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GAMEPLAY
 全部で14ミッションを収録。最後のミッションだけちょっと変わっており、マルチエンディングを採用している。それまでのゲームの経緯に関係無く、M14の冒頭にてローガンにはゲーム中に登場した3人の主要キャラクタから仕事の要請が入り、その中で誰の依頼を受けるのかによって、ミッションの内容及びクリアした際のエンディングが変化する方式。使われるのはどれも同じマップで、選択によってローガンの立場が変わるというデザインになっている。依頼の時点でどれが“一般的な意味”でのグッドエンディングやバッドエンディングかはすぐに判るので、そこをプレイヤーの考え次第でどういう結末を選んでも構わないという設定である。

 Normalにてクリアまでには20時間程度掛かった(エンディング全クリア)。開発側の話では難易度にもよるが15−25時間程度のボリュームを想定しているそうだ。当時は短いゲームが出始めていた頃で、その様なすぐに終わるゲームにはしたくなかったので、十分な時間プレイ出来るという点は重要視したとコメントしている。


 ゲームの概要についてだが、徹底してタクティカルな要素を重視したシューターだと自ら宣言している。タクティカルというのは特殊部隊物の様なリアル系シューターでも使われるが、Chromeには一撃で死んでしまうとかのダメージ面でのリアルさはほとんど無く、「反射神経よりも頭を使う事が重要視されるゲーム」という風にでも捉えてもらえば良いだろう。「単に前進して敵と撃ち合う以上の要素を求めるプレイヤー向き」、「武器&アイテム類の選択や、その場面に応じて使用するインプラントの選択が重要視される」、ゲームだと主張しており、実際にその通りのゲーム性である。

 一般的なレベルの“Normal”における比較では難易度は高目。これは私個人の感想もそうだが、掲示板の声等でも「難易度が高い」として認知されているゲームである。“難易度が高い=よく死ぬ”であって、アクションFPSと比較するのはどうかとも思うが、その平均的な物に比較して5−10倍は死にまくるバランスである。ただしChromeでは回復用のメディキットは結構在るし、数発被弾ですぐ死ぬというダメージ設定でもない。またクイックセーブも制限無く可能である。この辺の難しさの原因は多岐にわたっているので、その該当項目にて随時解説していく。


 まず最初に書いておくと、「広大なマップでの自由度の高いプレイ」という当初のデザインは大幅に後退しており、制作側の意図しているルートに沿って進められるゲームという方が適当である。「自由だから面白い」という訳では当然無いが、ルート選択の自由度の高さを期待しているプレイヤーには向かないゲームではあるのは確かだ。例えばFar Cryみたいなマップ構造を期待すると外れる。

 アウトドアは最大で2*2km程度と広いのだが、目標地点に向けて本道から逸れて別ルートを回ろうとしても、地形的に壁が有って通れないとか、透明の壁で遮られていたりするケースがほとんど。他に幾つか例を挙げると、目標地点Aの途中に別の施設Bがあり、Bの敵も倒しておくか素通りするかを選択出来るのかと思えば、結局目標地点Aの扉を開けるのには先のBでキーカードを奪って来ないとならない。「X個の施設を破壊せよ」という目標が並列に複数存在するケースでも、その順番が選べない事がある。大きな施設だが周囲を塀に囲まれているので、入り口は一箇所に固定されている。といった感じで、プレイヤー側のルート選択の自由度はそれ程高くないゲームである。

 プレイヤーに許されている自由度としては、同じ敷地内の建物をクリアする順番や、それをクリアするか無視するかの選択。またはマップ内を警備している兵士をどの程度倒して進めるか等。後は必要なキーカードの有るB地点よりも、それを使うA地点の方を先にクリアするという風には出来る場所もある。つまり一般的なFPSに比べると自由度は数段高いが、「自由度が高い」と宣伝するには不満足というレベル


 各ミッションのマップはアウトドアとインドアが混じっており、アウトドアも広いが目的の施設のインドア内部も広い(もしくは数が多い)というタイプがほとんど。インドアとアウトドアでは戦闘のスタイルが大きく変わるゲームなので、その意味で切り替わりが多いのはプレイ感覚に飽きが来ないように働いている。全体の長さは10分も掛からない物もあれば、3時間以上掛かったりと巨大で難しい物も含まれている。

