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COMBAT
 戦闘全般もゲームプレイと同様に、前作よりもカジュアルで万人向けの仕様に変わっている。つまり遊び易くはなっているが、個性は減退しているという印象。ただし西部劇という珍しいテーマを扱っているので、数あるFPSの中では十分に個性的なプレイ感覚は保っていると言えよう。


 まずは前作からの変更点を幾つか。後ろが今回の仕様。

*二丁拳銃の場合、リロードは左右別々に行う → 一回のリロードで左右を行う
*銃は劣化して痛んでいる(Rusty)物があって、繰り返し使うと壊れてしまう → 劣化の概念はカット
*武器類の所持はチャプター単位でリセットされて、各チャプターのデフォルト設定からのスタートとなる → 武器類は持ち越し
*矢が重力の影響を受けて放物線を描いて飛ぶ → ほぼ真っ直ぐに飛ぶ
*視界を妨げるエフェクトが派手目で、敵AIはそれを透過して見られるのでプレイヤー側が不利 → その種のエフェクトは控え目に
*片手に聖書を持つ事が出来る → カット


 変更点の中でも最も大きな影響を及ぼしているのは、やはりヘルスの自動回復方式の採用である。回復アイテムを必要とせずに無限に回復が可能なので、強引な突破もある程度寛容されるようになった。安全の為には遠距離から慎重に戦うのが基本だった前作に比較して、カバーが多い場所ならばランボープレイも可能だったりする。その為に戦闘にスピード感が生まれているし、近距離でも戦えるのでショットガンの活躍の場が増えるという利点も見受けられる。ただし敵が幅広い方向に配置されたり、周囲の岩場や屋根の上等の高所を取り囲むようにして出現するケースも良くあり、強引に前に突っ込んでしまうとカバーに隠れても周りから撃たれてしまうので、常に強行突破が可能になっているという訳ではない。

 なお以上は難易度Mediumでの話であって、Hard以上だと耐えられるダメージ量が減少し、また敵の正確性と被ダメージ量がアップするので、強引なプレイや近距離戦はやり難くなる。Mediumでは特に気にする事も無いダイナマイトも脅威となるし、遠距離戦になっても敵のライフルの精度とダメージを考えると慎重に動く必要が出て来る。よってMediumではヌルいと感じる人はHard(クリア後ならばVery Hardも可)に変更すれば良く、キャンペーン進行中でも難易度は変えられるので、Mediumでの難易度が下がって万人向けになったという事自体は欠点とは言えない。



 続いては武器の性能が上がった点。時代を考えると武器の精度が低くて当たり難いというリアリティを多少考慮していた前作に対して、今回はゲーム的な高目の命中精度に設定されている。またグレードの高い武器を買えば非現実的な高性能を誇ったりもするという要素も採り入れられた。特にトーマスを使用時はライフルを二段ズームする事により正確に当てられるようになっている。ただし自分が得意としない武器を使用時は精度が比較的劣るのは言うまでもない。

 武器のグレードが及ぼす影響については、難易度Mediumではそれ程こだわらなくても良いというレベル。Rustyは避けるべきだが、必死に金を貯めて高ランクの武器を買わなくても特に不利にはならないと思われる。難易度が高くなるほど重要になると言えるだろう。いずれにしろ使用武器をランクアップさせていくという点は変化を付ける意味で有効に働いており、これは成功している要素になっている。


 前作での左右へのリーン動作から、今回はダイナミックカバーという新システムを導入している。これは一人称視点でのカバーシステムで、オブジェクトに近付くと自動的に発動する方式。一つ目の特徴は、リーンとは異なり真横に出るのではなく、カバー位置を視点として回転するように動くというところ。例えば入り口の横の壁に張り付いた場合、両手が入り口の中に入り込むようになって、そこからマウスを左右に動かす事で体を隠したまま張り付いている壁越しのほぼ反対側までクルッと回る感じで覗き込む事が出来る。二つ目は上下方向への動きも可能な事で、箱のようなオブジェクトに近付くと自動的に箱の縁から半分顔を出す程度の視点となり、上方へとそれを動かす事も出来る。同じく高所の柵等で行った場合には、カバーに付いたままで視点を下の方へと動かせる。

