーンも無くオーソドックスに淡々と進む感じの構成で、ラストのミッションという雰囲気的では無い。なのでその後カットシーンで終わってしまうのには、ちょっとこの展開・構成はどうだろうという不満が残った。 これはHHに限らず初代からの難点だが、制圧アイコンで敵の居場所が分かってしまうという問題がある。カバーの背後の敵が全て死ぬと制圧アイコンも消えるので、それで全ての敵が死んだ事が自動的に判明し、そこには注意を払わなくて済むようになる。また結構アイコンが大きいので、視覚的に邪魔というのもある。その様な点が嫌ならばオプションからOFFにも出来るのだが、そうすると今度は制圧状態が見た目でしか判断出来なくなり、逆に難しくなるという問題が発生する。それと敵を制圧するという点がゲームの最も根本的な要素なので、それを分かった上で消してプレイしてもらえるならば良いのだが、制圧という要素を無視して適当にプレイされるのだけは嫌だという開発側の意向もあるだろう。難しい問題だが、次の作品では何等かの上手い解決方法が望まれる。 |
GRAPHICS |
Unreal Engine 3を使用した新しいエンジンに変っている。グラフィックス面では多くの独自に制作したシェーダーを追加しており、ゲームの制作が延びたのもその改造が原因と話している。特にマルチプラットフォームの3機種で同じ様に動かせるような調整が困難だったそうだ。 DX10については2008/06時点のインタビューでは対応すると述べているが、掲示板等を見てもVistaでプレイしても特に表示される設定項目関連に変化は無いとされている。今後のパッチにて対応予定なのかも知れない。 グラフィックスに関しては設定を上げればPC版が最も綺麗と話しているが、PC版ではバックグラウンドでのストリーミングをサポートしておらず、PC版のみ途中の区切りでロード画面が入ってしまうのは欠点だとしている。ただしコンソール版ではストリーミングの遅れでテクスチャのデータが表示に間に合わないという問題も発生している。 エンジンが変わったのでそのクオリティは過去作に比較して格段に進化を遂げている。キャラクタのモデリングにはノーマルマッピングが使われており、そこは特にリアリティを感じさせる部分。メインキャラクタの表情の変化も凝った物となっている。逆に敵のモデリングについては同タイプが多くて不満が残る。死体を見ても使われているモデルの種類はあまり多くないようだ。 エフェクト系では雨の描写が印象に残る。銃を撃った際の薬莢からの硝煙がたなびく効果も細かい。太陽光の表現も自然な感じで、その場に実際に居るかの様な風景描写を実現している。 テクノロジーという面では特に優れているとは思えないのだが、当時を徹底してリサーチしただけあってゲーム内での雰囲気描写は優れている。特に建造物系の内部を進むマップでは細かい部分まで作られていてリアリティを感じさせる。 設定関係はシンプルで、UE3エンジンなのでアンチエイリアスの設定も無し。 |
SOUND |
3Dサウンドの定位は良好。ドルビーサラウンドを認識すればそちらも使用が可能なようだ。 銃声はトンプソンやBAR等のサブマシンガン系は重量感も出ていて良いと思うのだが、ライフル系はそれ程でもない。 BGMはあまり種類も無いし、特に印象には残らなかった。 |
MULTIPLAYER |
これは未体験なので概要だけ紹介。サーバーを見る限りでは現状あまり人は集まっていないようだ。 これまでとは全く異なる物になるという予告通り、マルチプレイは大きく仕様が変っている。まずAIの隊員を操作するという概念は無くなり、全てのキャラクタが人間による操作となる。参加人数は10vs10の20人まで。Gamespyのアカウントが必須となる。 対戦モードは一種類のチーム戦のみで、アメリカ軍とドイツ軍に分かれて二つ存在しているポイントのどちらかに旗を掲げるというObjectivesの達成と防御を競い合う。DeathmatchやCapture the Flagは他のゲームにも有るからという理由でカットされており、このゲームでしか出来ないマルチプレイを提供するという点に絞って力を入れている。 開始前にチームのリーダーが選択される。それ以外のメンバーは3人ずつ3つのチームに分けられて、プレイ中はリーダーが上空マップを参照したりしながらシングルプレイ同様に各部隊に指示を出せるようになっている。 各部隊には一人ずつスペシャリストが存在しており、バズーカ、マシンガン、スナイパーライフルのどれかを装備可能。また一つのチームには戦車が与えられて、3人でこれを操作して戦えるようにもなっている。 1つのラウンドは3-5分程度で決着し、すぐに次のラウンドが始まるというスピーディーな展開。最も似ているゲームとしてはCounter-Strikeを挙げている。 Co-op形式で遊べるマルチプレイ(Skirmish)は廃止された。理由は「Co-opも可能にするとなると、マップのデザインはそれ用に変更しないとならず、結局はシングルプレイとCo-opのどちらか(或いは両方)の面白さを犠牲にしないとならなくなる。しかしユーザーの比率から言うとシングルプレイを楽しみにしている数の方がCo-opよりも圧倒的に多いので、シングルプレイを徹底して面白くするようなデザインにする事にして、Co-opはカットした」。 |