 そのミッションにおいて大きな問題なのが進行のスクリプト。イベントの構造に稚拙な面が見られる。具体例を挙げると、人質を救出するミッションにて、プレイヤーが人質に会った時点でカットシーンとなり、そのまま人質が逃走を開始してしまうので、そのルートに敵が残っていると撃たれて死んでしまってゲームオーバー。周囲の敵を全て倒しておくようにという指令も出ないし、人質が正確に何所に居るのか判らないので偶然先に会ってしまうケースもある。また人質が勝手には動かないケースもあるので、先に会って良いのかの判断すら付けにくい。
 次に逃げる敵のシャトルをロケットランチャーにて撃ち落とすシーン。プレイヤーがある事をするとイベントがスタートするのだが、その際にRLをまだ持っていないと、そこからRLを探しに(取りに)戻らないとならない。しかし武器交換に時間が掛かるこのゲームでは、それをやっていたのでは間に合わなくなる。つまり事前にRLを装備してからイベントをスタートさせる必要があるという点を知っていないとならない。

 その上にオートセーブが行われないので、イベントを発生させる前のセーブが無い場合には、長いミッションを最初からやり直しになる危険性もある。イベントが失敗するとゲームオーバーの箇所では、上記の例の様に頑張って戦闘しても無理というシーンがあるからだ。よってシステムの項にも書いたように、必ず定期的なセーブを行っておく必要があるゲームである


 ステルスを強要されるミッションは2つで、またどちらもある地点からはステルスは必要なくなる。しかしミッション自体が相当に長いので分量としては結構有り、しかもこのステルスのパートはゲーム全体でも有数の難所となっている。個人的にはこの2つのミッションだけで全体の1/4に当たる5時間ほどを費やした。ここではエネルギーを使い切るまで光学迷彩で姿を消せるクローキングデバイスがアイテムとして出て来るのだが、数は無限ではないし近付くとバレてしまうので完全でもない。
 なによりどういう基準でステルスが解除されるのかが最初は判らない上に、片方では失敗した事(ゲームオーバー)がしばらくしてから連絡されるので、それまでは動けずにテンポも悪くなる。取りあえずゲームオーバー覚悟で何回も実験して、どういう基準でセーフやアウトが決まるのかを掴むまでが難題である。しかもその基準が一般的なステルスゲームの常識とは異なる点も難しさの理由の一つ。更に2つのミッションでは要求されるステルスのタイプが異なるので、それぞれにその基準を見付ける必要がある。


 乗り物が何種類か用意されている。しかしマルチプレイ戦用の物もあって、シングルプレイに登場してプレイヤーが操作可能なタイプはあまり多くない。特徴としてはWalkerと呼ばれるメックに乗り込める点。ミニガンを装備しているので攻撃力は高いが、旋回角度が相当に狭いので体を動かして狙いを変えないとならないのが弱点である。車両系の動きはアーケード的で、リアルにしたかったのだが物理エンジンの制作が間に合わなかったそうだ。ぶつけると大きなダメージを受けるので、慣れないとスピードは出しにくい。

 これもまた当初のデザインから変更された点になるが、ミッションにおいて自由に乗り物を使えるという要素はカットされている。スクリプト的に出て来るシーンがほとんどで、自由にマップ内を乗り回せるような箇所はほとんど無い。乗り込む事が前提で置いてあるケースが大半。Walkerを奪って乗れるシーンもイベント的な扱いで、乗ったままで広いエリアを移動したりは(ルートがブロックされているので)出来ない。それと車両に乗っていてもプレイヤーは被弾でダメージを受けるので、そのタイプにもよるが強引に敵を攻撃するのは無理になっている。車両の方が破壊された場合にはプレイヤーは放り出される仕様。

 総合的には乗れるシーンがあまり出て来ない上に自由度が低く、またその種類も少ないので、兵器に乗り込んで戦うのが好きという人にはあまり楽しめないゲームと言えそう。ただしマイナス要素にはなっていないので、歩兵戦が好きで乗り物を自由に乗り回せるという辺りを気にしない人には特に問題は無いと思われる。


