GAMEPLAY |
ゲームは全6エピソードから構成され、チャプター数(区切りとなる箇所)は35個程度。Hardでプレイして6-8時間程度のゲームであり、あまりボリュームは持っていない。Casualだともっと早く終わってしまうだろう。クリア後に難易度を上げてチャレンジしたり、Dossiersのコンプリートを目指したりという楽しみ方は残っているが、そういったものに興味の無い方だとリプレイ性も薄いと思われる。 ストーリーや雰囲気はArea 51というキーワードから連想される物とは大分異なっており、この点は評価が分かれる所になるだろう。このゲームはArea 51というテーマを扱ってはいるがそれは二次的な意味しか持っておらず、ストーリーのメインとなっているのは現実世界におけるアメリカ合衆国の政治の腐敗や、軍隊の持つ意味合いといった深刻な要素である。「イラクの大量破壊兵器を発見に向かった主人公が現地で知った真実とは?」、「Area 51が閉鎖状態にある理由」といった点を通して、アメリカ政府の欺瞞と犯罪行為が暴かれるという様な構成になっている。 イラクで出会ってその後のアメリカでも行動を共にする軍の女性医師Nos Weisはイラク軍兵士の拷問に関わっていたというトラウマを持っているし、他の隊員達も様々な不満や疑問を戦闘の合間等に喋っている。全く現場の状況を把握していない上官との喧嘩や、戦闘中に伝えられる馬鹿げた上層部からの指示等、様々な政府の活動の暗部を皮肉交じりに描き出すのがメインに据えられている。 こういったテーマになったのは、自ら6年間の軍隊経験を持ち中東にも派遣されたというHarvey Smithが推したからだそうだが、現場からは反対の声も少なくなかったそうだ。極秘研究によるエイリアンや改造人間等Area 51に絡む物は確かに登場するが、米国政府がArea 51に関する研究を陰で悪用していたというのがメインのテーマなので、別にそれがArea 51でないとならなかったという訳ではない。そういった理由から、ゲームをプレイしていても“Area 51”色とでもいう例の怪しげな印象は希薄である。その辺のドンデモ研究やSF的な超テクノロジー、またはUFOやグレイの登場を期待する人だと外れるだろう。政治の腐敗という珍しいテーマを扱っているのは一応ユニークな点として評価は出来るが、個人的にはもっとArea 51っぽい路線で作ってもらいたかったと感じる。 Stranglehold用に開発された"Massive D"と呼ばれるテクノロジーが、同じエンジンを流用しているこのゲームでも使われている。これはマップ内の大量のオブジェクトを細かく破壊可能な上に、その破片類にも物理エンジンを適用させて衝突処理を行い、また破片を消さずにマップ内に転がったままに出来るというテクノロジーである。(このゲームではあまり破片が残るという要素は使われていない)。物理エンジンにはHavokが組み合わされている。 マップ内の多くのカバー箇所は破壊可能となっており、コンクリート類ならばグレネードやロケットで破壊出来るし、単純破壊ではなくて銃弾で一部を削り取ったり出来る物も多い。車類もほとんどが完全にではないが銃で撃って破壊可能。撃つと物理エンジンの適用を受けて動いたり、壊れたりするアニメーションが用意されているオブジェクトの数は一般的なFPSに比べて確かに多い。更に常識的には破壊や移動出来ないような頑丈な物でも、巨大なモンスターによって破壊・移動されたりもしてしまうようになっている。 FPSでは定番の爆発物も多目の設定で、こういった物を利用して敵にダメージを与える攻撃が有効。敵がカバーに使っているオブジェクトを破壊してやる事も出来るし、逆に自分の使っているカバーが撃たれて破壊されたりもある。ガラス類もほとんどが壊せたりする点はリアル。この辺のダイナミックに変化するカバー可能箇所という要素は、戦闘の面白さに一役買っていると感じられる。AIについては壊れたオブジェクトを認識して動く事も有るが、部分的に壊れている物には気が付かない様にも見えたりと完全ではない。 |
