次の頁     TOP

GAMEPLAY
 ボリューム的には短く、Regular(Normal)難易度だと6時間程度でクリア出来た。この長さになったのはマルチプレイの方も充実させる為にリソースを割いたからというのが大きいと思うのだが、シングルプレイしかやらない人に取っては物足りない長さとなる可能性もある。短いがその分濃いので問題はないとする人も当然居ると思うが、個人的にはちょっと短過ぎるという感想を持った。

 そういった不満を持つ人にはリプレイ性の有無は重要な要素となってくる。まず難易度変更は基本的な変化だが、特に敵の出現パターンが変化するとかではなく、プレイヤーが死ぬまでに受けられる被ダメージ量が変わるという程度のようだ。それと不利な点として、スクリプトで固めたゲームは繰り返しても同じ様にしか展開しないのでリプレイ性が低いというのは定説。このゲームでも敵の出現はトリガー方式が主で、決まった地点に到達すると湧いて出て来るという風になっている。しかしAIが強化された事により出現後の動きの変化が大きくなるので、全く同じ様にしか展開しないシーンが延々と繰り返されるようにはなっていないという点はプラス。

 そこで対策の一つとして導入されているのが先に解説したArcade Modeで、通常のプレイとは異なった感覚でリプレイが可能になっている。ただしこの別ルールをどれだけ面白いと感じるかは微妙ではある。総じて一応のリプレイ性は確保されているので、ボリュームの少なさは致命的な欠点にはなっていない。


キャンペーン
 今回もプレイヤーが操作する人物は複数存在しているが、これまでのようにメニューとして米英露の様にキャンペーンが独立してはいないし、CoD2の様にミッションの順番を選択出来るようにもなっていない。普通のFPSと同様にミッションを順番に従って進めて行く形式である。アンロックしたミッションは一覧から個別にリプレイが可能。プロファイルにより複数の独立した進行状況を保管も出来る。


ストーリー
 今回はWWII物という枷から放たれた事から、オリジナルの魅力的なストーリーを構築するという方針へと変化し、そこに人気TVドラマ『24』の様なエピソード形式のTVシリーズを模した形式を導入すると宣言していた。そして実際にそういったTVシリーズを手掛けている脚本家をスカウトし、何回もストーリーを作っては壊しという形で練り込んでいるという話だったのだが、プレイした印象としては至極普通のストーリーというのが正直な所。

*一話分(ミッション)がそれ程長くなく、各話で一応の起承転結を持つ
*非常にストーリーの展開の切り替りが早く、同じ様なスタイルでは続かない
*カットバックの様な手法で次々に主人公(プレイヤーの操作するキャラクタ)やロケーションが変化して行く
*先の展開が読めず、二転三転するスリリングなストーリー

 以上がエピソード形式の特徴とされているが、確かに主人公が切り替わりはするものの目まぐるしいという程のレベルではないし、過去の出来事に遡るといった特殊なミッションも一部のみ。予告されていた敵兵士になってプレイするというミッションもカットされたようだ。特に最後の「先の展開が読めず、二転三転するスリリングなストーリー」という、エピソード形式のTVドラマにて大きな売りとされている点は全くと言っていいほど含まれていない。

 予想通りにストーリーは進むし、幾つもの意外な真実が暴かれて行くといった面も持っていない。他にはアクションとステルスを効果的に配してテンポを変えたいとしていたが、これもステルス重視のミッションは限定された物となっている。結局はスタンダードな形式に戻したという話なのかは不明だが、これがエピソード形式と主張するのならば高い点をあげる事は出来ない。ただしストーリー自体は別に悪くないし、エピソード形式でないとならないという理由も無いので、元々そういう狙いを持っていたという事実を知らない人に対してなら何の問題も無いだろう。