COMBAT

*ズーム視点にすると命中精度が上がるが、移動速度は遅くなる
*姿勢はしゃがみの他に伏せが可能
*左右へのリーン動作は可能だが、その最中は銃を撃てない。ただしリーンしても敵には発見されない。
*照準の大きさは命中率を表し、走ると広がりしゃがむと縮まる
*連射すると照準の方が広がるのに加えて、実際に銃身が跳ね上がっていくリコイルが発生する
*移動速度は重い武器を持った時だけ遅くなる
*後退する時だけ速度は遅い。しゃがみ状態でもかなり遅くなる。
*画面下部にスキャナーを持っており、一定範囲の敵をオブジェクトを通してでも検知出来る(最高難易度は出ない)。多少の高低誤差あり。


 難易度Normalでのバランスだが、インプラントに頼らない正面からの撃ち合いにおける戦闘能力は相当低い。第一に移動しながら撃つ際の命中率が低いので、敵の目の前に出て行って左右にステップしながら撃ち合えるゲームではない。また突っ立っていて大丈夫なほどダメージに対しても強くない。フルオートでの連射でも照準の広がりとリコイルが発生するので、手動バーストにして断続的に撃たないと当たらないという設定となり、複数の敵との撃ち合いでは一気には倒せないので不利になる。その上に近距離戦での敵の反応速度と命中精度はかなり高いレベルにあるので、打ち合いに持ち込んでもすぐに殺されるだけという状態になってしまう。よって不意討ちするか一対一なら何とかという程度。止まった状態で敵からなるべく離れて、出来ればしゃがむか伏せて攻撃するのが基本となる。じわじわと敵をクリアしながら歩を進めていくタイプのスローテンポなゲームであり、一部を除けば派手な戦闘は無いので、スピーディーなアクション系が好きな人には向かない。逆に(SF世界での)一般的な人間が戦っているという感覚は良く出ており、リアル寄りのバランス設定を重視する人は気に入るだろう。

 敵に命中時には血飛沫が飛ぶという設定だが、そのエフェクト自体が微細で明確ではないし、離れると更に見えなくなるので被弾アニメーションで判断するしかない。死体に血が付着するエフェクトは有り。死体は消えずにずっと残っている仕様。ラグドールは導入されているがその出来が非常に悪く、頭を撃たれただけで回転しながら勢いよくふっ飛んでいったり、撃たれたのとは全然違う方向にジャンプして跳んだりと、大袈裟過ぎる上に不自然で冗談のようなレベル。


 戦闘の難易度を上げている要素を幾つか列挙。回復はメディキットを使って行い、これはスロット数の許す限り携帯が可能である。数も結構豊富で、敵の死体やロッカーを開けて回収していれば足りなくなるケースはほとんど無いだろう。むしろミッションの最後は余る位に在る。1個でHPのメーターを全回復させられるが、その効力は時限式で1分程度はそれが持続する。例えばフル回復後に撃たれて減っても、時間内ならばそこからまた回復が行われる。危ない状態になると警告音が鳴って知らせてくれる点は親切設計。

 こう書くと回復に関しては相当恵まれた設定の様に見えるが、一つだけその優位を全て覆す欠点が存在する。それは適用に時間が掛かるという点。ギリギリの状態から適用した場合に、HPのメーターが完全回復するまでには30秒程度掛かってしまう。つまり戦闘の最中にホットキーで適用しても回復速度がゆっくりなので、回復前に更なるダメージにより死んでしまうというケースが多くなる。何所か隠れられる場所がないと厳しいが、それも回復中に敵がやって来たりグレネードを投げ込まれたりすると危うくなる。
 その為に扉の向こうに敵が居るのが判っている場合なら、HPが十分な状態でも先に適用してから戦闘に入るというのも一つのやり方である。一定時間内はダメージを受けても回復が行われる。なおこれはゲームを半分位進めてから気が付いたのだが、メディキットは重ねて使う事が出来る。連続して使えば回復速度がそれだけ上昇するので、数に余裕がある際には3個程度を難所で使うと効果的。だが連続して攻撃を受けるとやはり死んでしまうのは変わらず万能ではない。マニュアルに記載も無いので分からなかったが、これにもっと早く気が付いていれば多少は楽になっていたかも知れない。


