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GAMEPLAY
 プロローグ+ACT 7までで、各ACTが2,3個のチャプターに分かれている。難易度Normalにて10時間程度。戦闘の項目で書いた様に難易度は高くなく、多彩なSkill Shotを狙わずに進めるならばもっと早くクリア出来るだろう。あとはプレイヤーの移動速度がやたらと速いというのもあり、アイテム類を探さないなら結構短縮出来そうである。


 ゲームの構成はCall of Duty(Modern Warfare)スタイルと言うのか、進行は一本道で様々なイベントを用意しておいてプレイヤーを引っ張り回すという形式。そんな中でこのゲームの良い所は、そのSF設定を存分に活かしているという点。CoD(MW)シリーズと言えばド派手な演出で知られるが、それでも時代設定が現代(近未来)なので限界がある。しかしここでは遥か未来のSF世界なので何でもアリとなり、巨大な恐竜の登場やら食人植物に襲われたりもするし、定番の乗り物に乗って追っ手を攻撃しながら逃げるシーンでもトンでもない物が追い掛けて来たりと、スケールの大きなイベントが発生するようになっている。

 イベントのタイプとしては、特に後半では時間制限イベントが増加する。制限時間内にゴール地点まで脱出するという物だが、制限が厳しいというシーンはほとんど無い。カットシーンによるストーリー解説はそこそこの長さと数で、特に負担とはならないレベル。それと実際のストーリー(ACT 1)が始まるまでのプロローグが結構長いのだが、ムービーで処理せずにプレイヤー自身が参加する形式を採ったのは正解だと思う。難点は「またか....」という位に、ピンチに陥る→落下したり爆発で投げ出される→よろよろと起き上がる、というパターンが繰り返される件。


 不時着した惑星の描写は大変に凝っており、実際に到達出来ない地点については背景画だったりもするのだが、その景観については素晴らしいものがある。インドアからアウトドアへと次々と景観の異なる場所が登場するが、それぞれがバラエティさに富んでいるし、多くの場所ではそのディテールが凄く建造物や各種オブジェクト等の作り込みは非常に高いレベルにある。ただし逆に地形が複雑な形状だったりするエリアでは、プレイヤーがジャンプ出来ない為にどこを通れるのかが判り辛いという弊害も生じている。


 ストーリーは複雑な物ではないが、メインの三人の仲が悪いという点は変わっていると言える。トリシカはハントとイシを信用していないし、イシも彼女をサラノの元へと辿り着く為の道具としか捉えておらず、それは時に殺し合いにまで発展する。ハントは間に割って入るなだめ役の様な存在だが、イシはハントに対しても時に敵意を露わにするし、トリシカはトリシカでなだめられようがハントへの警戒を解かない。話の流れの方も「この展開だと、当然次はこうなるのでは」という予想を裏切るシーンが幾つか在って、それなりに楽しめるというレベルだろう。

 ただ最後はちょっと上手くないというか、これで終わりだろうという所から更に話が続くので、「あれ? まだあるの」となるのだが、そこからは呆気なく終わってしまうという展開。ここはおかしな印象が強く、その手前で終わらせる形に話を構成した方が良かったのではと思える。なおネタバレになるので書けないが、そのクライマックスシーンはやはりあのゲームのパロディという事なのだろうか?

 キャラクタの造形の方は成功というレベルには達していない。主人公のハントは酒飲みで短絡的という設定であり、タイプとしてはデューク・ニュッカムとかその手の要素を感じさせる人物。しかしシリアスな面を持っていたりとどっちつかずでもあり、今一つ魅力的なキャラクタには感じられない。トリシカは非常に汚い言葉を使ったりと個性的な女性キャラクタだが、それ故にヒロインというイメージは持っていない。イシも頭脳が機械と融合しており、それが徐々に人間としての人格を支配していくという設定なので、特異ではあるが掴み難いキャラクタである。3人のやり取りなどはユーモアも含まれていて面白いのだが、キャラクタの魅力としては特に良くは出来ていないという印象だった。


