シ ス テ ム |
キャンペーン 難易度はRecruit / Regular / Hardened / Veteranの四種類といういつもの設定。アンロックしたチャプター(ミッション)は難易度を変更してリプレイが可能。 MW2と同様にプレイ中の難易度変更はLower Difficulty(難易度を下げる)のみが選択出来る。難易度を上げる or 途中で下げたものを元に戻したい場合には、チャプター選択画面から難易度を選び直して開始すれば良い。 セーブ&ロード チェックポイント方式。一箇所を上書きする方式で履歴は保存されない。なお一般的なゲームとは異なり、一切周囲に敵が居ない状況以外でもセーブが行われるので、デッドエンドを防ぐ為にセーブされるタイミングになってもプレイヤーの安全が確保されるまではセーブが行われないようになっている。ゲームを抜ける際には最新のチェックポイントが保存されて、次回開始時にはそこから始められる。 OBJECTIVES ESCキー押下で文章による目標の参照が可能。仲間が居る場合には先導役のキャラクタの上に“Follow”の文字が黄色で表示されて、画面外に出ると画面端に矢印が出てその方向を知らせる仕組み。方角を知らせるミニマップも装備している。 今やるべき事については解り易く、迷うような場所もまず無いゲームである。ただし高難易度でのプレイの場合、一箇所ある行為が出来る事に気付かないと非常に難しくなるのだが、それについて十分なガイドが無いと批判されている所が在る(C5 S.O.G.)。 EXTRAS Steamworksによる実績機能を装備。MWにおけるマップ内に置かれたIntelを回収する要素がこのゲームにも加わっており、集めるとストーリーの背景情報をより詳しく知る事が出来る。 隠しコマンドが用意されており、いろいろな要素にアクセス可能になっていて、中には懐かしのアドベンチャーゲームであるInfocom社のZork(版権をActivisionが持っている)を丸々プレイ可能というオマケ要素まで入っている。具体的な隠しコマンドのやり方についてはネット上で検索すれば簡単に見付かるはず。 英語 字幕機能あり。ストーリーを把握するにはカットシーンにおける会話を理解出来た方が良いが、クリアするだけならば特に英語の理解は必要無い。何をするべきか(or してはいけないか)を英語で指示されるシーンも出て来るが、失敗するとゲームオーバーになるような箇所では直前でセーブされるので、全く理解出来ていなくても何回かリトライすれば突破出来るだろう。 |
GAMEPLAY |
全15チャプター。難易度Regularで7時間程度とやや短い。リプレイ性についてもModern Warfareシリーズの様な別モードが無いので、それに比較するとやや劣っている(Zombiesは在るが、これは全く別のゲーム)。 今回は米・英・露キャンペーンの様に完全に分離した物が用意されている形態ではないし、前作World at Warの様にハッキリと2つのストーリーに分かれて交互に進行する訳でもなく、主人公Masonを中心とした一つの大きな流れとしてストーリーが進んでいく方式になっている。つまりプレイヤーが操作する事になるキャラクタはMason以外にも数多いが、異なるキャンペーンに別々の主人公がいるというのではなく、ストーリーの流れに沿って様々なキャラクタを操作する事になるというMW2と同じスタイルに変わっている。そして場面転換はかなり激しく、チャプター単位で次々に話が飛ぶようにもなった。 Masonが尋問されているゲームの舞台は1968年で、その彼の回想を中心にして1961年のキューバにおけるピッグス湾事件(カストロ暗殺計画)から、ベトナム戦争やソ連でのミッション等を含めて1968年へと近付いていく構成を採っている。その他にも香港やラオス等ロケーションの移動は多い。舞台はほぼ1960年代になるが、一部には第二次世界大戦時代を扱ったチャプターも登場する。 今回はこれまでのCoDの歴史物シリーズとは異なり、史実に基づいたミッションを当時の雰囲気を忠実に再現してプレイするというスタンスでは無くなった。ストーリー設定上は1960年代というのは重要なのだが、内容としてはシリーズ前作のMW2に近く、ド派手なアクションが連続するスペクタクル巨編の様なゲームになっており、歴史物のFPSという色はほとんど消えている。MW2の様なゲームを1960年代を舞台にして製作したという印象である。 主人公もこれまでの「名前だけで匿名性が高い」というキャラクタではなく、外見とボイスがちゃんと用意される存在に変更。またこれまでの歴史物では一応“単なる一兵士”なので大活躍するのは不自然という観点から、ゲームの主人公としての活躍振りとのバランスを取っていたが、今回は超精鋭の特殊部隊という設定になった為に、その辺のたがが外れてスーパーマンの様な活躍を見せるようになった。敵味方を含めて重要なキャラクタの数もMW2並に多く、これまでよりもオリジナルのストーリー要素が格段に増やされている。 マップのルートがほぼ一本道なのはこれまでのシリーズ通りだが、一方向にしか進めないが広々としているので通れる幅は広いという箇所が減って、インドアを含めて幅が狭く感じられるエリアが増えている。また味方が先行して進んで行くので、それにすんなり着いて動くと余計に一本道に感じられるという面もある。脇道となる部屋などは珍しい武器が置いてある事もあるが、探しても大きく有利になる様なケースは稀。Intelを全て見付け出すつもりでもなければ、脇道探索にはあまり意味が無いゲームである。 ストーリーの構図はMWシリーズに似ており、世界を敵に回して恐るべき計画を企てる悪を倒すべく戦うという設定となる。