COMBAT |
難易度にNormalが無いのでどうしようか考えたが、隊員のモラルの変化はHard以上で重要となるという記載がマニュアルに有ったのでそれでプレイしてみた。普通に銃を持って撃ち合うシーンにおいては、このゲームにおけるHardはイコール一般的なFPSのNormalと同じと考えて良いと思う。もしキツイとなったら難易度変更は何時でも可能なので、FPSに慣れているのならばHardでスタートするのをお薦めする。 *同時に所持可能な武器は2つ *チャプター開始時に武器選択は出来ないが、途中で敵が落とした物は拾える。 *動作は“しゃがみ”のみで“伏せ”は出来ない *左右へのリーンやスプリント動作は用意されていない *ズームでIron Sightになる *グレネードは5個まで所持可能で別キーで投げる方式。種類は一種類のみ。 *弾薬の補充は基本的に置いてある弾薬ケースを拾う。全く無くなると自動的に少し補充される。 *敵の落とした弾薬も拾えるが、これはすぐに拾わないと消えてしまう。武器はその場に残る。 *ヘルスは自動回復方式 銃器の設定では、まずアイアンサイトにすると照準は縮まるが大きな変化は無く、中距離程度までならば腰撃ちでも当たるというバランス。また移動しながら撃つと照準が広がるが、これもわずかでありあまり気にしなくても良いレベル。連射しても照準は広がらないので、マウスのボタンを押しっ放しで攻撃する事が出来る。つまりあまりブレを気にしなくて済むので、敵を狙い易いゲームであると言える。 カバー機能は用意されておらず、障害物の陰から左右にリーンして撃つ事も出来ない。なので敵が多いとかで慎重に行くなら、障害物の陰から立ったり座ったりして攻撃したり、サイドステップで横に出て撃っては隠れるというヒットアンドアウェイでの攻撃となる。敵が少なければカバーなど使わずに撃ち合ったりも十分に可能なバランスであり、ミリタリー物だがアクション要素が強調されている。基本的にこちらも体を曝さないと攻撃が出来ないゲームなので、敵の射撃精度はあまり高くないように設定されているようだ。類似の感覚を探すとすれば初期のMedal of HonorとかCall of Dutyみたいに、かなり攻撃的に出られるタイプのFPSである。弾薬もかなり豊富な部類で、ほぼ切れる事を心配しないで良いので撃ちまくれる。 ただし武器の振動するアニメーションは用意されているのだが、アサルトライフルだと連射しても銃身のリコイルが無く、また銃声は普通なので銃を実際に撃っているという感覚はそれ程優れていない。レーティングはTeenで死体からの出血表現も無く、攻撃が当たっている時の血飛沫は序盤の普通の服を着たイラク兵士に対しては用意されているのだが、その後のBlack Opsは防護服を着ているのでそれが無くなってしまう。後はエイリアンの種類によっては金属への火花が見られる程度。よって当たっているのかは時折見せるリアクション程度しか判断材料が無い。(プレイヤーがダメージを受けた際にはモーションブラーの効果が入ったりはする)。他には死体が消えるのも早いし、死んだ後のラグドールも銃撃とは別の方向へすっ飛ぶ様に見えたりが多いというのもマイナス。ここは悪いとは言わないが平均的なレベルで、銃撃や敵に当たっている感覚を重要視するタイプの人には不満が出ると思われる。 戦闘における重要なポイントは第一にグレネード。狙った所に投げ易い上に、非常に爆風範囲と威力が高い。そこそこ数も手に入るので、敵が多かったら物陰からグレネードで一気に倒せるというパターンが多い。しかし反対に敵が投げてくる物が厄介となる。このゲームはグレネードのインジケータを持っていない上に軌跡も見え難いので、乱戦だと自分の背後に投げられたりしても気が付かない事が多い。