 その他ではSkill Shotとストーリーの融合という面は上手く行っていない。ゲーム内で金を稼いで(集めて)武器や弾薬類を購入&アップグレード可能なゲーム(S.T.A.L.K.E.R. , Bioshock, Wolfenstein等)では、ゲーム内に商人が居るのでプレイヤーが金を集める事に不自然さは無い。ところがこのBSではそれが金では無くて“ポイント”である。「このポイントの概念はゲーム内世界には存在せず、プレイヤーにしか意味がない物である」とするのも一つのやり方だが、これだと「主人公のハントは何故わざわざ時間や手間が掛かる倒し方をするのか?」という点が説明出来なくなる。

 そこで一応説明的なシーンは在る。ハントの装着しているリーシュというのは元はあるFinal Echoの兵士の持ち物で、通信にも使用する特殊な電子デバイスである。そしてこれは装着者の戦闘パフォーマンスを計る機能を持ち合わせており、達成したSkill Shotのポイントを換算してドロップキットにアクセスした際にそれで買い物が出来る様になる、という話のようだ。だが遠い未来の話とは言え説得力が無い説明であり、なんでそんな機能が付いているのかも不明である。任務遂行を第一とする特殊部隊兵士があえてポイント狙いで危険を冒すというのは理解不能だし、リーシュにてドロップキットにアクセスしたら自由に武器を選択出来て、弾薬類も存分に揃えられるというのが普通だろう。故にSSの達成狙い自体は面白いのだが、その行為の不自然さは最後まで違和感として残った。


ECHOES
 これはキャンペーンとは別に用意されているシングルプレイ用のモードで、Skill Shotの達成をメインに据えている。このモードが設けられた理由は、「テスターを観察したデータとして、彼等がストーリーやビジュアルに注目している状態ではSSの達成に疎かになるという傾向が見られた。けれどもSSに集中させる為にそういった要素の方を削ってしまうという訳にも行かない。そこでゲームのクリア後にSSだけに集中してプレイ出来るモードとしてこれを制作する事にした」。

 キャンペーンの一部分を切り取ったマップが20個程度用意されており、基本的にはキャンペーンの時と同じシチュエーションでプレイ出来る(味方も一緒)。ただしカットシーンや会話等はカットされており、SSの達成だけに専念出来るというゲーム形式になる。キャンペーンのクリア前にも選択出来るが警告が出る。


*ハイスコアを達成するのが目的で、プレイヤー全体での順位も確認出来る
*フレンドとはマップ別にスコアを比較も可能
*成績は☆3個で評価され、この☆をある程度稼がないと先のマップがアンロックされない

*各マップは4〜8分程度の目標タイムが設定されており、これ以下でゴールするとボーナスポイントが得られる
*死亡時はそこで終了になるが、スコア自体は無効にならずに成績として認められる
*選択可能な武器はキャンペーンと一緒で、後半になるにつれて徐々に増えて行く
*武器選択はスタート前に行うが、マップ内にドロップキットが有るならそこでも行える
*チャージショットの数はデフォルトの3発なので、ドロップキットで再補充するのも重要となる

 このモードではデータベースでのSSの達成状況は考慮されず、各プレイにて初回達成のSSには5倍のボーナスが入るので、出来るだけ異なるSSを数多く達成する事が高得点への重要なカギとなっている。


 それ程SSに執着せずにキャンペーンをクリアした人や、クリア後に高難易度に挑戦しようとする人に対して、SSの達成だけに集中してプレイ出来るモードとして設けられた物だと捉えれば良いだろう。別に悪い要素ではないが、キャンペーンのクリア後に遊べるシングルプレイ用のモードとしてはやや魅力不足か。キャンペーンを別難易度でやり直す方が面白いと考える人も多いと思われる。