 最初にこれを体感した時は、ピタッと張り付く感じではなくフワリと吸い付く様な感覚だったので違和感が強かったのだが、難易度Hardでプレイしてみてカバーをより多用する必要性に駆られてからは、リーンに比較して回転角度が大きいのでこれはこれで便利と見直すように考えが変わって来た。三人称視点に切り替えてしまうというのも一つのやり方だが、あくまでも一人称視点にこだわる立場からのカバーシステムとしてはなかなか良く出来ているのではないかと思う。

 カバーシステムをメインとしたゲームと違い、敵が多いとか角度的に見えない部分を覗くといった必要な時だけ使えば良いという設定であり、実際にMediumでは使わなくても済ませられるエリアが大半。Hardでも頻繁に使わないとならないレベルではなく、さほど押し付けがましい機能でも無い。それと自動で張り付く方式だが、発動までに若干の間があるので移動中には誤動作も少ない。もしそれでも嫌ならば機能をオフにも出来るようになっている。


COMBAT(続)
 実際の戦闘については、普通では見られないような時代の武器を使って戦えるというのは新鮮なプラス点。逆にやはり武器の種類が少ないので比較的地味な印象は否めず、最初から最後まで(武器の性能はともかくとして)同じ様な武器が使われるので変化も小さめである

 レイは近距離戦主体で二丁拳銃がメイン。ライフルとショットガンはどちらか一方しか持てず、ショットガンを持ってしまうと遠距離の敵への対応が難しくなるので、どうしてもライフルに偏ってしまいがち。拳銃を片手持ちでアイアンサイトを使う手もあるが、敵から離れるほどライフルの方が高性能となる。対してトーマスの方は二丁拳銃が使えないので、片手で拳銃を使うよりは正確性も高いライフルを常時使用という形にどうしてもなる。後は弓だがこちらは引いた際にスローモーションになるので、移動中の敵やカバーから顔を出した瞬間を狙ったりする際に優位な武器となっている。

 ゲームプレイの項で述べたように、ほとんどが一緒の行動なのでその意味ではキャラクタ選択による変化が足りないのだが、戦闘に関しては主力武器が異なるので、選択キャラによる変化はちゃんと感じられる。しかし別ルートを増やすのと戦闘スタイルを変えるのとで、どっちがリプレイ性を増せるのかとなったら、これは明らかに前者の別ルートの方である。後者を採用するなら大幅にその戦闘スタイルに変化を付ける必要があるが、そもそも武器数が少ないのでそれは不可能。結果的に戦闘スタイルの変化だけでは、別ルート不足の不満を補えてはいない。


 その他のコンビで行動をするゲームとの対比として、相方が非常に強いというのが特徴の一つ。高い銃撃精度を持っており、プレイヤーがもたもたしていると相方が次々と敵を倒してしまうという事も発生する。これをどういう風に捉えるかはプレイヤー次第だと思うが、個人的には特に欠点とは考えていない。


 弾薬は多目の設定で、特にリボルバー系は切れる事はまず無い。ライフルの方はそれに比べると敵から拾える可能性が低いが、定期的に弾薬ボックスが用意されているので切れるまでには至らないだろう。よってガンガン撃ちまくれるというのは確か。

 戦闘はインドア等の近距離戦から、非常に遠く離れた敵との遠距離戦まで様々。草が茂っていて敵が見え難いというシーンはほとんど無いが、カバーから時々顔を出す程度なので見付け辛いとか、非常に遠くの高台にいるので気付きにくいというケースは結構ある。その際は被弾方向を示す画面表示を頼りにするか、敵に合うと赤くなる照準を利用して探すといった形になる。

 カジュアルな設定になった事でスピード感を増したと書いたが、それでも武器の性能が低い内はややスローという面は感じられる。リロードの長い武器のそれは本当に長いので、カバー等に隠れてその度に小休止の様な状態になってしまう(キャンセルして撃つ事は可能)。特に二丁拳銃を使うレイの場合がそう。リロードが高速な銃もあるが、今度はダメージが低くなるので倒すまでに時間が掛かる。大きな店のあるCH6,8辺りまでに金を貯めて良い武器を購入すれば改善されるが、それには探すのが面倒な金の回収に励まないとならず、今度はその行為によってテンポがダウンするという事にもなりかねない。