そして広範囲の爆発ダメージが来るので、喰らうと一気に危なくなる。自動回復の設定として、割と赤にはなり難いのだが一旦赤くなると回復するまでが長いというバランスとなっており、爆風でダメージを受けてしまい逃げる際に撃たれて死亡といった感じで、死亡する時の半分以上はこのグレネード絡みのダメージと考えて良いだろう。なお同様に稀にだが敵が高台から対戦車砲を使って来るケースがあって、これは更にダメージの範囲が広いので不意を突かれると範囲内から避け切れずに不味い事になる。 次に接近しての銃での打撃攻撃が相当強力であり、遠距離攻撃を持たない敵等にはこちらの方が早い事が多い。一般の銃を持った兵士でも、一対一ならば近付いて殴るという手は有効になる。同様にエイリアン系の敵に接近された際の緊急手段としても使える。 とにかく一本道を進んで、スクリプトで登場する敵を倒しながら進むという極めてシンプルなFPS。固定マシンガンを使って大量の敵を倒すという定番パターンも多い。マップのデザインはオープンなフィールドを採用したマルチルートをベースにしているという話だったが、実際の製品版ではほぼ一本道となっており、若干別にルートが設けられている程度。進行の自由度はほぼ無い。そんな中で評価出来るのはマップの雰囲気で、広大なアウトドアの中を実際に移動している感覚が良く出ている。全体が精密に作り込まれている訳ではないが、置かれているオブジェクト類には結構細かい部分までモデリングされている物も多い。 一般的な兵士との戦闘が多い中で、アクセントして用意されているのがRebornだが、それ程種類が多く無い上に変わった攻撃を仕掛けて来る物が少ない。単調に何かを吐いたり噴出したりの攻撃や、シンプルにこちらに向かって来て物理攻撃を仕掛けるとか変わり映えがしない。巨大なタイプは何種類かボスとして登場するが、倒し方も現場に置いてある対戦車砲を拾って(弱点に)撃つだけというパターンが多く、あまり工夫の跡が見られない。個人的にはArea 51がテーマであるのならば、エイリアン&ミュータント系のデザインや攻撃方法には凝って欲しいのだが、その点では不満が残る。 AIにはライセンスされたAI.implantという技術が使われており、これは多数のAIの動作をシミュレーションする為のツールであり、ゲーム用にもUE3に最適化する等で売りに出されている。簡単に特徴を言えば、各個人に決まったパターンの思考回路を設定しておいて、それを数多くの群集として動かした時にどういう風になるのかをシミュレーション出来るツール。ゲームで言えば、大量のオブジェクトが破壊されて無くなったり、或いは飛び散って進路を塞いだりという風にマップ内部の障害物がリアルタイムで変化する中を、各AIが自動的に行動可能な移動パスを判断して動く事が出来るようになるという物である。 実際に移動パスの判断でAIがスタックするケースは稀であり、また登場してから常に同じ移動ルートを通るという事も無いようだ。しかし障害物がカバーとして使えるのかという判断では、一部が壊れている物に隠れたりもすると不自然な面も感じられる。AIの判断自体も戦闘中に別の方向を向いてしまっているというケースも見受けられると完璧ではない。ツール側の能力の問題なのか、それを適用して使う側の問題なのかは不明だが、まだまだ調整が必要と感じられる。 ゲームが推していた隊員のモラルシステムも、少なくとも難易度Hardではそれ程意味が有るようには感じられなかった。原因として敵の兵士はこちらに強引に突っ込んで来る事が少ないので、モラルが下がって仲間が消極的&能力低下しても、自分が離れた物陰からじっくりと攻撃する事で対処出来てしまうからである。つまりLowと表示されたからと言って極端に難しくなるというゲーム性ではない。隊員を前に出して倒されるとモラルは下がるが、その後自分が遠距離から敵の攻撃をなるべく受けないようにして倒す事で回復させられるために、あまり気にしないで済むようになってしまっている。