 構成として評価出来るのは、頻繁に長いカットシーンを挟み込むとか詳細なストーリー解説を聞く事を強要するといった要素を省き、プレイヤーの気が削がれない様にしている点。ミッションの接続画面はGoogle Earth風のデザインとなり、次のミッション地点へと徐々に衛星からの画面がズームされながら切り替わって行って、その間に簡単な内容説明や会話が挿入される様になっている。そして最大倍率になった時点でそのままマップ内のプレイヤー視点に切り替わるという方式。ローディングさえ終了すれば解説画面を飛ばす事も可能である。ストーリー展開は時折プレイヤー視点のままの状態で短い解説シーンが挟み込まれるという方式となり、連続性を保ったままでゲームを続けて行けるようになっている構成は上手いと感じさせられる。


スクリプト
 シリーズに対する批判的な見方の一つとして、”スクリプト(演出)でガチガチに固められた進行が一本道のゲーム”というのが挙げられる。これは初代CoDからで、もっと遡ればIW社設立前に作ったMedal of Honor: Allied Assaultも同様である。CoD2ではその批判を受けて自由度を広げる様なデザインとなったが、逆にその分演出面は後退して劇的なシーンが少なくなり、ストーリーのインパクトは弱くなってしまったという感があった。

 このCoD4はスクリプトといった観点から見ると、再度劇的な演出面に重点を置いた構成に戻っており、そして今回はそれが上手く行っている。進行は確かに一本道で変化が生じる訳では無いが、その分効果的な演出を多用してプレイヤーを引き込む事には成功している。結局は自由度がどれだけ高くてもゲームとして詰まらないならそれは詰まらないという点は変わらないし、スクリプトで固められていても面白いゲームならばそれは気にならないという話になる。チームが原点に帰ってあくまでもスクリプト重視路線を選択し、そのデザインを上手く活かそうと考えたのだとしたら、それは見事に成功を収めたと言えるだろう。ラストシーンの演出などは正に映画その物といった感じである。


ゲーム性
 単に舞台を現代に移しただけの同じ様なゲームになるのか、ゲーム性自体が変わって来るのかが注目されていたが、感想としてはそれなりに変化は感じられる物となった。

 第一に展開がスピーディーになった。特にSASでのミッションにおいて顕著であり、このタイプでは数人の隊員と一緒に多数の敵相手に奇襲を仕掛けるパターンが多いので、一つの目的がクリアされれば時間を置かずに次のポイントへと矢継ぎ早に移動するという展開になる。よって他の隊員達がドンドン走って行くのを自分もスプリントで追い駆けるという形になりがち。必ずしもプレイヤーがそれに付いて行かないとならない訳ではないのだが、ゲームの展開に沿って動くとなると、走っては次へ、クリアしたら更にその次へと急ぐというようにはなって行く。それとタイマーが表示されて時間制限されるケースもあるし、特にタイマーが出なくても規定の時間内に動かないとゲームオーバーとなるシーンも含まれている。
 周囲を探して武器や弾薬集めをしないと困るというバランスでもなく、先に進めたければドンドン前へと急げるようになっているので、そのスピード感の高さがスリリングなプレイ感を生んでいる。また途切れない緊張感がゲームへの没入感を高めているとも言えるだろう。

 第二に周囲の味方AIの動きが改善されている。これまでの問題点として、周囲に居る仲間が自分が動かない限りはジッとして行動を起こさないのは(AIがゲームをクリアしてしまっては困るから)仕方がないとして、戦闘シーンにおいてもプレイヤーが自分自身で敵を積極的に数多く倒さない限りは展開が変化しないというのがあった。味方は周囲で単に撃っているだけで背景と変わらないという意味である。
 しかし今回は通常の撃ち合いにおいては結構AIが敵を倒してくれるようになっており、プレイヤーが自ら活躍しない限りは戦闘状況が変化しないという風にはなっていない。この点はCoD2でも改善は見られたが、今回はより一層自然な感じを醸し出している。プレイヤーが指定のポイントに到達するまでは味方AIは止まったままで待機している点は変わらないが、一度戦闘が始まればプレイヤーが後方からチマチマと安全に戦っていても決着が付いてしまう。確かに従来形式のプレイヤーが前進してトリガーまで達しない限りは展開が変わらないというシーンや、敵戦車の様にプレイヤーしか倒せない相手も残っているが、全体の割合としては味方AIが役に立ってくれるケースが増加しており、それは戦闘シーンのリアリティを高めるのに効果的に働いている。

