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GAMEPLAY
 難易度Normal(一部Easy)で10時間程度と、EfBBと同程度のボリューム。内容的には前作と似ている部分も多いので、主に比較しながら解説していきたい。よってEfBBを未プレイの方は、先にそちらのレビューを読んで貰った方が良いだろう。


 今作はハッキリと2つのパートに分かれており、前半が宇宙船Dark Athena、後半が水惑星Aguerraを舞台にしている。それぞれのボリュームは半々程度。マップの連結構造は変わっておらず、DAでは複数のマップを行ったり来たりしながら進めて行くパートが長いし、Aguerraの方も必要性は薄いとは言え、幾つも前のマップまで戻ったりする事が可能である。

 しかしマルチルート(自由度)は一部のみと減少しており、スクリプトによる進行がメインとなっている。プレイヤーが自由に動けるというシチュエーションは相当少ない。また会話の出来るNPCの数は大幅に減少しており、会話内容も固定されていてプレイヤー側の対応による変化の余地もほぼない。その為に自由に引き受けられるサブのミッションも少しだけになっている。NPCの減少はゲームの背景設定的に仕方が無いとしても、サブのミッションを引き受ける自由度が減ってしまったのは残念な点。結果的にリプレイ性も低下しているのは否めない。



 前作でかなり重要視されていた拳闘の要素は大きく後退しており、これを使って戦うシーンは少なくなっている。システムとしては特に変わっておらず、LMBで攻撃しRMBでブロック。攻撃時には4方向への動きに応じてパンチの軌道が変化し、LMB連打によるコンボも用意されている。それと敵の隙を突いてカウンターを決めれば、ボス系を除けば一撃で死亡させられる(手を開いた瞬間にLMB連打)。この近接戦闘では武器を使う事も可能で、Ulaksは両手持ちなので強力。Clubはブロックしている敵にもダメージを与えられる等、物によって利点と欠点が異なる。こちらではカウンターのチャンスには武器自体が一瞬光る仕様。

 今回もあまりこの拳闘には深みが感じられない。前作では新鮮さがそれを十分に補っていたのだが、同じ様なパターンの繰り返しとなるので今作では特に魅力的では無くなっている。近接武器についてはUlaksが万能に思えるし、ダメージを受けても遠くに逃げて止まって休めば回復させられるので難易度もあまり高くない。危険なのは一気にブロックを数個削られるボスのカウンター程度で、それでも何回か繰り返せばクリア出来てしまう。


 これは好みが分かれる点になると思うが、ステルス要素が減少して戦闘のパートが増えている。また完全ステルスで敵をやり過ごすか、ステルス状態から敵を一人ずつ倒していく以外にないというシチュエーションが少なくなり、強行突破でも行けるという場所が増えている。その大きな理由が銃器の扱いで、前作ではDNAロックにより敵の落とした銃を拾えないというシーンや、設定として銃器を持っていないというエリアが結構在ったが、今回は銃が無くても警備のDroneに付けられている物を利用する事が出来るようになった。

 Droneを倒すと抱き起こしてその銃を使う事が可能となり、その場からは動けない&弾薬には限りがあるという制限があるものの、銃を使って倒した新しいDroneの所へ移動して使ったり、余裕があるなら体を引き摺って敵の見える場所に移動してから使うという風にも出来る。よって多数のDroneが警備しているエリアでも、最初の一人を倒してからその銃を使って次を倒し、また新しく倒した敵へと移動してその次と戦うといった形で、敵を戦闘により全滅させるチャンスが増えている。

 更にマップのデザインと敵AIの動きの単純さにより、わざと発見させた後に隠れて敵を誘き寄せ、その後回り込んで一気に逃げてしまうという手段が有効になっており、時間を掛けて慎重に隠れながら進んで行く必要性を感じさせない場面も増えた。また前作での“Disarm”が残されており、銃を持っていなくても敵に近付いてタイミング良くカウンターを決める事で、敵の腕を取ってその銃を顔に向けて発射して倒す事も出来る。


 ただし反対にステルスでプレイする事を前提にしているエリアでは、なかなか突破するのが難しいという箇所も出て来る。多数の敵が徘徊していて見通しが良い場所では、一度気が付かれてしまうと集中砲火を浴びて一気にヘルスが削られてしまう。Droneの銃を使うには障害物等で敵が分断されているという条件が重要で、他の多数の敵から丸見えの場所で撃ち合っても勝ち目は薄い。ステルスキルで倒しても引き摺って隠すのが困難なケースでは、死体を発見された後に周囲の巡廻が始まってしまうので逃げられないという事態にも。

 今回もライトの一部は撃って壊し暗闇を作れるのだが、それを利用して切り抜けられるようにデザインされた場所が減ったように感じられる。また発見されるかどうかの基準が曖昧になった印象で、敵に気付かれない様に動くタイミングが計り難くなった。これには後に述べるがAIの動きのバグも関連している。


 謎解き要素は一部にあり。目標の説明が親切なので(時には詰まっているとヒントを示してくれるので)あまり難しくは無いが、一箇所長時間どうすれば良いのか考えさせられる所もあった。後はタイミングを計りながらアクションを連続して行わないとならないというシーンが一つ出てくる。それとパズルではないのだが慣れないと戸惑うという面を持っている。例えばレールやハシゴの様なオブジェクトは近寄るとガイドが表示されるのだが、普通の段差についてはそれは表示されず、Use操作をして初めてリディックがよじ登り等の動作を行ってくれる。その為にどこを登ったり出来るのかが判らずに迷う事もあった。