GRAPHICS
 Unreal Engine 3を使用。どの程度カスタマイズしているのかは不明である。なおパッケージにはDX10対応の記載が在るのだが、実際にはメニューには選択項目が無く、暗号化された設定ファイルの中身をツールを使って変更してやらないと駄目らしい。またそれでどの程度変わるのかも詳細は不明である。


 Epicの傘下で制作しているというのもあって、キャラクタのデザインや見た目はやはりGears of Warとの類似性が強く感じられる。特にカットシーンでのキャラクタのアニメーションなどは細かくて良く出来ているという感想。だが実際のプレイ中の一般的な敵はそこまで高精細ではない。普通のFPSに比較して近距離に多数の敵が入ったりする事が多いので、その辺を考えて精度を落としているのかも。

 やたらと敵をキックやリーシュで地面に転ばせたりするゲームなので、ラグドールで吹き飛んだ敵が倒れてから起き上がって来るというアニーメーションが頻繁に発生する事になるが、地形が複雑でもあるのでオブジェクトとの重なりは避けられない。ただ許容範囲内ではある。


 テクスチャは相当に高精細であり、単純なパターンの繰り返しではなく細かく描き込まれている。そしてロケーションの多くは美麗な景観となっており、複雑な形状のオブジェクトが多い事もあってリアリティを感じさせる。全般的にグラフィックスのクオリティは高くトップクラスと言えよう。

 PC版ではポストプロセッシング, テクスチャ, 影描画, オブジェクトのディテールの各項目を変更可能。アンチエイリアシングもあり。

SOUND
 OpenALでの3Dサウンドに対応。定位感はハッキリしている方。

 銃器系のサウンドは普通だが、SS達成時の各種効果音や敵の悲鳴等に凝っているゲームである。

 声優の質は高い。しかしイシやトリシカに比べるとハントの声優は見た目のイメージとやや違うという印象。

 BGMはシンフォニックでテンポの早い物と暗くて荘厳な感じの物が半々。あまり良いと感じられる曲は無かった。サントラが無料でダウンロード可能になっている。

MULTIPLAYER
 Anarchyと呼ばれるCo-opモードが用意されている。対戦モードは無し。対戦モードを設けなかった理由は、「このゲームでは敵を一定時間無力化する攻撃方法が多く、これはシングルプレイでは面白いのだが、マルチプレイでは自分が敵の攻撃によって5秒間ほど何も出来ないという風になってしまう。この様な状況が連続するのではプレイしていて全く面白くないし、それを解消するにはこのゲームの特徴要素を無くさないとならないので止めた」。


 アナーキーは4人までが参加可能なモードで、ウェーブ形式でそれを20レベルまでクリアするのが目的。ただしレベルのクリアは全ての敵を倒す事が目標ではなく、決められた数の敵相手にSkill Shotで規定以上のポイントを稼ぐのが目的となる。全ての敵を倒した時点で目標ポイントに到達していないのならば失敗であり、再度そのウェーブにトライする事になる。序盤は条件が厳しくないのだが、後半になるにつれて普通に倒して低ポイントを獲得する様な行為が痛手になっていく。合計で5回失敗するとゲームオーバー。

 ウェーブによって登場する敵の種類と数は固定。難易度設定は無し。マップはデフォルトでは6個収録されており、全てSSがやり易いように小さな物となっている。また各マップ毎に独自のSS達成用のオブジェクトも配置されている。

 XP(経験値)とランクのシステムも導入されており、これは最大で65ランクまで上げられる。ランクによって見た目を変化させる装備品類のアンロックが行われる(能力値に変化は無し)。


*1〜4人までで1人でもプレイは可能
*オープンなサーバーでのプレイでも、フレンド限定でのプレイも両方が可能
*全プレイヤーのランキングシステムに対応

*クリアに必要なポイントは参加人数によって変化する
*目標以上のスコアはボーナスとして換算される
*ヘルスがゼロになるとその場にダウン。他のプレイヤーがキックかスライディングで蹴れば即復帰出来る。
*全員が同時にダウンするとそのウェーブは失敗となる