 CM(コンセントレーションモード)は良くなった点の一つ。チャージをフルにするのは比較的容易だが、そこから発動させるまでに制限時間があるので、多数の敵が居る場所で発動出来るとは限らない。むしろその場の多数の敵を倒した段階でフルになってしまい、残りの少数を片付けてから次の場所に行くまでに切れてしまうケースが結構あった。それと敵が多数居る場所で発動するべきなのだが、離れた場所や高所に居たり、カバーに隠れていたりもするので、瞬間的に今敵が周囲に多数存在するのかを判断するのがなかなか難しい。少ない時に発動させてしまうと無駄に終わるといった感じで、万能な能力には設定されていないのが評価出来る。

 やはり使い所が重要で、Mediumではそれ程必要とはされないが、Hardだとこれを活用しないと難しくなる。例えばダメージを受けて危ないというケースでは、発動させるとスローモーションになって対抗出来るので防御という観点からも有効である。システム的にちょっと気になったのは、HUDレスという事から時々チャージメーターの表示が消えてしまうので現在値が判らなくなる事がある点。


 敵のAIは高台等で固定されている者を除くと、いろいろなルートを動ける能力を持っている。中にはジャンプして屋根によじ登ったり、逆に降りてきたりする者までいる。その他カバーの陰からたまに顔を出しては撃ってきたり、ブラインドファイアーも行える。攻撃精度は難易度によって変化するが、Mediumではそれ程脅威ではない。

 問題は近距離戦。これは欠点と言うよりもあえてそうしていると思うのだが、接近戦になると不自然なレベルで敵の動きがおかしくなる。こちらを撃たずに左右に動く, 立ったり屈んだりを繰り返し, 目の前で悠然とリロード動作, 超接近すると手で払いのける動作をして撃たない, 仮に目の前で撃って来てもあまりこちらに当たらない, AI同士だと当たらない為にお見合い状態になってしまう等々。つまり離れているよりも近付いた方がむしろ安全という形になっている。

 そうなっている理由としては、近距離戦主体のレイの攻撃をより活かす事と、ショットガンの使用を推奨する目的だと考えられる。ただでさえ武器種が少ないので、ショットガンという選択肢を用意するのは重要で実際にその種類も複数用意されている。しかし敵に近付くほど危険になるのではこれは使い辛い。そこで存分にショットガンを使えるように、近距離戦での敵の反応を鈍くしているのだろう。その御陰で確かにショットガン無双を楽しめたりもするのだが、代償として不自然な動きが目立っているという話。


 全体の難易度はMediumでは若干低目の設定。チェックポイント以外にクイックセーブを備えるので、一箇所で長い時間詰まる可能性は低いというのも影響している。決闘が上手く行かないのが難所になる恐れがある程度か。後は通常の戦闘よりもイベントシーンの方に難易度が高い箇所が多く、馬車のような揺れる物に乗って撃たなければならないとか、砂塵などのエフェクトで前が見え難くなる等がその理由。それと序盤の南北戦争パート限定だが、キャノンを使うシーンも慣れが必要になる。

GRAPHICS
 自社製作となる最新のChromeEngine 4を使用(前作はV2)。特徴とする機能はこれまでと変わらず、広いアウトドア描画に強く、更にそこに多数の木々や草を生やせるというのを売りにしている。

 前作はいち早くDX10に対応したゲームであり、ゲーム自体に興味が無い人達にもこの件で有名だったりした。しかしこのCE4ではDX10へのサポートをカットしており、DX9レベルで動作する仕様に変わった。その理由は、DX9レベルでも良いエンジンならばDX10と同程度のクオリティに出来る。現行(発売当時)のハードウェアでは、DX10の導入が大変な割には受けられる恩恵は少ない。そしてCE4からPS3にも対応するマルチプラットフォーム用のエンジンになったので、PCでしか使えないDX10に対応させる事にあまり意味がなくなったからだそうだ。