 それとプレイヤーの単独行動がほぼ無くなった。建物の中を「お前一人で(大量の敵相手に)クリアして来い」といった非現実的なシーンはカットされている。


チェックポイントセーブ
 セーブの間隔がかなり短くなり、大抵はエリア単位で次々とセーブされて行く。よって死んでも大して前に戻らずに続けられるようになっており、この辺は展開の連続性を重視して誰もが早く先へと進めるように意図しているのだと思われる。その上にロード時間もほとんど無いので、死んでもデータのロードを待っている必要が無く休まずゲームを続行出来る。
 その一方でバランス感覚も忘れておらず、セーブ間隔が短いとは言え難易度的には特に易しくはなっていない。CoD2ではその回復システムから(Normal程度では)簡単になってしまって手応えが薄れた点が問題視されたが、このゲームでは同じ回復システムにも関わらず難易度的には適当なバランスをちゃんと保っている。

 一方で同じエリア内で長くイベントが続くシーンなど、シチュエーション的にセーブポイントを挟み辛いというシーンも何箇所か在って、そういう場所では必然的に激しい戦闘がセーブ無しに続くので難所となっている。


自由度
 進む為のルートが複数用意されているケースや、複数の建物のどこからクリアして行くのかといった一応の自由度は設けられている。しかしデザインとして高い自由度を狙ったゲームではないので、プレイヤーの行動によって大きな展開の変化が生まれるというようにはなっていない。武器が二個しか同時所持出来ないので、持っている武器によって戦闘時の攻め方が変わるという方がむしろ変化としては大きいように思える。


問  題  点
 ゲームの流れを止めない様にする為にセーブ地点の間隔を短くしているが、それによって死んでもちょっと前からすぐやり直せるので死の重みが低くなっている感は否めない。場所によっては死ぬ事を前提にいろいろと試してみて解法ルートを発見したり、何回かトライしてその内一回上手く行けば良し程度の感覚のプレイスタイルにもなりかねない面を持っている。それと併せてゲーム展開は確かにスピード感があるのだが、ゆっくりしようにも強引に開発者に「さあ早く次へ」とばかりに背中をグイグイ押されているという感覚も拭えない。


 マップ内を探す事でノートPCや隠されている交換可能な武器類を見付けられるのだが、ペースが早いのであまりゆっくりと探せるという感じではない。この辺はスピード感重視で早く先へ行けなのか、もっと探してくれというのを強調しているのかどっちつかずの感がある。リプレイ用の要素と割り切るならそれまでなのだが.....。それと探してみようと考えたらイベント発生で間に合わずゲームオーバーとかは、もっとキッチリとプレイヤーに「今は急がないとならない」といった点を明確に示すべきだろう。


 ミッションによっては装備からは敵と味方が判り難い。リアリティという程その点にこだわったゲームでも無いし、距離が離れてもタグ表示等を行って明確に判断出来るようにして欲しかった。オプションで設定可能でも良いだろう。FFが許されていないので尚更それを感じる。


 セーブポイントが特定の場所にしか存在せず、開発側が意図したルートを通らないとセーブポイントを通過しない可能性がある。広いマップでルートが自由に見えても、その中の特定の箇所を通らないとセーブされないの意味。


 戦闘に変化を加える為に入れたのだと思うが敵の犬の扱いが厄介で、このゲームにおいて必要なかったと思わせる問題点の一つとなっている。犬が接近して来るのが分かっているなら簡単に撃って倒せるのだが、気が付かずに一度飛び掛かられてしまうと倒すのが難しい。倒されてから画面に一瞬表示されるタイミングに合わせてMelee Attackのキーを押せば首をへし折って殺せるが、その一度限りのチャンスに失敗すると後はもう死ぬしかないというルール。もし倒されてからキー連打すると入力を認めてもらえないらしく同様に助からない。そもそもこの倒し方自体が分からないという人も多いようで、掲示板の質問で多く登場する話題にもなってしまっている。


 マニュアルがかなり簡素であり、特にマルチプレイ関連の説明が少ない。別にPDFとかでもマニュアルが用意されているなら良いのだがそれも無く不親切である。

     次の頁     TOP