 デフォルトの武器はPMCとリーシュ。ウェーブ間に30秒のインターバルが設けられており、ここでドロップキットにアクセスして稼いだポイントで買い物が出来る。シングルプレイとの違いとして、アナーキーモードではより多くのアップグレード要素が用意されている。全てアップグレードは三段階可能(0から3までの三回)。

 第一にプレイヤー自身の能力。Defenses / Speed / Power の三項目をアップグレード出来る。ディフェンスはプレイヤーのヘルスの最大値や回復速度の上昇。スピードはその名の通りで移動速度。パワーはキックの力とBlood Symphonyの持続時間を上げる。

 第二にリーシュ。アナーキーではリチャージ時間が存在し無限に連続で使う事が出来ないのだが、このインターバルがレベルアップによって短くなっていく。他にはサンパーの最大携帯量が上がる。

 第三に各種武器。PMC以外はポイントで各武器を買わないとならない。最大携帯量, チャージショットの獲得, 弾薬の他に、正確性, 連射速度, ダメージ量, リロード速度等も上げられる。


 このモードでは高ポイントを稼がないとならないので、各人が勝手気ままに敵を倒していたのでは駄目で、Co-opとあるように協力して敵を倒さないとならない。どういう事かというと、例えば2つ以上の課程を要するSSを実行する場合、それを二人で分担して行えば両方がポイントを獲得出来るので有利になる。自分でリーシュによって引き寄せた相手を蹴ってオブジェクトに叩き付けたりする場合、その蹴る行為を仲間にやって貰い二人でSSを達成する様に心掛けるという意味である。サンパーで空に数体の敵を跳ばし、それを他の3人にそれぞれ一人ずつ処理してもらうとかも同じ。

 もう一つウェーブのクリアに重要となるのがTeam Challenge。プレイ中にある程度定期的に敵に対してこのチームチャレンジのタグが付けられる。これは青いハイライトとなって高く上に伸びるので、遠くに居てもその敵の認識は容易。そしてランダムにそれを達成する為のSS名も表示されるので、この敵を2人で手順通りにSSで倒す事で高ポイントのボーナスが得られる。後半のウェーブ達成には是非とも成功させたいチャレンジとなる。

 その他にシングルプレイとの違いとして、Blood Symphonyという能力が備わっている。これは敵を倒してBSゲージを溜める事で発動させられる力で、発動中は単純なキルであっても高ポイントを稼ぐ事が出来る様になっている。



 シングルプレイとは違って共同でSSを決めないとならないという所は新鮮味があって面白い。マップによってそれ程大きくプレイ感が変化する訳では無さそうなので非常に長時間プレイ出来るモードとは思えないが、単純に敵を倒せば良いホード形式の物に比べるとユニークである。ただしこのモードはボイスチャットでの相談によるフレンド同士でないと難しそうだ。例えばチームチャレンジを行う場合に、1人目がトリガーとなる行為を行った後に2人目がアクションを行う事になるが、その際に残りの複数のプレイヤーがそれをやってしまって失敗になる恐れがある。つまりフレンド同士でないと、その辺の誰がやるのかという打ち合わせが難しい。

 パートナーがハッキリする2人だけのCo-opならばまだやり易いとは言えるが、普通のSSでも最初のアクションを起こすプレイヤーが2人目に続けて何をやって欲しいのかを伝える手段がないと連携が取り辛くなる。

 それとフレンド同士でも3人だと、余ったプレイヤーは紛れを少なくするには1人でプレイせざるを得ず、そうなると高ポイントSSの達成が難しくなり、後半になると動き難くなるという面を持っている。勝手に敵を倒しては2人組の方の迷惑になるからだ。しかしそうなると個人でのポイントも稼ぎ難くなるのでアップグレードも遅れる事になり、余計にペアに対して能力が遅れていく。よって3人ならばローテーションでポイントを均等にするとかの作戦も必要になるだろう。

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