もっと明確にモラルの影響がプレイヤーに判る様なデザインにするべきだった。 味方の隊員は不死身の設定となっており、倒れても15秒程度で再度起き上がって来る。よって味方の隊員は特に気にしなくても何とかなるゲームだが、攻撃する敵を指定してやったりが出来るので場面によっては上手い作戦も行える。ポジションも前方を指定してやって先行させる等偵察にも使える。 総じて部隊を高度に動かしてやるという面白みは味わえないが、簡単な命令で一応有効活用は出来るという風にはなっている。また気にせず放って置いてもそれなりには戦ってくれるのでプレイヤーのストレスにもなり難い。 ※余談だがこのゲームでは味方の隊員はダメージが限界を超えた時は大の字になって倒れるようになっており、膝を突いて蹲るというよく見られるアニメーションではない。だから最初見た時は「あれ、隊員て死んじゃうのか?」となって、これは放って置いて進めても良いのだろうかと考えていたらいきなり起き上がったので、「えっ! 今お前死んでたよな?」と驚かされた。何故わざわざ起き上がるアニメーションまで用意してこういう設定にしたのかは謎である。その隊員の一例だが、これを見たら普通は死んでいると考えると思うのだが。 (上)PCではデモが出ていないので、代わりに開発者によるコメント入りのデモのプレイ動画を掲載する。ただし発売半年前位の物なので、製品版とは若干異なる箇所も有る。(例えば製品版ではIron Sightだが、このデモでは単なるズームである)。 |
問 題 点 |
他の項で指摘していない点をまとめる。 ゲームの一つの売りとして、車両を使ったドライビング・アクションとでも言えるパートが結構含まれている。プレイヤーが車やヘリの銃座に座って敵を倒すという定番パターンの箇所は特に問題は無いのだが、それとは別にプレイヤーが運転する車で敵の攻撃をかわしながら駆け抜けるセクションが含まれている。地面から出現する龍の首の様なエイリアンやこちらに走って来て自爆する奴を交わしながら目的地まで到達するというもので、これは結構難易度が高い上に、やっていて面白くもない。ユニークな要素を入れたかったのだとは思うが、成功しているとはとても言えないレベルである。車も左右キーでは操作出来ずにマウスでハンドル操作となるので、慣れないと感覚が違ってやり難いのも関わっている。 ハンドガンを入れて全部で6種類と武器の数が少ない。対戦車砲はボス敵等の特定の場面で使うのが普通だし、スナイパーライフルも登場箇所は限定的。Plasma Rifleも後半で限定して登場。比較的手に入るのはScatter Gun (Shotgun)のみ。よって大半の戦闘ではメイン武器であるM4 Carbineを使うようになり、それだけにどうしても単調にならざるを得ない。武器の多彩さはFPSの重要な部分なので、もっと種類とユニークな性能のエイリアン系の武器を増やしてもらいたかった。 最初のイラクのエピソードが面白くない。理由としては「ミリタリー物でイラクを舞台に戦うというのが定番過ぎて新鮮さが無い」、「序盤なので簡単な箇所が多くて緊張感が無い」、「何故Area 51というタイトルでイラクなのか?という違和感」といった点。グラフィックス的にも暗い場所が多くて、他のパートよりも劣るという印象である。確かにストーリーの導入部分としては必要だった訳だが、個人的には先に進める為に我慢してプレイという感が強かった。 途中でラスボスとして戦う相手は見当が付くのだが、その最後のバトルはちょっと呆気ない。最後の戦闘としてもストーリーの結末としても、満足の行く終わり方では無かった。 プレイ中にESCでOption画面を出せないのも大いに問題。特にプレイ初期に細かい調整を行いたい時でも、一旦ゲームを終わらせないと一切の設定がいじれないという酷い仕様。この辺はコンソールがメインというデザインの弊害だろう。 |