 インベントリーの項でも書いたが、スロット数が限定されており実質メイン武器は一つしか持てない。よってアウトドアとインドアが混じっているミッションが多いのだが、携帯するメイン武器が一種類なので状況に応じての適切な切り替えが難しくなっている。例えばアウトドアorインドアでも広い空間にて非常に強力な武器となるスナイパーライフルであるが、近距離戦では不利になるので建物内に入る際には捨ててから敵の武器に持ち替えるなども考えないとならなくなる。そして再度アウトドアに出たら遠くまで取りに戻ったりとなると更なる手間に。逆に近距離に強いサブマシンガン系を所持している場合、アウトドアのパートになった際にライフル系の武器が拾えないとそこでは不利になる。それとスロットを空にしてからでないと武器を拾えないし、弾薬も交換しないとならないケースもあるので、その交換作業自体が相当面倒なゲームでもある。

 よってスナイパーライフルは持ったままで近距離戦はハンドガンで何とかするとか、スナイパーライフルの優位性は諦めて汎用的なアサルトライフル系を持ち歩くとか、中を取ってセミオートのライフル系にするとか、いろいろな点を考えて選択しないとならない。ハンドガンの方の選択は汎用性の高いピストル、威力は落ちるが敵を呼び寄せない様にステルス重視のサイレンサー付き、クリップ数も連射性能も低いが威力が高くて正確なのでライフルの様にして使えるマグナム、或いはナイフと、メイン武器との組み合わせを考えて多彩な選択が可能である。単純にどれを使うのかは好みというのではなく、どういう風に組み合わせても有利と不利の両面が生じるというのがこのゲームの面白い所。それを踏まえてプレイスタイルや状況に応じてどれを選ぶかを考えないとならない点が、タクティカルなゲーム性に繋がっておりゲームの魅力にもなっている。

 メイン武器の種類は10種類以上と多いが、シングルプレイには出て来ない物もある。携帯するのは汎用的に使える物が通常は優先されるので、特殊な武器類はミッション開始前の選択時には選びにくく、マップ内で見付けたらその場で持ち替えてその場で使って終了というケースが多い。或いは使い切るまでは持ち歩いて、無くなったら敵の持っている武器との交換も可能だが、その武器と交換して捨てる武器が良い物だと後に敵から拾える保証が無いのでやり難くなる。

 なおスナイパーライフルはゲーム中盤からミッション開始前に選択可能になり、弾薬もマップ内で手に入るようにはなる。しかし弾薬がどの程度手に入るのかと、ミッションの内容が初回だと詳細には分からないので、強力だからといってスナイパーライフルを選んでしまうのはそれなりにリスクを負う事にもなる。(ゲーム前半では弾が特定の場所以外には存在していないので、監視塔の敵を倒した後に上に登って取り、そこから見える範囲の敵を倒したらそこで使い切りという形がほとんど)。

 以上の様にどんな状況でも役に立つ武器は存在しないし、ケースに応じて持っている武器を切り替えられるゲームでも無いので、難易度としては当然多数の武器を携帯可能なゲームよりは難しくなる。


 続いては被弾時にノックバックの効果があるので、敵から撃たれながらの戦闘では照準が揺らされて命中率が落ちてしまう。メディキットを重ねて使って耐久力を増しても、敵に体を曝しての撃ち合いが困難なのはこれが原因。更に画面が赤くなったり血が付着するエフェクトがかなり強いので、視界も大きく妨げられてしまう。特に敵が高速なサブマシンガン(Uziタイプ)を持っていると、連続してノックバック状態となり反撃もままならずに数秒で殺されてしまう事も。

 またインドアは暗い場所が多く、敵のアーマーが赤・青・黄色という勢力の物ならまだしも、黒いタイプだと背景に溶け込んで見付け難い。近距離では敵のリアクションは早いので、何所に居るのか見付ける前にこちらが撃たれてしまう事が多い。そして敵の撃って来ている方向が分かり辛いのも難しさを増している原因である。

 終盤になると敵が増えてくる上に、持っている武器が良くなって正確性も上がってくるので厳しくなる。シャトルからの援軍降下や、スクリプトとして初期状態では配置されていなかった敵が沸いて出てくるパターンも増える。更にヘルメット姿の敵も増加し、ヘッドショット一発で倒せなくなるケースも出て来る。

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