 エンジンのコア部分には大きな変更が加えられて、今回からDeferred Shading(ディファードシェーディング)へと切り替わった。これは遅延シェーディングとも呼ばれ、モデルを描画する時に処理するという普通の手法ではなく、後のプロセスでそれを行うという方式で、Forward(前方)の反対という基準での呼称。

 利点は近年重要度が増しているダイナミック・ライティングやポスト・プロセッシングに強く、そこでより複雑な処理を低負荷で行える事。使用例としてはS.T.A.L.K.E.R.Dead Spaceシリーズ等が有名。欠点は既にFPSゲーマーには有名だが、半透明処理に弱い為にDX9からではMSAA(アンチエイリアシング)が行えない事(独自でエッジを目立たせないような処理を導入している物はある)。


 前作とは見た目の印象が大きく異なり、カラフルで綺麗ではあったがゲーム的なグラフィックスだったのに対して、今回はモノクロ調だが自然でリアリティを感じられる描写になっている。太陽光や水面の表現などもより自然であり、砂塵や爆発等のエフェクトも良くなった。建物類も同じ様な物が繰り返されてはおらず、様々な形状の物が用意されていてこれも見た目に自然な点。パフォーマンスも美しさの割には軽い部類に入る

 欠点としては、上記の様にアンチエイリアシングの設定が無いのでジャギーが比較的目立つ。影のエッジも粗い印象。それと草木は確かに多いのだが、馬で走ったりすると相当近距離からポップアップして草が生えていくのが見えてしまう点は変わっていない。また特にカバーに付いた際だが、オブジェクトを銃が派手に突き抜けてしまう。

 キャラクターのモデリングに付いては、主役格を除くとやや質が劣るという印象。服の質感なども今一つである。(ただしカットシーンでのそれはずっと綺麗に見える)。また敵は顔や服装に似たような者が多い。しかし広範囲描画を実現するエンジンはインドアやテクスチャの質(ノーマルマッピング等)に弱いという面を持っており、代償としては仕方のないところか。それとこれは出来ないのかやらなかったのか不明だが、背の高い草木が大量に茂っている場所が見られなかった。

 エンジンが全面的に変わっているので、前作(特にデモの段階)で問題視されたマップ開始前のローディング時間の長さは短縮されている。ただしチェックポイントにて、セーブをしているにしてはアクセス時間が長く、その間数秒ほどカクついたりする事もあるので、途中でデータを読んでいるという事も考えられる。


 ワイドスクリーン対応。グラフィックス関連の設定項目は多目で、プリセットで画質重視やパフォーマンス重視等の三段階の設定も備えている。なお画質設定を大幅に変える場合、ゲームを再起動しないとならないという制限あり。

SOUND
 3Dサウンドの設定項目は無いが対応はしている。

 銃のサウンドはこれがリアルなのかはともかくとして良質である。BGMはやはり西部劇風の物が多いが、割と近代的な感じの物も含まれている。

 声優の質は全般的に高く、ストーリーに重厚感を出すのに寄与している。ただMarisaの声だけはあまり上手くないというか違和感があった。

MULTIPLAYER
 マルチプレイは最大で12人までが参加可能。モードは5種類で、Shootout(FFA), Posse(TDM), Wild West Legends(連続した目標を攻撃側と守備側に分かれて競い合うオブジェクティブマッチ), Wanted(一人の指名手配を皆で追って倒し、倒した人が次は指名手配になる), Manhunt(片方のチームの一人が指名手配となり、それを狩る側と守る側で戦う)。

 クラス制でその数は13種類。最初から使えるのはその中の5つだけで、後はランクマッチに参加して金を稼ぎアンロックしないとならない。この金はそのクラスの能力のアップグレードにも使用出来る。


 未プレイなので感想はカット。2011/02時点で時間帯にもよるが、多い時はまだ100人位がプレイしている模様。


 2人のキャラクタがゲーム中一緒に行動し操作キャラクタを選択可能でもある点から、当然Co-opの導入が想像される訳だが搭載されてはいない。その理由としては、シングルプレイにおけるストーリー展開を重視しているので、イベントシーン等をCo-op対応にするのが困難。また最終的に2人は対峙するので協力というイメージに合わない。そしてコンセントレーションモードやDuellingの様に2人プレイでは上手く機能しない要素を含んでいる、といった点を挙げている。


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