 以上の様に全般的にバラエティさは後退しており、戦闘面が大きな割合を占めるように変わったという感想。ステルスと戦闘のパートがミックスされている点は今作でも十分に個性的ではあるのだが、様々な要素を絶妙な配分で構成していた前作に比較するとオリジナリティが減ったというのは否定出来ない。


COMBAT
 武器を持っていない状態でもDrone gunが使えるのと、ステルスを強要されないシーンが増えた事から、ゲーム全体での戦闘シーンの割合がEfBBに比べて増加した事は上で述べたが、その戦闘の感想についてはゲームの前半と後半で大きく異なる。


 まず前半のDA内部での戦闘は前作と大きな変わりが無い。武器類も似通っており、その銃器はアサルトライフル, サブマシンガン, ショットガン, ハンドガン, Tranquilizer Gunくらいと種類が少ない設定の上に、常に全てが揃っている訳ではないので、多彩な武器の使い分けという面白味はあまり感じられないゲームである。

 主力となるアサルトライフルの命中率は低目で、離れるとなかなかヘッドショットが出せずに敵を倒し辛くなる(ただし前作よりはマシという印象)。ショットガンは強力だが、敵に接近する事でこちらも高ダメージを受ける危険度が増してしまう。よって敵が複数の場合には、カバーに隠れてリーンしながら慎重に戦うというケースが多い(リーン状態から撃てるようにもなったので)。オープンスペースでの強引な撃ち合いはやり難い設定である。

 それと今回は武器のショートカット設定が2つに制限されてしまったので、打撃武器と合わせて10個程度の武器を持っている際にはどれを指定しておくかに悩む事になる。よって武器ホイールを表示させて素早く目的の武器を選択する操作に慣れないとハンデを背負う事になる。


 今回良くなったと思えるのは敵兵士の攻撃の正確さとアグレッシブさが増した点で、やや簡単なバランスに感じられた前作の戦闘面が緊張感を増して面白くなっている。積極的にこちらを追尾してくる事が増えたので、安全な場所に隠れて一息付くというのがやり難くなった。命中精度のアップからちょっとしたミスでブロックを削られてしまうので、敵を発見してからの素早い判断と攻撃が必要になり、神経を研ぎ澄ませて戦わないとならないようにもなっている。そしてクイックセーブが出来なくなったのも難易度を上げている要因の一つ。それと前作ではブロックを最初の4個から最大で8個まで増やす事が可能だったが、今回は最大でも6個までで、DAのパートでは5個までしか増やせない為にそれだけ死に易い設定でもある。

 ただしそうなってしまうと当然難易度も上昇する訳で、それに対しては緩和策も同時に採られている。第一に同じチェックポイントから二回続けて死ぬとヘルスのブロックが一つ増やされる(一度だけ)。次にマップが繋がっているので、どうも今のヘルス量では不味いとなった場合、何所かの回復ユニットまで戻って回復するのが可能なケースが多い(エネルギーが残っているか、リチャージキットを持っていればだが)。そして回復した後にそこが新チェックポイントになる仕様。最後に緩和策では無いが、初見で対応をミスると一気に大きなダメージを受けてしまう事もあるが、何回やり直しても同じ様に厳しいというエリアはほとんど無いので、チェックポイントからあまり進んでいないのならば、回復ユニットまで長い道を戻るよりもクイックロードしてやり直した方が有効だったりもする。

 なお以上は主に兵士(Drone)が敵であるDA内での話であり、後半でも兵士との戦闘エリアでは同じ事が言えるが、次頁に説明するようにそれが少なくなっている後半戦ではちょっと戦闘全体の様相が変わってくる。


 暗闇での戦闘とEyeshineのジレンマは健在。暗い場所ではEyeshineを使う事で敵や周囲のオブジェクトの配置を把握出来るようになるが、フラッシュライトを持った敵に照らされたり、銃を撃つとマズルフラッシュの明るさで視界が潰れて前が見えなくなってしまうという欠点が在る。かと言ってオフにすると周囲が見え辛くなるので、オブジェクトが多数置いてある場所などでは動けるルートが確認し難くなるという問題が発生してしまう。これは不自由ではあるが、ゲーム内の要素としては面白さを増す方に働いていると言えるだろう。


 巨大メックに乗り込んでの戦闘シーンは今回も出て来る。回復ステーションさえ見逃さなければ特に難しくはなく、派手に戦えるので爽快感を感じられるパートでもある。だが演出面では前作に劣っており、それを超えられていない。

 そしてDAではその他にDroneを操作可能なエリアが登場する。(メインの敵となるDroneはAI操作の際には赤い眼をしており、人間が直接操作する形態になると白い表示になる)。この操作マシンにリディック自身が乗り込みDroneを遠隔操作して敵と戦えるのだが、破壊されても次の物に切り替えて操作出来るので難しくはないし(実績達成には条件が付くのだが)、こちらの戦闘能力は普通なのであまり面白味も無い。戦闘に変化を付けるという程度の効果に留まっている。


 結果的に戦闘の他にステルス等のパートも含めて、前半のDAのキャンペーンはEfBBに似たプレイ感覚を持っており、その出来は前作には及ばないまでも良いと言えるレベルに達していると評価したい。

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