だがストーリーの流れはこれまでには見られなかったサスペンス仕立てとなっており、主人公メイソンを拷問する尋問者の正体は誰なのか, 数字の羅列からなるメッセージの持つ意味は何か、といった謎を含んで展開される。FPSゲームのストーリーとしては珍しい形式であり、内容的にも良く出来ていると思う。 登場キャラクタの数は多く、その人物造形に関してはシリーズでも一番の出来かも知れない。魅力的で強い印象を残すキャラクタが多く、ストーリーの面白さに寄与している。なお何人かの登場人物は前作WaWに続いての出演となるので、先に前作をプレイ済みだとより楽しめるだろう。 そのストーリーは終盤に2つの意外な展開を用意している。どんでん返しというのは大袈裟かも知れないが、プレイヤーを驚かせる事実が明らかにされるというシーンは、ストーリー上の面白さとして重要なポイントに位置付けられているのは確かだ。 個人的な感想としては、終盤に明らかにされる一つ目の方は評価が微妙。と言うのはそこに至るまでに結構ヒントめいた事が提示されるので、その数々の違和感とも言えるデータにより、「これってもしかして○○○ってことなんじゃないか?」という風に、その“意外な事実”に推測が付いてしまうからである。もし制作側が意外性を狙っていたのであればちょっとヒントを出し過ぎて失敗していると思えるのだが、そのヒントが多いので隠し通そうという強い意図が無かった様にも見え、その事から評価が微妙と判定している。 対してもう一つのゲームのラストに明らかにされる、数字の羅列の意味に関連した意外な事実の方は上手く決まっているという印象。「あのシーンはそういう意味だったのか」という感じで伏線も回収している。問題があるとすればこのラストの意外性は、アメリカ人ならば良く知っているある出来事を基にしている為、この一件を良く知らないとピンと来ないかも知れないという点。 |
GAMEPLAY(問題点) |
その事をどう評価するのかは別として、「まるでアクション映画の様な凄さ」という点においてはその完成度は高い。MW2もそうだったが、こちらも負けず劣らずの出来映えである。危機一髪といったアクションシーンがふんだんに盛り込まれており、スピード感も存分に感じられる。それとバイクでの脱出シーンなど、他にも昔の有名映画に影響を受けた様なシーンも見受けられた。 しかしその「映画の様なクオリティ」という点が、逆に問題を生んでいるという感も受ける。戦争物に限った話ではないが、アクション映画を観る際に主人公(or 登場人物)に自分をダブらせて観るというケースは少ないと思う。あくまでも映画を観ている自分自身は“傍観者”である。それをゲームとして中の人物視点に切り替えてプレイさせようとしたのが、初期のMedal of HonorやCall of Dutyだと言える。 ところが今作の様にあまりに壮大で派手な演出が加わってしまうと、「まるで映画の様に凄いアクションの連続」→「これは正に映画である」→「映画であるなら自分は傍観者である」という風になって、ゲームの進行を他人事の様に眺める感覚が強まり、自分がゲームの中のキャラクタを操作しているという意識が薄れてしまう。その結果として「自分がボタンを押したりする事で進んで行く映画」みたいになり、高い没入感が得られない。 主人公に明確な外観とボイスを用意したのも不味い点。これまでの様な匿名キャラクタならばプレイ中に同一化もし易かったが、ハッキリとした人物像を与えられてしまうと、映画と同じで自分との乖離感が強くなってしまう。ただ映画的にするにはその方が良いのは確かであり、そういう狙いならば100%悪いという設定ではない。 同様にプレイヤーキャラクタの頻繁な切り替えも没入感という意味では悪い方に働いている。これまでの様に完全に別のキャンペーンとして操作するキャラクタが切り替わるならば何の問題も無いが、一つの流れとして進んで行くストーリーにおいて操作するキャラクタが次々に切り替わってしまうと、やはり外部視点から眺めている感が強くなりゲームの中に入り込めない。主役の座が次々に切り替わっていくという手法はTVドラマシリーズ等でポピュラーであり、この構成にはその影響が強いのかも知れないが、最初から最後まで操作するキャラクタは一緒の方が集中出来るというのは言うまでもない。 定番のイベントシーンは満載で、突然起きた出来事への素早い対処, 時間制限の脱出イベント, 失敗即死の大ジャンプ等々が頻繁に発生する。即死イベントの場合には直前でセーブされるのでストレスは無いが、あまりにもドラマチックな出来事が多過ぎるという感想を持ってしまうのも事実。それとプレイヤーの自由にならずに完全な自動制御のイベントとして行われてしまうシーンが、CoDシリーズの中では比較的多目というのも気になった。 上でも書いたが史実物FPSとしての要素が薄れてしまったのは残念な点。個人的には特にベトナム戦争物が好きなので、それがメインになるらしいという事で期待していたのだが、実際には失望させられる内容であった。定番のトンネルのシーンは非常に短く、また迷路の様にもなっていない。ベトナム戦争物ならば期待したい草木が覆い茂って敵が良く見えないとか、夜や雨の様な視界を限定されるシチュエーションも出て来ない。基地が大量のベトコンに襲撃されるというシーンは出て来るが、こちらもまた雰囲気が良く出ていない。全般的にクリアでクリーンなイメージといった感のベトナムであり、ジメジメした熱気や視界の悪さによる恐怖感がまるで伝わってこないのである。ヘリやボートに搭乗しての派手な撃ち合いという目新しいシーンも含まれているが、マイナス面を補えるほどの内容とは言えない。グラフィックスのクオリティとしては遥かに上だが、ベトナム戦争の雰囲気としてはVietcongやMen of Valorの方が優れていると言えるだろう。 |